ついに開幕した『ジムチャレンジ』
エンジンシティ出発の前に、ライバルとなったユウリとの真剣勝負をおこなったりもしたがなんとか勝利をつかむことができた。勝負後の後片付けやら何やらで他のチャレンジャーよりもだいぶ遅れてしまったがそれでも何とか出発することができた。
三番道路を抜ける途中、ソニアさんにも遭遇した。どうやらジムチャレンジ開会式を見たその足で、そのまま全国を回ってガラル地方の伝説を調べる予定だそうだ。ソニアさんには冒険の必需品ともいわれる『あなぬけのヒモ』を頂いたり三番道路に存在するエネルギープラントやガラル地方のエネルギー事情、それに伴うローズさんの尽力についてを熱く語ってもらったが10さいのぼくにはよくわかりませんでしたまる
三番道路を進み日も落ちかけてきた頃、俺はその終着点にたどり着いていた。
「ここがガラル地方の鉱山資源の多くを採出しているっていう『ガラル鉱山』か…」
三番道路とジムチャレンジ最初の目的地であるターフタウンを繋ぐ大きな鉱山脈、ガラル鉱山である。
内部は自然によって作られたエリアとローズさん率いる人間の手の開発によってされたエリアに分かれており、ジムチャレンジャーは人間によって作られたエリアを進んでターフタウンを目指してくださいとのことらしい。
しかし時間は既に夕暮れ、内部の鉱山員たちもそろそろ業務を終了するとのことで入り口は既に封鎖されてしまったらしい。
「さて今日はここらへんでキャンプかな」
鉱山前は危ないということなので少し戻った場所にある広場でキャンプをすることにした。見てみると他にも何人かキャンプをしている人影が見える、どうやら俺と同じようにここで待ちぼうけをくらったジムチャレンジャーのようだ。
「お、お前さんはチャンピオンに推薦されたトレーナーじゃねえか?」
俺がキャンプの準備をしていると誰かに声を掛けられる。振り返ってみると俺よりはずっと年上の…おじさん?
「えっと、そうです。そういうあなたは?」
「オレか?オレはマタハリ。同じくジムチャレンジャーのマタハリだ、よろしくな」
「マタハリさんですね、よろしくお願いします」
マタハリというおじさんと握手をする、見た目からして二十代といったところだろうか?
「おいおい、オレ達はもう鎬を競い合うライバルだぜ?マタハリでいいよ」
「それじゃあマタハリ、よろしく」
年上と思わせない気さくな話し方と態度につい俺もフランクな話し方になってしまう。俺はその後マタハリと二人でキャンプをすることにした。
「お!カレーとはいいチョイスだねぇ?しかもとんでもなくいい匂いだ」
「そういってもらえると助かるよ、ポケモンバトルはともかくカレー作りは大の得意なんだ」
「へへぇ、チャンピオンに推薦されたくせに謙虚だねぇ!このこの!」
「あ、今カレーかき混ぜてるところなんで邪魔しないでもらえます?」
「っとと、す、すまねえな」
大事な大事なカレーを作っている最中に肘打ちをしてきたマタハリを追い返す、このかき混ぜがどんなに重要なのか後でみっちり話しておかねばならない。
「…カレーのことになると怖ぇ奴だな、お前」
「そうですか?友達には『すごいぞ!カレーのことになるとアニキにも負けない気迫だな!』とか『あたしあんたとはカレーで競いたくないわ』とかは言われましたけど」
「今のお前の気迫に負けないって、お前の友達の兄ちゃんジムリーダーかなんかかよ…」
チャンピオンです、とは言わず出来上がったカレーをできていたご飯にかけて食べる。
「うわ、うめぇ!お前ジムチャレンジやめてカレー屋になれよ!オレ毎日通うし、ライバルも減っていいこと三昧だ!」
「本音漏れてるよ…うーん、58点かな」
「お前のカレー査定辛すぎねぇ?」
「マタハリの炊いたご飯がいまいち」
「手厳しぃなぁ!」
その後カレーにつられて鉱山員の人が集まってくるなどもあったが、マタハリの持ち前のコミュニケーション能力であっという間に友達になっていった。ホップとはまた違うタイプの明るい人だな。
「おう坊主、カレー旨かったぜ」
「幸いです」
「ただ量が少なくてよう、うちの若いのがあの様だ」
「うわぁ…」
