剣盾旅記録   作:鳴神ハルキ

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ノリと勢いで書いていると楽しいですけどまともなプロットとか考えた方がいいんでしょうか。


2、vsホップ

ブラッシータウンにてダンデとの対面を終えたアカツキ。興奮も冷めやらぬうちにホップとユウリ、ダンデの競争に巻き込まれながらも置いて行かれたダンデのリザードンに乗せてもらいまさかの逆転勝利を収めたのだった。そして現在はホップの家の庭でダンデのプレゼントを前に待機を命じられている。。

 

「アニキ、どんなポケモンをくれるのかな。すごくワクワクするぞ」

 

今かいまかと鼻息を荒くするホップ、興奮が抑えきれないのかバトルフィールドを駆け回る。

 

「まあダンデさんのくれるポケモンなら心配はないわね。きっとすっごく強くて可愛いポケモンに決まってるわ」

 

冷静なようで言葉の節々に期待の隠しきれていないユウリ、今日はいつものいたずら癖はナリを潜めおとなしくしている。

 

「………」

 

そして静かに黙り込んでいるアカツキ。

 

「どうしたアカツキ、さっきから黙ってて具合でも悪いか?」

「そうよ、こんなめでたい日に何か不備があるなんて許されないわ。この『ばんのうごな』でも飲んでおきなさい」

 

そういってユウリはカバンから紙に包まれた薬を取り出す。

『ばんのうごな』、それはどんな状態異常でもたちどころに治してしまうという漢方薬。しかし大型のポケモンですら見ただけで顔をしかめるほどの苦さをほこるその薬は使いすぎるとなつき度が下がると評判だ。

 

「体調は大丈夫だよ、だからその薬はしまってくださいお願いします。いや俺自分のポケモンって初めてでさ、楽しみな反面どうやって接したら良いか心配なんだ」

 

「なんだそんなことか。でも俺も初めてウールーを貰った時は興奮したからその気持ちわかるぞ」

 

うんうんと首を縦に振るホップ。すると何かを思いついたのかユウリはカバンを漁り始め一つの鈴を取り出した。

 

「ならアカツキにはこれをあげるわ」

「これは?」

「『やすらぎのすず』よ、これを持ってればポケモンと早く仲良くなれるらしいわ」

 

そういって鈴をひょいと投げる。慌ててアカツキが鈴をキャッチすると「チリン♪」と静かな音色が響き渡る。『やすらぎのすず』の音色は聴くものを落ち着かせポケモンとの絆を円滑に深めることができるという、その音色はアカツキの浮き立つ気持ちと不安を和らげてくれる。

 

「…ありがとうユウリ。ちょっと落ち着けたかな。でもこんなもの貰っていいの?」

「気にしなくていいわそれあたしが作ったものだし」

「何というか、ほんとう…ユウリの手先の器用さには感服するよ」

 

ふふん、と自慢げに語るユウリを感心したようなあきれるような目で見つめるアカツキはもう一度鈴の音に耳を傾ける。その静かな音色は心に安らぎを取り戻してくれる、製作者とは正反対だなという言葉は胸に仕舞った。

 

「遅れてすまない、やっぱり自宅では少し気が抜けてしまうな」

 

そうしているとダンデがやってきた。彼もまだ二十代、チャンピオンとして十分な強さと風格を漂わせているが自宅に帰り家族と過ごしているうちはチャンピオンではなくただのダンデなのだ。

 

「アニキ!プレゼントは!俺とユウリとアカツキにポケモンくれるんだろ!」

「落ち着け落ち着け、ちゃんと全員の分用意してあるから」

 

興奮の隠しきれないホップをドウドウと落ち着かせるとダンデは腰から三つのモンスターボールを取り出した。

 

「さあ、最強のチャンピオンから最高の贈り物だ」

 

「よく見ておけよ、最高のポケモンたちによる最高のアピールタイムだ!!!」

 

