剣盾旅記録   作:鳴神ハルキ

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ジム戦書いたらちょっと燃え尽きますね…これが酷いとエタったりしちゃうんでしょうか?
まだまだ頑張ります!


22、空の戦い vsホップ

 ターフタウンのジムリーダー、草タイプ使いのヤローさんを何とか退け勝利の証『草バッジ』を手に入れた。

 勝利後、ロビーに戻ってくると沢山の観客の人やマイクを向けてくる人(インタビュアー?)などにもみくちゃにされたが、なんとかポケモンセンターの宿屋に帰ることができた。

 宿屋のベッドに転がり、手に入れた草バッジとそのあと受付の人に貰った技マシンを見てみる。

 

「たしか『マジカルリーフ』って言ってたっけ」

 

 技マシンとは使うだけで何度もポケモンに技を教えることができるというすごいアイテムらしいのだが、今まで使ったこともないし『マジカルリーフ』を覚えてられるポケモンもいなかったので持て余していた。他にも技レコードといわれる使いきりタイプもあるらしいのだが、今日はもう眠いので考えるのは明日にしよう。

 二つをカバンにしまい込み、眠る前にスマホをチェックしようと思い見てみるとにメッセージが来ていた。

 

「ん?ホップとユウリからか…」

『アカツキ!お前も草バッジ手に入れたんだな!さすがオレのライバルだぞ!』

『やるじゃない。バトル、中継のライブで見たわよ』

 

 二人からはターフジム勝利のお祝いの言葉が届いていた。

 そういえばジムチャレンジのバトルはテレビや公式サイト、動画サイトなどで世界中に配信されているのだった。見ようと思えば二人のバトルも見ることができたのだがすっかり失念していた。

 二人に返事を送ろうと思いグループトークを下までスクロールしてみた、すると。

 

『ライブ後のインタビュー面白かったぞ』

『動画ファイル』

 

『ガチガチでワロタ』

『動画ファイル』

 

「ん?」

 

 ほぼ同時に二人が動画ファイルを乗せていた。

 

『被っちゃったな』

『被ったわね』

 

 と二人が書いているところを見ると同じ動画なのだろうか?不思議なこともあるものだと思いながらホップが送った動画ファイルをタップし開くまで少し待ってみた。動画をダウンロードし終えたロトムスマホが動画ファイルを再生し始める。

 

『はい、ではここでアカツキ選手に突撃インタビューをしてみようと思います』

 

 動画を開いて最初に映りこんだのはマイクを抱えカメラに向かって話しかけている女性のお姉さん。どこかで見たと思ったら先ほど俺にインタビューらしきことをやってきた人だった。

 女性は人の波をかき分けターフジムのロビーを突き進んでいく。終了後というだけあってロビーには画面を埋め尽くすほどの人であふれかえっているがカメラもお姉さんもその流れに逆らって果敢に進んでいく。ある程度まで進むと流れが変わり、人の流れは入り口からまっすぐ進んだ先にあるジムチャレンジ入場口へと変わっていった。

 

『見つけました!本日最後のバトルで勝利を収めたアカツキ選手です!』

 

 入場口の前にはたくさんの人が集まり大きな人垣ができている。

 

『ああ、通してください!こちらインタビューのものです!通して!通しt!…通しなさいゴラァ!』

 

 お姉さんが野太い声をあげて人垣をかき分けていく。その声量と鬼気迫る顔(カメラ側からは見えない)に圧され人がどんどんと退いていく。

 

『アカツキ選手!本日の勝利について何か一つコメントを!』

 

「イヤァァァ!!?」

 

 ついに人垣をかき分けたカメラに映りこんでいたのはインタビュアーのお姉さんと突然のことに目を丸くした自分の姿だった。

 ジムリーダーとのバトル、ロビーにでた瞬間人に囲まれる、突然現れたインタビュアーと様々なことが重なりちょうど俺の頭がキャパシティを越えていたころだ。その証拠に目を丸くしてアホ面をさらしている。

 

『何か一言!』

『あ、あの…そのえっと…』

 

 お姉さんの言葉に急かされた動画の中の俺は視線をうろつかせ口から言葉にならない言葉を漏らしながらもじもじとしている。あれぇ?こんなだったっけ?緊張でよく覚えていなかった。

