ジムチャレンジ最初の関門、ターフタウンのポケモンジムに向かうためガラル鉱山を抜けていた俺はせきたんポケモンのトロッゴンに連れられ未開拓エリアへと迷い込んでしまった。
そんな俺が未開拓エリアで出会ったのはもこもこヘアーとピンク色の服が特徴的なジムチャレンジャーの少年だった。俺が彼と出会った時、彼はノミと金槌を片手にせこせこと岩盤を掘っていたのだ。怪しさ満点だが背に腹は代えられない、開拓エリアに戻るため彼に協力を申し出ようとしたとき、
「うん?そのチャレンジバンド、君もどうやらジムチャレンジの参加者のようですね」
「あ、うんそうだよ。君もジムチャレンジャーの一人…だよね?」
「ええそうです!ボクはあのリーグ委員長のローズさんに推薦を受けた言わばエリートオブエリート。君たちのような凡百な参加者とは違うんですよ!」
こちらに向き直ってきた彼は腕のチャレンジバンドを誇らし気に見せびらかせながらそう言い切った。たしかにあのローズさんから推薦されたというなら彼は本当に凄腕のポケモントレーナーなのだろう、自信満々な態度にも納得がいく。
すると彼は俺のことを訝しげに見ながらこんなことを言ってきた。
「ふむ、しかしなぜ君はこんな場所に来ているんです?怪しいですね…」
こんなところで岩堀をしている人に言われたくはないと思ったが言葉を飲み込む。俺はこの場所からでてさっさとターフタウンまで行かなければならない、道がわかる人がいるなら力を貸してもらいたいのだ。
「えっと、実はこのトロッゴンに…」
「ああそうかわかりましたよ、君の考えが!」
俺の言葉を遮りビシッと指をさしてきた少年はニヤニヤと笑みを浮かべながらこう言い放った。
「君もローズ委員長に気に入られるため『ねがいぼし』の採掘に来たというわけですね!しかし残念!その役目は既にボクが秘書のオリーブさんから直々に依頼を受けているんですよ!どこから委員長が『ねがいぼし』を集めているのか聞きつけたのかは知りませんがそうはいきません!…まあ、どうしてもというならボクの『ねがいぼし』採掘を手伝わせてあげましょう!委員長の役に立てられるのです、光栄なことでしょう!」
そうして彼からノミと金槌を押し付けられなぜか採掘作業を手伝わされることになってしまった。
コツコツコツコツ…
腕のダイマックスバンドとチャレンジバンドを外し、キャンプセットに入っている手ぬぐいを身に着けノミと金槌で岩盤を掘り進めていく…俺は一体何をしているんだろうか?ジムチャレンジのため道を教えてほしかっただけなんだけど。
「ほう、中々手際がいいですね」
「こういうのが得意な手先の器用な友達がいてね、その子の見様見真似だよ」
「ふぅん、まあボクほどではないですが中々優秀な人のようだ」
ビートと一緒に岩盤を掘ること一時間。ああ、ビートというのは彼の名前だ。いつまでも彼とかピンクのとかもこもこ頭とかじゃ呼びにくいから名前を教えてもらった。彼は名前を教えるときでさえも、
『ボクの名前を知りたい? エリートオブエリートであるボクの名前も知らないようでは君のジムチャレンジの結果も見えたようなものですね。しかし、ジムチャレンジに参加して最初のジムも突破できないというのはかわいそうですから教えてあげますよ。一度だけ、そう一度だけ教えてあげます。ボクの名前はビー……』
という過程が存在した。
ビートはエスパータイプのポケモンの使い手のようで『ねがいぼし』の発するエネルギーをエスパーパワーの力で発見し採掘する、という方法をとっている。俺はその作業の手伝いとして、あまり強くはないがエネルギーの反応がある場所の採掘を請け負った。やってみると意外と楽しく夢中になって掘っていたのだが先ほどふっと正気に戻った。こんなことをしている場合ではないのだが今の状況では非常に言いづらい、どうやって抜け出そうかと考えているとコツコツコツと掘っていたノミが突然キン!と硬いものにぶつかり弾かれる感触がした。暗くてよく見えないのでロトムスマホで照らしてみると明らかに岩盤とは違う色の鉱石が姿を現した。見覚えがある、これはあの日空から落ちてきたのと同じ『ねがいぼし』だ。
