剣盾旅記録   作:鳴神ハルキ

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8、ワイルドエリアの洗礼

ホップとの激戦を終え、みんなで楽しくカレーライスを食べた後はそのままマグノリア博士の家にお泊りさせてもらった。

『ジムチャレンジ』の開始は今日から五日後、既に開会式を行うエンジンシティにはプロジムリーダーや著名人に推薦を受けた腕利きのトレーナーが各地から集まっているらしい。

マグロリア博士の家で朝を迎えた俺たちはさっそくエンジンシティに向かうことにした。

 

「ねえあんた達、昨日不思議なポケモンと出会ったって言ってたわよね。あれどういうこと?」

 

朝食をごちそうになっているとソニアさんが昨日会ったポケモンについての話を聞いてきたので俺達三人の体験した限りのことを伝えた。

曰くそのポケモンは霧の中から現れ、あらゆる攻撃が無効化され、その姿と風格は王者のように優雅で力強かったことを。

 

「まあ、最後は気を失って覚えてないんですけど」

「なにそれ~」

 

興味津々だったソニアさんだが最後の最後を聞くと呆れた顔になってしまう。しかし本当だから仕方ない。

 

「ホップ、ユウリ、そしてアカツキ。これをお持ちなさい」

 

自室から出てきたマグノリア博士がなにか腕輪のようなものを差し出してくる。言われたとおりに腕に装着してみるととてもよく腕になじんだ。

 

「それはダイマックスバンド、昨日貴方達から預かったねがいぼしを埋め込んであります」

「おぉ、アニキと同じバンドだ!これで俺達も大マックスができるぞ!」

「おやおや、焦らないで。ダイマックスをするにはいくつか条件があるのだから」

「博士ありがとう!」

「ありがとうございます」

「俺も大事にします!」

 

 

「ふふ、貴方達にあげたポケモン図鑑を埋めるためにもこのガラルのいろんなところに行って、見て、聞いていらっしゃい」

 

優しく微笑みながらマグノリア博士が俺達を見送る。エンジンシティに行くために、俺たちはブラッシータウン駅へと赴いた。

 

 

「おや、ソニア。貴女は行かなくていいのですか?」

「わ、わたし?」

「まどろみの森で彼らが出会ったという不思議なポケモン、気になっているのでしょう?」

「あー、いやー、まあその…」

「はぁ、若きトレーナーたちが新しい一歩を踏み出したというのに貴女はそんなことでいいのかしら…」

「わ、わかった。わかりました!わたしも謎のポケモン調査のためにガラル地方をめぐってきますから!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ブラッシータウン駅に着くとお母さん達が待ち構えていた待ち構えていた、なぜ?

 

「あれ、かーちゃんどうしたんだ?」

「まったく、ヒバニーを貰った時からこうなるとは思ってたけど貰った次の日に行くとはさすがに予想外だったわ」

「そうよアカツキ、マグノリア博士がわざわざご連絡してくださったんだから」

「お~う、ユウリ~???無断で旅に出かけようとはいい度胸だな!??」

「マ、ママ!?」

 

頭にタオルを巻いてタンクトップの上から作業着を着ている女性はユウリのママ、色々なものを直す『修理屋』をしている町で一番頼れる人だ。

なんだか色々と言動がヤバい人だが比較的良い人だ。しかし、あのユウリが世界で唯一恐れるヤバい人でもある。やっぱりヤバい人だ。

 

「お母さんに一言もなしで色々してるのはいつものことだから許すがな~あ?今回ばかりは少しばかり急すぎるんじゃ、な・い・か・な~!??」

「ごごご、ごめんなさい!あ、あたしも反省してますから!」

「…ったく、ほら持ってきな」

 

そういって何かの入った大きなカバンを放り投げる。慌ててユウリがキャッチするとお母さんも同じものを俺に渡してくる。

 

「これは…」

「旅立ちのプレゼント、キャンプのための道具よ」

 