 そしてついに動画の中の自分が口を開いた。

 

『え、えっと!勝ててうれしいです!こ、これからも頑張るのでお、おうえんよろしくお願いしまちゅ!』

 

「アァァァァァァア!!!」

 

 最後の最後で噛んでしまった自分の姿にとてつもない恥ずかしさがこみあげてくる。こんな姿が世界中に流されているということを思い知り、ベッドに備え付けられている布団にくるまり顔を枕に埋める。

 

『今の気持ちを伝えたいお相手などは居ますか!』

『お、母さんに見てほしいで、っす』

『ズバリ勝利の要因は!?』

『ポケモン達が頑張ってくれたからです!』

『ありがとうございました!とてもかわいいアカツキ選手の活躍をこれからもご期待ください!』

 

 その後はお姉さんのそんな言葉で締めくくられ動画は終了した。枕から顔をあげてロトムスマホを手に取る。怖さ半分、好奇心半分で動画ファイルの出どころらしき動画サイトを開いてみる。

 すると視聴回数ランキングの上位に堂々と動画の姿が…!!まだ挙げられて一時間とちょっとくらいしか経ってないのに…!

 すでにコメント欄には多くのコメントが寄せられている。

 

『かわいい』

『新人らしい初々しさ』

『緊張しててかわいい』

『バトル中とのギャップ差でかわいい』

『食べちゃいたい❤』

『↑通報』

『↑通報』

 

 

 とても死にたくなったのでロトムスマホを投げだして眠りについた。……でもその後ロトムスマホを拾いなおして充電器につなげてもう一度眠りなおした。グスン。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 昨日早めに寝たことで今日は早めに目が覚めた。まだ時間は6時少し前だ。

 頭に手を当てると妙にゴワゴワしている。昨日はあのまま寝てしまいシャワーを浴びてなかったことを思い出したので部屋で浴びた、寝覚めのシャワーは頭を覚醒させてくれる。

 

「…今日は早めに出ようかな」

 

 ホップたちは既に次のジムがある町、漁業で有名な海の町バウタウンに向かっている。なら俺も負けてはいられない。シャワーを浴び終えたらしっかりと体の水気を拭き取る、窓を開けると新鮮な空気と風が火照った体を冷やしてくれて気持ちがよかった。

 それから少しして俺はポケモンセンター、そしてターフタウンを後にした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「アカツキ君よね!インタビューを!」

「なんでいるの!?」

「ジムを攻略したチャレンジャーはさっさと次の町に行っちゃうからね!出待ちは基本!」

「アカツキ君カメラ映りいいよ!」

「バトルに勝てば独占インタビュー!」

「良いトレーナーはカメラ映りもいいものさ…」

 

「メッソン!ワンパチ! 蹴散らせ!」

 

「メッソ!」

「ワパパ!」

 

「なんて強さ!一言では語りつくせない!まさしく可能性の塊!」

「負けた!インタビューはなしか…」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「もうお昼か…カレーでも作ろうかな。材料はと…」

 

「チュゥゥウゥ!」

 

「うわなんだこのきのみ!なかにポケモンが!?」

 

「チュゥゥウゥ!!」

 

「…あれ?さっきからこいつ攻撃してこないな。えーとなになに、カジッチュ、覚える技は『おどろかす』と『からにこもる』…」

 

「チュゥゥウゥ!!!」

 

「カレー食べるか?」

 

「チュゥゥゥ…!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「長いブリッジわたるからよ!さっさと自転車寄越せよ!」

「奪った自転車でジムチャレンジャー追いかけーる、邪魔してやるのさ!」

「なんて無茶な!ああ、そこのジムチャレンジャーさん助けて下さい!」

「…あの、マリィに叱られて懲りてないんですか?」

「お前はあの時エール団にケンカを売った強いチャレンジャー!」

「…つまりここでお前を倒せばあの人の邪魔になる相手が減ーる?」

「あの人のため!」

「ここでボコボコにして邪魔してやーる!」

 

「ああもう…ウールー!ロコン! 蹴散らせ!」

 

「ンメェェ!」

「コォォン!」

 

