My Reverie   作:ユウ/伽藍堂(本舗)

2 / 12
第2話 「徹底抗戦」

 「ここは......」

 

 目を覚ました私こと博麗霊夢は一瞬、なぜ自分が紅魔館で目を覚ましたのかが分からなかった。しかし神社での出来事を思い出した途端、思考回路が急激に活動を始める。

 思考に体が追いつかずに凍りつく私のほうへ転移したのよ、と言いながらレミリアが近づいてくる。正確には()()()()()()()かしらね、と何かを知っている様子で呟くレミリアに私は釈然としない気持ちを持つとともに私は頭の中に疑問符を浮かべる。

 そんな私を見てレミリアは自分の説明を省きすぎたのだと気づき、最初から一言一言言い聞かせるように説明を始めた。

 

 「私たちはあなたとウィンテラの結婚を祝して博麗神社で宴会を開いていた、ここまでは覚えてるわね?」

 

 私は首を縦に振る、その反応を見て説明を続けるレミリア。

 

 「すると突然転移魔法陣が発動した。」

 

 私はそう聞いてその魔法陣によって飛ばされたのかと聞くが話を最後まで聞きなさい、といわれ押し黙る。レミリアは再び説明を始めた。

 

 「あの場には魔法使いが数人いたわ、だから()()()()()はすぐに解除されたの。」

 

 「けれど魔法陣は多重展開されていたわ。私たちとSD機関のメンバーはそのまま結界の外へ放り出されるはずだったんだけれど、翔魔が転移する直前に私たちの転移先をここに変えたの。だから私たちはここにいるのよ。」

 

 それを聞いて私は転移の直前に目にしたフェンリール・グレイウルフの姿を思い出す、そしてレミリアが言った()()というのはエルグ率いる()()()()()だということも

 

 「なるほどね。」

 

 ――私がそう言った直後、轟音が鳴り響き、館が大きく揺れた。

 

 私は鳴り響いた轟音と揺れに対して驚きの声を上げる妖夢や早苗に対して、なぜか反応が薄い文に何か知ってるわね!? 教えなさい! と詰め寄る。詰め寄られた文は申し訳なそうに話しだす。

 

 「実は霊夢さんたちが気絶している間にこの幻想郷を征服するというエルグたちの目的を聞いていたんです。」

 

 私は話し終えた文の胸倉を掴み、前後に揺さぶりながらなんでそんな重要なことをもっと早く言わなかったの! とすごむ、魔理沙は私を文から引き離して落ち着けよ、と声をかける。魔理沙の言葉で少し落ち着きを取り戻した私は深く呼吸をする。解放された文は服装を整えながらぼそりとすいません、と謝った。

 私が落ち着いたのを確認して魔理沙は私から順に美鈴、パチュリー、咲夜、レミリア、アリス、妖夢、文、早苗とこの場にいる全員をぐるりと見渡す。

 そして今、大事なのはあいつらがこの幻想郷を侵略しようとしていることだ、そうだろ? と問いかける。その場にいる全員が頷く。

 

 「霊夢、あいつらの好きなようにさせていいのか?」

 

 「そんなのダメに決まってるでしょ。」

 

 「なら博麗の巫女であるお前がちゃんと宣言しろよ、抵抗を!」

 

 ――そうだ。私は博麗の巫女なんだ。

 

 私は深く息を吸い、吐く。

 

 「あいつらは甘く見ているわ! 残念ながら私たち(幻想郷)はそうやすやすとは屈服しない!」

 

 私が大声でそう叫ぶとレミリアはおもむろに立ち上がってそれなら、きちんと宣戦布告しなきゃいけないわね? といって私を屋上へと連れていく。

 屋上からは占領された博麗神社見える。その境内でハーメルン・ハーゲンティがこちらを向いてニタニタと笑っていた。大方降伏すると言いに来たと思ってるのだろう。

 

 ――私は大声で徹底抗戦を叫んだ。

 

 ハーメルンはそれを聞き、中へと戻っていった。

 

 

徹底抗戦を宣言した私はレミリアと共に部屋へと戻った。

 ドアノブをひねり、その先へ踏み込んだ私たちに挨拶の代わりに困惑の声が浴びせられた。レミリアは咲夜に自分たちが屋上へ行っていた間に何が起きたのかを聞く、すると咲夜は()()が突然使えなくなった、と答える。

 ――いくら私が博麗の巫女といえど、能力が使えなければ所詮は人間に過ぎない...... ましてや今回は()()()が通用しない相手だ。ハーメルンが驚く様子もなく中へと戻った理由はこれか、と私は自分の迂闊さに歯噛みする。きっと私は心のどこかでいつも通りになると思っていたのだろう。

 しかし、どうやら『いつも通り』とはいかないらしい。私は私らしく抱えていた頭を上げ、前を見据える。

 

 

 

* * *

 

 

 

「来たわね......」

 

 博麗神社から大量の妖精が人里と妖怪の山、そしてここ、紅魔館へ進軍してくるのが見える。幻想郷における主要な場所を制圧し、征服の証としたいのだろう。

 しかし人里は既に()()()()()()()、あらかじめ参謀であるパチュリーから慧音に話を通してあるからだ、妹紅も慧音と共に人里の守護に動いていると聞いている。私からも知り合いの武術家や同業者に話をしてあるので人里が攻め落とされることはまずないだろう。

 妖怪の山についても河童・天狗の強固な防衛線がある、いざというときは地霊殿から増援を呼べるだろうし数が多いだけの妖精が突破できる場所ではないだろう。

 そうなると問題は......

 

 「ここね。」

 

 私は妖精が向かっている勢力の強さを分析しながらそうこぼす。妖怪の山へと戻った早苗と文を除く全員がここで迎撃態勢をとっている、決してやわな防衛線ではない。しかしレミリアと私は大量の妖精に加え、悪意の棺桶(マリス・コフィン)のメンバーの誰かが来ると読んでいる。

 幻想郷を征服したいなら私、博麗の巫女の捕縛や殺害は避けては通れない、だからこそ最大戦力で私を捕まえにくると読んでいる。

 

 「そう簡単に捕まるもんか、逆にここから追い出してやるわ!」

 

 「そうだぜ、私たちを甘く見たツケは払ってもらわないとな!」

 

 私の独り言にいつの間にか隣に来ていた魔理沙が反応する。

 

 霧の湖に立ち込める濃霧の中に大量の影が見える。

 

 「来たぜ、霊夢。」

 

 私は静かに覚悟を決め、魔理沙とともに中へと戻る。

 

 

 ――戦いの火蓋が切って落とされた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。