VillainのVはVOICEROIDのV   作:捩花

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今更な気もしますが、タグに独自設定を追加しました
砂藤君と口田君の職場体験先が独自設定です


Voice20 砂藤と口田 職場体験は奈落の底で

 職場体験が始まって数日が過ぎた。 雄英生徒は各々が希望した事務所でヒーロー活動を肌で感じている中、砂藤力道もまた希望した事務所で活動の一端を体験している真っ最中である。

 砂藤は緊張した面持ちで周囲を見渡しながら、希望した事務所の現役ヒーローと並んで街を歩いていた。

 彼の隣には、筋肉質の砂藤とは対照的にひょろりとした頭一つ高い男性。 赤い鉢巻に白いタンクトップ、黒のハーフパンツと蛇腹模様のベルトにいくつかのベルトポーチをぶら下げた姿のヒーローは砂藤を見てニカッと笑う。

 

「今日はこのまま見回りに行きますよ、砂藤君」

「う、うす! スウェルミートさん、ご指導お願いします!!」

「ははは、そんな硬くならずに。 今はミートでいいよ。 誰かいたらヒーロー名で呼んでくれ!」

 

 砂藤が頭を下げた彼の名はパンプアップヒーロー・スウェルミート。 個性は筋肉膨張。 自身の筋肉を一時的に膨らませ、パワーでヴィランを圧倒するヒーローである。 力み具合で膨張する筋肉量が変わり、個性を解いた後は使用した時間と膨らませた量に比例して脱力状態となる。

 似ている個性を持つ彼の場所を選んだ砂藤。 数人のサイドキックと事務員を抱え、小さいながらもヒーロービルボードチャート六百位後半に名を載せている理由を知るべく、彼はスウェルミートの事務所を選んだ。

 

「いやー、砂藤君が来てくれてよかった! サイドキックの一人が急病で人手が足りなかったから、本当に助かったよ!」

 

 初日から副業の引っ越し業務や多量の配達物を運送する等、砂藤は個性を生かして事務所の仕事に多大な貢献をした。 ヒーローの仕事と言われれば首を傾げる物ばかりだったが、関わった人々から感謝の言葉を聞いて、これも欠かせない仕事であると理解する。

 

「ヒーローって、思った以上にいろんな事をやるんですね」

 

 華やかなヒーロー業、その見えない部分を目の当たりにして、理想と現実のギャップを感じる砂藤。 夢見る若者が通る道を、彼もまた進んでいる光景にスウェルミートは肩をすくめる。

 

「そりゃね、ヴィラン退治だけで食っていけるのは大手か個人だけさ。 ヒーローの専業ができるのはヒーロービルボードチャートJPで上位の三百位くらいかな? それにエンデヴァー事務所みたいな大規模になると、上位でも別の仕事を取ってないと事務所の維持もできないからね」

「ヒーロー業界も世知辛いですね」

「ははは。 公務員なんて言われているけれど、実態はそんなもんだよ」

 

 カラカラと笑うミート。 世間では憧れの職業でもある仕事の現実を見せつけられて、砂藤は目指している世界でやっていけるか不安で少し肩を落とす。

 そんな彼の肩をミートはバシバシと叩き、腰にぶら下げているポーチの一つを指さした。

 

「頼んだお茶菓子用のクッキー、プロ顔負けの美味しさだったよ。 将来は雄英にいるランチラッシュのように、パティシエヒーローなんていいかもね! ヒーローと副業、どっちをメインにするかは人それぞれだけれど、尖った物があれば洗濯ヒーロー・ウォッシュみたいに支持されるから考えてみてはどうだい?」

「パティシエヒーロー……ですか」

 

 目指す職場の先輩が出した提案に、砂藤が考えを巡らせる。 今まではヒーローになる事だけを考えていたが、現役ヒーローから遠くない未来の選択肢を一つ提示され、歩きながらその未来に思いを馳せた。

 

