都内早朝の皇居周辺
珍しく和装ではなくランニングウェアにサングラスのミコトが冷たい風を切ってランニングコースを走っていた、いくら改造人間とは言え定期的な運動を怠れば体力は落ちるものである
「それにひとっ走りしてきてから浴びる朝風呂やその後の朝餉程に素晴らしい物は無いってもんだ、一日がこれ以上無いくらいに豊かな気持ちで始められる」
さて今日の献立は何であろうか等と考えながら駆けているとまた別な疑問も頭に浮かんで来る
「そう言えば最近は嫌に暴徒が決起すると言うことが多いなぁ…俺がだらしが無いのか何なのか、だとすればショッカーや先輩方に面目が立たない…何にせよショッカー参謀本部でも調べては居るだろうし…ふぅむ…」
嫌々と頭を振ってそんなネガティブな考えを振り払っていた丁度その時である、ミコトがショッカー参謀本部からの指令を受信したのは
『伝令、ショッカー参謀本部ヨリショッカーライダーへ、現在都内某所ノ産婦人科ニテ暴徒が結集シツツ有ル直チニ現場ヘト急行シ此ヲ殲滅セヨ』
忽ちミコトの眉間に皺が寄って険しい表情になるとミコトはサングラスを外して先程までのランニングから全力疾走で送られてきた情報の産婦人科へとひた走るのであった
「こんな朝っぱらから他人の迷惑省みず………おのれ許さぁぁぁぁぁぁん!!!」
その朝っぱらの皇居周辺に青年の怒りの雄叫びが響き渡った
所変わって件の産婦人科の病院そこには既に武装した暴徒がそれぞれの獲物を手に内部へと侵入を行おうとショッカー憲兵隊と揉み合っていた
「とぉう!」
空中に飛びあがりその揉み合い圧し合い取っ組み合いの中に飛び込んだミコトは取り敢えず二・三人卒倒させると暴徒の方へと投げ飛ばした
「お、お前は何者!?何故俺達の邪魔をする!」
「俺はショッカーの者だ!貴様らこそこんな時間に病院もそれも産婦人科を襲撃するとはどういう了見だ!とぅあぁっ!」
そう言いながら目の前の更に一人を拳骨の一発で伸すと漸く頭目らしい男が現れる
「まぁ待て、俺達は世の中の為にこうして運動を行っているんだ」
「世の中の為だと!それと病院を襲撃することに何の関係がある!」
「出生率を下げるんだよわからないかな!こんな激しい競争社会に生み出された命は否応なしに競争に参加させられるそんな事がゆるさ」
「口を閉じろぉ!!!」
ミコトが更に一本背負いで暴徒を沈めるとその暴徒が手にしていた角材を手に更には数人を凪ぎ払い頭目らしい男に投げつける
辛くも頭目らしい男がそれを避けると何処からともなくサイレンが聴こえてきた、ミコトやショッカー憲兵隊がそちらの方に気を取られている内に頭目含め数人が病院内部に侵入してしまった
「ええい、何でこんな時にこの病院に救急車が来るんだ!」
「ハッ、通達しますミコトさん!何でもついさっき産気付いた妊婦が難産なようで産婆さんがこれは病院でなければ駄目だろうと最寄りの此処へ!」
「くぅぅ…ええいならば仕方がないか………一刻も早く彼奴らを殲滅するぞ!」
「はい!こちらは我々にお任せください!もうすぐショッカー戦闘員の方も来ます!」
「わかった!武運を祈る!イーッ!」
「ミコトさんも!イーッ!」
お互いに敬礼を行うとミコトはショッカー憲兵隊に表の残敵掃討を頼み自身は暴徒の頭目が乗り込んだ場所を睨み付ける
「ショッカー変身っ!!」
今回は短縮版で叫びながらポーズと取るとショッカーライダーに変身して一人乗り込んで行った
入院している妊婦や母子、その関係者であろ者達が居るのだろう鍵の掛かった病室からは不安げな気配が漂ってくる。
こういった暴徒が行動を起こす時決まって犠牲となるのがきちんと分を弁えていた弱者なのだから許し難い
程なくしてショッカーライダーはその優れた感覚から廊下にガソリンを撒いていた暴徒の頭目とその取り巻きを発見した