「ビート!『ねがいぼし』あったよ!」
「でかした!…ではなく、ふん、よくやってくれました」
ビートに『ねがいぼし』を渡すと手の中で転がしカバンの中へと入れていった。
「ふう、これでこのガラル鉱山にある全ての『ねがいぼし』を回収できましたかね」
「ちょうどよかった、なら道を教えてくれない?実は俺ここには道に迷って来ちゃってさ」
「おや、委員長に気に入られるために来たわけではなかったのですか。まあいいです、ミブリム、最後にこのあたりの『ねがいぼし』の反応がないか確かめてください」
ビートは最後の確認としてミブリムというポケモンに『ねがいぼし』の反応がないか指示する、どうやらこのポケモンの力で『ねがいぼし』を探していたらしい。
ちょうど採掘は終わったようなのでやっと本題に入ることができて安心した。この分なら今日のうちにターフタウンまで行くことができそうだ、と安心しているとミブリムが怪訝な顔をし始める。
「ミ、ミブ、リム」
「ん?新しい『ねがいぼし』の反応があると、しかもすぐ近くに?」
ミブリムがまた『ねがいぼし』を見つけたようである。しかもすぐ近くのようだ。
ミブリムが頭の突起で反応のある場所を指し示す。俺とビートがその方向を見てみればなんと指示したのは俺のカバンだった。
「俺のカバン?あぁ、もしかして俺のダイマックスバンドのこと?」
そうだ、俺も『ねがいぼし』を持っているのを忘れていた。採掘作業の邪魔になると思い取り外していたのを忘れていた。
するとビートが驚いたような顔をする。
「どうかしたの、ビート?」
「ふ、ふふ。なるほど、そういうことですか…」
ビートは顔に手を当て突然笑い始めた、俺がダイマックスバンドを持っていることがそんなに変なのだろうか?
「ああ、思い出しましたよ。その顔、暗がりでよくわかりませんでしたがあなたはチャンピオンに推薦されたトレーナーの一人ですね?」
「そうだけど、ビートには言ってなかったっけ?」
「あはは、なるほどここに来たのはそういうことですか。つまりそういうことですか」
先ほどからビートの様子が変だ、話が通じていない。ビートは俺を指さしてこういった。
「貴方は委員長に推薦されたボクを潰しに来たと、そういうことですね!」
「ええ!?違うよ、俺はただ迷い込んできただけで」
「それにダイマックスバンドまで。ええ、『ねがいぼし』を持っているトレーナーは痛めつけると決めているんです!」
突如豹変したビートがバトルを仕掛けてくる。ミブリムをボールに戻すとスーパーボールから別のポケモンを繰り出してきた。
「いいかい?チャンピオンよりリーグ委員長の方が偉いんだ、つまり委員長に選ばれたボクの方がすごいんです!」
ビートの言葉は流し聞きし現れたポケモンに図鑑を向ける、どうやらユニランというらしい。
「いけ!ロコン!」
「コン!」
ロコンを繰り出しこちらもバトルの態勢を整える、動いたのはビートの方だった。
「ユニラン、『ねんりき』」
「ユニー!」
ユニランの『ねんりき』によって周囲の石や岩が持ち上げられる、どうやらあれで攻撃するようだ。
「いきなさい!」
「させるか!ロコン、『かなしばり』」
飛んで来ようとした石や岩だったが『かなしばり』を受けたユニランの『ねんりき』が消失する。『かなしばり』には相手を拘束する効果の他にしばらくの間相手の技を使えなくする効果があるのだ。
「(でももうしばらくは『かなしばり』を使えなくなった、今のうちに攻める!)」
「ロコン、『おにび』」
ロコンの周囲にふわふわと火の塊が現れる、火の塊はユニランを取り囲むと一斉に襲い掛かる。
「よしこれで『やけど』状態に…!」
「甘い、甘いですね。ユニランにそんな攻撃は効きません」
「なんだって!」
何とユニランを包み込むゼリーのような液体が『おにび』を受け止め無効化している、これでは『やけど』状態にならない。
