剣盾旅記録   作:鳴神ハルキ

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28、エール団襲来! 2

 

 第二鉱山でビートにも勝利し、現在ウキウキの俺とジメレオン。洞窟はほの暗いが俺達の心は太陽のように明るい。

 

「あのピンク野郎に勝ててスッキリ!この調子なら次のジムリーダーのカブさんにだって負けないよな、相棒!」

 

「メレオン!」

 

 なにせ次のジムのタイプは炎、うちで一番の実力を誇るジメレオンは水、負けるわけがない!(確信)

 

 とはいいつつも油断はならないのも事実。

 ターフタウンのヤローさんのヒメンカは相性で不利なロコンをヒメンカで完勝しかけた、ルリナさんのサシカマスも持ち前のスピードと水のフィールドをうまく使いパルスワンを相打ちにまで持ち込んだ。

 相性で上回るとしてもポケモンの実力、トレーナーの実力があればそれも覆る。気は引き締めていこう。

 

「まずはこの第二鉱山を進まないとね」

 

 『ねがいぼし』の採石場を後にして本来の道に戻り、そのまま進んでいく。

 第二鉱山は鉱山という割には水場が多く、水ポケモンも多数生息している。第二鉱山はの開発が思ったよりも進んでいないのは洞窟内に多くの水源があることで不用意に開発が進められないのだろう。

 

 本道にはいたるところに明かりが設置されているので迷うことは少なく、さらに明かりに照らされた色付きの鉱石などが光を反射してとても幻想的だ。

 

「ん?なんだあれ」

 

 しばらくの間幻想的な風景に夢中になっていたのだが、ふと道の先を見ると赤と白色のなにかが地面に落ちているのが見えた。気になって近くまで行ってみるとそれはモンスターボールだった。

 

「こんなところにモンスターボール、落とし物なら鉱山員の人にでも届けてとこ」

 

 落とし物のモンスターボールに手を伸ばしてそれを拾おうとした瞬間、モンスターボールの周りの地面が盛り上がった。

 

「へ?」

 

 盛り上がった地面の両端からギザギザとした鋼鉄の刃が姿を現す。その刃は俺の手、モンスターボールへと伸ばした手を中心として確実に挟み込むような構造になっている。

 

「メレオン!!」

 

 俺がその不思議場面に硬直していると伸ばした手とは反対の手、つまり左手が急に後ろに向かって引っ張られた。

 そのまま体勢を崩し、お尻から地面に倒れこむ。激痛がお尻を襲うがさすがはお尻、クッションとなることで痛みはお尻だけで済んだ。左手を見てみるとジメレオンの舌が絡みついている、あの咄嗟の状況で俺の体を後ろに引っ張り助けてくれたらしい。

 

「あ、ありがとうジメレオン」

 

 あのままだったら俺の腕はあのまま鉄の刃に挟まれて重傷、いいや下手をすれば一生使い物にならなかったかもしれない。

 誰がこんな悪意に満ちた罠を…と思い正面を見るとガッチリと挟まっていたトラばさみがモゾモゾと動き始めた。トラばさみが開くとその中から目が、口が、顔が姿を現した。

 

「なんだこいつ!」

 

 慌ててそれから距離を取りジメレオンの後ろに隠れる。すかさずポケモン図鑑をそれに向けると反応が出た。

 

「マッギョ…トラップポケモン、地面・鋼タイプ…」

 

 ポケモンの名前はマッギョ、どうやら普段は地中に隠れていて獲物が近づくと体の上下に着いている鋼の刃で捕まえる、そういうポケモンらしい。

 よく見てみるとモンスターボールかと思った赤と白色のものはマッギョの唇であった。あれを拾おうと手を伸ばした獲物をバクン!そういう仕組みなのだろう。

 

「こっわ!」

 

