あぁぁぁぁぁ!!!
BUMPのポケモンPVエモォォォオイ!!!!(エモすぎてエモンガになった)(語彙力低下)
少し書き方を変えてみました。書き方ころころ変わってすみません……
スタジアムから響いてくる歓声、それはもう四度目…いや、五度目だというのに全く衰えを知らない。むしろ祭りが後半に入って行くほど、その熱が強くなっていくのを感じる。
そんな風に考えながら淡々とポケモン達の体調を整えていく。
いつのまにか『きずぐすり』では治りがイマイチとなってきたポケモン達の成長を噛み締めながら、粛々と『いいきずぐすり』を取り出して手当てを済ませていく。
「パルスワンの傷…これはちょっと試合までには間に合わないかな」
先に戦ったサワムラーとの一戦。
あの戦闘の激しさはいまだ脳裏に新しい。最後に激突した『ブレイズキック』の“火傷”にチーゴのみを擦って作った即席の火傷治しを塗りこみながらそう呟く。
パルスワンはその呟きに対して「まだまだ行ける!」と反論しようとするが傷口の痛みによってせき込んでしまい、反論の機会を失い、項垂れる。その様子を見ながらパルスワンの頭を撫でてなだめるのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
コートに入場すると、会場の盛り上がりが一段、二段と増していくのがわかる。
エンジンジム攻略。
その言葉の持つ意味の重みは感じているよりももっと、ずっと大きい。数多のチャレンジャーがその壁を前にして苦渋の涙と断腸の想いで身を引き裂かれそうになってきのだ。
かつてその壁を前に立ち尽くした青年がいた。
かつてその壁に立ち向かった男を見送った女性がいた。
かつてその壁を乗り越えたことで成長を経験した老人がいた。
この場に立つということはそういったガラル地方中の人々の想いに晒される場所でもある。
コートの中心に辿り着き、向かいのゲートからジムリーダーが姿を現すと歓声はさらに跳ね上がる。
若き天才、ガラルカラテの申し子、彼女の誇る華々しい経歴を言い表す言葉は数多に存在するであろう。しかし、今、この場で、目の前に立つ彼女に相応しい肩書きはただ一つだけ。
「ようこそ、ジムチャレンジャー。わたしがこのラテラルジム、ジムリーダー・サイトウです」
ラテラルジムを守護するジムリーダー・サイトウ。その姿と立ち振る舞いはとても同じ十代のそれではないと思わせる風格を持ち合わせている。
両手を合わせ、深々と頭を下げるサイトウさんの姿はとても堂に入っている。
この作法はチャレンジャーへの礼を尽くしていることと同時に、彼女が戦いに入る前の精神統一の役割も担っているらしい。この礼の動作を解いた瞬間から彼女は一人のカラテ少女から、ジムリーダーの名を背負う一流のポケモントレーナーへと変貌するというのだ。
「先のジムミッションでの大立ち回り、拝見しました。さすがはチャンピオンが推薦されたチャレンジャーですね」
「サイトウさん……いいえ、ジムリーダーがあの巨大なアトラクションを?」
「ええ。大きな敵を前にしても心にはさざ波一つ立てない精神力こそ武道の極致。それにいざとなればあの程度、払い除けることに苦は無いですから」
サイトウさんの声にはどこか喜色の色が見える。深々と頭を下げたままだというのに、脳裏には口元に笑みを浮かべる彼女の顔が浮かんでいた。
鍛え上げた己の武には一過言有るのだという年相応の自負と積み上げた自信の結晶。それが彼女を彼女たらしめる精神の支柱でもあるのだろう。
「では時間も押していますし、そろそろ仕合うとしましょう」
これから始まる戦いへの高揚にサイトウさんも喜色を隠せなくなったのか声には抑揚が乗っていた。
しかし彼女が拳を下ろし、顔を上げる。閉じていた瞼を開き、その視界に挑戦者である自分を捉えた途端、彼女の心で高ぶっていたであろう戦いの高揚も己の武への自尊心も、そのなにもかもが削ぎ落とされていく。感情の機微ともいえる瞳の中の光が消え、ただ目の前の敵に全神経が向かってるようだ。
「それでは始めましょう」