「ユニランの特性『マジックガード』です、この特性のポケモンには『どく』や『やけど』状態を防ぐ効果があるのです。こんなことも知らないとは、チャンピオンの人を選ぶ目も大したことがないということですね」
「なら『でんこうせっか』だ!」
『おにび』を防いだビートが特性の説明とともにダンデさんを侮辱する、カチンときた俺が『でんこうせっか』を指示してロコンがユニランへの距離を縮める。
「ユニラン、『まもる』」
しかしユニランが攻撃を無効化する障壁を生み出したことでロコンはその障壁にぶつかり弾き飛ばされる。
「そろそろ切れる頃ですね。ユニラン、『ねんりき』」
「ユニー!」
ビートは右腕に着けた金色の腕時計を見ると封印されているはずの『ねんりき』を指示する。なんとビートは『かなしばり』の切れる時間を計算していたのだ。
再び持ち上げられた岩がロコンを直撃する、岩タイプが効果抜群なロコンにはどうやらダメージが大きくなるようだ。
「大丈夫か、ロコン」
「コ、コン…」
ロコンは立ち上がるが声が震えている、かなりのダメージらしい。
「ロコン、『やきつくす』」
「コォォォン!」
ロコンの口から吐き出された火炎はユニランを包み込み熱によりダメージを与えていく、さらに炎により体を覆っていた液体が体積を減らしていく。
「ユニラン、『ねんりき』で炎を振り払いなさい!」
「いまだ、『でんこうせっか』」
ユニランは『ねんりき』で炎をかき消してしまうが体を覆っていた液体がかなり少なくなった、今がチャンスだと追撃を仕掛ける。ロコンの『でんこうせっか』がきまりユニラン体ごと吹き飛ばされてしまう。
しかしビートはにやりと笑い指示を出した。
「ユニラン、『ねんりき』で持ちこたえなさい。そこから『がむしゃら』です」
吹き飛んでいくはずだったユニランは自分の体を『ねんりき』で無理やり支えると体から白いオーラを出し始めロコンへと体当たりをかました。『がむしゃら』は受けたダメージが大きいほど力を増す技、ロコンはたまらず目を回してしまった。
「ロコン、戻ってくれ」
「おやおや、弱いトレーナーに使われるとポケモンもかわいそうですね」
「うるさい!いけ、ウールー!」
ビートの言葉に熱くなってしまうがそれでもポケモンを出す手は緩めない、ウールーは飛び出すと大きく鳴き声を上げる。
「ンメェェ!」
「ウールー、『たいあたり』!」
『ねんりき』で無理やり体を固定し、さらに連続して『がむしゃら』を使ったユニランは動くことができずまともに『たいあたり』を受けてしまいそのまま倒れてしまった。
「ふん、まああなたのポケモンにも見せ場くらいはあげないとね」
ユニランを戻したビートは別のボールから次なるポケモンを出してくる、今度はゴチムというポケモンらしい。
「ゴチム、『サイケこうせん』」
ゴチムの手から虹色の光線が放たれる、高密度に束ねられたエスパーエネルギーだ。
「ウールー、『まるくなる』」
ウールーは丸くなり『サイケこうせん』を受け止めるが次第に押されてしまう。
「持ちこたえてくれ!」
「ンン、メェェェ!」
ウールーは何とか光線を受け切りはじき返す。はじき返された光線はビートのすぐそばまで飛んでいくがビートは見向きもせずに指示を続ける。
「今です、『くすぐる』」
「チムチム!」
ゴチムがウールーに接近し、体毛の隙間からウールーの体をくすぐり倒す。ウールーは突然のくすぐりに対応できず、力んでいた力が抜け落ちてしまい膝をついて隙をさらしてしまう。
「『サイケこうせん』!」
「『まねっこ』!」
咄嗟に『まねっこ』で『サイケこうせん』をコピーするがゴチムの放った光線に次第に押されていき、ついに『サイケこうせん』がウールーの体に直撃する。
「ウールー!」
シュウシュウと体から煙を出しながらなんとかウールーは立ち上がる。物理攻撃にはめっぽう強いウールーだが特殊攻撃にはそこまで耐えることができない、後一撃でも喰らえばおそらくは倒れてしまうだろう。
「あのタイミングで『まねっこ』を使ったのは驚きでしたが、やはりあなた弱いですね」