 殺意が高すぎるその性質に体が震えあがる。これもポケモンが生きていくために獲得した性質なのだろうが怖いものは怖い、特に鋼鉄の刃が恐ろしすぎる。

 マッギョは開いた自分の体を何度もガチャガチャと閉め獲物がかかっていないことに首をかしげる。そして自分の正面に立っているジメレオンとその後ろで肩を震わせる俺に気がつくとにやりと笑い襲い掛かってきた。

 

「マッギョギョ!」

 

 マッギョは口から泥を吐き出しそれを弾丸として撃ってきた、『マッドショット』だ。

 

「ジメレオン、『みずのはどう』だ!」

 

 すかさずジメレオンに指示を出して『みずのはどう』を作り出す。それを地面に叩きつけ水の壁を作り出し『マッドショット』を防御する。

 

「ジメレオン、『みずでっぽう』!」

 

 水の壁に攻撃を防がれギョッとするマッギョ、マッギョだけに。そのままその顔面に『みずでっぽう』を叩きこみ後方へと吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされたマッギョはその平たい体を丸めて一回転し華麗に着地する。再びガチャガチャと鋼鉄の刃を打ち合わせるとその刃を口の様にして跳びかかってきた、恐らく『メタルクロー』だ。

 

「ジメレオン、避けろ」

 

 襲い掛かる鋼鉄の刃をヒラリと躱しその平たい体を横からしっぽで叩きつける。マッギョはその攻撃を受けて吹き飛ぶが体から橙色のオーラを吹き出しとんでもないスピードで跳びかかってきた。

 『メタルクロー』の時とは段違いのスピードにジメレオンは反応が遅れまともに攻撃を受けてしまい、壁に叩きつけられる。攻撃を受けたことでより強いパワーを引き出す『リベンジ』だ。

 

「こいつ、結構強いぞ!」

 

 地中に隠れて獲物がかかることを待つという罠スタイルのポケモンのくせに意外と武闘派だった。マッギョは吹き飛ばされたジメレオンを見てぴょんぴょんと飛び跳ね喜んでいる。

 そして護衛のいなくなった俺の方を向くと刃を尖らせ襲い掛かってきた。弱い方から狙う、当然の摂理だ。

 

 だがこちらだってむざむざ食べられる通りはない。

 カバンの中に手を突っ込み目当ての物を探す。とげとげとした感触とつるりとした表面に当たりをつけそれを引っ張り出すとすぐ側まで迫ってきていたマッギョの口めがけて投げつける。

 

「これでも食ってろ!」

 

「マッギョ!?」

 

 獲物からの意図しない反撃、投げつけられたものをガードしようとしてトラばさみを閉める。グシャという音とともに投擲物がつぶれる、潰れた中から赤くオレンジ色の汁が刃の隙間を通ってマッギョの目や口に降りかかる。

 

「!!?!」

 

 マッギョが声にならない悲鳴を上げて慌て始める。地面を転げまわり、空中を飛び跳ね、ハサミを打ち付ける。

 ハサミを打ち付けるたびにビチャビチャと果物の汁が地面に飛び散る。俺が投げつけたのは『マトマのみ』、数あるきのみの中でも辛さだけならトップクラスのものでその汁が目や口に入ればとんでもない刺激となる代物だ。暴漢やポケモン撃退用催涙スプレーの原材料にもなっているものの原品だ、さぞ痛かろうて。

 

 するとマッギョが池に飛び込んだ。地面タイプのポケモンなのに水の中に入れるんだ、と感心しているとマトマの汁を洗い流したマッギョが憤怒の形相で飛び出してきた。

 

「なんだ、お代わりが欲しいならやるぞ!」

 

 こちとらカレーの魔術師の称号を貰ったカレー職人だ、きのみの補充は欠かしていない。

 二つ目のマトマのみを右手にマッギョとにらみ合う。あちらもこのきのみの恐ろしさをよくわかったはずだ。

 