「ぐわぁぁ!邪魔することを邪魔されたのでーす!」

「邪魔をするのはおれたちエール団の仕事なのにー!」

「お前のようなジムチャレンジャーがいるとあの人が勝ちあがれない!」

「他のジムチャレンジャーを困らせーるためにも次に行くぞ!」

 

「はぁ。こんなことしなくてもマリィは十分強いだろうに…」

「ジムチャレンジャーさんありがとうございます!お礼に貴方に自転車をお譲りしますね!」

「え、あ、はい」

「この自転車は何とですねモーターを積むことで中にロトムを入れることができるんですね。ロトムはモーターが大大大好きですからこの自転車の中にも入ってくれるんです!自転車にロトムを入れることで得られる恩恵が何とですね……」

「(は、話が長い…!)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 結局エール団に自転車を強請られていたおじさんにロトム自転車を押し付けられてしまった。しかしロトム入りのモーター自転車は画期的だった。走れば走るほどモーターで電気が生み出され、それをロトムの力によって逆利用しモーターで自転車を動かすこともできるというものだ、いつもより浴びる風も気持ちがいい。しかもこの自転車なんと折り畳み式、旅人の持ち運びにも気を使った新設設計だ。

 ロトム自転車で5番道路を抜けていくと大きな橋が見えてきた。

 ワイルドエリアの上を大きく横断するこの橋は以前俺がきのみ採取のために走り抜けたハシノマ原っぱの上にかかっている。せっかくなので自転車を畳んでカバンに入れて徒歩で渡ってみることにした。

 

「おお!いい眺め!」

 

 橋の上から眺めたワイルドエリアの景色はまさしく絶景の一言だ。天気の移り変わりの激しいワイルドエリアだが、今日はどこも快晴だったため遠くまで見渡せられる。

 

「あそこが逆鱗の湖…砂嵐があったからってよくあんなところまで行けたな」

 

 遠くの方にかすかに見える逆鱗の湖やその手前に広がる大小さまざまな石が点在しているストーンズ平野、この場所から見える範囲の内多くを占めている砂漠と化した大地砂塵の窪地。そして、

 

「あれがナックルスタジアム…」

 

 ワイルドエリアを越えた先、最後にして最強のジムリーダーが守護しているナックルジムがあるナックルスタジアム。気が付けば橋の手すりを握り締めていた。

 必ず、あのジムを越えて決勝トーナメントまで勝ち上がってみせる。

 

「よし!次のバウタウンまでもうひと頑張りだ!」

 

 大きく深呼吸した後、頬を強く叩いて気持ちを入れなおす。目の前に広がる雄大な景色に別れを告げて次の町へと足を進めよう。ロトム自転車をカバンから取り出そうとしたとき、

 

「来たな!アカツキ!」

 

 橋の先から大きく、そして聞きなれた声が聞こえてくる。よく目を凝らしてみると先にバウタウンに向かったホップではないか。

 とりあえずホップのところまで足を進めた。

 

「どうしたの?ユウリと先に行ったんじゃないの?」

「おお!お前と戦うために待ってたんだぞ!」

 

 何とホップは俺と戦うためだけにここで待っていたらしい。

 

「どうしてそこまでして?」

「ジムバッジを持つ者同士、もっともっと腕を磨きあうためだぞ!」

 

つまり強いトレーナーとバトルをして強くなりたい、ということだろうか?

 

「ずばり今回トレーニングするのはトレーナーとしての純粋な腕!ポケモンを強く育てて、良い指示ができるのか!だ」

「純粋な腕って?」

「アオガラスとアオガラス、同じポケモン同士を使ってのバトルってことだぞ!」

 

 俺達が共通して持つポケモンを使ってのバトル。手に入れた時期も近く、進化のタイミングから実力も拮抗しているはずだとそういう理由らしい。

 

「了解。それじゃあ時間も惜しいし、始めよっか」

「おう!オレとポケモン達がどれだけ強くなったか見せてやる!」

 

 この大きな橋の上で、俺達…バッジという強さの証を持つ者同士の腕比べが始まる。

 

「いけ!アオガラス!」

「頼んだぞ!アオガラス!」

 

「アァァガァ!」

「あぁぁがぁ!」

 

