ショッカーライダー   作:はっぴーでぃすとぴあ

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第弐話『発進!ウォークリケット』

現在西暦二千二十年、否ショッカー歴四十九年の我が国には幾つかの財閥が存在する

その中でも我が国の物作りを支える財閥の一つが難波財閥である、重工業の一点でおいては勢力で肩を並べる幻夢財閥や飛電財閥よりも頭一つ抜けておりショッカーの軍需の六割のシェアを誇っている

一般向けでは幻夢にソフト面では飛電に一歩譲る面はあるもののショッカーの保護の下にそれぞれの財閥が激しい競争を行うことにより技術は研鑽されていた

難波財閥は国内では朝鮮や樺太、国外では満州や台湾更には東南亜細亜にも工場を持ち我が国の軍事兵器輸出産業を支える傍ら身寄りを失った子供や思想犯等の親から保護された子供を財閥の運営する孤児院で社会に役立つ人間に育てているという事も広く知られている

 

さて、件のショッカーライダーことミコトであるが今日は橘ステーキ店の定休日

店の親父である橘 燐太郎は朝から肉の仕入れの為に留守にしており命は同じく住み込みで働いている青川 モヨ子と買い出しへ行っていた

 

「全く酷いぜモヨ子ちゃん、デートだと言うからついてきて見れば買い出しじゃあないか」

 

「そう不平不満を言わない物よミコトさん、家では貴方が一番ご飯を召し上がるんですからねそれに最近はこう言うのをお買い物デートと言うそうよ?」

 

「お買い物デートねぇ、米の袋と醤油の瓶を持ってちゃあ雰囲気って物がないや」

 

「まぁまぁ今度上野の方にでも遊びに行きましょう、だから機嫌を治して下さいな」

 

「いやぁ別段機嫌を損ねる程ではないさ、程ではないが上野と言うのは良いねぇ」

 

すっかり機嫌を良くして談笑しているミコトであったがその時ショッカー参謀本部よりの無線指令を受信した

『京葉工業地域ノ難波財閥敷地内ニオイテ暴動ガ発生、直チニ此ヲ殲滅セヨ』

 

「ごめんモヨ子ちゃん!ちょっと行ってくる!」

 

忽ちに顔を険しくすると持っていた一抱えの米の袋と一升の醤油瓶を優しく舗装されたアスファルトの地面に置いて今にも駆け出そうとする

 

「ちょっとミコトさん貴方何処へ行くの?」

 

「ショッカー参謀本部からの指令さ!悪いけど先に帰っていてくれ!」

 

すれ違い様にモヨ子の尻を軽く叩くとミコトは和装とは思えない速さで駆け出していった

 

「きゃっ、もうミコトさんったらぁ」

 

一人取り残されたモヨ子は手に持っていた手提げ袋を肘の間に挟むと置かれた米の袋と醤油の瓶をひょいと持ち上げた

 

所変わって京葉工業地域、名だたる財閥やショッカーの工業施設が立ち並ぶ場所ではあるがその一角は今や物々しい雰囲気に包まれていた

既にショッカー憲兵隊やショッカー戦闘員が整列を済ませて一つの工場を取り囲みその中には複数の武装した人間と非武装の工場の従業員や社員であろう人々が武器を突きつけられていた

 

「休みを寄越せ!」「睡眠時間を寄越せ!」「業績を張り出すな!」「スーツだとかパンプスだとか嫌だ!」「残業には特別手当てを寄越せ!」「モラハラ嫌だ!セクハラ嫌だ!」「社訓を唱和するの嫌だ!」「社旗や社章なんか見せるな!」

 

そんな事を喚きながら拳銃を空に向けて発射したりプラカードを振り回したりする武装した連中にショッカー憲兵隊に護衛されならが一人の老齢の男性が現れる、その人物こそ難波財閥の総帥である難波重三郎であった

 

『えー、君達の身勝手極まるその主張は難波財閥としては到底受け入れられない。ましてやこのような事件を引き起こした人間の内幾人かは難波財閥の孤児院で育った人間だ、育ててやった恩や雇用してやった恩を忘れた人間に最早資産価値は無いこうしてショッカー憲兵隊や戦闘員の方々も既に来ている、直ちに人質を解放して投降なさい』

 

拡声器を手に暴徒にそう呼び掛けるも暴徒は尚も収まらずついにはその中の首謀者と思われる一人が難波財閥製のグレードランチャーを窓から構えるが銃を突きつけられていた社員の内の一人が咄嗟にグレネードランチャーを構えた男に飛びかかる

 

「内海君…!」

 

難波重三郎が思わず声を漏らす、グレネードランチャーを構えた男に飛びかかったのは彼の腹心の部下である神経質そうな眼鏡を掛けた青年だった

 

「難波総帥!がはっ!っく、私達に構わず部隊を突撃させて下さい!ぐぅ、難波総帥に受けた大恩を返せないようならどうして生きている価値がありましょう!」

 

「黙れぇ!」

 

青年はグレネードランチャーを抱えた暴徒に殴る蹴ると攻撃を受けながらもより一層に声を張り上げる

 

「こんな連中にぃ!んぐぇ、はぁ、人質として!ぐぅ、使われる様!ならば!そんな命に価値はない!みんなそうだろう!」

 

