ショッカーライダー   作:はっぴーでぃすとぴあ

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第捌話『異様!ポスターが埋め尽くす!』

時は昼時場所は城東大学の学食、普段は書生としてアルバイトをしながらも通っているショッカーライダーことミコトは時折この場所を利用するのである

注文するのは決まって鯨カツ定食のそれも大盛りだの特盛りだのと言うのを超えて他に頼む者がそうは居ない「ミコト盛り」である

食べ盛りの若人用にとの大きな長方形のお盆がミシミシと悲鳴を上げるそれは丼ではなくなんとすり鉢、その上にでんとこれまた特大の鯨カツが鎮座ましましている

定食と名乗るのであるからこれとまた他に御新香と御御御付が付くのだが御新香は通称の飯椀に御御御付は丼で付いてくると言うのだからこれまたこの二品だけでお盆が一杯になってしまうと言う物

それに小鉢として大きな梅干しが一つ添えられているのがミコトスタイルである

学食のおばちゃんや周囲の学生が別段珍しがった様子も見られないのはこれがたまに見られる光景だからである

 

「よぉ、相変わらず良く喰うなぁミコト!」

 

席に着いてさてさてと使い捨てのお絞りで手を拭いていると同じ部活動に所属している学友が横に座って話しかけてくる

ちなみにその学友は蕎麦である、鰹節の濃厚出汁の温蕎麦で薬味無しは一見に味気なさそうではあるが横の更に添えられたコロッケが天婦羅の代わりになってこれはこれで食べていて楽しい組み合わせである

 

「応!腹一杯に食べるのは書生の必修なモンでな、こうして必死に食らいついている訳よ」

 

文字通りにソースと練り辛子を擦った鯨カツにガブリと食らいついてはザクザクの衣としっかりとしたブ厚くも豊潤な肉を食い千切り間髪入れずにホカホカと湯気を立てる白米を頬張る

 

「その食いっぷりを見るに説得力があるなぁ!はっはっ、それでどうするよ、交換編入生の話」

 

「交換編入生ねぇ」

 

鯨カツを咀嚼しながら一口梅干しを齧り梅肉辛子ソース味の完成である

交換編入生とは城東大学に置いて成績が上位の者を数名を他校の成績上位者数名と一定期間交換して本人や学友に刺激を受けて貰おうという制度である

 

「俺の場合ちょいと事情がなぁ」

 

「ああ、やっぱりバイトか?」

 

「そんな所かねぇ」

 

「やれやれ、よっぽどモヨ子ちゃんと離れるのが寂しいと見えるなこの色男は」

 

「馬鹿野郎そんな訳無いだろうって」

 

学食で出てくるような御新香と言うのは大概市販品で塩気ばかりが滅多矢鱈に強くていけないがこう言うのには得てしてチョロリと醤油を垂らしてやると風味が増して旨い物で何よりそれだけで白飯が食えようと言う物である

ミコトが城東大学で書生として活動しているのはあくまでもショッカーからの指令であり基本的に自己に決定権がある訳ではなく交換編入生に応募したいと望んだ所でショッカー参謀本部の許可が無ければ叶わぬ夢でありついでに本人が別段行きたいとも考えては居なかった

 

「何にでも如才ないお前らしくもねぇな、まぁ確かに暫くここの学食が食えなくなるってのは俺らも堪えるがねぇ」

 

学友も合掌の後に蕎麦を旨そうにゾロゾロと啜ってはコロッケを齧る

ミコトも濃い赤出汁の御御御付を啜り、実であるナメコの小さいのを咀嚼する

 

「確かにここの学食が食えなくなるって言うのが惜しい限りだって言うのはまぁお前の言う通りだよ、ご馳走様でしたっと」

 

「早っ!?相変わらずお前のその細い体の何処に入ってんだ?まぁ良いやい、今度銃剣道部にも顔見せてくれよ!たまに遊びに来てくれるの楽しみにしてんだ」

 

「嬉しい事を言ってくれるねぇ、だが勝負事で手加減はしねぇぜ?」

 

空になった器を下げに行くミコトに手を振る学友にミコトは口笛で答えながら満腹になった腹をさするミコトであったがカウンターに器を返して学食のおばちゃんに礼を言っていた頃である、ミコトがショッカー参謀本部からの指令を受け取ったのは!