空を舞う三つのモンスターボールが綺麗な放物線を描き地面と接触する。すると中から三匹のポケモンが元気よく飛び出した。ポケモン達は飛び出すと同時に広大な庭に散り散りになっていく。

 

「草のポケモン、サルノリ!」

サルノリはある程度周りを見渡した後庭で一番大きな木に向かっていく、サルという名前に恥じぬ軽い身のこなしでスルスルと苦も無く木を登っていく。

 

「炎のポケモン、ヒバニー!」

ヒバニーは一心不乱にバトルフィールドを駆け回る。ヒバニーの足の裏は高温を発しており通った後には焦げ跡が残っている。

 

「水のポケモン、メッソン!」

そしてメッソンはサルノリの登っている木のすぐ傍にある池に向かって一目散にダイブ。気持ちよさそうにプカプカと浮いて遊んでいる。

 

三人は初めて見るポケモン達を夢中になって眺める。ちなみにメッソンの吐いた水がヒバニーに当たり庭中を疾走、飛び跳ねた拍子に木の上で遊んでいたサルノリに直撃しついでにきのみが落下、池に落ちてきたきのみに驚いたメッソンが泣き出してしまうというひと悶着があった。

 

「オーケー、みんな集まってくれ」

 

ひとしきりのアピールが終わったところでダンデの号令に従い三匹が三人の前まで集まってくる。

 

「さあ、だれを選ぶんだ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

三人で協議しあった結果まだポケモンを持っていないアカツキが最初に、二番目を決める壮絶なじゃんけんの結果ユウリが二番目に、ホップが最後に選ぶという順番に決まった。

 

「最初のポケモンは大事だからな。俺にはウールーがいるし先に選んでいいぞ」

「あたしにもヤミちゃんがいるから最初は譲ってあげる」

 

そんな友人たちに感謝しながらアカツキはポケモン達と向き合う。ポケモン達もアカツキをじっと見つめている。

誰を選ぶかしばらく迷っていると、ふとメッソンと目が合う。水辺で遊んでいるときの朗らかな笑顔、きのみに驚いて泣き出してしまった時の泣き顔、そして今選ばれるのかどうかと期待と不安がごちゃ混ぜになった顔。コロコロと変わるその表情が妙に頭から離れない。気がつくとアカツキはメッソンの前に膝をつき手を差し出している。

 

「俺と…来てくれないか?」

 

差し伸べてから気づく。初めてのポケモン、初めての選択、初めてだらけのことを前にして悪い想像がよぎる。もしかしたらこの手をはねのけられるかもしれない、そんなもしもを想像したアカツキは不安からつい目を瞑ってしまった。するとメッソンはなにを思いついたのか伸ばした手をすり抜けアカツキの腰近くまで移動するとその腰に掛けられた鈴を鳴らす。その音色にハッとなったアカツキが目を開くと自分の腰あたりで心地よさげにしているメッソンが視界に映る。メッソンもアカツキに気づくと自慢の健脚を活かして顔に飛びつく。

 

「わわ、わぷ。ちょ、ちょっとメッソン?」

 

アカツキは突然のことにたまらず倒れこんでしまう。冷たくひんやりしたメッソンの体は知恵熱で熱くなったアカツキを冷やしてくれる。心地いいなと思いながらふと目線をあげるとにやにやしたユウリとホップが見ている。

 

「あらあら、なかなか大胆ねアカツキ。告白みたいだったわよ」

「すごいぞ!やっぱりアカツキにはポケモンに好かれる才能があるんだな!」

「ちょっとユウリ、冷やかさないでくれ。俺だって真剣だったんだからさ」

「はいはい。まあこの分なら心配はなさそうね、いいコンビじゃない」

 

クスクスと笑うユウリを尻目に立ち上がると肩に移動したメッソンと目があう。

 

「改めて、俺でいいか?」

 

「メソッ!」

 