 しばらくにらみ合いが続いたがジメレオンが立ち上がるとマッギョはそのまま池に飛び込んでどこかに行ってしまった。

 

 ポケモンと生身で相対したことを今更になって思い出すと力が抜けて倒れそうになった。

 ジメレオンが急いで俺のところに駆けつけてきて心配そうな目で見てきた、それから俺を危険に晒したことを負い目に思ったのか目に見えて落ち込んでしまった。

 

「大丈夫だって、お前のせいじゃないよ」

 

 ジメレオンの頭を撫でてあげるが機嫌は治らない、うーんどうしたものか。

 

「こんなときこそカレー!」

 

 深く考えていても仕方ない、どうせお昼時で他の皆も先のビートとの戦いで疲労している。

 なら美味しいものでも食べて気分を前向きにしようとかそんな感じだ。

 

「ジメレオン、手伝ってくれるか?」

 

「メ、メレオン!」

 

 ジメレオンと一緒に火を焚きカレー作りを開始する。考えてみれば四番道路でカレーを作って以来一緒にカレーを作るのは久しぶりだ。

 きのみを切りそろえフライパンで炒っていく、いい香りが洞窟の中に広がっていく。ジメレオンを見てみるとまだどこか他のことを考えて集中しきれていない様子だ。

 

「ほ~らジメレオン、そのままじゃ焦げちゃうぞ。もっと手早く!そして心を込めて!」

 

「ジ、メメ!」

 

 俺わざと急かしてみればジメレオンは慌ててそちらに集中する。そのまま調理を進めていけばすっかりきのみを炒ることに集中していった。

 カレー作りが進むほどジメレオンの落ち込んでいた様子が消えていったのがわかる。

 

「みんな出てこい!」

 

 カレーができ終わり、仲間達を出す。静かな洞窟内が途端に騒がしくなる。

 

「ンメェ!」

「アーガァ!」

「コォン!」

「ワォン!」

 

「ほら、ジメレオンみんなと食べてこい」

 

「メレオン!」

 

 ジメレオンはカレーを抱えてみんなの元へと走っていった。うんうん、やはりカレーはみんなを笑顔にする。

 カレーを食べ終わったころにはすっかり落ち込んだ様子も消え去り、口の端っこにカレーを着けている。俺が指摘すれば顔を赤くしながら長い舌を伸ばして綺麗にした。

 

「ジメレオン!」

 

「メレ!」

 

「さっきのことはお前のせいじゃない!復唱!」

 

「メ、メレオン!」

 

「よし、出発!」

 

 先ほどの失敗を乗り越え終わり、再び洞窟内を歩きだす。ジメレオンもしっかり隣で歩いている。

 洞窟内を歩いていくとところどころにマッギョが埋まっていたと思われる形跡が残っている。おっかないったらありゃしない。

 

 しばらく進んだところで少し開けた場所に出る、ビートとバトルをした場所よりも広い。壁の端に鉄のパイプやセメントの入った袋、各種道具が詰められた木箱などが置かれているところを見るとここは鉱山開発の中心のような場所なのだろう。

 

「ぐへへ、来たぜ」

「ああ、来たな」

 

 中心まで歩いていくとどこからともなく現れてきた、エール団だ。

 

「またか…」

「君、ジムチャレンジに参加…してますよねぇ?」

「ぼく達ジムチャレンジのファンなんですよぉ、だからお手合わせしてくれたらなあって!」

 

 モンスターボールを構えて戦闘態勢を整える、どうやらバトルをしないと通してくれない様子だ。俺もジメレオンともう一体ポケモンを出そうとしたところで元来た道からザッザと誰かの走ってくる音が聞こえる。俺とエール団がそちらを見てみれば、

 

「おーい、アカツキ!ホップ様が来たぞー!」

 

 なんとホップ、ルリナさんを倒してもう俺を追ってきたのか。

 

「速いね、ホップ」

「おう、ルリナさんを倒してそのまま直行だぞ!」

 