「うるさい!」
「バトルにおいてトレーナーは常に冷静でなければいけません、感情を強く出すことなど弱いトレーナーがすることです」
ビートの言葉の一つ一つが俺の心逆撫でてくる。熱くなる気持ちが抑えられない。
「ゴチム、『サイケこうせん』」
「ウールー、『にどげり』!」
ウールーがゴチムに向かい蹴りを放つが、ウールーの足が届くことはなくゴチムの『サイケこうせん』を受け倒れてしまう。
「…ウールー、戻ってくれ」
ウールーまでやられてしまった。ビートの指示は的確で技の効果や特性をうまく理解してバトルをしている、まだまだ知らないことの方が多い俺では彼に勝つことができないのだろうか。
「頼んだ、ココガラ…」
ココガラを出すがゴチムの強力な『サイケこうせん』がココガラを捉えすぐさま戦闘不能にしてしまう。ついに俺に残されたポケモンは一体になってしまう。
「どうしました、もうバトルをする気力もなくなりましたか?」
もはや返す言葉も湧いてこない。俺の実力なんてのはこんなものだったのだ、今まではポケモンの頑張りや偶然に助けてもらっていたが一皮むけばこんなもの。推薦してくれたダンデさんの顔にも泥を塗ってしまう有様だ。
「……メッソン、お願い」
「メッソ!」
最後のポケモン、メッソンを出すが既に俺にバトルを続ける気力はなかった。
「ゴチム、『サイケこうせん』」
「チムチム!」
メッソンに『サイケこうせん』があたり吹き飛ばされる。なんとか態勢を整えたメッソンが着地すると俺に向かって指示を出せ!と言ってくるが俺にはもうどうすればいいのかなどわからなくなり指示ひとつ出すことができない。
「メッソ!」
メッソンはそんな俺に見切りをつけたのか一人でゴチムに突っ込んでいく。
メッソンが果敢に攻めるがビートの読みはその上を行き着実にメッソンを追い詰めていく、俺はそれをただ見ていることしかできない。再び放たれた『サイケこうせん』がメッソンを捉え、今度は態勢を整えることができず地面に倒れてしまう。
「ふん、そろそろ終わりにしますか」
ビートは腕時計で時間を見るとそう呟く、もう終わりにしようとゴチムに指示を出しゴチムは今までで一番大きな『サイケこうせん』を作り出す。地面に倒れ伏すメッソンに向けて特大の『サイケこうせん』が放たれそうになった瞬間それは再びその力を呼び覚ました。
「こ、これは…!」
「この光は…」
メッソンの体が青い光を放ち始める、ホップとの戦いで何度も俺を勝利に導いてくれたメッソンの特性『げきりゅう』だ。
その強く猛き光は、既に気力を失った俺の目に力をくれる気がした。
「もはや死に体で何ができるというんです!ゴチム、『サイケこうせん』!」
チャージされた『サイケこうせん』はまっすぐメッソンへと飛んでいく。メッソンは目を見開きその体を起こすと特大の『サイケこうせん』すら飲み込むほどの『みずのはどう』を作り出して相殺する。
「く、なんてパワーですか!」
「メッソ!」
「ッ!」
『みずのはどう』と『サイケこうせん』のぶつかった衝撃を利用しメッソンはゴチムへの距離を一気に詰めるとその長い舌を伸ばしゴチムの体を縛り上げる、『しめつける』だ。ゴチムを捕まえたメッソンはそのまま縛り上げる力を強めていく、あまりの力にゴチムは悲鳴を上げる。
「チ、チムチム!」
「メッソォ!」
縛り上げられたゴチムに口を開いたメッソンの『みずでっぽう』が炸裂する。『げきりゅう』で強化され、『しめつける』で避けることが許されなかったゴチムはそのまま目を回してしまった。
「あの状況から巻き返されるとは…!ですがボクにはまだ一匹ポケモンが残っています。いけ、ミブリム!」
最後に現れたのはあのミブリム、おそらくビートの切り札ゴチムよりもさらに強いのだろう。
「最近お気に入りの技ですよ。ミブリム、『チャームボイス』」
「ミッブ、リィィィム!」
ミブリムの口からピンクの波動が吐き出される、波動は音となり回避不能の攻撃としてメッソンに襲い掛かる。
「メッソ!」
