作者である私のモチベーション(怒りと憎しみ)が頂点に達したので掲載。
多分私はカーチェイスがしたかった。
朝市での一件のあった日の午後、ショッカーライダーことミコトは諸々の後処理等を終えた後にステーキ店橘の普段は客席として使用している椅子へと体を預けるようにどっかと腰を下ろした。
ショッカーの製造した生体兵器改造人間であるところのミコトには肉体的な疲労と言うものは基本的に無いに等しいがやはり人間誰しも(改造人間であろうと)気疲れと言うものはするのである。
「やぁやぁ、ご苦労だったなぁおめぇミコトよ」
「ああったくだよ親父さん、良くもあんなに揃いも揃ったり暴徒が現れるもんだぜ」
労を労う様にこのステーキ店の店主である橘が肩を揉んでくれる、年の功か案外上手い物で別に肩が凝ってはいないが気持ちが良い物である。
「よっし!飯にすっか!ミコト、おめぇ何がいい?」
「あぁ?肉」
「だと思ったぜい、待ってろい今拵えてきてやる」
パイプを咥えて厨房に入っていった橘の後ろ姿を尻目にミコトは何気無しにショッカー参謀本部検閲済みの印が押してある今朝の朝刊を手に取って流し読みに読む。
「何々…ほう、飛電財閥を在亜財閥が合併吸収ねぇ」
最近急激に力を伸ばしてきた在亜財閥、海外にも数多くの小社を持つその経営基盤で持ってして急激に力を付け同じ分野で競合する飛電財閥を下して遂には合併吸収させるに至ったのだ。
余談であるがモヨ子が付けている眼鏡型のイーターフェイスも存亜財閥の製品である。
在亜財閥は兵器開発にも力を入れているので今後の目下の商売敵は難波財閥と言うことになろうか、何にせよ弱肉強食こそ世の真理であり必死に生き残ろうとするから良いものが生まれ社会は発展するのである。
確か飛電財閥は自社製品の欠陥が相次ぎ業績が悪化、ショッカーからの援助を打ち切られたとか。
しかしながらこの財閥の技術者の一人が一部の技術を横領し逃亡中との事、やはりどのような組織にもこう言った秩序を乱す輩が一定数生まれてしまうのかと思うと怒りに新聞を握り潰したくもなるが新聞には罪は無い。
汚れる事が多い個人営業の飲食店において掃除の際に大いに役立ってくれるのを粗末にしてはバチが当たると言う物である。
「しっかし何だかなぁ…世論調査なんかを見る限りショッカーに不満を持ってる輩なんて全体の0.002%しか居ない筈なんだが何処からあんなに湧いて出るかねぇ」
個人の通信の内容やその思想に至るまでショッカーによる検閲が掛けられ秩序が保たれている現在、午前にあった様な暴徒が大量発生する等あり得ない筈なのである。
ましてやショッカー臣民の趣味嗜好まで網羅した情報網から算出された0.002%という数値はかなり正確な物と言えよう。
いくら出生率が右肩上がりのこのご時世と言えどよもやその0.002%が全て暴徒化する訳でもあるまいに。
そんな事をつらつらと考えながらショッカー参謀本部検閲済みの判が押されている新聞を読み終わる頃には橘がお盆を持って厨房から戻ってきた。
「はいよぉ、おまっとさん」
先ず目に入るのはてんこ盛りに盛られたピンク色の肉が目にも鮮やかなローストヴェンスン丼、今でもステーキ店橘の冷蔵室の一角を占領している鹿肉を低温調理機で仕上げたそれは八重咲きに咲いた薔薇のかくやの外見である。
薬味は山葵と西洋山葵、所謂ホースラディッシュと言う奴に醤油である。
沢庵の二切と茄子と茗荷の御御御付もこれまたこの丼を旨く食うのには欠かせないと言うもの。
鯨のステーキが名物のステーキ店橘であるがその他の調理を施した肉類も楽しめる。
「いただきますっ!!!」
疾風怒濤、兵は拙速を尊ぶ、そして戦士にとっては食事もまた戦いなるならば味わいつつもさっさと食べてしまう限ろう。
「ふぅ、しっかしどーにも引っ掛かるぜぇ」
食後に橘が急須で淹れてくれた渋茶をずるずると啜りながら読み終えた新聞を畳んでそろそろ書生の本分を成さんと思い立った、まさにその瞬間である。
『ショッカー参謀本部ヨリ伝令ショッカーライダーへ、都内〇にて武装シタ暴徒ガショッカー大蔵省銀行ヲ襲撃シテイル、タダチニコレヲ処分セヨ』
瞬間、湯飲みを叩き割る勢いで眉を吊り上げて立ち上がる。
「ぅおのれぇ…百々のつまりは銀行強盗と言うことか…許せん、許せんぞぉ…!」
帽子掛けの帽子を引ったくる様に被るにシャカシャカと両手両手を動かしながら現場へ向けて街を駆ける。
「ウォークリケットおおぉぉぉぉぉ!!!」
キャタピラの音を響かせ走るミコトの後ろを追走するように現れた重戦車の上へとバク転と共に飛び乗ると眼前を強く睨み付け腹の底から怒りと憎しみを込めて怒号を放つ。
「ショッカー!変身ッッッ!!」
キャタピラの音轟々と仁王立ちのショッカーライダーは肩を怒らせ現場へと急いだ。
場所は変わってここは都内⚪️区に存在するさる銀行。
当然ながら全ての銀行はショッカー大蔵省の管轄下になっている。
さて道中ショッカー参謀本部より暴徒は銀行内に立て込もっているという情報を得たショッカーライダーの行動は一つしかなかった。