一呼吸前とは別人と言えるほど声の様子が変わる。ここまで完璧に精神をコントロールすることができるのかと驚愕する。武芸の極致、その一端を自分は垣間見たのだ。
もはや目の前にいるのはただの天才ではない。
ガラルの名を背負う最強の八人、その一角。格闘使いのサイトウとの戦いの火ぶたが切って落とされたのだ。
『バトルは四対四のシングルバトル! チャレンジャーの先攻からとなります!!』
『バトル開始ィィィイ!!!』
「頼んだ、アオガラス!」
「いきなさい、カポエラー!」
セオリー通りに飛行タイプを出したこちらに対して、サイトウさんの最初のポケモンはカポエラー。回転する足腰から放たれる蹴りが得意の変則格闘使いのポケモンだ。
ポケモン図鑑から簡単な説明を聞き遂げた俺たちは、ひとまずセオリー通りに挑むことにした。
「アオガラス、『ドリルくちばし』!」
格闘家を前に自信満々のアオガラスは高らかな声を上げると、己の主武装である嘴にぐっと力を込める。ピシピシというオーラが硬質化していく。作り上げられた立派な嘴は標的を確認すると、快音を響かせながら高速回転を始める。
回転には回転、先のジムミッションで手に入れたドリルの力を携え回転のエキスパートに向かって猛攻を仕掛ける。
「カポエラー、受け止めてください」
「カポォ!」
キィンキィンとスタジアムに鳴り響く『ドリルくちばし』の音とは正反対ともいえる、静かだがハッキリとしたサイトウの声が自身のポケモンに告げる。
受け止めろ、と。
ジムリーダーのポケモンとはいえ、アオガラスもそれに対抗しうる力を秘めたポケモン。それも相性の上では圧倒的に不利な攻撃を回避でもなく防御でもなく、受け止めろ?
それは無謀だ、受け切れるわけがない。
俺達は格闘家の鍛えたポケモン、その神髄を理解していなかった。
「な、あぁ!?」
「ガァァァ!?」
高速で回転する鋭利な嘴。カモネギの持つ大ネギすらも易々と粉砕したその一撃を、カポエラーは特に恐れるわけでもなく片手を突き出し、簡単に受け止めてしまった。
カポエラーが腕に力を込める。たったそれだけで先ほどまであれほどうるさく鳴り響いていた音がしん…と止み、嘴の回転は完全に停止してしまった。
「強力な技ですね。ですが……回転のエキスパートであるカポエラーには通用しません!」
「カッポォ!」
『みきり』によって攻撃を受け止められ、茫然としていたアオガラスの嘴から手が離される。
「『トリプルキック』!」
アオガラスが体勢を立て直す暇もなく、何度蹴られたのか感じ取ることもできないほどの連撃が襲いかかる。一秒間に10発、いやそれ以上ともいえる連撃が叩き込まれたのだ。
「アオガラス、空だ! 空に逃げろ!」
「逃がしません、『こうそくスピン』!」
アオガラスを空中に逃がそうと指示を飛した。
しかし、今度はカポエラーの体からキィィン!と甲高いこすれるような音が鳴り響く。頭の突起を地面に触れさせ、逆さにした体躯が高速回転している音だ。回転のエネルギーを乗せた左足で地面を蹴り上げ、カポエラーは空に逃げたアオガラスの無防備な背中に『こうそくスピン』が直撃させる。そうして動きの止まったアオガラスに向けて。
「『インファイト』!」
「カッポォ!」
「ガ、ガァァ!!?」
右足の蹴り、左足からの蹴り上げ、右手からの正拳突き、左腕からの締め上げ。ありとあらゆる角度からアオガラスに向けて流れるような連撃が叩きこまれていった。
そしてとどめの頭突き。カポエラーの頭にある突起に胸を貫かれ、ガラル地方の空の王者の血族は地に墜ちる。
『アオガラス、戦闘不能。カポエラーの勝ち!』
『うおおおおおおおおおおお!!!』
ジムリーダーに求められるは圧倒的な強さ。
不利対面であったというのにそれをものともしないサイトウの戦いぶりにスタジアム中が熱狂する。
「い、一撃も攻撃を与えられなかった……」
圧倒的な力の前に戦慄する。自らの手持ちの中で対格闘タイプにおいては一二を争うはずだったアオガラスが、相手にかすり傷の一つも負わせられず倒されてしまった。カブさんと戦い負けた時にも匹敵する衝撃が駆け抜けていく。