鉱山員の人に班長と呼ばれている人に釣られて見てみると、カレー鍋に残ったカレーをこそぎ取ろうとしている。鉱山という肉体労働の大変な場所で働いている人達の空きっ腹に俺のカレーがクリティカルヒット、食欲で理性を失いかけているようだ。
「お前ら!みっともねぇ真似してんじゃねえぞ!」
「っは!俺たちは一体なにして…」
「…たくすまねえな坊主、大事なジムチャレンジの足止めしちまってよ」
「出遅れたのは自分のせいですし、鉱山を抜けたとしても夜遅くなってたと思います。昼から潜った方が安全です」
「じゃあ坊主に一応言っとくぞ。鉱山内部は俺たちが開拓した安全なエリアを通るがもちろん進入禁止のエリアもある、そっちはポケモンもうようよいるし絶対入るんじゃあねぇぞ」
「わかりました、忠告ありがとうございます」
ガラル鉱山内部の自然にできたエリアはまだ未開拓な場所もあるという。トロッコの線路などを引いているがまだまだ危険な場所も多いとのことなので気を付けようと心に誓った。
「あぁん?//アカツキの野郎//班長となぁにこそこそしてやがる?//」
「ヒック//もしかしてよぉ//鉱山内部の近道でも聞き出してやがんのかぁ//あぁん!?」
「マタハリのやつ、酔ってやがるな」
「お酒って怖いですね」
その後マタハリの悪酔いにも絡まれたりしたが、見知らぬ沢山の人達と騒ぐのも楽しいということを知った。
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次の日の朝、鉱山が開いたので俺は早々に中に入ることにした。マタハリは二日酔いらしかったので置いてきた、こんな大人にはならないようにしよう。
鉱山の中では既に採掘作業が始まっていた、各所から機械などで岩盤を削る音が聞こえてくる。うるさいですねぇ…
「おう坊主、よく来たな」
「おはようございます、班長さん」
「どうだ、糞うるせぇだろ?」
「はい、班長さんの声も大きいです」
「ガハハ!言うようになったじゃねえか!」
班長さんといくらか軽い世間話をしたあと、この鉱山内部を進むルートを教えてもらう。基本は単純な一本道だがたまにポケモンを出現するので各自、自分で倒してくれとのそうだ。まあジムチャレンジで勝ち進むならこの程度で足踏みしている場合ではないということだろう。
「そういえば坊主よりも早く中に入っていった別の坊主がいたぜ?」
「別の坊主?」
「ああ、髪がパーマでよ全身ショッキングピンクの服を着た目立つ坊主だったぜ」
「あの人かぁ…」
ジムチャレンジのエントリーをした日にすれ違ったあの少年だろう。さすがにあのインパクトを見間違える人はいないと思う。
「ま、坊主も頑張れよ。応援してるぜ!」
「ありがとうございます!行ってきます!」
「危ないところに入るんじゃねぇぞ!」
「はーい!」
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「うわぁぁっぁぁ!!!」
「トロー!!ゴーンン!!」
そう班長に言われて数十分後、俺はよくわからないポケモンの背中に乗せられ線路の上を走っていた。トロッコのようなそのポケモンを調べてみると、どうやらトロッゴンというらしい。そのトロッゴンに乗せられもう訳も分からずこのガラル鉱山内部を走らされている。
「降ろしてくれぇぇ!」
「トロー!ゴーン!」
俺を乗せて走るトロッゴンは実に楽しそうだ、心なしかどんどんスピードが上がっている気がする。
「なんで喜んでるのさ?」
図鑑で調べてみるとどうやらトロッゴンはその背中に石炭を集めたり、自分の体から生み出した石炭を乗せて走るのが大好きだという。俺が今乗っている背中には石炭が積まれていない。ということは一度石炭などを回収された後、もの悲しい背中にすっぽり入る俺がいたので詰め込んで走り出した、というところなのだろうか?実にはた迷惑というか…
「ん?」
トロッゴンのスピードにも慣れてきた頃なんだか焦げた臭いがし始めた。見てみるとさっきまで俺だけを積んでいたトロッゴンの背中に石炭が生み出されている、しかもところどころが赤くなっている。これ絶対危険なやつ!やけどする!