 二匹のアオガラス、どちらもジムチャレンジで強敵を降し強くなった者同士だ。そしてこの橋の上に二匹を遮るものは一つもない、大空を翔る者たちが本領を発揮できる舞台だ。

 

「「アオガラス、上をとれ!」」

 

 俺達の指示が重なる。同じ鳥ポケモン同士、ならば空(上)を取った方が勝つに決まっている。

 アオガラスたちは翼を広げ空高く昇っていく。まるでどちらもこの空の支配権をめぐっているようだ。

 

「アオガラス、『つつく』!」

 

 先に動いたのはホップとアオガラス。ココガラの時よりも立派になったくちばしで俺のアオガラスに迫る。

 

「負けるか!『みだれづき』!」

 

 ならばとこちらもくちばしをとがらせ対抗する。

 一撃対連撃、勝ったのはこちらのアオガラスだった。『つつく』の一撃を器用に弾き、二発目三発目と『みだれづき』をお見舞いしてやった。

 

「よし!『つけあがる』!」

 

「ガァ!」

 

 気分を好くしたアオガラスは空中で見動きを止めたホップのアオガラスに『つけあがる』を食らわせる。

 

「アオガラス!しっかりするんだぞ!」

 

「! アぁぁガ!」

 

 『つけあがる』をくらい空から墜落するホップのアオガラス、しかしホップの声でホップのアオガラスは態勢を立て直す。その目にはまだ闘志を宿している。

 

「アオガラス、『にらめつける』だぞ!」

 

 ホップのアオガラスが鋭い目つきで俺のアオガラスを睨み付ける。自分が有利だと思っていた俺のアオガラスは敵の予想を超える眼光に驚き体を硬直させる。

 

「今だ、『ついばむ』だぞ!」

「こっちも『ついばむ』だ!」

 

 一瞬怯んだアオガラスの隙を見逃さずホップのアオガラスが先ほどよりもくちばしを長く、太く、尖らせる。こちらも自慢のくちばしに力を込めて真っ向勝負だ。

 ホップのアオガラスはくちばしを尖らせ上昇、俺のアオガラスはくちばしを尖らせ下降。上から下に降りる分、こちらの方が威力は高いはずだ!

 

「いけぇ!」

「そこだアオガラス、旋回だぞ!」

 

 しかし、先ほどと同じくくちばし同士が衝突すると思われていた対決をホップが回避させる。

 二匹はすれ違い、上と下の立場が逆転する。

 

「アオガラス、『つつく』!」

 

「アぁぁガぁ!」

「ガァアァァ!」

 

「アオガラス!」

 

 すれ違いざまに晒した背中にホップのアオガラスのくちばしが炸裂する。『つつく』は『ついばむ』に比べ威力は低いが早く出せる、という原理をうまく利用した一撃だった。

 『にらみつける』で防御力を下げられ、むき出しの背中への強力な『つつく』をお見舞いされる。アオガラスは羽ばたくこともできずそのまま橋に激突してしまった。

 

「アオガラス、大丈夫か?」

 

「アァァ…ガ、ガァ…」

 

 アオガラスのもとにかけつけその体に触れる。どうやら墜落し、強く体を叩きつけたことでアオガラスは右の翼を傷めてしまったようだ。なんとか立ち上がるが、右の翼を左の翼で押さえている姿があちらの目にも痛々しく映る。

 

「どうだ!俺達の対飛行タイプ戦法、名付けて『天地逆転』だ!」

「驚いたよ…まさか直球勝負の好きなホップがこんな作戦を使ってくるなんてね」

「へへ、俺だってポケモン勝負を重ねてきたんだ。少しくらいは作戦を考えるぞ!」

 

 ホップのアオガラスは翼を押さえたこちらのアオガラスを見て不敵に笑っている、飛ぶという行為は空の支配者たる飛行タイプならではの自負なのだろう。こちらのアオガラスはそれを見て悔しそうに顔を歪めて睨め返すが、相手にとってはまさしく負け犬の遠吠えというものだろう。

 

「もう相手は飛べない!、おしまいにするぞ、『ついばむ』!」

 

「アぁぁ!」

 

 空を飛べない鳥ポケモンなどもはや相手ではない、と言わんばかりにホップのアオガラスが鳴き声をあげくちばしを尖らせる。先ほどよりも長く太い。これがホップのアオガラスの全力なのだろう。