「さあ、次のポケモンを出してください」
それに対しジムリーダーの心は不動。荒れた海のように揺れ動くこちらの心境とは対照に、彼女の心は波紋ひとつ立たない水面のようでもあった。
「(いや、落ち着け。動揺を見せるな)」
それでも心を波立たせていた嵐のような衝撃は次第に波を引いていく。今まで積み重ねてきた経験と先のジムミッションの記憶がそれを想起させる。
ポケモンという車のハンドルを握るのはトレーナーだ、そのトレーナーこそが一番落ち着いていなければならない、と今まで何度も言い聞かせてきた言葉がスッと心の内で花を咲かせていった。
「————スー…ハー…」
「(ふむ、乱れた呼吸を直していますね。これは中々に侮れません)」
観客の前だからこそ落ち着くことが大事だと言い聞かせ、呼吸を整える。空気を吸って吐いた後、両手で挟み込むように頬をポンポンと叩くと心の平静が戻っていった。
「よし、落ち着いた!」
倒れたままだったアオガラスをボールに戻し、自分の不甲斐なさをきちんと受け入れて新しいボールを手に取る。
確かに一撃も与えられず倒されてしまった。だからといってアオガラスの戦いは無駄などではなかった。戦いで得た相手の使う技を思い返しながら、二体目のポケモンを繰り出した。
「君に決めた、ヒトモシ!」
「モシモッシ!!」
ヒトモシは飛び出し地面に着地する。すると観客席が湧きあがり、その大音響にヒトモシは一瞬肩を震わせる。
「お前にとって初めてのジム戦だ。いけるか?」
この衆人観衆の中気後れするポケモンも多いらしいがさてこいつはどうだろう?
「モッシモッシ!」
「……杞憂だったみたいだな」
溢れるやる気は頭の炎を見ればすぐにわかった。ヒトモシと共に気合いを入れ直し再びジムリーダーに向き直る。
ヒトモシを出した時、ピクリとも動かないサイトウさんの仮面のような表情にほんの少しの変化が訪れたことを俺は見逃さなかった。
「俺の読みが正しければ! 『おにび』!」
ヒトモシの周囲にふよふよと意思を持ったかのように動く火の玉が一つ、また一つと生まれていく。その数が七つを超えたあたりで動きをみせ、指向性を持たされた火の玉たちは対面する格闘家に向かって差し向けられた。
「カポエラー、『トリプルキック』!」
「カッポ! カポポ! カッポゥ!」
襲い掛かってきた七つの火の玉に対して迎撃行動をとったカポエラーは的確な蹴りによって火の玉を粉砕していく。最初は七つあった火の玉が二つ三つと数を減らしていったところで残った四つを四方向から同時に襲い掛かからせる。
「『こうそくスピン』!」
「カポォ!」
逆さになった体による見事なまでの『こうそくスピン』は四方から同時に襲い掛かってきた火の玉を纏めて消し飛ばす。それほどの破壊力がこの『こうそくスピン』には込められている。
だけど、これで確信がいった。
「でも、その技はヒトモシには通用しない」
「………」
「『こうそくスピン』だけじゃない。『トリプルキック』に『インファイト』、どれも超強力な技ですけど」
恐らくカポエラーの覚えている技は
『トリプルキック』
『こうそくスピン』
『みきり』
『インファイト』
「でもヒトモシは
そう、ここにきて
そしてカポエラーの覚えている技は全てが格闘とノーマルタイプの技のはずだ。どうすることもできない。
「なるほど見事な選出です。確かに、これではいくら実力差が離れていたとしても勝利するのは容易ではありませんね。」
そこまで突きつけてもなお、彼女の心には小さな波一つたりとも発生しない。
「ですがそこまで考えた上での選出ならば、逆にこちらがどうするのかも想像に難しくはないでしょう?」
落ち着いた態度でサイトウさんが選択したのは、
交代。一度カポエラーをボールに戻した上で、他に有効打を持つポケモンに変えようというらしい。
「格闘タイプのジムだからと、霊タイプだけで勝ち抜けるほど私もポケモン達も甘くはありませんよ」
淡々とした態度でカポエラーのボールを手に取り、ボールに戻そうとする。
これこそ俺が思い描いた光景の一端である!