 

『ショッカー参謀本部ヨリ伝令ショッカーライダーへ、都内〇〇ヶ谷にて武装シタ暴徒ガ暴動ヲ行イナガラ広告物ヲバラ蒔イテイル速ヤカニ此ヲ殲滅シ広告物ヲ廃棄セヨ』

 

忽ちにニコニコとしていたミコトの眉間に皺が寄り険しい表情になると勢い良く学食から飛び出す

 

「おうい、そんなに急いで何処に行くんだいミコト?」

 

「ちょいと腹ごなしよ!午後の講義には少し遅れるかもな!」

 

お出汁でヒタヒタになったコロッケを崩して蕎麦と一緒にズルズルとやっている学友にそう答えると帽子を上から強くて押さえて走る走る、正直あれだけ食べた後だとちょっと苦しい

 

「おのれぇ…よりによって昼飯後のこの時間に………許せんぞーーーー!!!!」

 

学生達の活気溢れる大学敷地内に響く雄叫び、ミコトは廊下を駆けに駆けた

 

所変わってショッカー参謀本部に指定された場所にショッカーライダーが駆け付けるとそこは何やらポスターらしき物で埋め尽くされていた

この埋め尽くされていたと言うのは決して比喩表現ではなく外壁や電柱は基、アスファルトに信号にポストにとありとあらゆる場所に一分の隙もなく厚く貼られたそれはある種の偏執的な物を感じさせた

しかも恐ろしいに暴徒の犠牲者までもがさながら木乃伊の如くこれにくるまれていると言うのだから正気の沙汰とは思えない

 

「何て異様な…そして全て同じ広告の様だが…ぬぅっ!!」

 

瞬間!ミコトのこめかみには青筋が浮かび眉は釣り上がる

怒りのあまりに常人であれば砕ける程に力強く歯を食い縛ると手にしていた広告を破り捨てた

 

「許さん…ショッカーの人的資源を損なったばかりかそのホトケさんにまでこんな広告を張り付けるなんざ……絶対に許さああああああああん!!!!!」

 

いきなり怒りの沸点を振り切れ激怒するミコト

それもその筈その広告物は偉大なるショッカーの偉大なる大首領の御姿をあろうことか三角コーンに見立てて大きくバツ印が描かれていたのだ

 

「ショッカー!」

 

猛る怒りの怒号を一発

広告物で埋め尽くされた街道を睨み付けると足を肩幅に開き大きく肩を引いた右手を拳にして顔の横に

左手は軽く開いて左胸に添えるようにしておく

 

「変身…っ!」

 

手刀にした左手を右下に勢いよく振り下ろすと共にショッカーライダーの体へと変身したミコトは両腕を水平に構える

 

「ショッカーファイヤー!」

 

悪を憎む心、即ち憎悪が燃え上がる

両手の指先から放たれる火炎が貼られた広告物をその貼られた対象物ごと燃やしていった

瞬く間にそれらを処分してゆくショッカーライダーはやがて武装した暴徒が正しくその広告物を所狭しと張り付けている所に遭遇した

 

「ホキョキョキョキョー!ショッカー炎熱殴!」

 

怒りに燃えるショッカーライダー

発見するや否や雄叫びと共にショッカーファイヤーを放っていた手を拳に握りショッカー炎熱殴で数人を纏めて葬りさった!

 

「な、何者だお前は!?」

 

「私は偉大なるショッカーにより製造された!」

 

暴徒が思わず問いかけるのでそれに答えながら続けて周囲に居た暴徒の髪を掴んでショッカー膝蹴で頭部を粉砕

その体を暴徒に向けてぶん投げては間髪入れずにフィンガーミサイルで諸共爆散

 

「戦略兵器改造人間にして秩序の番人!」

 

今度は二人程纏めてショッカー握で頭部を粉々に

逃げようとするのを後ろから羽交い締めにするや否やショッカー締を決める

 

「ショッカーライダーだあああああああ!!!!!」

 

ショッカー体かましで数人纏めて外壁のシミにすると複眼にかかった返り血を手で拭い瓦礫と化した外壁の欠片を払ってからいつものポーズで気合いを入れる

 