 ビートとねがいぼし堀りをしている間に差を詰められてしまった。くやしい。

 

「途中でカレーの匂いがしたからさ、お前がまだいると思って走ってきたんだぞ!」

 

「お、もしかしてアカツキのファンか?ファンに囲まれるなんてアニキみたいですごいぞ!」

「また新しいのが来ましたね」

「ちょっとちょっと、貴方誰ですか!」

「オレの名はホップ、未来のチャンピオンだぞ!好きなものはウールー!カレーは中辛!布団は羽毛が好きだ!」

「そこまで聞いてないのでーす!」

「そして笑えないジョーク以外は面白い、チャンピオンとなるのはあの人だけでーす!」

 

 あの人、おそらくマリィのことだろう。エール団も普通に応援すればいいだろうに何故ここまで妨害行為に意欲旺盛なのだろうか、何かしら秘密がありそうだ。

 

「そっか、ならポケモン勝負で笑顔にしてやるぞ!アカツキ!」

「うん、お願いするよホップ!」

 

「二人纏めてくるとは」

「返り討ちにしてやーるです!」

 

「吹っ掛けてきたのはそっちなんだよなぁ…」

「いくぞ、チャンピオンに推薦されたオレ達の力を見せてやる!」

 

 俺はそのまま外に出していたジメレオンを、ホップはウールーを出した。

 

「行くでーす、マッスグマ!」

「やるでーす、フォクスライ!」

 

 エール団はフォクスライとマッスグマを繰り出してきた、図鑑で調べてみればどちらも進化系、今までのエール団員よりも手ごわそうだ。

 

「マッスグマ、『すなかけ』!」

 

 エール団が先手を取った。マッスグマは四足歩行の状態から前脚を振り上げ後ろ脚だけで立ち上がる二足歩行の状態となる、そのまま前脚を地面に振り下ろすと大きな砂煙を上げこちらの視界を封じてくる。

 

「フォクスライ、『わるだくみ』でーす!」

 

 そして視界を奪ったところでフォクスライが脳みそをフル回転させ自分の能力を大きく向上させるという作戦のようだ。

 

「させるか、『みずのはどう』!」

「ウールー、『にどげり』だぞ!」

 

 『みずのはどう』を地面に打ち付け広範囲に拡散させる、飛び散った水が砂煙を重くしてすぐさま晴らさせる。砂煙の向こう側で目を閉じ、考え事をしていたフォクスライの姿が丸見えだ。

 そこに走りこんだウールーの『にどげり』がヒットしフォクスライを吹き飛ばす、効果は抜群だ。

 

「小賢しいでーす。フォクスライ、『バークアウト』」

「マッスグマ、『つじぎり』でーす」

 

 ふわりと着地したフォクスライが大きく口を開けて黒い音の波動をあげる、『わるだくみ』によりはじき出されたポケモンを不快にさせる音が洞窟内を響きわたらせジメレオンもウールーも動きを止めてしまう。

 その隙をついたマッスグマが黒く染まった腕でジメレオンに鋭い一撃を食らわせる。無防備に近かったジメレオンには大きなダメージとなった。

 

「ぐっ、ウールー、『まねっこ』だ」

 

「ン、ンメェェェ!!」

 

 ホップのウールーから黒いオーラが立ち上り、フォクスライと同じ『バークアウト』が飛び出す。『わるだくみ』で威力の上がった『バークアウト』の威力には及ばないが音が相殺しあい不快な旋律が納まった。

 

「ナイス、ホップ!ジメレオン、『みずでっぽう』だ!」

 

 ジメレオンが素早く水の玉を作り出しマッスグマへと投げる。マッスグマは腕にまとわせた『つじぎり』でひとつを切り裂くがジメレオンは一度に二発作ることができる、二発目をまともに食らったマッスグマは二足歩行の弊害かバランスを崩して後ろに倒れこむ。

