「サマポケが届いたらどうなるんです?」
「知らんのか」
「更新が遅くなる。」
ご、ごめんなさい…でも自分のサイドエフェクトがそう言ってるんです。
朝起きてからは昨日作ったカレーを温めなおしている間に今日一日の予定を組み立てることとなった。
「やっぱりカブさん対策のために炎タイプのポケモンとの戦闘回数を増やしておくべきだと思う」
「そうだね。昨日はサイホーンの群れやアーマーガアとの戦闘以外にも散々戦闘をしたけど炎タイプとはまだ戦っていなかったからね」
「マタハリ、炎タイプ使いとして炎タイプがどんな生息域にいるのかを教えてくれないか?」
「ふが、ふがふがふがが」
「唇が腫れて役に立たないな」
「良いもの作ってみたので使ってみましょう」
マトマのみを食べたせいで一晩経っても腫れの引かないマタハリ、その口にハチミツ漬けにしたナナシのみを放り込んでみる。
ミツハニーから採れた甘ーいハニー蜜で漬け込まれたナナシのみは酸味と甘みが素晴らしい。
今日は朝から雲一つなかったので熱中対策として片手間に作っておいたものが役に立った。
「ふいー、やっと腫れが引きやがった…」
「炎タイプは基本的に温暖な場所を好むがワイルドエリアには火山みたいな特定の地形が存在しない。だとすると天候の良い場所を当たるしかねえだろうな」
なるほど、と思いワイルドエリアのお天気ニュースを確認してみれば今日はこのハシノマ原っぱとその隣のエンジンリバーサイドがちょうど『日照』となっていた。
『日照』はかなり日照量が強くなるらしくおもに炎タイプや草タイプのポケモンが発生するというから特訓にはうってつけの気象だ。
「このワイルドエリアに住む炎タイプと言えばヒトモシ、コータス、ガーディ…あとはロコンにキュウコンくらいか」
「!」
ロコンにキュウコンの群れ…かつてロコンを通して体験した彼らのことを思い出す。
神通力を用いた高度な気象予知と危険察知でこの厳しいワイルドエリアを生き抜いてきた彼らは他ポケモンとの争いに敗れて群れは崩壊、散り散りとなってしまった。
このワイルドエリアにロコンの群れは彼ら以外にも存在しているらしいが心配だ。
「(きっとこいつも心配してるだろうな…)」
ロコンのボールを握りじっと見つめる。家族同然の仲間と生き別れになっていると考えればわかりやすいだろうか。
まあロコン達には優れた神通力があり、それを用いることで同族と意識を繋いだりすることも可能なはずなので他のロコンの群れと合流できていればよいのだが…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ロコン、『でんこうせっか』!」
「コォン!」
「ガディ!」
ロコンの『でんこうせっか』はかなりのスピードに達し相対するガーディの目はそれを追い切れていない。だが犬系ポケモンの発達した嗅覚によりこちらの動きを捉えている…という状況だ。
一瞬で背後に移動したロコンの『でんこうせっか』がガーディに届いたと同時に、踏みとどまったガーディの『かみつく』がロコンのしっぽに食いつく。横っ腹に強烈な体当たりを食らいながらも決して離さぬガーディの気迫にこちらのロコンもたまらず怯む。
「グルルゥ、『ガァァディ』!!!」
「コォ、ン!???」
さらにその隙を見抜いたガーディの『ほえる』が確実にロコンの動きを止める。間髪入れずに放たれた『かみつく』が再度ロコンの体を襲う。
「ッ、ロコン、『じんつうりき』!」
「コッ、、オオン!!」
ロコンの体から放たれた不可視の力がかみついたガーディの体を大きく吹き飛ばす。