「まあ、雄英なら……っと向こうが騒がしい。 見に行くぞ、シュガーマン!」

 

 言葉を続けようとしたスウェルミートは前方に人だかりを発見する。 事態を確認するべく彼が駆け出すと、ワンテンポ遅れて砂藤も後を追いかけた。

 

「は、はいミートさん!」

「ヒーロー活動する時にはヒーローネーム呼びが鉄則! 意識を切り替えるスイッチにするといいよ!」

「はい、スウェルミートさん!」

 

 二人は現場へ走って向かう。 スウェルミートは人込みに到着してヒーローが来たことを人々に告げると、ヒーローと雄英体育祭の参加者を見つけた一般人がワイワイと騒ぎ出した。

 

「パンプアップヒーロー・スウェルミートだ!」

「隣にいるのはもしかして、雄英体育祭に出てた一年生!?」

 

 携帯電話片手に囲んでくる通行人の間を縫って進みながら、野次馬が遠巻きにしていた場所へ視線を向ける。 そこにはビルとビルの間の道に面しているテナント募集の張り紙がある建物。 その勝手口から、見慣れない生き物が顔を覗かせていた。 羽毛のようにも見える、緑色の尖った鱗の蛇がテナントを募集しているビルの勝手口から顔を出し、踊るように体をうねらせている。

 

「シュガーマン、立ち入り禁止テープを張ってくれ。 僕は通行の妨げにならないように皆を誘導する」

「はい、スウェルミートさん!」

 

 スウェルミートは砂藤にヒーロー印の立ち入り禁止テープを張る指示を出し、野次馬達から情報収集をしながら原因に対応する姿勢を見せ、人々を現場から離れさせた。 珍しい蛇を見つけた通行人が集まっていただけらしく、二人が動いている間も体を揺らしながら、我関せずとその場から動くことの無い奇妙な蛇。

 誘導が終わったスウェルミートは、変わらずその場から動く気の無い目標を見ながら首を傾げた。

 

「何でしょうね、あの蛇は。 見た事がありません」

 

 蛇ではある。 が、西洋のドラゴンに似た姿は日本では見た事の無い種類である。 毒蛇の可能性が捨てきれないスウェルミートはヒーローネットワークへ情報を打ち込もうと携帯を取り出し、後ろから女性に声をかけられて振り返った。

 

「あれはヘアリーブッシュバイパー。 毒蛇よ、スウェルミート」

「おお、セルパファムじゃないか」

 

 上半身をアラビアンナイトに出てくる踊り子のような服と、蛇の目がデザインされたサークレットを身に着けている女性。 腰から下が蛇となっている脚をうねらせながら、のそりのそりと現れた。 彼女に付き添うように、岩石のように尖った頭部、口元は穴あきマスクで隠れているヒーローコスチュームに身を包んだ男性もやってくる。

 スウェルミートと同じ地域でヒーロー活動している、ラミアヒーロー・セルパファム。 個性はラミア。 並のヒーローよりも高い耐久力を持ち、五メートルもある強靭な蛇の部分でヴィランを簀巻きにして捕らえる。

 その長い体は変温動物である蛇の生態も受け継いでおり、寒い時期には動きが鈍くなるので冬季は雪だるまのように着膨れしないと活動が難しいのが目下の悩み。

 そんな彼女は個性に深く関わる蛇に詳しい。 砂藤達が見た事の無い蛇を資料も持たずに説明し始めた。

 

「アフリカの熱帯雨林地域に生息するクサリヘビ科……日本ではハブやマムシと同じ類。 神経毒と出血毒、二種類の毒を持っている。 日本に血清は無いから、無闇に近づくのは危険」

「それは……恐ろしいな」

 

 血清が無い。 毒を受ければ死を迎え入れるのと同義である事に、スウェルミートとその後ろにいる砂藤も恐ろしい生物だったことを知って唾を飲む。

 危険性を知った二人にセルパファムはその通りと頷くと、表情を変えないまま胸をドンッと叩いた。

 

