剣盾旅記録   作:鳴神ハルキ

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三部作構成の三部作目です。
先に『41、再戦 vsカブ』と『42、譲れぬ戦い vs炎の関門・カブ』を読むことを推奨いたします。


43、決着 vs炎の漢・カブ

 

 キュウコンを打ち倒し、立ったまま気を失ったロコン。

 その顔を見れば満足のいく結果となったのは明白であった。

 

「……よく頑張ったな、ロコン」

 

 俺は涙をこらえながらキュウコンの尻尾に巻き付いたままのスカーフをほどき、それを首と腕どちらに巻くか迷った末に腕に巻き付ける。首じゃあ苦しいかもしれないもんな…

 

パチパチパチ

 

 その光景を見ていたカブさんが小さくロコンに拍手を送ってくれた。

 

「とてもいいバトルだった」

 

「いえ、こちらこそです」

 

 キュウコンの力はロコンの何歩も先を行っていた。再び戦ったところで勝てるビジョンが見えないほどには。

 それでも今回勝てたのはロコンの気迫と秘策であった『神通力・纏い』のおかげだろう。

 

「これはぼくもキュウコンもきつめの特訓が必要かもしれないな」

 

「……後から来るチャレンジャーが勝てなくなっちゃいますよ」

 

 それを聞いたカブさんが

 そうか…(´・ω・`)とショボンとしている。これ以上カブさんが特訓を重ねたら本当にチャレンジャーでは勝てなくなりそうだ。

 

 カブさんがキュウコンを労わっている間に俺は審判にロコンの戦闘続行不可能の通達をする。

 

『えー、いまアカツキ選手よりロコンの戦闘続行不可の通達が入りました。これによりジムリーダーカブとチャレンジャーアカツキの残りポケモンは一対一となります』

 

 その通達に会場中から残念そうな声が上がる、きっと観客の人たちもロコンの活躍をもっと見たかったのだろう。

 だがロコンは既に限界であり、その上このジムチャレンジに大きな足跡を残すことができた。これ以上を求めるのは野暮というものだろう。

 

 

 そして両者が元の場所に戻る。

 ヒリつく空気がカブさんとの間に走っていくのがわかる。

 

「ふー、よし!」

 

 頬を大きく叩いて気持ちを切り替える。どう転んでもこれが最後の勝負、ポケモン達の頑張りに報いるためにも負けるわけにはいかない!

 最後のボールを握り締めカブさんに向かって啖呵を切る。

 

「貴方に勝って俺は次のジムに進んで見せる!」

 

「そうやって真正面から啖呵を切られてしまうと、ぼくとしても引くわけにはいかないな」

「ああそうだ、カブよ頭を燃やせ!動かせ!勝つための道筋を探し当てるんだ!」

 

 カブさんが腰からボールを引き抜く。

 共に握りしめたボールに力が入りギリギリという音を上げている。これが本当に最後の勝負、絶対に負けられない!

 

「任せた、ジメレオン!」

 

「レオオオン!」

 

 俺の投げたボールからは出会った時から変わらぬ頼もしさを持つジメレオンが。

 

 

「いけ、マルヤクデ!」

 

「ヤクックック!」

 

 そしてカブさんのモンスターボールからは見たことのないポケモンが現れた。今まで見てきたジム戦では出てきていなかったポケモンだ。

 長く平べったい体、沢山の脚と口から噴き出す炎。どこかで見たことのある感じだと思った、恐らくはジムチャレンジで捕まえたヤクデの進化系だろう。

 ポケモン図鑑で確認してみるとドンピシャだった。はつねつポケモン、マルヤクデ。ヤクデの進化系だった。

 

 両者のポケモンが出そろいこのジムチャレンジで初めて姿を現したマルヤクデに観客も盛り上がる。

 

「このマルヤクデはもっと後の試合で出そうと思っていたのだけどね。君という最高のトレーナーに勝つ道筋はこれだけだと判断したんだ」

 

 光栄だ。俺なんかに全力を出してくれるなんて。

 

「だけど負けるわけにはいかない!」

「ジメレオン、『みずでっぽう』!」

 

 ポケモンが出揃えば何を言わずともバトルは開始する。

 ジメレオンの両手から瞬時に二発の『みずでっぽう』が作り出されると、それをマルヤクデに向かって投げつける。『みずでっぽう』は『みずのはどう』よりも素早く作り出せるので先手を取るにはもってこいな技だ。

 

 ジメレオンの投げ出した『みずでっぽう』が二つすごい速度でマルヤクデへと向かっていく。当たれば効果は抜群だ!

