剣盾旅記録   作:鳴神ハルキ

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少しの間サマポケを放置していたらやる気が少しずつ減っていることに気がついた。
こっわ。
一度やったシナリオの部分だと途端に手が伸びなくなってしまうのはつらいですね。


あ、ちなみに今回は短いです。




44、出発エンジンシティ

『うおおぉおぉおおおお!!!』

 

 未だ歓声が鳴りやまぬエンジンスタジアム。燃え上がる熱気は降り注ぐ雨によっても消すことはできない。

 

「勝ったああああああああ!!!!!」

 

 手にした勝利は心を揺らし、喉を震わせ出た叫びは体を濡らす水滴を全て吹き飛ばしていくかのようだった。

 瞼を閉じ勝利の余韻に浸っているとビチャ、と大きな音が鳴る。何事かと思い瞼を開くとそこには地に伏せ、顔を俯けたカブさんがいた。

 

「カ、カブさん!? 大丈夫ですか!?」

 

 慌ててそのカブさんに駆け寄る。

 カブさんもジムリーダーの中ではかなりお歳を召している。もしかすると今の戦いでどこか体に異常が起きてしまったのではないかと思うと勝利の余韻など吹き飛んでしまった。

 しかし、いざ駆け寄ってみるとカブさんは顔を俯けながらクツクツと笑っている。

 

「カ、カブさん?」

「はっはっはは、いやいいバトルだった! ボクの長年の経験を君と君のポケモンの才能が上回った! 君たちは勝って当然だよ!」

 

 カバっと顔を上げたカブさんは満面の笑みでこちらを称賛してきた。

 顔を滴る水滴を払い除けながら差し伸べていた俺の手を取って立ち上がる。俺はあまりの落差にポカーンとしていた。

 

「一度敗北しながら諦めることなく鍛錬を重ね、ジムチャレンジの関門ともいわれるこのカブに勝つとは! ぼくにもまだまだ学びが必要ということだね!」

「君たちはいつか最強のチームになる! 今日はその君たちと戦えたことを光栄に思うとするよ!」

「ぼくに勝った証としてこのほのおバッジを贈ろう」

「ダイマックスによってボク達のポケモン勝負はガラルの文化となった」

「そして、文化を担うのは君たち若いトレーナーの役割だ」

「ただ守るだけではなくより良いものにしていくんだ」

「僕たち大人はそれを支えていくからね」

 

 最初は必要以上にハキハキと喋っていたカブさんの口調が段々と落ち着き取り戻していき、しみじみとした口調となっていく。それはまるで無理矢理張り付けた仮面が剥がれ落ちていくかのようでもあった。

 未だ降り続く雨の中、カブさんの頬に雨以外の水滴が流れていくのを近くにいた俺だけが見て理解することができた。

 

「雨も滴る良い男……か」

 

 ジムバッジを俺に手渡した後、一足先にフィールドから離れていくカブさんの背中を見つめながら言葉がこぼれる。激情に駆られながら、ジムリーダーとしての姿を貫き通すその姿に俺は感服するしかなかった。

 

「……格好いいなぁ」

 

 その背中にダンデさんとは一味違う憧れを抱いた

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「アカツキ選手! おめでとうございます!」

「ロコンのバトル熱かったぜ!」

「パルスワンもあのウインディに一歩も引かない戦い見事であった!」

「ヒーローインタビューです一言!」

 

 フィールドを出てロビーに戻ってくると以前バウタウンのジムに勝利した時以上の人が集まっていた。

 沢山の人が押しかけたことでジムチャレンジのスタッフの人たちがバリケードの様に並び人々を遮っている。確かに、この人数に押し寄せられたら死んでしまってそうだ。

 

「アカツキ選手! 至急避難を!」

「我々だけでは止めるのにも限界があります!」

 

 体を張って人々を推し留めてくれているスタッフさんがそういうとロビーのお姉さんが裏口の方に手招きをしてくれている。

 なんともありがたい限りだ。ジムチャレンジのためにとても俺達のことを気遣ってくれているのがわかる。

 だが、それでも、

 