「戻りなさい、カポエラー」
「させるか、『ほのおのうず』!」
差し込まれるは己の声と渦巻く炎。モンスターボールから出る光がカポエラーを格納しようとした瞬間、襲い掛かった炎はカポエラーを包み込み、光を遮る。
その光景に、ついにはサイトウさんの顔がわかりやすく揺らぐ。
「ッ! これは!」
「ルリナさんやカブさんとの戦いで苦しめられた交代封じ。まさか自分で使う時が来るとは!」
包み込み、巻き付いた炎がカポエラーの体を縛りつけ、モンスターボールによる交代を封印する。
サイトウさんの言った通り、相性の有利不利など野生のポケモン同士の戦いならともかく控えの存在するトレーナー同士の戦いでは簡単に覆されてしまう。だが、トレーナーがポケモンバトルするために必要なものはポケモンだけではない。そう、モンスターボールだ。ほとんどのトレーナーはモンスターボールによるポケモンの入れ替えが必要不可欠となる。
そこに、付け入るスキが生まれる!
「ヒトモシ、『おにび』!」
「モッシッシモ!!」
飛来する火の玉が炎の渦に拘束されたカポエラーの体を焼き、“火傷”の状態異常を刻み込む。“火傷”による炎症ダメージと炎の檻がカポエラーの体力を少しずつ、だが着実に奪っていく。このままじわじわといけば戦闘不能になることは避けられない!
だが相手もジムリーダー、上手くいくばかりではない。
「『こうそくスピン』!」
「ッ! カッポォ!」
グルン!
ドパァァンッ!!
「なっ! 『ほのおのうず』をかき消した!?」
轟々と燃え盛る炎の拘束を、カポエラーの『こうそくスピン』が力任せにかき消してしまったのだ。
「『こうそくスピン』はあらゆる拘束系の技の効果を打ち消します! 先は面を食らいましたが、もはやカポエラーに『ほのおのうず』は通用しません!」
これは予想外。だが、決着まであと1手だ!!
「だけどこれでとどめだ、『たたりめ』!」
ヒトモシの体から影が伸びる。それは捕まえた相手を容赦なく浸食していく負の影だ。
独楽の様に回転を続け影から逃がれるカポエラーだったが、影はカポエラーから伸びる影を飲み込むとそのままカポエラーの本体にまで一気に浸食を伸ばす。影に絡め捕らわれたカポエラーは動きを止められ、形のないナニカが体から削り取られていく。さらに影は体に刻まれた“火傷”に反応すると勢いを増し肉体と精神、両側からカポエラーの気力と体力が大幅に削っていく。
このまま決まるか!
と観客が湧き上がったところでサイトウさんの持つモンスターボールから伸びた光が影に包まれたカポエラーを取り込む。カポエラーを苦しめていた影は対象を見失い、霧散してしまった。
「っ、あと少しだったのにッ!」
「こちらとしてもあと少し早ければ、そう思わずにはいられません」
予想外の反撃を受けたというのにサイトウさんの鉄仮面は既に先ほどまでの平静を取り戻していた。
粛々とした態度で二つ目のボールを手に取る。
「ですが、このポケモンを乗り越えられますか!? いけ、ゴロンダ!」
ボールの中から出てきた巨体がコートを揺るがす。
重量級ともいえる体躯をしたポケモンはゴロンダ。
大きな体と毛並みを誇り、口にくわえた葉っぱがスタジアムの空調とともに揺らめいている。
「でかい……!」
「大きいだけではありません、『バレットパンチ』!」
ゴロンダが拳を握りファイティングポーズをとる。次の瞬間、ゴロンダの体がブレる。見失った相手を探そうと視線が左右を彷徨う。気がついた時には、ヒトモシの体が大きく吹き飛ばされた後だった。
大きな体からは想像もつかないほど素早い、弾丸のような拳がヒトモシの体を殴り飛ばしたのだ。
「大きいだけじゃなくて、速いのか…!」
「畳み掛けます、『バレットパンチ』!」
さらに追撃をかけるためサイトウさんが攻撃を指示しようとしたがゴロンダの様子がおかしいことに気がつく。
「む、これは」
「ゴ、ゴロ…!?」
殴られたヒトモシとは反対に反撃も受けていなかったはずのゴロンダの拳からぽつぽつと血がしたたり落ちる。
不信に思ったサイトウさんはヒトモシを見て合点がいったとばかりに納得の表情を浮かべる。
「なるほど『ゴツゴツメット』ですか」
いつの間に取り出したのか、ヒトモシの体が『ゴツゴツメット』によって覆われていた。鉱石と殆ど同化したこのメットを殴ることはとがった岩を直接殴りつけることにも等しい。ゴロンダの拳が傷ついたのも道理であった。
そして本来なら直撃していたはずの攻撃を異界から取り出したメットによって防ぎ切ったヒトモシは安堵の息を吐いている。突然の攻撃だったとはいえ自分の判断で攻撃を防ぎ切ったことにご満悦のようだ。よくやった!