 

「マルヤクデ、『とぐろをまく』だ!」

 

「ヤク、ヤーククク!!」

 

 するとマルヤクデが自身の長く平べったい体をぐるぐると巻き上げていき、何かに巻き付くかのような形をとる。

 空洞を作りながらとぐろを巻いたマルヤクデはその空洞を利用して器用に『みずでっぽう』を躱していく。ギチギチと巻いたとぐろがキツくなるにつれてマルヤクデの体は密度を高めるように太くなっていく。

 

「『とぐろをまく』は攻撃力、防御力、そして命中力を一度に高める技だ」

「そのまま、『かえんぐるま』!」

 

「ククッッククク!!!」

 

 『とぐろをまく』によって身体能力を大幅に上げたマルヤクデが、とぐろを巻いたまま火炎を纏う。 

 そして巻いたとぐろを一気に開放することでバネのような跳躍力を生み出したマルヤクデは火炎を身に纏ったままジメレオンに大きく体当たりをぶつける。

 

「ジメメメッ!!!」

 

 『かえんぐるま』を交差した両腕でガードするジメレオン。相性ならばこちらが有利なはずだったが『とぐろをまく』による攻撃力上昇とバネによって生み出された跳躍力が合わさった『かえんぐるま』がジメレオンの体を大きく吹き飛ばす。

 押し負けたジメレオンが後方に吹き飛んでいき一度地面に横たわる。

 

「だったらジメレオン、『なみだめ』だ!」

 

 攻撃を食らってしまったのならそれもまた利用するまで!

 ジメレオンの眼からホロリ、またホロリと水滴が流れ落ちていき見るものすべての同情心を掻き立てる。これによってマルヤクデも毒気を抜かれ『とぐろをまく』で上昇した攻撃力も元に戻るはずだ。

 

フシューフシューフシュー

 

「なんだこの煙は!?」

 

 しかし、突如発生した白い煙によって相手のマルヤクデの姿が隠れてしまう。こちらからも相手からも視界が塞がれてしまい、互いを視認できなくなってしまった。

 

「攻撃を食らってから『なみだめ』、以前のバトルでも見させてもらった。だがこのマルヤクデの特性は『しろいけむり』、これによって君のポケモンからの能力変化を受けることはないんだ」 

 

「そんな!」

 

「ジッメメ!?」

 

 白い煙に遮られジメレオン迫真の『なみだめ』は効力を失う。

 いくらジメレオンが鳴こうが喚こうがそれが相手の視界に入っていないのなら意味はないのだ。

 

「マルヤクデ、『かえんぐるま』!」

 

「ヤック、クククク!!」

 

 そして再び火炎を纏ったマルヤクデ煙の中から飛び出し、無防備な状態だったジメレオンに『かえんぐるま』をクリーンヒットさせる。

 良い一撃を食らってしまったジメレオンがたまらず膝をついてしまう。

 

「どうだい、これが君のジメレオンへの対策さ」

 

「くっ」

 

 完璧なジメレオン対策に冷や汗が出てくる。前回の戦いからしっかり対策を取られてしまっている、これが二度目のジムリーダーの強さなのか。

 

 ジメレオンが膝をつき、うずくまっている間にもマルヤクデの体から出る白い煙がフィールドを覆っていく。これではいずれ完全に視界が塞がれてしまうだろう。

 

「ジメレオン、『みずでっぽう』!」

 

「レッオ!」

 

 煙の中へ『みずでっぽう』がむしゃらに放り込むが当たった様子が見られない。

 その事実に歯ぎしりすると煙の中から再びマルヤクデが飛び出してきた。

 

「マルヤクデ、『かえんぐるま』!」

 

「なんであっちの攻撃は当たるんだ!?」

 

 白い煙が包み込んでいく中、マルヤクデの攻撃は確実にジメレオン捉えていく。

 その間ジメレオンは何発もの『かえんぐるま』を受けダメージを蓄積させていった。

 

 

 

 何度か攻撃を食らい続けたことで攻撃のタネがわかってきた。

 それは『とぐろをまく』による命中力向上だ。とぐろを巻き、しっかりと狙いを定めることでマルヤクデは高い命中力を手に入れているのだ。

 

「ジメレオン、ぎりぎりまで引きつけろ!」

 

 もはや煙によって声だけの指示しか届かなくなってきた、大きな声で指示をとばす。

 これだけでは何を伝えたいのかがわからないだろう。だが一番付き合いの長いあいつなら、きっと引き付けることの意味を理解してくれているはずだ。

 