『我々はファンがいるからこそやっていけているというのに邪険にしてはいけないんだよ?』

 

 いつかきいたローズ委員長の言葉を思い出す。

 試合の最中、バトルの展開とともに歓声は姿を変えていった。

 ロコンに声援を送っていたと思ったら一転してキュウコンに、そうだと思ったらまたロコンに。

 そんな中でたしかに聞こえた声があった。

 

『いけーー!! ロコン!』

『負けるな! そこだ、やり返せ!』

『ロコンが勝った! すごいすごい!』

 

 会場がキュウコンコールに染まり、どんなに劣勢に立たされた時にもかすかに聞こえていたロコンを応援してくれる歓声。それは確かに小さなものだったが、それでもあの時の俺とロコンにはどれだけ力となっていたかを思い出す。

 それを思い出し一歩、また一歩と人だかりに近づいていく。

 

「アカツキ選手!?」

 

 スタッフの人が驚愕の表情を浮かべている。

 俺は人だかりの最前線にいたいつものインタビュアーのお姉さんからマイクを借りる。

 

「えっと……前回は負けてしまってファンの皆さんの期待にも応えることができませんでした」

「それでちょっとだけ落ち込んじゃて友達にも心配とかかけちゃったんですけど、それでも俺はこうして戻ってきて勝つことができました!」

「試合中にもみなさんの声援で背中を押されたし、それがポケモン達の力にもなりました!」

「これからも応援してくれると助かります! ありがとうございました!」

 

 語彙力が欲しいと思った。

 

「………よし、逃げるか」

 

 マイクをお姉さんに放り投げ、そこから裏口の方へと全力ダッシュした。後ろの方が何やらすごく騒がしくなっていったが後悔とかはないのであった。

 

 

 

 

 裏口から抜け出しホテル・スボミーインに戻ってきた。するとそこにはホップとユウリが。

 

「ヘイアカツキ!」

 

 ホップが片手を挙げたので俺も挙げ、大きく響かせる。

 四日前ホップがカブさんに勝った時にもやったハイタッチだ。今度は俺からではなくホップからだった。

 

「お前とジメレオン達ならやれると思ってたけど、それでもドキドキしたぞアカツキ!」

「四日もかかったけどちゃんと追い付けたよホップ!」

「アカツキ!」

「ホップ!」

「はぁ、暑苦しい。女の子成分が足りてないわ」

「それは…」

「それはユウリ、お前に女の子らしさがたりな i ga ra あ!?」

「な ん か 言 っ た !?」

「いえ!! なにも!!?」

 

 余計なことを口走ったホップはユウリによってバックドロップを食らった。

 目を赤く光らせてこちらを睨んでくるユウリに俺は首を横に振るしかなかった。

 

「まったく、こんな超絶美少女に対して男どもは目が腐ってるんじゃないかしら」

「おっと、こんなところに合宿中に撮ったマリィの写真が」

「ははぁー、アカツキ様!」

「一瞬で土下座するのは女の子的にどうなの?」

「そんなものそこらのポチエナにでも食わせてればいいのよ!」

 

 一瞬で女の子としての恥も外聞もポチエナに食わせたユウリに合宿中に撮ったマリィの写真を送信するとすぐさまスマホを眺めてはぁはぁ…と興奮し始めた。

 

「ねえホップ、ユウリは永遠にハロンタウンから解き放ってはいけない存在だったんじゃない?」

「うごごご…オレもそう思うぞ」

「はぁはぁ…カレーを食べるマリィちゃんかわゆい」

 

 ……ちなみにカレーを食べるマリィの写真は俺のお気に入りの一つだ。わかってるじゃないかユウリ。

 ちなみにマリィに、

 

『ユウリに写真あげちゃったけどいいよね?』

 

 と送信すると、

 

『よくない』

『……アカツキの写真送ったら許しちゃる』

 

 と返信が来たので俺達三人でウェーイの写真を撮って送ってあげた。 

 

 

 

「……そうじゃなか!!」

「うら?」

「むー……ま、この写真に免じて許しちゃる」

 