メッソンは強くうなづくと再びアカツキの顔に飛びつく。その様子を見ながらホップとユウリとダンデは笑っていた。

その後はユウリがサルノリを、ホップはヒバニーを選んだ。

サルノリはユウリのカバンに入っている色々な道具に目を輝かせユウリはそんなサルノリを見て目を光らせる。あれは絶対にろくでもないことを考えていると三人は直感した。

ヒバニーはホップとよく気が合ったのか一緒になって庭を駆け回っている。これほど似た者同士という言葉が似合うトレーナーとポケモンも珍しいだろう。

しばらくポケモン達と遊んだ後、アカツキの母親であるミズキやユウリの家族も参加したバーベキューパーティーを行った。星空の元、新米トレーナーたちは新しいパートナーと絆を育みながら夜を明かした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

翌日、ダンデに呼び出されたユウリとアカツキはホップの家に集まる。庭ではすでにホップとダンデ、そしてウールーとヒバニーが待っていた。

 

「来たな、さっそくだが三人にはポケモン勝負をしてもらう」

「急ですねダンデさん」

「いいじゃない、あたしもサルちゃんと一緒にバトルしたいわ。というかするわ早く準備しなさい」

「俺とウールーたちはもう準備万端だぞ!」

 

即断即決、こうと決めた時のユウリの行動は早い。サルノリとヤミラミをモンスターボールから出すとバトルに向けてストレッチを始める。あわててアカツキもメッソンを出すと、ひとしきりのストレッチを終える。バトルフィールドに集まるとダンデが激励の言葉を飛ばす。

 

 

「相棒のポケモンと長い夜を過ごしたんだ。大事なパートナーへの愛情と理解は深まったよな」

 

「いいか、ポケモントレーナー!自分とポケモンを信じろ!」

 

「お互いを信じあい、戦い続けて、いつか、」

 

 

「無敵のチャンピオンである俺のライバルとなれ!」

 

 

風が吹き、空気が震える。力強いその言葉にアカツキは胸が熱くなる。俺がチャンピオンのライバルに?そう考えるとさらに熱い何かが胸の中に灯った気がした。

 

「なんだよ!アニキと戦うのは俺だぞ!」

「…いいや、チャンピオンを倒すのはこの俺だ!」

「そうよ、ダンデさんを倒してガラルの頂点に君臨するのはこのあたしよ!」

「ははは、言うなポケモントレーナー。なら、今ここで自分たちの力を示してみろ!」

 

 

バトルフィールドに二人のトレーナーが向かい合う、初戦はアカツキ対ホップ。アカツキからすれば初めてのポケモンバトル、数でも経験でもあちらが上と不利は揺るがない。しかし、今は不思議と高揚感が勝っている。ドキドキが、ワクワクが収まらない。こんな感覚は久しぶりだな、と思うアカツキにホップが声をかける。

 

「アカツキ!今日からお前も俺のライバルだ!」

「うん!ありがとう!」

「俺はアニキの試合を欠かさず見ている!アニキの置いて行った本や雑誌もすべて読んだ!つまり、どうすれば勝てるかわかっている!」

 

そう宣言しホップはモンスターボールを取り出しバシッという小気味の良い音を響かせる。勢い良く振りかぶり投げ出されたモンスターボールからは白いもこもこしたポケモンが現れた。

 

「最初はウールーか…」

 

出てきたのは羊ポケモンのウールー、ホップの以前からの相棒だ。いつも以上に気合の入っていることを確認しながらアカツキもメッソンを繰り出す。

お互いにらみ合いが続いた結果先に動いたのはメッソンとアカツキだった。

 

「メッソン、『はたく』」

 

指示を聞き勢いよく飛び出したメッソンはウールーへと突進する。その場から微動だにしないウールーに疑問を感じながら勢いのついた手をウールーへと叩きつけた。

 

「やった!」

 

攻撃が当たり嬉しさを前面に出すアカツキ、メッソンも決まったと思ったのかにやりと口角をあげる。しかし、その余裕は一瞬で崩れる。叩きつけたメッソンの手はウールーの厚い羊毛に阻まれていたのだ。