「その為に私が来た。 今日は心強い助っ人もいる、アニマ!」

 

 自信満々な彼女の呼び声に、砂藤と同じ背丈のヒーローコスチュームに身を包んだ人が頭を下げる。 礼儀正しい彼に、砂藤は笑顔で名前を呼んだ。

 

「今日は一緒だな、口田……じゃなくてアニマ!」

「……!」

 

 相変わらず無口な口田は嬉しそうに手を上げると、その隣でセルパファムは同じ場所で揺れているだけのヘアリーブッシュバイパーを指さして彼に言った。

 

「アニマ、頼んだ」

「……!?」

 

 後方支援かと思いきや、早速の指名に口田の表情は「僕が!?」と驚いているが、セルパファムは目を輝かせてドラゴンのような蛇に視線を向けながら言葉を続ける。

 

「あの蛇は本来、日本にいない。 密輸の可能性がある。 無傷で保護する。 アニマの個性が有効。 時価数百万、できれば飼育したい」

「セルパファム、本音漏れてる!」

 

 スウェルミートの突っ込みに悪びれる様子なく、獲物を狙う目でヘアリーブッシュバイパーを凝視するラミアヒーロー。

 口田は戸惑ったものの、動物を操る個性・生き物ボイスを活用できる喜びと緊張でガチガチになりながら蛇の元へ向かった。 彼が近づいても逃げることなく揺れているヘアリーブッシュバイパー。 口田は恐る恐る近づくと、両手を口に添えて個性の力が宿る言葉を掛けた。

 

「風に身を委ねる勇ましき者よ 安寧の地へ行きましょう さあ、こちらへ」

 

 口田の声に反応したのか蛇は動きを止めると、首を部屋の中へ引っ込めて消えた。

 動物相手には無類の強さを発揮する口田の個性が通じない。 信じられない光景に砂藤が驚愕する。

 

「引っ込んだ!? 口……アニマの個性が効かなかったのか!?」

 

 一番衝撃を受けているのは口田自身だった。 動物に自分の個性が通用しないという現象が目の前で起こり、声をかけた姿勢のまま硬直している。

 砂藤は慰めの言葉が浮かばない中、セルパファムが口田の肩を優しく叩いた。

 

「きっと生まれた地域が違うから、怖がっただけ。 ここは私に任せて」

 

 口田を慰めると、親指をぐっと上げるラミアヒーロー。 自信満々な彼女に、スウェルミートがその根拠を聞いた。

 

「毒の対処は?」

「私は蛇から襲われない。 捕獲は簡単」

 

 そう断言すると、彼女は止める間もなく部屋の中へ入った。 行動の早い彼女にため息をつきながら、スウェルミートはどう動けばいいか迷っている砂藤と、未だに固まっている口田に指示を出す。

 

「建物の所有者には事後報告になるけど仕方ないか。 ま、器物損壊になるほど暴れないだろう。 僕らは三人で出入り口を塞ぐ。 ヴィラン退治じゃないけど、皆に被害が起こらないようにするのもヒーローの仕事だ!」

「はい!」

「……!」

 

 三人も室内に入り、最後尾の砂藤が入り口を閉める。

 灰色で何もない、殺風景な部屋。 勝手口から見えるのは大通りに面した曇りガラスの自動ドア。 奥には給湯器とシンクが見える小部屋、そしてトイレだろう扉が二つ並んでいるだけだった。

 先に入っていたセルパファムが給湯室から身を翻して出てくると、閉まっているトイレを見てから周囲を見渡す。

 

「私のヘアリーちゃんは何処」

「もう名前つけている。 いや、本当にどこに行ったんだ? 開いていた入り口はともかく、隠れられそうな場所は無いぞ?」

 

 飼う気満々のセルパファムに呆れつつ、部屋の中央で周囲を見渡すスウェルミート。 陰になるような柱もなく、蛇が入りそうな穴も無く、独特の風貌を持つ蛇が何処に消えたのかと、万が一にも砂藤達が襲われないように彼らを庇える位置で辺りを注意深く見回していく。

