現在西暦二千二十年、否ショッカー歴四十九年の我が国にはショッカー少年隊なる物が存在する
これは未知数財団同様にショッカーの下部組織の一つであり平たく言ってしまえばショッカーの広報を行う団体なのだが半ばはジュニアアイドルと少年兵の育成機関である
さて普段は城東大学に通いながらアルバイトやら部活動やらで青春を謳歌しているショッカーライダーことミコトであるが今日はとある劇場ホールの廊下を歩いていた、今回ミコトが受けた指令はなんと殲滅ではなく護衛任務だったのだ
差し入れにとステータス店橘の親父特製のステーキ重と野座間財閥製のエナジードリンクの箱を手土産にミコトはやや緊張した面持ちで楽屋のドアを五回ノックした
「どうぞー」
「失礼します!」
若干の強張りを見せながらも直角40度に礼をするミコトを迎えたのは六人の個性豊かな少年たちであった
「イー!ミコト!ショッカー参謀本部の命により只今参上致しました!」
「いー!ひっさしぶりだな!ミコト!」
「はい!御無沙汰しておりますハゼルさん!」
いの一番に反応を返したのは黒のウルフカットに赤のメッシュの腕白そうな少年であった彼もそうだが全員がミコトよりも二三歳若い、というか幼いようである
「ミコト………良く来たな」
モスグリーンの髪を前下がりのボブカットにして少年は口元を少しだけ綻ばせて歓迎の意を示した
「はい!ブルイさんもお変りないようで何よりです!」
「運命の再開久方の邂逅、久しぶりだと俺は言う!MI・KO・TO!」
「イカヅチさん!イカヅチさんの考えてくれた決めポーズいつも使ってます!」
「フッそれでこそ俺達のソウルを受け継ぎし…」
「わぁい、ミコトくん久し振りだねぇ~!」
金髪コーンロウの少年が様々ポーズをとりながら話しているのを水色の外ハネの多いとボブショートの少年がマイペースに遮る
「お久しぶりですトカシさん!何と言うか相変わらずですね」
「あれ…もう来てたんだミコトっち…」
「はい!今日はお世話になりますドクスさん!」
「も~相っ変わらずトリガラクンは愛想悪いんだからー、へへっ、久し振りだね!ミコトちゃん!」
くたっとした紫のメッシュの入った髪をハーフアップにしたヴィジュアル系メイクの少年がローテンションに視線を寄越すのに答える
とそれをそれを揶揄するようにストロベリーブロンドの髪を一部リボンで結わえてツインテールにして後は後ろに流している少年が最後に挨拶に加わる
「お久しぶりですモユルさん!今日もメイクバッチリですね!」
「わかるー?ありがとー♡」
「……尻デカ女男」
「あ?」
二人の間にバチバチと火花が散り始めたのでミコトが慌てて割って入る
「そ、そうだ、差し入れ持ってきました!どうぞお納め下さい!」
「よっしゃあ!差し入れぇ!」
「…ありがとう」
「エナドリ…わかってるじゃねぇかMIKOTO!流石俺達のソウルメイト!イヤァ!」
「わぁい差し入れだぁ~」
「………ダイエット中なんだけどなぁ…」
「トリガラクンはもっと食べなきゃね!ありがとうミコトちゃん!モヨ子ちゃんや橘のおじ様にもよろしくね♪」
「………………………流石食べても栄養が尻にだけ行く奴は言うことが違う」
「よし表に出ろ」
「…そのくらいにしとけ、ミコトが困る」
ドクスとモユルをブルイが仲裁してくれたのでどうにかミコトも胸を撫で下ろす
「今回は護衛任務との事でしたが…」
「あー悪いがミコトそれ建前だから」
一応の事任務で来ているミコトが仕事モードになりかけるとハゼルがあっからかんと言ってのける
「へ?」
「いや、だから建前建前」
「そうだよ~ミコトくんプライベートだと最近会いに来てくれないでしょ~」
「そ、ボク達の事忘れてるみたいだからこっちから呼び出しちゃった♪」
「…すまない、だが俺も久々に会いたかった」
「皆さん……すいませんでした、最近はどうにも忙しい物で…」
「………暴徒の決起………本当に無駄な事をする奴がいたもんだ…………」
「よかったらこの後の俺達のライブ!見てってくれよなMI・KO・TO!」
「是非に!それに本来暴徒が襲い掛かって来ても皆さんなら平気ですものね!」
「おいおいミコト!俺達はショッカー少年隊!あくまでもショッカーの広報機関だぜ?」
「そうでしたね!はっはっはっ!」
そう、彼らはショッカー少年隊と言ってショッカーの広報活動を行うショッカーの下部組織なのだ
ミコトは故あって彼らとは交流があり仲良くさせて貰っているのだ
「ショッカー少年隊のニューシングル!『二色の虹』!楽しみにしといてくれよな!」
「はい!」
本番までのそう長い時間では無かったが少年達と近況報告を交えて大いに語り合ったミコトの顔には年相応の笑顔が浮かんでいた
程なくして別れを惜しみつつもミコトは何処か満ち足りた面持ちで良い席を用意してくれていた観賞席に腰かける事となった
「先輩達の元気な顔が見れて良かった、これはモヨ子ちゃんや親父さんにも話してやらねばなぁ」
そんな時であった!ミコトがショッカー参謀本部からの指令を受信したのは!