 

「今だ、『にどげり』!」

 

 倒れ伏したマッスグマにウールーの『にどげり』が撃ち込まれる。ノーマルと悪タイプを併せ持つマッスグマに格闘タイプの『にどげり』は致命的な一撃となりマッスグマはそのまま目を回して倒れてしまった。

 

「そーんな!」

「フォクスライ、『でんこうせっか』でーす!」

 

 マッスグマを討ち取ったウールーにフォクスライがすさまじい速度で接近する、が。

 

「ジメレオン、『ふいうち』!」

 

 フォクスライがウールーに届く前にジメレオンの腕がフォクスライを打ち上げる。そして打ち上がったフォクスライをジメレオンの舌で絡めとった。

 

「フォクスライ!」

 

 フォクスライをぐるぐると回した後、地面へと叩きつける。フォクスライはマッスグマのすぐ横で仲良く倒れ伏した。

 

「のー!」

「助かったぞ、アカツキ!」

「そっちこそ、良い『にどげり』だったよ」

 

 二体を続けて倒しホップとハイタッチする。二つのジムを乗り越えてホップとウールー達も実力を上げているのがわかる。

 

「く~!!」

「何故です!!」

 

 エール団の二人は地団太を踏みながら悔しがっている。

 

「どうだ、まいったか!」

「こっちはまだまだ行けるよ!」

 

「まだでーす、レパルダス!」

「負けないのでーす、ヤンチャム!」

 

 まだポケモンを持っていたエール団は二体目のポケモンを出してくる。

 すらりとした体を持つ猫型のポケモン、レパルダス。葉っぱを咥えた小さなポケモン、ヤンチャムだ。

 

「いくぞ、ウールー、『にどげり』だ」

 

 レパルダスに向かってウールーが跳びかかる、悪タイプのレパルダスに効果は抜群の技だ。

 

「レパルダス、『ねこだまし』でーす」

 

 しかしウールーの『にどげり』が届く前にレパルダスの『ねこだまし』だウールーの顔面で発動した、目の前で叩きつけられたレパルダスの両前脚から小さな衝撃が発動しウールーを吹き飛ばす。

 ウールーは突然の衝撃に目をぱちぱちと瞬かせている。驚きで頭がうまく働いていないようだ。

 

「ヤンチャム、『ともえなげ』でーす」

「ジメレオン、『ふいうち』だ」

 

 無防備なウールーにヤンチャムが襲い掛かる。それを防ぐためにジメレオンがすごいスピードで接近する。

 

「もう同じ手は効かないのです!『いちゃもん』」

 

「にゃーご、『パルダァス!!!』」

 

「!?」

 

 『ふいうち』を使おうとしたジメレオンの体が停止し、レパルダスと言い合いを始める。俺には理解できない。

 『いちゃもん』を着けられた会話はこんな感じだろう。

 

『ふーんまた同じ技?芸が無いニャ』

『なんだと猫!』

『芸の少ないオスはメスにもモテないニャwww』

『もういっぺん言ってみろ!』

『あーやだやだ、モテないオスはこれだから…ww』

『ころぉす!』

 

 『いちゃもん』をつけられたジメレオンの『ふいうち』は不発に終わりしかもレパルダスに向かってしまった。フリーとなったヤンチャムはそのままウールーのおさげを掴み上げぐるぐると回しそのまま投げ飛ばした。

 投げ飛ばされたウールーが壁に叩きつけられダメージを受ける。そのままウールーはホップのボールに返され代わりにラビフットが出てきた。

 

「なんでだ!?」

「えーっと、『ともえなげ』は受けたポケモンを無理やり手持ちに戻す、だって」

「くそぉ、ラビフット行けるか!」

 

「ビフット!」

 

 突然引きずりだされたラビフットだがホップの声を受けてすぐさまやる気となった。

 