渡されたカバンを開くと中には調理用のガスバーナーや調理道具が一式、それにポケモン除けの施されたテントや夜に使えるランタンなどだった。

旅に出るとなれば必須なものだというのに昨日からの高揚ですっかり忘れていた。

 

「ジムチャレンジもそうだけど、しっかり体調にも気を付けるのよ」

 

「そうよ、ホップもダンデみたいに無茶しすぎるんじゃないよ」

 

「ッチ…無理すんじゃねえぞ」

 

お母さんたちに見送られ俺たちはエンジンシティ行きの電車へと乗り込む。母は偉大とはよく言ったものだ。

電車が動き出すと電車の窓から外の景色が見える。ふと見てみるとお母さんたちが手を振っている姿が見えたので急いで窓を開けて大きく叫ぶ。

 

 

「行ってきまーーーす!!!」

 

「かーちゃん!俺は最強のチャンピオンになってくるぞーーー!!!」

 

「ママーーー!!ありがとーーー!!!」

 

 

 

すぐに姿が小さくなっていく、俺たちの声は届いただろうかと話しているとやたらと顔の怖い職員さんが話しかけてきた。

 

「…他のお客様のご迷惑になりますので、こういったことは控えていただきますようお願いします」

「「「す、すいませんでしたーーー!!!」」」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

やたらと顔の怖い職員さん(顔とは裏腹にすごくいい人だった)に怒られた後はなるべく問題を起こさないように努めた。

スマホを使いエンジンシティの情報を探したり、ワイルドエリアのことを調べたりした。俺は行ったことがないがホップはワイルドエリアに行ったことがあるようだ。

 

「ワイルドエリアはな、ガラル地方の中央辺りをぐるりと占める広大な場所だ。沢山のポケモンが住んでてしかもすごい手ごわいらしいぞ」

「ホップは行ったことあるんでしょ?」

「俺はかーちゃんやアニキと安全なエリアでキャンプしに行っただけでよくわからないぞ」

「なあんだ、つっかえなーい」

「なんだと!」

「なによ!」

 

「……お客様、お静かにお願いします」

 

「「す、すいません!」」

 

 

しばらく電車が森を通過していると急に晴れた景色が広がる。外を見てみると見渡す限りの草原が広がっている。

 

「ホップ、ユウリ!これって!」

 

「ああ、ここが『ワイルドエリア』だ」

 

広い広い草原にぽつぽつと何かが見える。目を凝らしてみるとあれらはポケモンのようだ。すかさずスマホをかざしてみるとすぐに情報がでてきた。

 

「あれは、バルキー?知らないポケモンだね」

「俺も見たことないな」

「バルキーはエビワラーやサワムラーに進化できる中々珍しいポケモンよ。あんなポケモンまで生息してるなんて、さっすがワイルドエリアね!腕がなるわ!」

 

そういってユウリが立ち上がり腕まくりをしていると急に電車がブレーキをかけた。それに伴い、立っていたユウリが倒れそうになったが俺とホップが腕をつかんだことで事なきを得た、実に心臓に悪い。

 

「ユウリ、大丈夫?」

「え、えぇありがと。助かったわ」

「そうだぞ、危ないぞ」

「…うっさいわね」

 

いつもなら何か言い返すユウリだが声が小さくよく聞こえない。するとほかの乗客も気になり始めたのかざわざわと騒ぎ始めると車内放送が流れ始めた。

 

『現在、前方でウールーの群れが線路を塞いでおります。通行が不可能な状態となっておりましたので急ブレーキをかけさせていただきました。お客様方にはご迷惑をかけてしまい申し訳ありません、どうかご理解とご協力のほどをお願い申し上げます』

 

ピンポンパンポン♪となると車内放送が終了する。周りを見渡すと思っていたより乗客は慌てていない、今の放送からもこう言ったことはよくあるようだ。

 

「どうする?ウールーたちが動くまで待っとくか?」

「冗談、止まったのなら都合がいいわ」

「というと?」

「どうせならここからエンジンシティまで歩いていきましょ。いつかは冒険するんだし先に体験しておきましょ」

 