 それはそうとして、三人の映った写真を見ながら表情を和らげるパンク系少女がいたとかいなかったとか。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 そして次の日の朝早くホテルを出た。

 本当なら昨日のうちにエンジンシティを出発する予定だったがカブさんからメールを貰ったのだ。

 

『明日早朝、ワイルドエリア前広場待つ』

 

 その短いメールに従い、まだ人の少ないワイルドエリア前広場にたどり着く。そこにはなんと、

 

「ヤローさん!?」←ホップ

「あら、ルリナさん?」←ユウリ

「カ、カブさんまで!?」←俺

「いや、ぼくがいるのはおかしくはないだろう」

「ふわー……ヤロー君は朝から元気ね」

「こちとら農家じゃからのう」

 

 三人のジムリーダーが集まっていた。

 どうしてこんなところに……と聞いてみるとなんと俺達の出発を見送らせてほしいということだった。

 

「草、水、炎。この三つのバッジを集められずにジムチャレンジを途中で諦める者も多い。だからぼく達は三つを集めて出発するチャレンジャー達をこうやって見送っているんだ」

「といってもさっさと次の街に出発しちゃう子が多いし、私たちもジムリーダー以外のモデルとかの仕事があるから全員が集まる事は滅多に無いんだけどね」

「ほんと、タクシーさまさまじゃわい」

 

 

 

「ユウリ、女の子だって男の子に負けないんだってところを見せつけてきなさいよね」

「ありがとうございます、ルリナさん! 男どもはアタシが血祭りにあげてきますから!」

「そこまでは言ってないから…」

 

 

「ホップさん、君はやっぱりどことなくダンデに似ているね」

「それはそうだぞ、オレはアニキの弟だからな!」

「ダンデの背中は遠いんだな。それでも、君ならきっと追い付けると応援しているよ」

 

 

「アカツキ君、君との試合はぼくの心に残り続けるだろう。それほど、昨日の勝負はいいものだった」

「そんな、感激です」

「ロコンはきっとさらに強くなる。君の下を離れても、いつか再び君の力となるだろう」

「それは……」

「炎タイプの使い手として、それと先輩トレーナーとしての助言だよ」

 

 

 一人ひとりジムリーダーの人からの言葉を貰う。

 そこにはジムリーダーとしての立場だけでなく、一人のトレーナーとして、一人の人間としての気持ちが込められていた。

 

「それでは最後に、君たち全員に応援を贈る!」

 

 カブさんが両手を後ろで組み、大きく息を吸い込み始める。

 

「いけいけホップ!!」

「やれやれユウリ!!」

「進め進めアカツキ!!」

 

「君たちを待ち構えるジムリーダーはツワモノぞろいだ!」

「だが君達ならば勝ち抜ける! ポケモン達を信じて突き進め!」

 

「「「はい!」」」

 

「三人で決勝戦をするためにオレ達はガンガン勝ち進み続けるぞ!」

「ええ、どんなジムリーダーが相手でもあたし達の敵じゃないわ!」

「俺達三人がジムチャレンジのトップ3を独占だ!」

 

「「「もちろん優勝するのは俺(オレ)(アタシ)だ(だぞ)(よ)!」」」

 

「その意気だ!他のジムチャレンジャーはライバルであって敵ではない、その情熱を忘れるなよ若きトレーナー!」

 

 カブさん、ルリナさん、ヤローさんに見送られながら俺達三人は広場を駆け抜け、

 

「「「いざ、懐かしきワイルドエリア!!」」」

 

 再びワイルドエリアの土を踏みしめるのであった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、誰かと思えば……」

「あ、ピンクだ」

「ピンクね」

「よっすピンク」

「僕の名前はビートです!!!」

 

 やせいの ぴんく が あらわれた!

 

 




これくらいなら前回の話に収めてもよかった気がするけどなんだかんだで綺麗に終わったからヨシ!シナリオ通りに勧めるのは楽で助かるぜー!

今回から台詞間の空白を消してみました。
パソコン上で見ている分には問題なさそうだったのですがスマホで見返すと思ったよりも空白が読みづらかったので読みやすくなればいいなと思っています。
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