 

「無駄だぞ!俺のウールーの特性は『もふもふ』、生半可な技はウールーには届かないぞ!『たいあたり』」

 

それを待っていた、とばかりにホップはウールーへと指示をとばす。ゼロ距離で放たれた『たいあたり』を受けたメッソンは吹き飛ばされてしまう。

 

「メッソン!」

 

「メソ!」

 

何とか空中で態勢を整え着地するメッソン。しかしまともに『たいあたり』を食らったせいか大きく顔をしかめている。

 

「ウールーは受けるのが得意なポケモン、攻撃を受け止めてからの反撃が得意なんだぞ」

 

「ウ~」

 

自信満々に声を張り上げるホップとウールー。自分たちの強みをしっかりと理解したその戦法にアカツキは身震いする。これがポケモンバトル、トレーナーとポケモンが一つになるとはこういうことかと思うと同時に自分の未熟さを痛感する。それを隙と判断したのかホップは畳み掛ける。

 

「ウールー、もう一度『たいあたり』」

 

先ほどとは打って変わり果敢に攻めてくるウールーに対してバトル初心者なアカツキは変化する状況に対応できずにいる。ひとまず自力で『たいあたり』を回避したメッソンは茫然としている自分のパートナーに向け指示をくれ!と激を飛ばす。

 

「…ッ!メッソン、『みずでっぽう』」

 

とっさに出した指示に従い水を吐き出す。勢いのついたそれは攻撃後で隙ができていたウールーへと直撃する。正面から水を浴びたウールーはたまらずトレーナーの元へと引き返していく。

 

「やるなアカツキ!でも次からはそうはいかないぞ、『まるくなる』」

 

ブルブルと水を払ったウールーは体を丸め羊毛にクルマってしまう。完全防御態勢に入ったウールーにまたもやアカツキの思考は停止する。直接攻撃は効かず水によるも今のウールーにはまともに通用しない、出せる手はないのかと考え込むアカツキに外野から声が飛んでくる。

 

「アカツキ、バトルするならちゃんと自分のポケモンの技くらい確認しときなさい」

 

ユウリの声にハッとする、メッソンには攻撃技以外にあと一つ技があることを思い出したアカツキは再びメッソンに指示を出す。

 

「メッソン、攻撃は無しだ。ひとまずウールーの近くまで近づいてくれ!」

 

パートナーの指示に従い接近しすぎない程度に距離を詰める。ウールーは丸くなったまま微動だにしない、完全に待ちの体制だ。唯一羊毛の生えていない顔も隠してしまっているのでこれでは手の出しようがないとメッソンが考えていると思いもよらない指示がとんでくる。

 

「出てこないなら引きずり出すんだ、耳元まで接近して『なきごえ』」

 

そう、いかに頭を隠したところでトレーナーの指示を聞くための耳はむき出しになっている。なるほどと感心したメッソンは一息で距離を詰めるとその大きな耳に『なきごえ』を叩きつけた。

 

「ンメェェェエ!!!」

 

突然の大声量にウールーはたまらず『まるくなる』を解除してしまう。しかし既にメッソンは耳の先まで接近している。

 

「ウールー!避けろ!」

「遅い!顔に向かって連続で『はたく』」

 

ホップの指示もむなしく羊毛に囲まれていない顔面に向けて大きく振りかぶられた手が叩きつけられる。かくして3発もの『はたく』まともに食らってしまったウールーは目を回してしまう。

 

「ウールー、戦闘不能。メッソンの勝ち!」

 

ダンデによって勝敗が宣言される。初めてのバトルに勝利したアカツキは大きく手を広げメッソンを抱きしめる。

 

「やったなメッソン!」

 

「メッソ!」

 

抱きしめられ、当然だと声を張り上げるメッソン。初めての勝利に興奮した彼らとは対照的にホップは倒れているウールーの元に駆け寄る。

 