そのユウリの提案に賛成し俺たちは下車した。外に出ると他にも何人か降りてきている、腰のモンスターボールを見る限り俺たちと同じトレーナーのようだ。

これからどうしようか話し合っていると聞きなれた声が聞こえてくる、振り向いてみるとソニアさんが電車から降りてきていた。

 

「なんだ、ソニアじゃん」

「ソニアさんも来てたんですね」

「えぇ、おばあさまに言われたの。『若いトレーナーが旅立ったというのに、あなたはどうするの』って」

 

少し俯いてソニアさんが自嘲気味に話してくれた。

 

「…大変ですね」

「気にしなくていいから。それにあんたたちが出会ったっていう森のポケモンのことも気になるし、なにか分かればきっとおばあさまも認めてくれるわ」

「なるほど、大人って大変だな」

「手伝えることがあれば何でも協力しますからね」

「ありがと。じゃあお礼にエンジンシティまで道案内してあげるわ」

「おお、さすが大人だぞ!」

 

そうしてソニアが仲間に加わった一行はワイルドエリアを散策する。

広大に広がる草原は遠いエンジンシティが見えるほど広がっている。見えていることで近いと錯覚してしまうが地図で見るとかなり遠い、おそらく今日はキャンプとなるだろうとソニアさんが言った。

 

進んでいくと草原が終わり木々がまばらに生えているとことにやってきた。

 

「ソニアさん、道間違えてませんか?」

「こっちでいいのよ、ここから通った方が早くエンジンシティに着けるの」

 

さすが大人だと感心し林を抜けていくと突然目の前を何かが通って行った。驚いているとユウリがポケモン図鑑を開いている。

 

「あれは、ミツハニーよ」

 

はちのこポケモンミツハニーというらしい蜂の巣のようなポケモンは顔が三つもついている。説明を聞く限り三匹が固まって常に行動しているようだ。

ミツハニーはこちらを見つけると羽を震わしはじめる。なんだと思っていると木々の向こうからブンブンブンという風切り音が聞こえてくる。ま、まさか、

 

「ミツハニーの大群だぁ!!」

「「「うわぁぁっぁぁぁぁ!!!」」」

 

30匹を超えるミツハニーの群れ、昨日一番道路でポケモンに囲まれはしたがこれに比べれば生易しいと思えた。大量のミツハニーによる風切り音は体が震えあがり原子的な恐怖を感じさせる。

必死に逃げていた俺達だがなんと反対側からもミツハニーの群れが襲い掛かってきた。万事休すかと思った時群れの中から一匹大きなポケモンが出てくる。

ミツハニーより数段大きく下半身は蜂の巣そのもの、スカートのようにも見えるその姿はまるで女王だ。

 

「あれは、ミツハニーの進化系ビークインね。そうか、この群れは彼女の兵士ってことね」

 

囲まれてしまった状況にソニアさんが舌打ちをする。ビークインがなにかを指示するとミツハニーたちの動きが変わる。ゆっくりとこちらを包囲し始めたようだ。

 

「…あんたたち、まわりのミツハニー達を任せられる?」

「ソニア、何か手があるのか?」

「これでも元ジムチャレンジ参加者よ。わたしがビークインを倒すからそれまでお願いね」

 

そういうとソニアさんがボールを投げた。モンスターボールから出てきたのは研究所でも見たワンパチだった。

 

「こんなことなら他のポケモンも持ってくればよかったわね。ワンパチ、『スパーク』」

 

ワンパチの体をバチバチと電撃が覆っていく。電撃を纏ったワンパチの『スパーク』がビークインを直撃する、効果は抜群だ。

 

「よし、俺達もなんとかするぞ。いけ、ヒバニー!」

「お願い、ヤミちゃん!」

「頼んだメッソン!」

 