「お、降ろしてくれぇ!」
トロッゴンの背中をがたがたと揺らしなんとか止めようとしてみるが、石炭が燃え始めてからというものどんどんとトロッゴンのスピードは増していき止まる気配がない。
そのまま暴走トロッコと化したトロッゴンに揺らされていると前方になにか大きな岩が見える、なんだろうかあれは。
「ポケモン?」
図鑑を向けてみると反応が出た、ギガイアスという岩タイプのポケモンのようだ。体の各所に見えているオレンジ色の鉱石はエネルギーの結晶体だという。だがそんなことはどうでもよかった、このトロッゴンの前方にいるということは…
「止まってくれーー!!」
「ゴォォォン!!!」
今更前方の巨大な岩(ギガイアス)に気が付いたのかトロッゴンも慌て始める。だが加速したトロッゴンの体は止まることを知らず、そのままギガイアスへと激突してしまった。ドシャアアン!と大きな音を立ててぶつかったトロッゴンと俺は線路の上から弾き飛ばされる。しかしギガイアスは不動、なにかぶつかったのか?という反応だ。
「ぐへっ!」
「ゴォン!」
俺とトロッゴンは地面に投げ出される、なんとか止まったか。
ギガイアスは激突してきた俺達にも激突したことにも興味がないのかまたすぐに眠ってしまった。正直こんな大きなポケモンを相手にはしたくなかったので怒ってこなくて助かった。
「いてて、ここどこらへんだ?」
なんとか立ち上がりロトムスマホで現在位置を調べてみるが電波が届いていない、もはやロトムスマホではなくただのロトムと化している。周囲の状況を見てみるにどうやらここはまだ線路を引いただけの未開発のエリアらしい、つまり、
「迷っちゃった」
「ゴーン…」
迷ったという事実に俺は膝を抱えてうずくまってしまう。そんな俺にトロッゴンが申し訳なさそうに寄り添ってくれる、炎タイプなので温かかった。
「でもお前のせいでもあるんだよなぁ」
「ゴン!?」
ひとまずここから元の道に戻ろうとトロッゴンと一緒に線路沿いに進んでいった。随分遠いところにまで来てしまったようだが線路があるということは道は続いているということ、線路沿いに戻ればきっと戻れるはずだ。
このあたりはまだあまり人の手が入っていないということで野生のポケモンもわんさか出てくる。トロッゴンの進化前のタンドンやギガイアスの進化前のダンゴロ、岩タイプのポケモンが多く出てきたが俺とメッソンの敵ではなかった、しかしこう何度も戦闘があってはやはり疲れてしまう。
「……れる……いぼしはこんな……しょう…」
すぐ近くから人の声が聞こえてきた。おそらく鉱山員の人だろう、助かった!
「すいませーん、道を聞きたいんです…けど?」
声のした方に行ってみると確かに人はいた。ただし鉱山の人ではない。
「ん、なんですか君は」
そう、そこにいたのはノミと槌を片手に岩盤をせこせこと掘っているあのピンクが目立つ少年だった。
他のジムチャレンジャーをだそうかどうか現在思案中です。
ということで一番記憶に残ってたマタハリさんを出してみました、FGOのマタハリさんとは似ても似つかねえや。