『じんつうりき』のパワーはガーディにとっても予想外の威力だったようでかなりの大ダメージを食らい宙を舞う。
「そこだ、『でんこうせっか』!」
ガーディが地面に着地する暇を与えずロコンの『でんこうせっか』がガーディを襲う。
高速の突進攻撃はそのままガーディの意識を刈り取り戦闘不能に持ち込んだ。
「さすがワイルドエリアに住むポケモン、戦い慣れてるな…」
現在接触したガーディの群れにポケモンバトルを挑んでいる。彼らも優れた嗅覚を用いてこのワイルドエリアを生き抜いている猛者たちだ、一匹一匹がかなりの力を有している。
他の皆もガーディたちと死闘を繰り広げているが彼らでもなかなか一筋縄ではいかないらしい。
「くそ、それにしても熱いな」
悪態をつきながらボトルに入れた水で水分を補給する、『日照り』というだけあって涼しかった朝方と比べて照り付ける日差しによる暑さが半端ではない。
気候や環境の変化はポケモンバトルに影響を及ぼす。指示を出すトレーナーもそうだが苦手な環境下ではポケモンも力を十全に発揮できない、そういった環境下でも戦えるようにならなければいけないということか。
「お前は元気だな…」
「コンコン!」
炎タイプのロコンはこの強烈な日差しの中ではいつも以上に元気になっている。反面ジメレオンやウールーは暑さにやられてしまっているのでこれからはそのあたりも考慮してバトルをしなければいけないな…
「ようお疲れさん」
「マタハリも飲む?」
「気が利くな、貰うぜ…かぁ~、水がうめえ!」
「すごい日差しだよね、ポケモン達も日差しにやられて力が出せてない感じだよ」
「俺のポケモンは炎タイプだからむしろ調子いいんだけど他のやつらはそうはいかねえもんな」
みればマリィのグレッグルもグロッキー状態になっているしデネボラさんのポケモン達も昨日以上に大量の汗を流している。バーダンの地面タイプはそのあたりまだ平気そうだがトレーナーであるバーダン自身が汗まみれだ。
「ダイマックスのバトルなんかでは気候もフィールドもポンポン変わっちまうしそこら辺の対策も必要かもな」
「だね…」
そうしていると他の皆もガーディたちとのバトルに打ち勝ったようで水分求めてこちらに集まってきた、傍から見るとゾンビみたいだ。
「はいみんなハチミツナナシのみだよ、汗流した後は補給補給」
「おほ~、甘酸っぱいナナシのみが体に染み渡るぜ!」
「アカツキ君は本当に気が利くね。うん、美味しい!」
「俺も好きでやってるだけだから、カレー作りしてると自然ときのみには詳しくなるからね」
「はい、マリィにデネボラさんもどうぞ」
「…なんだかあたし達女として負けてない?」
「…アカツキには負けられんよ!」
「アタシも実はハチミツナナシのみ作ってきとるけん食べて!」
そしてマリィの取り出したタッパーからハチミツに漬かったナナシのみがゴロンと現れた。
「…」
そう、ゴロンとだ。
マリィの作ったハチミツナナシのみはボリュームがあって美味しかったです。
ハシノマ原っぱを中心にエンジンリバーサイドやストーンズ平野にも足を運びポケモン達とのバトルを重ねた。ここのポケモン達は厳しい生存競争の他にも天候に対応するすべを身に着けているようで何度もひやひやさせられた。
しかしそれにしたってこの気候はシャレにならない。
「なんで『日照り』を過ぎると『吹雪』になるんだよ!」
「暑かったから助かってるけどここの気候おかしいよね」
「あ”~”、でも散々鍛錬した後に冷蔵庫に顔突っ込んでるときみたいで気”持”ち”い”い”わ”~”」
「顔、デネボラさん女の子がしちゃいけない顔になってる」