『ショッカー参謀本部ヨリ伝令、ショッカーライダーへ、現在武装シタ暴徒集団ガ貴様ガ護衛任務ヲ行ッテイル劇場ホールニト集結シテイル、直チニ此ヲ殲滅セヨ』
ミコトの眉間に皺が深く刻まれ忽ちに険しい表情となる
「チィッ!よりにもよってこんな時に!!」
怒りを露にしながらミコトが席を立つのとホールの扉が破られるのは同時であった
「ショッカーの広報活動に芸能人を出すな!」「とゆうかショッカーの広報が芸能活動なんかするな!」「ショッカー大首領はヤメロ!正体アカセ!」
プラカードと武器を手に暴徒がステージの上がろうとするがミコトがすかさずにそれを殴り飛ばす
「待てぇぇぇぇぇぇい!!!」
ヒラリとステージに飛び乗ると起き上がろうとする暴徒を捕まえて他の暴徒へと投げ飛ばしミコトは暴徒の一団を指差した
「このライブは事前にショッカーの検閲を受けショッカーの許しを得た表現の自由により保護されている!それを邪魔する権利は貴様らには無ぁい!」
「そ、そう言うお前は何者だ!」
啖呵を切るミコトに暴徒が指を指す
ライトがミコト一人に集中しそれを受けてミコトは背後のショッカー少年隊にチラリと視線を送ると頷いて見せる面々に背筋を伸ばす
「知らないと言うなら教えてくれよう!ショッカー!」
暴徒を睨み付けて怒号を一発、腰にベルトが装着される
「変身…っ!」
右の拳は肘を大きく引いて顔と平行に、左手は右下に強く振り下ろすいつものポーズを決めると共にその姿はショッカーライダーへと変化した
「お、お前はまさか!?」
「知っていよう!私こそショッカーの生体兵器改造人間にして秩序の番人!ショッカーライダー!ホキョキョキョキョー!」
そう名乗りを上げるとステージ上から飛びあがり唖然としている暴徒の一人に向けてショッカー踵落としを食らわせながら着地しそのまま両手で放つショッカー抜手で固まっていた暴徒を貫けばたちまち暴徒の一団から悲鳴が上がった
「皆!彼は俺達をショッカーに逆らう悪い奴らから守ってくれるヒーローだ!一緒に応援してくれ!がんばれー!ショッカーライダー!」
ハゼルの言葉と共に会場の観客からの声援がショッカーライダーへと届けられる力強く首肯くハゼルにショッカーライダーは俄然として勢いづき頭突きで目の前の悪の頭部を粉砕すると通路に詰まって右往左往する暴徒をショッカー体かましで纏めて牽き潰した
「実はボク達ショッカーライダーを応援する曲も作ってたんだ!」
「………今日はそれも含めてのサプライズのつもりだった」
「みんな~聞いてくださ~い!」
「「「「「「殲滅!ショッカーライダー!」」」」」」」
激しくも勇ましい、ショッカーとショッカーライダーを称えるその曲をバックに周囲の観客に遠慮して銃火器の類いを支えなしショッカーライダーだが通路の都合上一列に並ばざるを得ない暴徒に向けて拳を構える
「ショッカー連続殴!ホキョキョキョキョー!」
疾走しながら放たれるショッカー殴の雨霰の前に次々と斃されてゆく暴徒は発砲するも空中で全て握りつぶされてしまい泣きわめきながら後方に居た連中は貯まらず外へと逃げ出して行った
「おのれぇ…逃がさん!」
既に外はショッカー憲兵隊やショッカー戦闘員に包囲され逃げ出したのは良いものの暴徒は既に袋の鼠であった
「ショッカーの世界に生まれその恩恵を受けながらにしてショッカーに仇を成す!貴様ら生かしてはおけん!」
「まぁ待ってくれよミコ…ショッカーライダー」
「ハゼルさん!危険ですので下がっていて下さい!」
いつものポーズで気合いを入れたらショッカーライダーが構えるが後から追いかけてきたショッカー少年隊の面々がそれを制止した
「何故に止めるのですか!こいつらはショッカーによって許可を得たあなた方のライブを潰そうとしたんですよ!?」
「そこだよ~ミコトくん」
「………悪いが俺たちも大概腹に据えかねててな」
「負けず劣らずに怒りがスパークリングってる訳よ」
「広報的にも………俺達を好きにならない奴は邪魔なんだよって感じ………」
「だからボクたちも混・ぜ・て♪」
「そーいう事だ!久しぶりに暴れるぜぇー!」
「い、いやちょっとそれには及ば…」
「「「「「「ショッカー!」」」」」」
ショッカーライダーの声を振り切って少年らが声を上げると黒の帯に銀のバックルでショッカーのエンブレムが意匠された物が出現する
「そ、総員退避ーーーー!!」
ショッカーライダーが号令をかける前にそれを見ていたショッカーの面々は既にスタコラサッサを一目散に退却しており暴徒だけがポカンとした表情を浮かべて立ち尽くしていた
「「「「「「変身!」」」」」」
思い思いのポーズの後に飛び上がると空中回転、少年らの姿が偉大なるショッカーの改造人間のそれへと変化したのだった!