「これで決めろ、『かえんぐるま』!」

 

「ヤ―クックック!」

 

 煙の中で再び火炎を纏ったマルヤクデがジメレオンへと飛び掛かる。

 鋭い狙い、バネによる跳躍力、そして燃え盛る火炎を伴った体当たりがまっすぐとジメレオンに向かっていく。

 

「―――――」

 

 ジメレオンは瞼を閉じ、指示に従ってジッと攻撃を待っている。

 煙に姿を隠したマルヤクデはその無防備ともいえるジメレオンに襲い掛かった。

 

「―――ジメェェェ!」

 

 攻撃のタイミングを見破ったジメレオンが大きな声でタイミングを伝えてくれる。

 

「今か! 『ふいうち』!」

 

 マルヤクデの『かえんぐるま』が直撃する寸前、極限まで引きつけたジメレオンの強直なアッパーカットがマルヤクデの体を空へとはね上げる。

 完璧なタイミングで放たれた『ふいうち』がクリーンヒットし、空中で気を失いかけるマルヤクデ。その無防備な一瞬があれば十分だ! 

 

「ッ!マズイ、速く煙の中に戻るんだ!」

 

「姿が見えればこっちのものだ!」

「ジメレオン、『みずのはどう』!」

 

 空にカチ上げられたマルヤクデはフィールドを覆う煙から完全に姿を現し、完全に無防備な状態となる。

 

「ジッメメェェ!!」

 

 今まで喰らった攻撃のうっ憤を晴らすかのような特大の『みずのはどう』が放たれ、周囲の煙ごとマルヤクデの体を粉みじんに吹き飛ばす。

 

 効果抜群の攻撃をもろに食らい地面に落ちたマルヤクデは戦闘不能にはなっていなかったものの大ダメージを食らったようで荒い息を吐いている。

 

 

 

「―――来たか」

 

 大きな歓声が上がる中、カブさんのその一言が嫌に大きく聞こえた。

 ハッ、としてカブさんの方を見ると彼はマルヤクデが入っていたボールを構えにやりと笑みを浮かべていた。

 そして――その腕には爛々と赤く輝くダイマックスバンドがあった。

 

「ッ! マズイ!」

 

「さあ、燃え盛れマルヤクデ!」

 

「ククックック!!」

 

 カブさんの熱意に呼応するかのようにして右腕に装着したダイマックスバンドがさらなる輝きを始める。

 トレーナーの叫び声に応じたポケモンが、モンスターボールに吸い込まれていく。

 獰猛で荒々しいポケモントレーナーの顔をしたカブさんがその両目に炎を灯しながら、

 

「うおおおお、キョダイマックス!!!」

 

 後方へ向けて大投擲!!!

 

 巨大化したボールから飛び出したマルヤクデの姿が見る見るうちにその大きさを増していき、ついには見上げるほどの大きさに。その全長はフィールドのコート半分をも埋め尽くすほどに巨大化する。

 

「やっぱりキョダイマックスか!」

 

 ダイマックスをしたマルヤクデの姿が大きく変化する。

 ムカデのようだった体はキョダイマックスによりさらに長く引き伸ばされ、その姿はまさしく、

 

「龍……ドラゴン……」

 

「見事だろう。さすがにタイプまでは変わらないけどね」

 

 キョダイマックスをしたマルヤクデ、その見た目はまさしく龍。ダイマックスの大きさと相まって圧倒的な存在感となり立ちはだかる。

 

 

「キョダイマルヤクデ。これこそボクの秘密兵器さ!」

 

『クゥクゥゥククゥゥ!!!!』

 

 キョダイマルヤクデの大きさに圧倒されながらチラリと右腕に嵌めたダイマックスバンドを見る。

 バンドは既に赤い光を放っているがダイマックスができるにはあと少し……足りない!

 

「ジメレオン! なんとしても耐えきるぞ!」

 

「レオオォォン!」

 

 キョダイマルヤクデを相手にしてもジメレオンは一歩も臆しない、本当に頼りになる相棒だ!