「実は地面タイプ使いとしてはこのさらに先にある砂塵の窪地に興味があるんだけど…」
などと宣っているバーダンだが砂塵の窪地はワイルドエリアでも有数の危険地帯として知られている。
砂漠ともいえるその一帯は地面タイプや岩タイプのポケモンが多数生息し、なんと邪悪ポケモンと名高いバンギラスやドラゴンタイプのポケモンの生息も確認されている。
「とてもじゃないけど今の俺達じゃ無理だよ」
「諦メロン」
「しょぼーん」
肩をすくめるバーダンをなだめていると吹雪が吹き荒れるストーンズ平野にポケモン達の足の音が聞こえてくる。このワイルドエリアに入ってから何度も聞いているポケモンの群れが放つ音だ。
この音が聞こえてきているということは、
「みんな、またポケモン達の群れが来るよ!」
「めんどくせえがやるしかねえか…」
「汗も引いたしバリバリ動いて体を温めちゃいましょ!」
「寒か場所でもバトルしとかんとね!」
「どんなポケモンでも来い!」
戦闘態勢に入る俺たち全員が腰のボールに手を付け敵の出現を待っていると吹雪の中からオレンジ色の毛並みをした傷だらけのポケモン達が現れる。
「あれは…」
「ロコンの群れ!」
「!」
マタハリがポケモンの種類を看破する中で俺だけはそのポケモン達を個体として知っていた。
そう、かつて俺が見たロコン達の群れ。その生き残りだ。
その全員が傷だらけの状態で何かから逃げるように走ってきている。その表情はかつてドラピオンとスコルピの群れに敗れ、逃走しているときの彼らの表情と酷似していた。
「みんな違う、その後ろだ!」
ロコン達の走り抜ける音に紛れ硬質な鉄を打ち付けるような音が聞こえてくる。その音を発するポケモン達がロコン達を駆り立てているのだ。
逃げるロコン達に襲い掛かる黒い影、そのポケモンが腕を振り下ろすとロコンの皮膚が裂け痛々しい傷と血が流れる。武器は恐らく爪、そしてかなり速いポケモンだ。
「ならお前達だ。パルスワン、ロコン!」
「ワオォン!!」
「コン!」
スピードに優れたパルスワンがロコンを乗せて走りだす。
突然前方からやってきたパルスワンに迎撃行動をとろうとした最前列のロコンの目が見開かれる。一緒に乗せたロコンに気がついたのだろう。
「ロコン、『でんこうせっか』!」
「パルスワン、『ほえる』!」
「コォン!!」
「グルルゥ、『ゥワォォン』!!」
吹雪の中にうごめく黒い影だが加速したロコンのスピードはそれを上回る。飛び回る影に一撃を加えるとその影を足蹴にさらに別方向の影へと攻撃を繰り返していく。
粗方の影を叩き落としたロコンが攻撃をやめ群れに飛び込んでいく。最前列を走っていたロコン達に並走し訴えかけると少し逡巡したロコン達だが逸れるように進路がずれる。
その瞬間を待っていたパルスワンの口から聞くものを強制的に退去させうるほどの大きな威嚇の声が放たれ、声を聴いた影たちは動きが止められる。その拘束が吹雪の中に見え隠れする狩猟者たちの姿を暴き立てる。
「…でた、あいつらはニューラだ!」
ポケモン図鑑からもたらされた名前はニューラ、かぎづめポケモンともいわれるほど立派な爪をもち闇や雪に紛れて狩りを行うまさしく狩猟者というべきポケモンだという。
ニューラたちは『ほえる』の拘束が解けた瞬間後ろに飛ぶとその身を吹雪の中に隠してしまった。氷タイプのポケモンらしく吹雪の降るこの場所は彼らにとって最高の狩場のようだ。
「気を付けて、吹雪の中から爪で攻撃してくるよ!」
吹雪の強い風と雪に紛れたニューラたちが巧みに攻撃を仕掛けてくる。