漸く銀行の屋上からマイク片手に何かを囀ずっている暴徒が見えてくるとゆっくりと標準を合わせるのに同時に銀行を取り囲んでいたショッカー憲兵隊やショッカー戦闘員たちが蜘蛛の子を散らすようにその場から離脱する。
何事かといぶかしむ暴徒たちの疑問はしかし次の瞬間には吹っ飛ぶ事となる、本人達ごと。
叩き付ける様な轟音と共にウォークリケットから発射された砲弾が着弾と共に閃光を伴って爆裂、キノコ曇を濛々と立ち上らせて銀行をその敷地ごとクレーターへと変えたのだ。
「ホキョキョキョキョ…呆気ない物よのぅ、まぁショッカーに逆らう悪党の最期なぞ総じてこんな…ぬぅ?」
さてさて〆をと敬礼を居住いを正そうとしたショッカーライダー。
しかしそのショッカーライダーの微細なセンサー類がある異変を察知する。
「スポーツカー…だと?」
そう、吹っ飛ばした銀行の敷地外より駐車してあった車が一台現場から明らかに法定速度を超える速度で走り去ってゆくのだ。
確たる証拠等無い、しかしこれが件の暴徒の一味だと断定したショッカーライダーは奥歯よ砕けろとばかりに歯を食い縛ると怒りに震える手を強く強く握りしめる。
「おのれぇ…ショッカーから逃げようとはぁ…許せん…許せん…許せんぞおぉぉぉぉ!!!!」
ブチブチと頭の血管が引きちぎれる程に激怒に激怒を重ねたショッカーライダー。
ウォークリケットに乗り込めば自らをその砲身へと装填し爆轟と共に空中へと躍り出た。
「ホキョキョキョキョー!」
山なりに射出されたショッカーライダー、件のスポーツカーを空中で補足するとフィンガーミサイルを乱射乱撃。
アスファルトを砕き、その破片で左後輪を破裂させて窓を数ヶ所破壊するもスポーツカーは止まらずにバーを破壊しながら高速へと乗り入れる。
その光景にショッカーライダーの怒りは愈々その臨界を突破した。
「ホーキョキョ、キョキョキョ!!ホーキョキョ、キョキョキョ!!」
両足両足をシャカシャカシャカシャカ機敏に動かしながら怒りの猛追ショッカーライダー。
みちすがら多くの車やバイクを乗り越え飛び越え吹き飛ばし目標を殲滅せんとひた駆ける。
これには流石にタイヤがパンクした車では追い付かれると悟ったのかスポーツカーは急な路線変更で横の車を転倒させつつサービスエリアに入り込んだのを大きく飛び上がったショッカーライダーもまた路線を飛び越えてついにスポーツカーの上に飛び乗る事に成功する
「ショッカー垂直殴!!!」
下段突きの格好で放たれる必殺のショッカー殴が右の座席を粉砕するも手応えこそあれどスポーツカーは止まらない。
いぶかしんだショッカーライダー、ショッカー殴で空いた穴から頭を突っ込んでみるとなんと確かに右の座席に居た暴徒は頭部を粉砕されて処分されていたが当然左の座席に座っていた暴徒は生き長らえておりしかもこの車ハンドル席が左手にあったのである。
「ひ、左ハンドルの外車だと…ぬぅぅ、いい車に乗りおってからにぃ…許さん…許さんぞおぉぉぉぉ!!!!!!!」
怒り爆発のショッカーライダー、その怒号は物理的な破壊を伴う衝撃波となって車を内側から粉砕する。
半ば吹き飛ばされる様に車外に転がり出た暴徒の今度はそのしぶとさに対して怒りを燃やしながら今度こそ確実に処分せんと拳を構えるが今や虫の息と化した暴徒が集まってきていた野次馬の人だかりに飛び込むと1人の少年を拉致してしまったのだ。
「は…はは…これでどうだショッカーの改造人間…がふっ…手は出せまい…」
口許から血を垂らしながら勝ち誇る暴徒にショッカーライダーの怒りは天元突破を軽く五回を数えるがここで暴徒に羽交い締めにされている少年が叫んだ
「躊躇わないでくれショッカーライダー!僕諸共こいつをやっつけるんだ!僕だってショッカー臣民の一人なんだ、ショッカーに迷惑を掛けるようなら死んだ方がマシさ!さぁ早く!」
「な、何おう!?強がりを言うんじゃあねぇぞ小僧!!」
「強がりなんかじゃあないやい!さぁ一思いにやってくれ!ショッカー!」
尚も何か喚こうとする暴徒を前にショッカーライダーもまた敢然と答える
「無論元よりそのつもり、見たか凡愚なるショッカーに逆らいし者よ、貴様なぞよりこの少年の方が余程強い!ショッカー!」
ショッカーアシッド、ショッカーの開発した強力なる溶解液がその固く握った拳から血の様に流れて地面に零れ白煙を上げる。
「溶解殴!!!」
「くぅ…例え俺がここで死のうともこの精神はっ…」
「死ねぃぃ!!」
例えそれが齢幼き少年であろうとも男がそれを覚悟を決めたなら手心を加えるはただの非礼と渾身の力で放たれたショッカー溶解殴は少年諸共に暴徒をこの世から完全に消滅させた
「『精神』だと?そんな物、声を上げる限り何度でもへし折るまで!イーーーーーッッッ!!!」
「「「「イーーーーーーーーーーッッッ!!!」」」」
天へと届けショッカーライダーの敬礼!
取り囲んでいた野次馬や少年の両親もそれに唱和する。
この勝利は歴史に残らぬ1人の勇気ある少年(おとこ)の戦果としてショッカーライダーの魂に刻まれるのだ!
戦えい!ショッカーライダー!
身勝手な連中が引き起こす悲劇からショッカーの人的・物的資源をこれからも守り続けるのだ!!!