だが、そんなヒトモシの達成感など知らぬとばかりに強烈な衝撃がメットの外からヒトモシの体を打ち抜く。
「格闘タイプに『ゴツゴツメット』、確かに良い防衛手段です。ですが、その程度で私とポケモン達の腰が引けると思ったら大間違いです」
「ゴロォォォン!!」
「『バレットパンチ』ィィ!!!」
攻撃すれば拳が傷つく、そうだというのにゴロンダとサイトウさんの攻撃は衰えるということを知らないとばかりに攻め立てる。むしろ拳が傷つくほど一撃の威力が増していると錯覚するほどであった。
「…いや、錯覚じゃ…ない? 本当に攻撃の威力が上がっている」
岩の硬度を誇るはずの『ゴツゴツメット』がゴロンダの弾丸のような拳によって形を歪ませ、五回目の『バレットパンチ』によってついにべコッ!という音を立て、目に見えて変形する。
拳の威力が眼に見えて増してきている。まるで拳が傷つけば傷つくほどゴロンダの心を燃え上がらせて奮い立たせているようであった。
「『ふるいたてる』か!」
「ロンダァ!!!」
正解だ!と言わんばかりのゴロンダの咆哮が響き渡る。痛みを苦としないゴロンダは『ゴツゴツメット』によって傷つくことを利用し自らを『ふるいたてる』ことによって攻撃力を倍化させていたのだ。そんなのありかよ!
威力を増すゴロンダの拳に追い詰められ、ヒトモシは防御に専念するしかなくなっていく。懸命に攻撃を防いでいるが観客、そしてサイトウさんから見てもそれは防戦一方という風にしか見えなかった。
そしてメットという閉鎖空間に長く篭もり過ぎた弊害だろうか。
メラメラと燃える頭の炎によってメットの内部で温度が上昇していく。それによってヒトモシの体が、蝋が融け始めたのは必然だった。体そのものである蝋が融け始めたことで、防御の態勢を保てなくなったヒトモシの体はズルズルと融け始め攻撃に対する抵抗力を弱らせていく。そしてヒトモシの防御が隙を見せた瞬間、ゴロンダの拳がメットを高く跳ね上げる。
自分の身を守っていた鎧が剥がされ、目の前にまで迫ってきていたゴロンダの姿にヒトモシは恐怖を覚える。
「これで終わりです、『つじぎり』!」
悪タイプの技ッ!!持っていたのか!!
ここまで隠されてきていたサイトウさんの切り札が切られた。
黒く、漆黒に染まったゴロンダの手刀が振り下ろされる。置物の蝋燭と化したヒトモシの体から恐怖の冷や汗なのか、ぽつぽつと蝋が融け出し地面に滴り落ちていく。融け出た蝋が床に広がり水たまりの様に広がっていく。
「ヒトモシ! 躱してくれ…!」
「モ、モシッ!!」
それは俺にとっても苦し紛れ、恐怖でまともな思考ができなかったヒトモシにとっても咄嗟の行動だったはずだ。
ヒトモシの動きが遅いことはヒトモシ自身が嫌というほどわかり切っていた。避けられるはずがない、間に合うわけがない。だけど、なにかをしなければこのまま終わってしまうという危機感に追い立てられて攻撃を避けようと必死に体を逸らす。
それはまるで沼地をすいすいと移動するヌオーのごとく。
それはまるでバランスを崩して決壊したアイスクリームのごとく。
ズルリという擬音がつきそうな勢いでヒトモシの体が床を滑る。ゴロンダの『つじぎり』がヒトモシの体を好かす。
「………え?」
「モシ?」
「……はい?」
「……ゴロ??」
ヒトモシの鈍重な動きからは考えられないほど素早く、ヌルりとした挙動にトレーナーもポケモン自身も目を丸くする。それは今まで数多くのゴーストタイプの使い手を相手取ってきたはずのサイトウさんすら、間の抜けた感想を吐くほどであった。