「偉大なるショッカーを愚弄し人的資源を損なう貴様らを私は決して許さん!ショッカー参謀本部の命に従い殲滅する!」

 

「お前が噂に聞くショッカーの改造人間!?よもや実在していようとは…」

 

「ほう…最近はテレビCMにも出演したのだがまだ私の存在を疑う輩がいるとはな!」

 

「今やテレビもラジオもネットも何もかもがショッカーに検閲されているじゃあないか!そんなもの誰が見るものか!」

 

「それはそうだがだとしたらお前は一切の情報を得ないで一体何を論拠に持ってしてショッカー大首領をこのように愚弄するのだ?!」

 

「ふっふっふ、さる情報筋があってだなそこから俺はついに掴んだのだ!ショッカー大首領の正体を!」

 

「何っ!?ショッカー大首領の正体だと!?」

 

「そう!ショッカー大首領の正体とは!」

 

「正体とは!?」

 

もしも本当にショッカー大首領の正体が外部に流出していたとしたら!ミコトですら知らないその秘密はまさにショッカーに纏わる全ての者達にとっての禁断の秘密!最悪の場合はショッカー大首領の身が危険に晒されかねない暴徒の言葉にショッカーライダーは戦慄した

 

「その正体とは…………エイリアンだ!!」

 

「………へ?」

 

不覚にも思わず間抜けな声をあげてしまうショッカーライダー

 

「えーと、異邦人って意味だろうな?」

 

「いや!異星人の意味でだ!」

 

気を取り直して再度訪ねるも残念ながら答えは変わらなかったそして尚も暴徒は続ける

 

「恐竜の大絶滅!伝染病の流行!宗教戦争!経済危機!異常気象!自然災害!産業革命!先の大戦!更には芸能人のスキャンダルから俺が進学に失敗したのも全てショッカー大首領が裏で手を引いているんだ!そのせいで今朝もボールペンがポケットに入ったままの白いワイシャツを洗濯してしまい…」

 

「今すぐにその口を閉ざせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!ショッカー殴!!」

 

そのあまりの杜撰な話に怒りの沸点二度三度越えたショッカーライダーの怒りの鉄拳が暴徒の頭部を打ち砕く

 

「聞くだけ無駄だったわ!そんな論拠も何も無いただの妄想と人の風説程度の話で偉大なるショッカーを愚弄するとは断じて許さん!ウォークリケット!」

 

ショッカーライダーが大空に叫びショッカーホーンから信号を放つと忽ち発進ウォークリケット

ショッカーライダーのは逆方向から街道に侵入し榴弾による砲撃を行い暴徒を追い立てる

 

「というかそんな事が出来たら一々私が出張っておらんわ!ショッカーアースクエイク!」

 

逃げようとする暴徒の足を地震で止めるとウォークリケットによる榴弾の爆発やその履帯の餌食となってゆく暴徒

その中でも二三人が破れかぶれでショッカーライダーに突撃してくる

 

「論拠は私自身だー!」

 

「それを被害妄想と言うのだ!口を閉ざせぇ!!!」

 

暴徒が撃ってくる弾丸を見切って避けながらショッカーアシッドを拳に纏いショッカー殴と共に叩きつける必殺の

 

「ショッカー溶解殴!!!」

 

先頭に居た暴徒は元よりもその吹き飛ばされた暴徒の体を叩きつけられた暴徒もまたショッカーアシッドにより瞬く間に融解してしまった

かくして今回も全ての暴徒はショッカーライダーの手により殲滅されたのだ

程なくしてショッカー清掃員も駆けつけくる程なくすれば暴徒が存在した形跡すらこの世から消えて無くなるだろう

 

「イーーーーー!!!!!」

 

「「「「「イーーーーー!!!!!」」」」」

 

今日もショッカーの大空に響くショッカーライダーの敬礼

集合したショッカー清掃員もそれに応じる

時としてこのように自助努力を怠った人間はそれを社会のせいにして社会の和を乱す、だがショッカーが支配する美しい社会でそんなことは許されない!

戦えい!ショッカーライダー!この美しい社会をこれからも守っていってくれ!


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