 

「いけぇぇ!」

 

「ガぁぁぁ!」

 

 橋の上で立ちすくむこちらのアオガラスに向けてホップのアオガラスが加速をつけながら一気に下降してくる。上から下へ、威力は倍増しているだろう。

 

「…ねえ、ホップ」

「ん?」

 

 あと少しでくちばしが直撃する、というところで声を掛けられたホップがついこちらに顔を向ける。俺は二匹から動かさないまま口を動かす。

 

「俺のアオガラスが…」

 

 くちばしの先がアオガラスの体を串刺しにする、という距離まで近づいてきたとき、俺のアオガラスにやりと笑いその黒い翼を広げた。

 

「もう飛べないなんて」

 

 ホップのアオガラスが目を見開く。ホップはこちらに顔を向けていて気付いていない。俺は目を背けずその姿に視線を注ぎ続けながらも口角をあげてこう言った。

 

「…一言も言ってないよね?」

 

「ガァァァ!」

 

 アオガラスは痛む翼を無理やり動かし、なんとかひと羽ばたきの力を注ぎこむ。浮かび上がったアオガラス、くちばしを避けられ驚愕を露わにするホップのアオガラス。

 天地が、逆転する。

 

「! アオガラス!」

「もう遅いよ、押さえつけて!」

 

 俺のアオガラスが鋭い爪を光らせホップのアオガラスの体を押さえつける。長くはもたないがそれで充分、羽ばたために使った力をくちばしに集めるこの一瞬が欲しかったのだ。

 

「アオガラス、『ついばむ』!」 

 

「アァァァ!」

 

 アオガラスのくちばしに力が集い立派なくちばしを形成する。

 飛べないはずの相手が飛び、避けられない攻撃を避けられ、地面に押さえつけられ混乱しているホップのアオガラスの体をそのくちばしが貫いた。

 

「アオガラス!」

 

 その一撃で勝負は決した。立っていたのは俺のアオガラス、倒れ伏しているのはホップのアオガラスだ。

 

「…オレの完敗だな」

 

 ホップは手を頭に当てて降参をあらわにする。

 

「今の作戦、いつから考えてたんだ?」

「アオガラスの体を起こした時かな、なんか目がまだいけるみたいなこと言ってた気がする」

 

 俺のあいまいな言葉にホップがなんだそりゃと突っ込みを入れる。そのあとすぐさまアオガラスのもとに駆け付け優しくボールに戻す。

 

「お疲れさまだぞ」

 

 俺もアオガラスをボールに戻す。

 

「お疲れ様、今日もカッコよかったよ」

 

「ガァ!」

 

 少し調子に乗りがちなところが玉に瑕な相棒だが、これぐらいは勝者にかけて当然だろう。どうかゆっくり休んでくれ。

 ポケモンを戻し終えて今一度向かい合う。俺から手を出す。

 

「良い勉強になった」

「こちらこそ、いい勉強になったよ」

 

 久しぶりに握ったホップの手は以前握った時より逞しくなったような気がする。

 

「アカツキ、お前も強くなったんだな」

「ホップこそ、よく握手してるでしょ」

「なんでわかったんだ?」

「握った時の感触が、前より握り慣れしてる感じがした」

 

 おれがそう答えるとホップが手を放して距離を取った。何故だ?ポケモントレーナーなら握手をして相手の掌を確かめるのではないのか?

 

「よし、トレーニングも終わったし次のバウタウンに向かうか!」

「どうせなら一緒に行く?」

「いや、オレ達はライバルだ。…つまり、競争だ!」

 

 そういってホップは突然走りだし俺との距離を離していく。まったくいつも通りのホップで安心した。

 俺は折り畳み式のロトム自転車を組み立てた後、悠々とホップを抜いていった。

 

「あ、ずるいぞ!アカツキ!」

「あーっはっはっは!科学の力ってスゲー!」

 

 

 

 ありがとうエール団に襲われていたおじさん、貴方に貰った自転車は大事に扱ってみせます!

 

 

 




※修正
二つ目のジムのある『バウタウン』を『キルクスタウン』と誤解しておりました。現在は修正を終わらせています。
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