一瞬思考が停止した両者だったが、流石はジムリーダー。すぐさま冷静な思考を取り戻すととどめを刺せとばかりに指示をとばす。
「バ、『バレットパンチ』!」
しかし、追撃に放たれたその拳もヌルりと回避される。まるで暖簾を押しているようにどれだけ力を込めても当たらない。自然と体が逸れていくかのような動きをゴロンダは捉えることができない。
「ゴゴロォンッ!!!」
幾度も拳を放つ。
普段よりも力を込めて放つ。
だが、拳は当たらない。
困惑は焦りを生み、焦りは無駄な力を体に加えさせる。狩人のように正確だったゴロンダの動きから精細さが失われていくのがよくわかった。
ヒトモシのヌルりとした動きの正体を、何度も見ているうちに気がつくことができた。
これは溶けた蝋によるものだ。
融解したヒトモシの体から流れた蝋は地面に水たまりを作り上げ、溶けた下半身ではバランスをとることすらままならない不安定な体となった。当然そんな状態では体を支えることはできない、その結果本来ならダメージとなるはずの外部から伝わる力がヒトモシの体を自動的に動かしているのだ。海に浮かび風の力で航海をする帆船の様に、融けた蝋の上でヒトモシの体は相手の攻撃の力を利用して勝手に動いているのだ
まさしく
そして、動きのキレが落ちていくゴロンダとは対照的にヒトモシは瞬く間に新しい体の使い方を習得していく。どうすればこの体で動くことができるのか、相手の力をどう利用すればいいのか。融けたとはいえ自身の体、瞬く間に体の動かし方を学習していく。ゴロンダの激しい暴力の嵐に敢えて逆らわぬように、少しずつ。だが、着実に。
業を煮やしたゴロンダから、ひときわ力を入れて振り絞った『バレットパンチ』が撃ち出される。やはりというようにヌルり……と攻撃が空かされ、攻撃を躱したヒトモシの体が勢いを利用してくるくると回りながらゴロンダの懐に潜り込む。
ここだっ!
『ここ』が反撃のチャンスだ!
「ヒトモシ、『あやしいひかり』!」
攻撃を躱されゴロンダの血走った視界の中で、ヒトモシの頭の炎が不気味な点滅を始める。
それは視るものを惑わす怪しい光。一度嵌まれば目を逸らすことが叶わぬ魅惑の光。焦りで奮い高ぶっていたゴロンダは瞬く間に光の虜となり、完全に自らを見失う。
「ゴ、ゴロンダ! 正気に戻りなさい!」
ゴロンダの焦りがトレーナーにも伝播したのか、冷静沈着をモットーとするはずのサイトウさんの声にはどこか冷静さが欠けていた。
そして声は届かず、ゴロンダの意識は戻ってはこない。ゴロンダを幻惑したヒトモシは次なる攻撃を起こすためか体を滑らせ距離を取り、十分な距離をとったところで体がさらに融けることが脳裏をよぎる。迷った俺の視界に体が融けることもいとわず炎を燃え上がらせるヒトモシの姿が目に入った。
「ッ! ここできめるぞ! 『ほのおのうず』!」
「モッシッシ!」
ヒトモシの頭上の炎が渦巻き、螺旋を描いた炎がゴロンダの体を包み込む。ゴロンダの持つ強固な毛皮と肉体を炎がじりじりと焼き付ける。
「『おにび』!!」
続けてヒトモシの周囲に現れた五つの火の玉が炎の檻に閉じ込められたゴロンダの四肢を焼き、最後の一つが顔面を直撃する。幾度となく炎に晒されたというのに、未だゴロンダの精神は奥深くに閉じ込められたまま出てくることができない。このチャンスを絶対に逃さぬという強い意志がヒトモシの体に最後の力を吹き込む。
「今度こそ、これで終わりだ!