 砂藤達も普段は入れない、改装前の室内に辺りを見回している。

 

「本当に何もないな」

「……」

 

 二人揃って部屋を見ていると、背後からガチャリと音が聞こえた。

 砂藤が後ろを振り返れば、そこは入ってきた扉がすぐそこにある。 首を傾げながらも彼がドアノブを掴んで回そうとすると、鍵が掛かったかのように、僅かに回しただけで止まって開けることができない。

 外から鍵をかける必要のない現場での明らかな異常。 嫌な予感に鳥肌が立った砂藤はヒーローへ異常事態を伝えた。

 

「スウェルミートさん、入り口が開かない!」

「……何だって!?」

 

 砂藤が叫ぶと、スウェルミートは大通りに面した入り口へ走っていき、自動ドアを手で開けようと試みるがびくともしない。 出れないとわかると、彼は右手に力を入れて二倍に膨れ上がった右腕を振りかぶり、躊躇なく扉に叩きつけた。

 重低音を鳴らしながらも、ヒビ一つ入らないガラスを見て呆然とするスウェルミート。 背中に不安が混じった視線を感じとり、首元にある録音機のスイッチを押す。 静かに一呼吸入れて自分を落ち着かせると、彼らに振り向いて笑顔を見せ、脱出指示を出した。

 

「シュガーマン、スウェルミートが個性使用を許可する。 器物破損の事は考えず、今はここから脱出しよう!」

「……はい!」

 

 砂藤も許可を得た事で、個性を使って近くの壁へ拳を振るう。 口田はどうしていいかオロオロとしていたが、逞しい蛇の尾を壁へ叩きつけているセルパファムも彼へ指示を出した。

 

「アニマもパワーがある。 それと何か思いついたことがあったら、とにかく試してみて!」

「……!」

 

 口田は頷くとその体躯を生かし、一番割れやすいであろう曇りガラスへ体当たりを繰り出した。

 スウェルミートも再び拳を振るおうとした時、足元からパキパキと音が聞こえたかと思うと、全員が浮遊感と共に下へ落ちた。

 

「……!?」

「足元が崩れた!?」

 

 砂藤達は真っ暗な闇に飲み込まれた。 都市部であるはずが、下を見ても地面すら見えない暗闇に恐怖を覚えて頭上を見る。 あっという間に部屋の照明は小さくなり、不気味な黒に塗りつぶされた。

 異常な現状に砂藤が思わず悪態をつく。

 

「くそ、どこまで落ちるんだ!? これじゃ地面に……!」

 

 光一つない真っ暗な穴を落ちていく。 それでも四人はお互いをはっきりと視認できる奇妙な空間。 下へ下へと落ちる感覚に、いつ来るかわからない着地の衝撃を想像してしまった砂藤と口田は顔を青くした。

 そんな彼らとは対照的に、落ち着いているセルパファムは蛇の尾を伸ばして二人の体を捕らえて引き寄せる。

 

「奇妙な空間。 予測不可能、回避不可能。 万が一を考えて纏まる」

 

 彼女は器用に蛇の尾を渦巻かせて台のように平らにすると、二人をその上に乗せる。 さらに砂藤達の腰をがっしりと掴んで固定した。

 もう一人のヒーロー、スウェルミートは右腕の膨張を維持しながら、蛇の尾で作られた台の下に潜り込むと全身に力を入れる。 オールマイトと見紛うばかりに膨れ上がった彼は両腕を伸ばし、セルパファムの作り上げた台の下に手を当てて持ち上げる姿勢をとった。

 

「今日はとんだ厄日だ! 僕が一番下になる!」

「スウェルミート、頼んだ」

 