「ひいっ、お、お前が噂に聞くショッカーの改造人間!?」
「その通り!私はショッカーライダー!偉大なるショッカーによって製造された秩序の番人だ!!」
ポーズを決めて気合いを入れるショッカーライダーに頭目の男がガソリンのタンクと火を付けたライターを掲げる
「おおっと動くなよそのショッカーライダーとやら!少しでも動いたらこの手が滑ってしまうぞ~?」
ヘラヘラと笑うその頭目にショッカーライダーの怒りはいよいよ押さえきれぬ程に燃えに燃えた
「おぉのぉれぇぇ……この私を愚弄しおってからに!そんな脅しが通じると思うてかーーー!!!」
ショッカーライダーを、即ちショッカーを愚弄したこの暴徒を除けるのであれば最早多少の人命等どうでもよいがしかしそれではこの暴徒らの思惑に乗ってしまう事となる
ガソリンとなればショッカーボムやフィンガーミサイルは当然としてショッカーファイヤーやショッカースパークも厳禁で可燃性のショッカースモッグ等持っての他ショッカーアースクエイクではライターを取り落とすばかりか建物が倒壊してしまう
しかしながら此処まで火気に振ったショッカーライダーでもこの状況に適した武装があるのだ!ショッカーライダーはその武装を自身に搭載してくれたショッカーとその技術者に感謝した!
その開いたクラッシャーからスプレーされるように吐き出される溶解液!その名も!
「ショッカーアシッド!」
ライターの火は消えると共に手前にいた頭目始め数人がさながら発泡スチロールの人形に塩酸をスプレーしたかのように瞬く間に溶けてしまった
「ひっひぇぇぇぇ!!!」
それに恐れをなした暴徒の最後の一人が窓から逃げようとするもショッカーライダーに襟元を捕まれてリノリウムの床に転がされてしまった
「た、頼むショッカーライダー!後生だ!は、話を聞いてくれ!」
「………せめてもの情けだ、聞いてやろう」
「あ、ありがとう…いいか、今の世の中、嫌今で無くてもだが生きていればかならず競争に巻き込まれるそれは苦しい事だ、誰だって苦しいのはやだろ?だから俺らはそう言った苦しみを無くす為ぐはぅ!?」
その聴くに耐えない言い訳にワナワナと震える拳でその暴徒の胸ぐらを掴むと勢い余って衣服もブチブチと千切れる
「…良いか?確かに競争は辛かろう苦しかろう!だがな!それが無ければ人間の成長は無い!それが無ければ社会の発展も無いのだ!社会は常に弱肉強食!!その中で切磋琢磨するからこそ人間は強くなれる!その基盤こそ出生率の高さであり人的資源の量産なのだぁ!!個々人の一時の心の動きなぞより遥かに重要だと知れぃ!」
ショッカー投げで窓の外に放り投げたその暴徒が運良くか悪くか花壇に突っ込んで動けなくなっているとショッカーライダーも飛び出して窓枠を蹴って跳躍、暴徒めがけて打ち込まれる拳は紫色の殺人ガスが付与された必殺の
「ショッカー猛毒殴!!!!」
決して生きては帰さないと言う意志そのものの一撃は瞬間的に暴徒を絶命させると花壇の植物や地中の地虫の類いまでをも堪忍しなかった
見ればショッカー憲兵隊に混じってショッカー戦闘員のアーだとかイーだとかギーだとかの声の混じってサイレンの音が近付いてくる、病院の入り口には既に何処かに隠れていたであろう医師達の姿も見えた
ショッカー殴が数回炸裂し静かになった病院前でショッカー戦闘員や憲兵隊が道を空ける、ショッカーライダー達の戦いが終わりこれからは医師達の戦いが始まるのだ
「イーーーーー!!!!!」
「「「「「イーーーーー!!!!!」」」」」
ショッカーライダーの敬礼に唱和する戦闘員や憲兵隊の声には病院内部からの声も混じる
早朝の朝日に響くその声はこれから生まれてくるショッカーの人的資源への期待なのかも知れない
戦えい!ショッカーライダー!新たな命!そして変わらぬ社会を守るために!!