 

「その威勢がいつまで続くかな!」

「マルヤクデ、『ダイワーム』!」

 

『ククゥゥウゥゥゥ!!!』

 

 俺達の気迫に対して負けるものか!とカブさんとキョダイマルヤクデの声が響き渡る。

 キョダイマルヤクデが声をとどろかせると、その声に呼び寄せられるようにして一匹の蝶が現れる。

 

「……蝶?」

 

 ダイマックス技が飛んでくると身構えたところに現れた一匹の美しい蝶。この世のものとは思えないほど澄んだエメラルドグリーン色をしている。

 その不思議な蝶を俺は注意深く、ジメレオンはジーーーと見つめた後、

 

「………ッレオ」

 

「!?」

 

 優雅に飛んでいた蝶をしたて捕まえるとむしゃむしゃと食べ始めてしまった。

 

「むしゃむしゃ」

「ゲフっ」

 

 ジメレオンは蝶をよく咀嚼した後、ごくんと喉を通して内部の消化器官に送る。「ごちそうさまでした」という顔だ。

 そのあまりの拍子抜けっぷりに俺もジメレオンも気が緩む………緩んだところで、

 

「ブブブッゥッ!!!?」

 

「ジメレオン!?」

 

 ジメレオンの体内で爆発が起こる。

 やはり何かの攻撃だったのか!と気がつくがもう遅い。

 

「い、いつの間に!」

 

 こちらのフィールドを埋め尽くさんばかりに現れた蝶々の大群。最初の一匹はこちらの目を引くための囮役だったのだ。

 そしてエメラルドグリーン色をした蝶々たちは囮役の蝶を攻撃(食)したジメレオンに狙いを定めるとその数をもって襲い掛かる。

 

 フィールドを埋め尽くさんばかりの蝶の大群はジメレオンに触れると爆発し、その爆発に連鎖して爆発を繰り返し逃げる場を与えない絨毯爆撃を開始する。一撃一撃は大した威力ではないものの、防ぐことも避けることもできない攻撃の嵐が瞬く間にジメレオンの体力を削り取っていく。

 

 

「さあクライマックスだ!」

「炎は上に燃え上がる!ぼくらも上を目指す!わかるね、マルヤクデ!」

 

『ヤァァァクックゥゥウ!!!』

 

 『ダイワーム』に群がられ完全に身動きがとれなくなったジメレオンに向けて、

 

「『キョダイ……」

 

 とどめの一撃が!

 

「……ヒャッカ』!!!!!」

 

 キョダイマルヤクデの体がうねり、捻じれ、とぐろを巻く。

 そのうねりによって生み出された莫大な炎熱は、まるで『ほのおのうず』のように巻き上がりスタジアムの天井高くまで燃え上がっていく。

 『ほのおのうず』とはいったが大きさはそれの比ではない。火炎の竜巻、と称するのがふさわしい『キョダイヒャッカ』はジメレオンの周囲を今も爆発し続ける『ダイワーム』の虫ごとあらゆる存在を焼き払っっていった。

 

「……ッ! 貯まった!」

 

 キョダイマルヤクデの攻撃が吹き荒れるなかでついに右腕のバンドにエネルギーがフルチャージされる。

 

「ジメレオン、ダイマックスだ!」

 

 満を持して解放された切り札。

 だが、ジメレオンを包んだ火炎の竜巻は中のジメレオンを閉じ込めてしまいモンスターボールに戻すことを許さない。それはつまり、

 

「『キョダイヒャッカ』は相手のポケモンを閉じ込め交代を阻害させる。このガラル地方ではダイマックスを封じるということにも使えるんだ!」

「如何にジメレオンといえども、この巨大な炎の檻からは逃れられない!」

 

 ダイマックスを封じられてしまうというまさかの事態に愕然とする。

 カブさんが秘密兵器だと明言するわけだ!悪態の一つや二つを吐きたくなってくる!

 

 轟々と燃え盛る火炎の竜巻を茫然と見つめる中で、俺はふと思った。

 

 ……あいつは、ジメレオンの奴は何を考えているんだろうか。

 

 いつまでもダイマックスをしようとしない俺に向けて怒りを覚えている頃だろうか。

 それとも…ダイマックスが封じられたことがわからないあいつは今もこの業火を耐え続けているのだろうか。この業火を耐え続けていれば、いつかトレーナーである俺から救いの手が差し込まれることを信じて……

 そこまで考えて、そんな甘えた考えを放り捨てる。

 あいつが俺に助けてもらうのをじっと待っている? いいや、あいつはトレーナーの俺から助けられるのを黙って待つような男ではない。あいつは、ジメレオンは自分の道は自分で切り開いていけるような最強で最高の相棒だろ!