眼鏡は外れぼろぼろになりながらも立ち上がると青年は窓の外を強く見据えると駆け出す、兎に角なにもさせまいと暴徒が小型小銃でその体を撃つもその動きは止まらない

 

「難波財閥!万歳!!!」

 

ついには高い工場の窓からその身を投げ出す青年

生きて虜囚の辱を受け自らの大恩ある財閥に対する人質として使われるならそんな命は不要と言う意思表示にそれまで無理やり大人しくさせられていた社員や業務員達も立ち上がった

 

「難波財閥万歳!」「難波財閥万歳!」「難波財閥万歳!」「難波財閥万歳!」「難波財閥万歳!」「難波財閥万歳!」

 

火器を手にした相手に立ち向かいせめて一矢報いて死んでやろうという心意気、無論敵う訳もないが命を捨てた彼らの挺身により数人の暴徒は死んだ

 

「チッ、だがそれが何になる!ちょいと時間を稼いだだけで全員犬死だろうが!」

 

再びグレネードランチャーを抱えて難波重三郎目掛けて発射するがそこに一つの影が飛び出してくる

 

「犬死などではない!」

 

漸く駆けつけミコトはそう叫ぶと足を肩幅に開いて向かい来る砲弾とその向こうの暴徒の首謀者を睨みつけ怒りにワナワナと震える手を強く握る

 

「ショッカー!」

 

右手を握りながら顔と水平になるように大きく肘を引くと同時に指を伸ばした左腕を右下に勢いよく振り下ろす

 

「変身!」

 

ミコトの体がショッカーライダーへと変化するとショッカーボムを取り出して空中に放りそれをショッカー殴と共に行う事で拳打に爆発の威力を追加するその名も

 

「ショッカー爆裂殴!」

 

これによりショッカーライダーはグレネードランチャーの砲弾を相殺した

 

「ショッカー参謀本部よりの指令で参りました難波翁、この度の事心よりお悔やみ申し上げます、今すぐに御社の社員の仇を取ってご覧に入れましょう」

 

すぐにでも飛び出そうとするショッカーライダーを難波重三郎は杖を振って呼び止める

 

「まぁ待ってくれショッカーライダー、我々難波財閥は実はショッカー大首領直々の命により君の為の新兵器を開発していたのだ、それがつい先日完成したところだ」

 

「しょ、ショッカー大首領直々の命!?」

 

「そうだ、君のアンテナからの指令で何時何時でも発進可能となっている、その名は…」

 

「いつまでぐちゃぐちゃ話してやがるー!」

 

攻めて来るのかと思えば何やら話始めた二人を遠目に見た暴徒のリーダーが業を煮やして再びグレネードランチャーを撃ちだし暴徒の視界からは爆炎により二人が一瞬消える

 

「やった、のか?」

 

「ウォークリケット!!!!!」

 

ショッカーライダーの叫びに応じるかの様に爆炎の中にから姿を表したのは超大口径の主砲と各種装備を搭載した白いボディーに青い大きなライトが特徴的なコオロギを想わせる造形の巨大な戦車だった

 

「な、なんだありゃあ!?」

 

「これは私の新兵器ウォークリケットだ!貴様を相手にこれから性能テストをしてやる!」

 

ショッカーホーンからの指令を受けてライトを瞬かせるとウォークリケットはその履帯でコンクリートの地面をバリバリと砕きながら工場正面に移動する

 

「へ、変な見た目しやがって!おいお前ら!何でもいいなら銃で撃て!あんだけでかけりゃ下手でも当たる!」

 

グレネードランチャーやガトリングや小型小銃で攻撃を加える暴徒だったがウォークリケットはびくともしない

そんな中悠々と主砲の位置を調整するとその人一人入れそうな砲身から榴弾を撃ち放った

 

「やめ…」

 

それが暴徒の最後の言葉となった、難波重三郎はショッカーライダーが咄嗟に庇ったがその衝撃波は空震となるほどでその爆発の威力たるや工場は跡形もなく消し飛んだ

 

「………今回の事件の首謀者となったのは我が財閥の孤児院で育った人間だ、ちゃんと育てれば社会の為になるだろうと思ったのだがこの樣だ…ショッカーの方々にまで迷惑を掛けてしまった」

 

「気を落とさないで下さい難波爺、貴方達は我が国にしっかりと貢献している貴方達の造ったこの兵器はこれからも社会の為に悪を滅ぼしてゆくのです」

 

「ありがとう…ショッカーライダー…ありがとう…」

 

難波重三郎の目に浮かぶのは涙、ショッカーライダーは新たな兵器ウォークリケットを背に手を掲げた

 

「イーーーーー!」

 

「「「「「イーーーーー!!!!!」」」」」

 

工場の跡地に響く敬礼、唱和する声の中には難波重三郎の姿もあった

これは難波財閥の為に散った者達への弔いでもある

これからショッカーライダーはその者達の想いも背負って行くのだ!

戦えい!ショッカーライダー!

身勝手な悪はまた現れる!だがそれらを少しでも自由にしておけば社会は危うい!

ショッカーライダーは新たな兵器にそれらを粉砕することを誓うのだ!

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