「ごめんな、俺の判断ミスだゆっくり休んでくれ」

 

いたわりの言葉とともにモンスターボールへと戻したホップはアカツキを見つめる。初めての戦い、有利なのは確かに自分だったはずだ。しかし結果はアカツキの指示によって敗北、相棒を負けさせてしまった。それはひとえに油断、相手を押していたことと経験の差からくる慢心であった。ホップは自分の頬を強くたたく。もう油断はしないと喝を入れたホップがもう一つのボールを構える。

 

「俺にはもう一体相棒がいる!次こそは負けないぞ!」

「うん、来い!」

 

モンスターボールからヒバニーが飛び出してくる。先ほどのウールー戦とは変わりホップはすぐさま指示を出す。

 

「ヒバニー、『たいあたり』」

 

「ヒバっ!」

 

速い!そうアカツキが思った時にはヒバニーの『たいあたり』がメッソンをとらえていた。またしても直撃を食らったメッソンは今度は態勢を直せず地面に倒れてしまう。

 

「メッソン!」

「へへ、どうだアカツキ。ヒバニーの自慢のスピードは」

 

「ヒバヒバ!」

 

ぴょんぴょんと飛び跳ね挑発をするヒバニー。ウールーよりも断然速いことを確認しメッソンにまだ戦えるかを確認すると元気よく立ち上がる。まだまだいける、と伝えてくる相棒を信じ次はこっちからだと指示をとばす。

 

「メッソン、『みずでっぽう』」

 

炎タイプには水タイプの技が効果は抜群、タイプ相性にのっとった堅実な指示をとばすとノータイムで技を放つ。さすがに相手も警戒していたのか技は回避される。

 

「タイプによる有利不利を既にわかってるのか!?」

「さすがにね、だから強気でいかせてもらうよ『みずでっぽう』」

「ジャンプして躱すんだ!」

 

間髪入れず放たれた『みずでっぽう』を軽々と飛び越えて躱す。脚力の強いヒバニーならではの回避方法にメッソンも舌を巻く。

 

「今度はこっちから行くぞ、『ひのこ』」

 

近づくのは危険と判断したのかホップも遠距離技で攻撃にかかる。連続で技を使い疲労していたメッソンに『ひのこ』が当たる。効果がいまひとつとはいえウールーとの戦闘による疲労も蓄積したメッソンがついには膝をついてしまう。絶好の機会を前にしてホップはとどめとばかりに指示する。

 

「これで終わりにするぞ。ヒバニー、全力で『たいあたり』だ!」

 

完全な隙を見せたメッソンにヒバニーが襲い掛かる、ヒバニーの足裏が過熱しさきほどよりもさらに速度を増す。ここまでかと誰もが諦めた時メッソンの体が青く光りだした。

 

「なんだ、この光は!」

 

青く光りだしたメッソンが腕を支えにしながらもなんとか立ち上がる。その目はまだ勝負をあきらめてはいないようだ。

 

「ダンデさん、あれはいったい?」

「あれは『げきりゅう』、ピンチに陥った時に発動するメッソンの特性だ。今のメッソンは水タイプの技が強力になっているぞ」

 

「考えろ、何か…なにか策はないのか」

 

土壇場で『げきりゅう』を発動させたメッソンの姿に感化されたアカツキも思考をフル回転させる。メッソンがなんとか立ち上がったとはいえその足が限界に近いことは確か、もはや動くことは困難であろう。そして加速した今のヒバニーに『みずでっぽう』を当てるのことも至難の業である。経験の少ないアカツキではこの状況を打破するほどの案が瞬時には浮かばない。万事休すかとヒバニーの姿を見つめていると先ほどのヒバニーの動きが思い出される、二発目の『みずでっぽう』を軽々と躱していたあの姿が。

 