その音波攻撃をメッソンは『みずのはどう』を地面にぶち当てることで起こした音と衝撃で相殺、ついでに『みずのはどう』は波となりミブリムにも襲い掛かる。
「ミブリム、『ねんりき』!」
波はミブリムを飲み込む直前で『ねんりき』に抑え込まれかき消される。あぁ…惜しかったな。
「あと一撃、一撃さえ当たれば終わりなのに…!」
ビートも後一撃が与えられずいる状況に憤っている。そうか…さっきまでの俺もあんな感じだったのか。あれでは勝てない、もっと冷静に的確に状況判断をしてバトルをしなければ勝てないと言っていたのはビートではないか。
「ミブリム、『ねんりき』」
「ミブ、リ!」
ミブリムの『ねんりき』は先ほどのユニランより強力らしく大きな岩すらも持ち上げてみせた。
「あははは!これで終わりです、つぶれてしまいなさい!」
ビートは感情をあらわにし岩をメッソンに向かって射出した。
「……『なみだめ』」
「!」
俺の口が無意識のうちに指示を出す。それを聞き届けたのかメッソンは目に涙をためて大きく泣きわめき始める。突然のことにビートもミブリムも動揺してしまい『ねんりき』のコントロールがずれ、岩はメッソンには当たらず飛んで行ってしまった。
「しまった…!」
「『みずでっぽう』!」
明確にさらした隙、俺がトレーナーとして培ってきた経験がその隙を逃すなと指示を出す。『みずのはどう』よりも溜めが少なくて済む『みずでっぽう』は、『げきりゅう』の効果で威力を底上げされミブリムを飲み込み吹き飛ばす。壁にまで飛ばされたミブリムはその体を岩盤に埋めながらもなんとか抜け出し立ち上がる。
既にどちらも大きなダメージを食らい立つのがやっと、次の一撃で勝負が決まる。
「ミブリム、『チャームボイス』!」
「メッソン、『みずのはどう』!」
ミブリムの口からピンクの波動が、メッソンの両腕から水を凝縮した波動が放たれぶつかり合う。もはやさきほどまでの気落ちなどどこかへ吹き飛んでしまった、自分のポケモンが頑張ってくれている姿を見て何もしないトレーナーなどトレーナー以下だということを思い出す。そうだ、今はただこの最高の相棒を信じて戦おう。
「いけっぇぇぇぇ!!!」
「負けるなぁぁぁぁ!!!」
「メッソォォォォ!!!」
「ミブゥゥゥ!!!」
二つの波動はさらに勢いを増すがついに二つの均衡は破れる、押し切ったのは『みずのはどう』だった。
「そんな!」
水の本流に飲み込まれミブリムが押し流される。そのまま壁へと強打されたミブリムは今度は立ち上がることもなく目を回して地面に倒れ伏した。
「メッソォ!」
ミブリムを倒した瞬間メッソンは大きく雄たけびを上げるが、直後すべての力を使い果たしたのか地面に倒れる。
「メッソン!」
メッソンに駆け寄りその体を腕に抱く。
「ごめん、ごめんな。俺が弱かったせいで…」
「メ、メッソ…」
気にするな、とそんな俺をメッソンが慰める。
「俺、もっと強くなるよ。お前のトレーナーとして相応しくなれるように…」
メッソンも疲れたのかそのまま腕の中で眠ってしまった。俺はメッソンをボールに戻し、ビートに向き合う。
「ッ!なんですかその目は」
「いや別に、俺が弱いってことを改めて実感しただけだよ」
「そうです、貴方は弱い!ポケモンへの指示を放棄するなんてトレーナー失格ですよ!」
「返す言葉も見当たらない、だからさ…」
「今度は絶対に勝つ。今回みたいに数の差でも、ポケモンの頑張りにも頼らなくていいように」
「! 貴方とあなたのポケモンの戦い方は記憶しました、もうボクが負けることなどありえない」
俺はビートとは別の方向に歩き始めた。トロッゴンの背中に乗って線路沿いに戻っていくと俺がもともといた開拓エリアにまで戻ってくることができた。なんだ、ビートに道を聞かなくてもよかったなと思った。
「ビート、次は必ず倒す!」
俺はガラル鉱山を抜けるため足を進め始めた。
ノミとハンマーで楽しく岩盤堀をしていた序盤の空気はどこへ…
まあ自分気分で書いてるからこうなったんだと思います、次回からはまた普通に緩くなっていくと思います。