「ドゥーケッコー!」
ハゼルが変身するはアカゲザル怪人!
「ホッホホー!」
ブルイが変身するはオケラ怪人!
「カーカカー!」
トカシが変身するはナメクジ怪人!
「チュチューン!」
モユルが変身するはビート怪人!
「テテポッポーッ!」
ドクスが変身するはハコフグ怪人!
「ケケケケーン!」
イカヅチが変身するはキジ怪人!
「我ら!ショッカーの生体兵器改造人間!そして食らえ!ショッカー爆雷!」
ハゼル改めてアカゲザル怪人がそう名乗りを上げると口から手榴弾型の爆雷、ショッカー爆雷を取り出しては掲げて暴徒の集団に投げ込みフィンガースナップと共に起爆させては暴徒を吹き飛ばした
「ま、まさか子供までショッカーの改造人間だったなんて…に、逃げろー!」
「………逃がさない」
逃げようとする暴徒にオケラ怪人が両腕を地面に叩きつけるとショッカー地震を発動、暴徒は堪らず地面に倒れる
「迅雷風烈!食らってシビれな俺達の怒りのソウル!」
飛行能力のあるキジ怪人はその影響を受けずに動けない暴徒にショッカー電撃を放ってその多くを仕留める
「こ~ら~独り占めよくないよ~」
取り囲むように展開したナメクジ怪人のショッカー溶解液は暴徒を跡形もなく溶かしてしまう
「…………イカヅチってさぁ、変身すると余計に喧しいだよね………」
「あは♪トリガラクンは変身したら今度はカルシウムまで足りなくなっちゃうのかな?装甲に持ってかれちゃうんだねいつも以上にカリカリしちゃって♪」
「…………尻デカ根菜類」
「やるか貧相魚類」
言い争いをしながらも息ピッタリのショッカー毒霧とショッカー火炎にまかれた暴徒は次々と斃れ残り数十人もいなくなっていた
「そこ……喧嘩しない、決めるぞみんな」
「おう!力を合わせるぜ!」
「あれだね~」
「了解♪」
「見せてやるぜ俺達のパッション!とどめ食らえエクスプロージョン!」
「はーあ、かったるいんだけどなぁ」
怪人たちは円形に暴徒を取り囲むと気合いを入れるべくそれぞれのポーズを取る
「い、一体何を始めるつもりだぁ!」
おそらくこの暴徒のリーダーであろう男がそんな怯懦の叫びを上げるとアカゲザル怪人はニヤリと笑ってこう返す
「決まってるだろ?合体技だよ!」
まずはハコフグ怪人のショッカー毒霧が放たれて視覚と呼吸を奪うとすかさずオケラ怪人のショッカー地震を機動力を奪う
次にナメクジ怪人のショッカー溶解液がぶちまけられた後にアカゲザル怪人が大量のショッカー爆雷を投げ込むとビート怪人とキジ怪人とでショッカー火炎とショッカー電撃を放ちタイミングを合わせてアカゲザル怪人がフィンガースナップでショッカー爆雷を起爆させる
キノコ雲や空震が発生する程の破壊力に暴徒は跡形もなく消え去った!
「名付けて!ショッカーアルティメットデッチュリーアミィジング…」
「ショッカー大爆殺って感じだね~」
「お、いいなトカシ!それ採用!」
「好きにすれば…?」
「えー、もっとボクもっとかわいいのがいいー!」
「…皆、あっちでミコト棒立ちしてるから」
六人の怪人達の視線が向けられるとショッカーライダーは何を言われるまでもなく直立不動の姿勢となった
「流石先輩方!圧巻の連携でした!」
「だーろー?お前の登場のお陰で陳腐化したけどまだまだ捨てたもんじゃないんだぜ俺達!」
「て言うか全員ならショッカーライダーにも勝てるかもよ…?」
「トリガラクンはまーたそうやってすぐに挑発するー、でも負けないよ♪」
「あんまり喋るな…一応こっちはミコトと違って正体隠してるんだから…」
「えへへ~」
「そんじゃMIKOTO!〆のアレ宜しくぅ!」
「わ、わかりました…イーーーーーーッ!!!!!」
「「「「「「イーーーーーーッ!!!!!」」」」」」
ショッカーライダーのいつもより少し固い敬礼に唱和する怪人とショッカーの面々
ショッカーは今までもそしてこれからも社会に仇なす悪を許しはしないのだ!
戦えい!ショッカーライダー!そしてショッカー少年隊!ショッカーによって許された自由に対して攻撃を行い文化や産業を衰退させんと目論む悪は共同体にとって百害あって一利なし!存在を許してはいけないのだ!