吹雪が強まった瞬間にその後押しを受けて加速し、一撃を入れればすぐさま吹雪の中に紛れて消えていく。そんなヒット&アウェイ戦法は着実に獲物の体力を奪い取っていく強力な戦法だ、自然を味方に着けるとは恐ろしい限りだ。さらに吹雪の音と風が強くなればなるほど奴らの行動は音に紛れて察知しずらくなっていく。
だが、
「紛れていようと氷タイプだろ?」
「炎であぶり出してやるよ! ガーディ、『かえんほうしゃ』!」
「ロコン、『やきつくす』!」
「ぼくも手伝おう。ヤジロン、『すなあらし』!」
三匹の放った強力な技が吹き荒れる吹雪に激突すると一時的に吹雪がかき消され、辺りに吹雪いていた風と雪が鳴りを潜める。
そうすると吹雪の中に隠れていたニューラたちの姿があらわになった。
「リオル、『でんこうせっか』!」
「グレッグル、『ふいうち』!」
その一瞬を見逃さずデネボラとマリィの攻撃が彼らに襲い掛かる。
今まで自分たちの身を守っていた吹雪のベールが剥がされ戸惑っている彼らに速攻を主体とした攻撃が襲い掛かり瞬く間に一撃を加えられると群れの動きは鈍り瓦解を始める。
「ロコン、『おにび』!」
ロコンの操る火の玉は動きの鈍ったニューラ達に的確にヒットさせていく。『おにび』のダメージと追加効果の『やけど』がニューラ達をさらに追い詰めていく。
俺のロコンの奮闘ぶりに群れのロコン達は動きを止めて見惚れている。だてにジムチャレンジでバトルは重ねていないのだ。
「ニューラ!」
「ニュラ!」
「ニュニュニュ!」
だがタダではやられてくれないのがワイルドエリアのポケモンと言ったところか。ニューラ達の爪が鉄へと変化し、複数の『メタルクロー』がロコンに襲い掛かる。
その攻撃をまともに受けてしまいたまらずロコンはダメージを食らってしまう。さすがのロコンだが複数を相手にできる『じんつうりき』が効かない以上数で来られると厳しいようだ。
だが体勢を立て直したロコンの今までもふもふとしていただけの六本のしっぽが意思を持ったかのように動き出す。
動き出したしっぽはニューラ達の攻撃を受け止め強烈な一撃でカウンターを決めていく。ここにきて新しい技を覚えたみたいだ!
「えーと、あの技は『スイープビンタ』っていうのか。ロコン、『スイープビンタ』だ!」
「コン!」
襲い掛かるニューラ達は手数を手に入れたロコンのしっぽで次々にはたき落とされていく。
それに分が悪いと感じたニューラ達が他の二体に襲い掛かるがその相手とはリオルとグレッグル。二匹の格闘タイプに接近戦を挑むのは分が悪かったようで格闘技を食らって次々とダウンしていく。
「あいつら氷と悪タイプだから格闘タイプに弱いよ!」
「グレッグル、『リベンジ』!」
「リオル、『はっけい』!」
「レッグル!」
「リオ!」
「「「ニュ、ニューーラ!!?」」」
「とどめだ、『やきつくす』!」
叩き飛ばされたニューラ達が一か所に積み上げられたところでフルパワーの『やきつくす』がロコンから放たれた。
仲間をやられたロコンの怒りの業火がニューラ達をストーンズ平野の彼方に飛ばしていった。
「大活躍だったぞロコン!」
「コンコン!」
俺の腕に飛び込んできたロコンだが流石の連戦に疲れてしまったようで腕の中に入るとガックリと力が抜けてしまった。
疲れ切ったロコンに『きずぐすり』を吹きかける。吹雪が復活してきたようで肌寒いなか腕の中のロコンの温かさがありがたい。
ロコンが力を取り戻してからは群れの仲間達と話をつけてもらい、傷ついた彼らを預かり屋にまで連れていくこととするのだった。
※今回のお話でロコンが『スイープビンタ』を覚えましたが本来はレベルアップでは覚えません。作者が使っていたロコンに覚えさせた技なのでここで習得していただきました。