「ラビフット、『ニトロチャージ』だぞ!」

 

 ラビフットが大げさに力を溜めるポーズをとると全身が燃え上がった。そのままヤンチャムへと突撃(チャージ)を食らわせる。

 ラビフットはそのままレパルダスのところまで走りレパルダスまで吹き飛ばしていった。

 

「へへ、『ニトロチャージ』は使えば使うほど素早さが上がるんだぞ。もっと『ニトロチャージ』だ!」

「『いちゃもん』でーす」

 

『はぁ、また同じようなオスね』

『なんだ?』

『同じことしかできないオスってかわいそうよねw』

『進歩がない、進化もない、お先も真っ暗。そんなオスが選ばれるはずもないニャねw』

『なんだかよくわからんが馬鹿にされてるのはわかったぞ!そんなにいうなら別の技を見せてやらぁ!』

 

 『いちゃもん』にのったラビフットの『ニトロチャージ』が解除される。

 

「ホップぅ!」

「しまったぁ!」

 

「こいつら馬鹿なのか強いのかわからないでーす」

「とりあえず、『つっぱり』でーす」

 

 ヤンチャムが小さな手に力を込めてジメレオンの体を突き飛ばす。その小さな手から撃ち出されたとは思えない重い一撃がジメレオンへと打ち込まれていく。

 

「チャム!チャム!チャム!」

 

「ジメレオン、『なみだめ』」

 

「メ、メレェオォン……」

 

 何度も何度も突き飛ばされたジメレオンのの瞳から一筋の雫が落ちる。それに伴いすすり泣くジメレオンの悲しげな声が響き、ヤンチャムの手が止まる。

 突然泣き出した相手の様子におろおろし始めるヤンチャム、良い子だ。

 

「ジメレオン、『みずのはどう』!」

 

「メレェオン!」

 

「チャム!?」

 

 そして顔を覆っていた両の手から特大の水球が生み出される。それを至近距離で食らったヤンチャムは大きく吹き飛ばされてしまう。

 そしてその間にも戦っていたらしきラビフットとレパルダスのところまで飛んでいったヤンチャムがレパルダスの細長いボディに深く突き刺さった。

 

「パルゥ!?」

 

「お前何やってるでーす!」

「お前こそ何手間取ってるでーす!」

 

「パルゥ!レパァル!」

「ヤ、ヤチャム…」

 

 喧嘩を始めたエール団の二人とレパルダスに叱られてなんども頭を下げているヤンチャム、やはりヤンチャムは良い子。

 

「チャンスだ、アカツキ!」

「だね、ホップ!」

 

「げぇ!しまったでーす!」

「二匹とも離れるでーす!」

 

「ラビフット、『ニトロチャージ』!」

 

 全身からすさまじい炎をひねり出したラビフットが先ほどまでとは比較にならない速度で二匹に襲い掛かる。

 二匹を轢きとばしたラビフットはまさしく暴走機関車といったところだ。その速度のまま吹き飛んだヤンチャムに向かってもう一度突進していく。

 

「よし、そろそろだな」

 

「ジメレオン、『みずのはどう』」

 

 俺は『いちゃもん』の拘束時間が切れたことを確認して再度特大の水の玉を作り出させる。さきほどの『いちゃもん』がよほど頭に来たのかヤンチャムに当てたものよりもさらに大きい。

 

「「やれぇ!!」」

 

「ラー!!ビフット!!」

 

「メレオォォン!!」

 

 ラビフットの『ニトロチャージ』がヤンチャムを轢き飛ばし、ジメレオンの『みずのはどう』がレパルダスの体を水で吹き飛ばした。

 大技が炸裂した二匹は持ち主のところにまで飛ばされ、そのまま下敷きにした。

 

「ぐぅ、まけーた。俺達にもエールを」

「このホーンを使えばあるいーわ」

 