 学生二人を守る為、覚悟を決めたヒーロー二人。

 落下地点は彼らが着地の準備をした数分後、大きな水柱を立てて終わりを告げた。 きらめく水面が頭上に見えたと砂藤が思うと同時に、体が水面へ向かって引っ張られる。 腰が持ち上がるのを感じて、セルパファムが自分を引っ張りながら上へ向かって泳いでくれていることを理解した。

 顔に空気が触れ、砂藤は大きく息を吸い込んで肺に空気を送る。 隣で同じように呼吸している口田、青ざめた顔のセルパファム、彼女の背に乗っかっているほっそりとした姿のスウェルミートも息を吸い込んでいた。

 

「口田! ミートさん! セルパファムさん!」

「ははは、はぁ。 下が水だったことは素直に嬉しいけど、一体何が起きているんだか」

「しゃむい……懐炉、持ってきてない」

 

 比較的無事である砂藤と口田とは対照的に、ヒーロー二人は満身創痍の有様だった。

 セルパファムは変温動物の蛇であるが故に水によって体温が奪われ、砂藤と一緒に自分で浮かぶ事に精一杯である。 その為、スウェルミートが個性の反動で全身に力が入らないので、彼女に代わって口田が彼を支えて沈まないように足と空いている腕を使って必死に立ち泳いでた。 

 砂藤が沈みそうになったセルパファムを支えようとして、足元に違和感を感じて動きを止める。 本来であればそのまま沈むはずだが、不思議なことに彼は沈むことなくその場にとどまっていた。

 

「……地面がある!?」

「ふぇ?」

 

 セルパファムが気の抜けた返事をすると、隣の口田も泳ぐのを止めて目を瞬かせる。 先ほどまではなかったはずの地面。 気づけば首の辺りで揺れていた水面がどんどん下がっていく。 あっという間に水かさが減っていき、白いタイル張りの地面が見えたと思うと、靴底の高さまで水は引いていった。

 うっすらと水面が揺れる場所で、水を滴らせながら胡坐をかくスウェルミート。 立つ力も気力もない彼は気だるげに首を上げると、ヒーローよりは元気である二人に周囲の確認を頼んだ。

 

「はぁ、本当は休みたくないけど、状況確認すらできそうにない。 シュガーマン、アニマ、何か見える物はあるかい?」

「見える物……何だ、アニマ」

 

 砂藤が周囲を見渡す前に、口田が彼を突いた。 彼を見れば小さく震えているのを見て砂藤は首を傾げる。

 

「どうした、そんなに体を震えさせて。 寒いのか?」

 

 砂藤の言葉に首を勢いよく横に振りながら、口田は砂藤が背を向けている方を指し示す。 揺れる指先の方向へ振り向くと、周囲が見えない暗闇に代わって十数メートル先に現れた、棘を生やしたような緑色の壁。 いつの間にか現れたそれが、どこまで続いているのか見れば、円を描いて砂藤達を囲んでいた。

 高さ二メートルほどの部分が膨らんでいるように見える棘壁。 数回ほど目を瞬かせてから既視感を感じ、少し前に見たある物と酷似していることに気づいて彼もまた青ざめた。

 

「あの棘、あの色……ヘアリーブッシュバイパー!?」

 

 砂藤が叫ぶと、頭上から暗闇を突き破って蛇の頭が現れた。 四人纏めて一飲みにできる巨大な蛇を目の前に、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった二人。 大蛇が頭を下げると、その額に足を組んで座っている女性がいることに気づいた。

 緑のヘッドホンと赤いネクタイ、緑色のスーツを着た女性。 一見すれば、個性的な服装の会社員に見えるが、砂藤にとって不気味な出来事の最中に現れた不審者にしか見えなかった。

 現れた女性はにっこりと笑顔で、ヒーローたちに語りかける。

 

「どうも初めまして。 世間一般ではヴィランと呼ばれる者です」

 

 この奇妙な出来事の元凶だろう、得体の知れない空気を漂わせる女性。 相対した砂藤達は息を呑みながらも身構えた。




感想、誤字指摘ありがとうございます

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