「ッ!メッソン、『みずでっぽう』」

「させるか!躱せヒバニー!」

「ヒバニーにじゃない地面に向かって打つんだ!ジャンプして躱せ!」

「!?」

 

『げきりゅう』で強化された『みずでっぽう』が地面に向けて放たれる。水流の勢いに押され空を飛ぶメッソン、突然対象を見失ったヒバニーは急激なブレーキをかけようとするがもう遅い。上空に跳んだメッソンからすればそれは大きな隙、最後の一撃を放つために大きく空気を吸い込み力を溜める。

 

「いけぇ!『みっずでっぽう』」

 

「メッッッ、ソオオオ!」

 

メッソンの口から激流が解き放たれる。『げきりゅう』の力をすべて込めた『みずでっぽう』はヒバニーを飲み込むとすべてを押し流していく。

 

「ヒバニー!」

 

メッソンが地面に着地すると同時にヒバニーは激流から解放される。ホップがヒバニーに駆け寄ると既にヒバニーは大きく目を回して気絶していた。

 

「ヒバニー、戦闘不能。よってこの勝負アカツキの勝ち!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

戦闘が終わりポケモンを回復させるために一時休憩に入ってからもアカツキはしばらく放心状態だった。怒涛の展開がアカツキのキャパシティをオーバーしてしまったようだ。ソファーに座りボーとしているアカツキにホップが声をかける。

 

「おい、お~いアカツキ返事しろ~」

「っは!あれ、ポケモン勝負は!?どっちが勝ったんだっけ!?」

「落ち着け落ち着け、勝ったのはお前とメッソンだ」

「あ、はは。そうだったっけ」

「そ、今はポケモンを回復させてる。俺の相棒もお前のメッソンも休憩中だぞ」

 

ホップはアカツキの隣に座り込みバトルの後の顛末を語る。ダンデが追加の回復アイテムを買いに行こうとしたらしいがホップとユウリが断固拒否、どうやらダンデは極度の方向音痴だという。結果ユウリが自宅から持ち寄った薬とダンデがあらかじめ用意していたアイテムにより今はもう回復しているという。話がひと段落するとホップは不貞腐れたような表情へと変わる。

 

「俺には二匹もポケモンがいたのにお前に負けちまった、強すぎだぞお前とメッソン」

「俺もいっぱいいっぱいでさ、最後の方はよく覚えてないや」

「まったく、あんなスゲーバトルしたのに覚えてないとか抜けすぎにもほどがあるぞ。このこの」

 

ハハハと笑うアカツキをホップが捕まえげんこつでぐりぐりする、俗にいうげんこつドリルである。痛い痛いと言いながら戯れるその姿は先ほどまでの激闘が嘘のようだ。ようやくアカツキが解放されると気分が晴れたのかニカっと笑ったホップが手を差し出すとアカツキもその手を握り返す。

 

「今回は負けたけど、次はもう負けないぞ」

「次も俺とメッソンが勝つよ」

 

握ったその手は戦う前よりも強く結ばれている気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょおっっと!あたしを抜きにしてなに青春っぽいことしてるのよ!」

「おお、ユウリいたの」

「全然気づかなかったぞ」

「ムキー!誰があんたたちのポケモンの治療をしたと思ってんのよ!」

「「すいません、本当にありがとうございます!」」

 

治療から帰ってきたユウリに速攻で土下座を決める二人。よろしい、とさっきまで二人が座っていたソファーをユウリが独占しふんぞり返る。

 

「それにしても二人ともいい勝負だったわよ。ついあたしも熱くなっちゃったわ」

 

二人のバトルを称賛するユウリ、そしてその目がアカツキを捉えた途端アカツキは蛇ににらまれたカエルのように悪寒に襲われる。

 

 

「次のバトル、楽しみにしてるわよ」

 

 

ハロンタウンイチの悪ガキ、ユウリとのバトルが今始まる。

 

 

 

 

 




名前、ユウリ。
見た目はデフォルト女主人公、常に大量の道具を持ち歩いている。
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