 二人のエール団は応援用のホーンを手に自分たちを鼓舞し始めるとポケモン達を押し退け立ち上がった。

 

「エールを貰えないならエールしあえばいいのでーす!」

「このことを他の団員につたえーる!」

 

 そのままポケモンを戻してエール団は逃げていった。

 

「なんだかよくわからないけど勝ったな」

「お疲れ様!」

「おう、さすがオレのライバルだぞ!」

 

 俺達がハイタッチしあうとラビフットとジメレオンも同じようにハイタッチする。そういえば彼らもダンデさんから一緒に貰ったポケモン達だ。俺とホップ、それにユウリの様にメッソン、ヒバニー、サルノリの三匹も強いつながりがあったのかもしれない。

 

「そういえばお前カブさんみたか?」

「見てないね」

「そっか、ならもっと奥に言って探してくるぞ。じゃーな!」

 

 そういってホップとラビフットはさらに先へと向かっていった。俺もジメレオンの傷を回復させさらに先へと進んでいった。

 たまに道に擬態しているマッギョを躱しながら進んでいくと奥で大きな爆発音が聞こえた。急いで向かってみるとホップ、エール団、そして、

 

「エール団、特訓にお付き合いいただきありがとう!だが…」

 

 赤いユニフォームに身を包み、汗拭き用のスポーツタオルを首にかけ、

 

「働くトロッゴンの邪魔は許されないことです!」

 

 背中からでもわかるほどの怒気を身にまとったエンジンシティのジムリーダー、炎使いのカブさんがいた。

 

「じゃ、邪魔なんてとんでもない。これはエールです」

「そうでーす…自分自身へのエール、そのやり方を教えてあげていただけでーす」

「ですがボロボロに負けてしまってたのでーす…」

「帰りまーす…」

 

 カブさんに負けたらしき先ほどのエール団がボロボロになって洞窟の外へと逃げていった。

 

「応援はいいけど邪魔はいけないからね!」

「カブさんかっこいいぞ!」

 

 ホップが飛び出しカブさんの元へと走り出す、遅れて俺も走りだす。

 

「おや、君たちはダンデに推薦されたホップにアカツキだね!」

「そうです!」

「よろしくお願いします!」

「うん、良い挨拶だ!挨拶は大事だからね!」

 

 カブさんはジムリーダーの中でもお年を召しているベテランジムリーダーだが、燃え滾る炎の様に熱いエネルギーが迸っているのが間近で感じられる。

 

「とはいえもうそろそろ日が暮れる、君たちも早く洞窟を抜けてホテルで休むといい。挑戦楽しみに待っているよ」

 

 そういってカブさんはトロッゴンと一緒に洞窟を抜けていった。

 

「アニキがいってたぞ」

「?」

「カブさんに勝てなくて、毎年沢山のジムチャレンジャーが諦めていくんだってさ」

 

 カブさんの守るエンジンスタジアム、そこは毎年多くのジムチャレンジャーをふるいにかけるジムチャレンジ内でも特に大きな壁であると。

 その言葉を聞いて心のどこかが熱くなった。早く挑戦したいとトレーナーとしての自分が騒ぎ始めたのがわかる。

 

「俺、そういわれると燃えてきたよ!」

「オレもだ!行くぞアカツキ!」

「うん!」

 

 俺もホップもいつの間にかかなりのバトル好きになってしまったようだ。もういっぱしのポケモントレーナーと胸を張っていってもいいだろう。

 さあ、この洞窟を抜ければもうエンジンシティだ!

 

「ホテルに行く前に参加登録済ませとこうね」

 

「お、そうだった。忘れてた忘れてた」

 

 

 ホテル・スボミーインで休む前にまずはジムの予約だ!忘れること、即ちジムチャレンジでの大きな遅れとおもえ!

 

 




さあ、ここからまたゲームを進めていきます。

ですので多分明日の投稿はないと思われますがご容赦ください。もう今日だったわ…
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