『たたりめ』ぇぇぇ!!!」
燃え盛るゴロンダの大きな体を、丸呑みするかのように『たたりめ』の影が包み込み、文字通り飲み込む。飲み込まれた影の中でゴロンダはわけもわからず暴れまわり、ヒトモシも文字通り自身の全てをつぎ込んでゴロンダの体を影の中で仕留めにかかる。
『たたりめ』は攻撃した相手の内にある形のないナニカを削っていく技であり、ナニカとはおそらく生命エネルギーともいわれる力である。ヒトモシ自体生命エネルギーを吸ってくるポケモンだ、『たたりめ』の生命エネルギーを削る速度はかなりのものだと言っていいい。
そして今、炎技の連打により体がさらに融けたことを気に留めず、ただこの強敵が仲間の前に再び立ちふさがらないことだけを考えて、ヒトモシはゴロンダを攻め落とそうと全霊をかける。
影の中でゴロンダの体から力が抜け落ちていくのがわかる。どんどんと弱くなっていくゴロンダの抵抗から戦闘不能は目前だと思えた。
「ゴロンダ! 立ち上がりなさい! 貴方の力は、そんなものではないはずです!」
しかしそのまま沈んでいくはずだと思われたゴロンダの体が息を吹き返す。サイトウさんの声で正気に戻ったようだ。
ついに“混乱”の呪縛から解放されたゴロンダは影の中で最後の抵抗を始める。もはやその体には抵抗するだけの力も残ってはいなかったはず、だというのにゴロンダの抵抗する力は戦闘不能一歩手前のそれではない。
「モ、モッシ!!?」
もはやゴロンダの生命エネルギーは尽きる寸前で、意識というべき炎は風前の灯火と言ったほどにか細かった。だが、この土壇場で彼は残りの燃料をすべて使いつくす勢いで意識を燃え上がらせる。要するに。
「ゴロォン!!!」
『削り取られるなら、削り切られる前に全部燃やしてやるわ!!!』
「『つじぎり』!」
燃料(生命エネルギー)一斉投下。
残った生命エネルギーを全てかき集めた漆黒の手刀により、ゴロンダの体を包んでいた影が両断される。悪タイプの『つじぎり』によって
影から飛び出したゴロンダはヒトモシに最後の強襲を仕掛ける。
「……ダァ!!!」
既に力を使い切ったゴロンダの攻撃には余計な力というものが一切なかった。それが相手側にとっては幸運な結末、こちら側にとっては不幸な結末となりヒトモシの自動回避を発動させることなく、『つじぎり』はヒトモシの体を突き破る。
「……モ……ジ…ァ!!?」
「ヒトモシ!」
手刀に貫かれ、少なくなった体のさらに半分が吹き飛ばされるヒトモシ。
悲痛な声に手を伸ばす。
だが、彼にも意地があった。
この強敵を絶対に次には行かせないとする強い意志が燃え上がった。ヒトモシの頭上の炎が渦を巻き、自らもろともゴロンダを『ほのおのうず』で包み込んでいくいく。炎の檻が完全に締まり切る直前、炎の中で二匹は認め合った戦士の様に、笑みを浮かべているのが見えた。
燃え盛る『ほのおのうず』が次第に勢いを失っていき、空気に解けていく。焼き焦げたコートの真ん中で、満足そうな笑みを浮かべたまま二匹は気を失っていた。
『ゴロンダ、ヒトモシ共に戦闘不能!よって勝者無し!』
『うおおおおおおおおおお!!!!』
小さな霊と大きな格闘家。相反するようなポケモンによる文字通り肌のヒリつく戦いが終わりを迎えたことで、会場が湧き上がる。
まだまだ戦いは始まったばかり。ようやく四番目のジム戦が本番に差し掛かり始めるのであった。
特別MVの素晴らしさは正直語りつくせませんよね、レッドとヒビキのところとか実際のポケモンバトルの交代速度ってあんななのかって絶句したり興奮したりしてました。
なので剣盾に絞った感想。
まずジムリーダーラッシュですね。とくにPUするとルリナさん美しい、カブさんの見せた一瞬の驚き顔あざとい、キバナさんのガオー顔最高といいた感じですね。そこから繋がるビート君のつれない感じのクールな感じ解釈一致です。笑顔を盛るペコ、お前最高の仕事過ぎない?マリィちゃん可愛すぎんだろ!!んほ~、たまんね~。そこからね、ホップがほっぺた叩いてポケモン達と立ちふさがるとこで興奮して一瞬でダンデさんの王者に相応しい殺意の高いパーティーに変わるのでさらに超興奮、振り向いたマサルとユウリの格好良さは語りつくせないしその後のキョダイマックス技の激突はまさしくダイコウフンでしたね。語りつけせねぇやヒェア!!
あ、ヒトモシは体が吹き飛びましたけど多分新しい蝋燭かなんかに体を移したらすぐに復活すると思います(適当)