 ならば、俺はただ叫び続ける。

 

「ジメレオン、少しだけでいい!」

「この火炎の竜巻を抜け出して来い!」

「そうすれば、俺がお前を勝たせてやる!」

 

 竜巻の轟音にかき消され俺の声など聞こえはしないだろう。

 だけど、あいつになら伝わっていると思える。

 

「根拠は、なんとなく……だ!!!」

 

 そうして叫び続ける、すると竜巻の轟音に紛れて「ジュー」というかすかな音が聞こえてくる。

 それは水分が蒸発していく音。水分の存在など許さぬ火炎の中でいまだ存在し続けるものなどあいつしかいないだろう!

 

「ッ! そこだ!」

 

 音の発生源を聞き分ける。この程度カレーの煮経ち具合を聞き分けることに比べれば朝飯前だ!

 ひときわ大きな蒸発音がした場所を聞き分けた瞬間その場所から『みずのはどう』と思わしき水球が炎の壁を突き破る。その場所へとモンスターボールを向け、水球によって空いたタダ一点へと向けてボールの開閉ボタンを押しこむ。

 

「帰ってこい! ジメレオン!」

 

「ジメェェェ!!!!」

 

「馬鹿な!あの『キョダイヒャッカ』」の中から生きて出ただと!」

 

『ククゥゥウゥゥゥ!!?』

 

 『キョダイヒャッカ』から抜け出してきたジメレオンがボールへと吸い込まれていく。

 ジメレオンを完全に吸い込んだところでダイマックスバンドはやっと出番か!といわんばかりにエネルギーをボールへと注いでいく。

 巨大化したボールを抱え、全力の力をもって後方へと投げ飛ばす!!!

 

『ジィィイィメメェェェエ!!!』

 

 地響きを立てながら、ついにその姿を現したダイマックスジメレオン。

 彼は渦巻いていた火炎の竜巻に手を突っ込むとその手で払い除け、跡形も残さず握りつぶす。

 

「攻撃される前に倒す、『ダイワーム』!!」

 

『ククゥゥゥゥ!!!』

 

 カブさんとマルヤクデの警戒レベルが最高潮へと達する。

 ダイマックスの恐ろしさを理解しているからこそ攻撃前に潰そうとしてきたのだろう。焦ったカブさんのらしくないミス、それが勝敗を完全に決定づけた。

 

「甘い! 『ダイウォール』!!!」

 

 再びフィールドを覆いつくそうとした蝶々の大群は『ダイウォール』によって跡形もなく消え去っていく。あらゆる攻撃を防ぐ『ダイウォール』の力はいつ何時も健在だ。

 

 そして三回分にも及ぶダイマックスエネルギーを使い果たしたキョダイマルヤクデの体が見る見るうちに小さく縮小されていく。

 ダイマックスの時間は終わりを告げ、元に戻ったマルヤクデの眼前には視界を埋め尽くすほど大きなジメレオンが立ちふさがる。

 

「これは、、、ぼくたちの、いやぼくの惨敗かな」

 

 肩にかけたタオルをキツく握りしめるカブさん。

 

「洗い流せ!」

「『ダイストリーム』!!!!」

 

『メェレェオオォォォオォン!!!』

 

 ダイマックスジメレオンから撃ち出された圧倒的パワーの激流、『ダイストリーム』。

 

 激流は力を出し尽くしたマルヤクデを飲み込み、その痕跡ごとすべてを洗い流していった。

 

 

『マルヤクデ戦闘不能。よって勝者、チャレンジャー・アカツキ!!』

 

 

 『ダイストリーム』によって降り始めた雨が体を濡らしていく。

 バトルで燃え上がった体が急速に冷やされていく様が、まるでこの戦いの終わりを告げていくようだった。

 

 だが観客の熱はそんなことでは冷めない。雨に降られながらも彼らの熱は一層増していくばかりだ。

 

『うおおおおおおおお!!!』

 

 そんな歓声を聴いていると、今胸の中で湧き上がってきたこの気持ちだけは、今ここで吐き出しておきたいと思った。

 

「勝ったああああああああ!!!!!」

 

 雨と歓声に包まれながら、俺の三番目のジムチャレンジは幕を下ろしていくのだった。

 

 




カブさんを突破するまでに10話分もかかるとは思ってもいませんでした。
そして書きたいことの大半はここまでに詰め込んでしまったのでこれからはゲームに沿って書いていきたいと思っています。

……さて、ネタを出し切ったのでの四か月振りにゲーム本編を進めてきます。また少し更新が空くかもしれないので待っていただけると幸いです。

この作品をこれからも読んでいただけると嬉しいです!
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