ユウリのヤミラミの『あやしいひかり』がミツハニー達を覆うと隊列を失いばらばらと散っていくとすかさずヒバニーの『ひのこ』がミツハニーを襲いどんどんとその体を墜落させていく。隊列を失っていなかったミツハニーが襲い掛かってくるが大きな的はむしろ当てやすい。

 

「メッソン、『みずのはどう』」

 

放たれた水の球体はミツハニー達に当たるとはじけその羽を鈍らせる、これならいける。ちらりと見ればソニアさんもビークインを押している。

 

「ビィィィィィ」ブゥンブゥン

 

それを見かねたビークインが新たな指示を出す、残っていたミツハニー達はビークインの体を遮るように集まっていく。これではワンパチの攻撃が当たらない。

 

「『ぼうぎょしれい』ってやつか、厄介ね」

 

ワンパチが近づけないでいるとビークインの体の巣に光が集まっていく。ミツハニー達がスッと移動し射線が明けられるとその光が放出される。調べてみるとどうやら『パワージェム』という技のようだ。

 

「く、ワンパチ『スパーク』」

 

『パワージェム』躱したワンパチが再び『スパーク』を行うがミツハニー達の壁によって阻まれてしまう。

なんとか俺達も援護をと思ったが残ったミツハニー達の足止めで精いっぱいだ。

 

 

 

「…あんまり、かっこ悪いところ見せられないわよね」

 

スッとソニアさんが額にかけていた眼鏡をかける。すると口に手を当ててなにかを考え始めている。

 

「あの壁はミツハニー達の集合体ミツハニー達はビークインの指令を受けて動いているじゃあ指令ってどうやって出しているおそらくビークインの出すフェロモンかしら多分そうねでもあの集合体でのなかでも指令はきっちり通っているわけだからなにか秘密があるはずよね…………」

 

ソニアさんがブツブツと何かを呟いている、こ、怖い。

そうしている間にもビークインとミツハニーによる攻撃がワンパチを襲うが縦横無尽に走り回るワンパチを捉えきれていない、すごい回避能力だ。

 

「っ! 見えた!」

 

眼鏡を外し汗をぬぐったソニアさんの目にはたしかな闘志が宿っている。

 

「ワンパチ、『スパーク』」

 

「イヌヌワ!」

 

再度の『スパーク』、ビークインはそれをみると巣へと光を集めていく。ダメだ、あのままでは壁を壊しきれなかったワンパチが返り討ちにあってしまう。

 

「ソニアさん!また『パワージェム』が来ますよ!」

「大丈夫、わたしとワンパチを信じなさい!」

 

『スパーク』の電撃がミツハニー達を焼くが突破するまでには至らない。にやりと笑ったビークインから『パワージェム』が放たれるかと思ったその時、

 

「ワンパチ、『ほえる』」

 

「グルルル、『イヌヌヌワン!!!!』」

 

ワンパチの小さな体から放たれたとは思えない大声量が周囲の音すべてを飲みこむ。その一瞬だけ、たしかに音が消えたかと思うと突然ミツハニーの隊列が崩れだす。

ビークインは驚きながらも『パワージェム』を放とうとするが隊列の崩れたミツハニー達が遮る壁となったことで慌てて発射をやめた。

 

「思った通り、指令はフェロモンと羽から出す音。風切り音を消し去ってしまえば指令はうまく伝わらないようね!ワンパチ、『ほっぺすりすり』!」

 

「ビ? ビィィィィィン!?」

 

その隙をついたワンパチがビークインに飛び移るとその頬をこすりつける。静電気を超える電気が送り流されたビークインはその体をしびれさせている。

ソニアさんはポケットからモンスターボールを取り出すとビークインめがけて投げつけた。

 

「行って!モンスターボール!」

 

吸い込まれたビークインが姿を消すとミツハニー達の動きも止まりその生末を見守っているとポン☆と気持ちのいい音が聞こえた。

 

「よし、ビークインゲットね」

 

「イヌヌヌワ!」

 

女王を失ったミツハニー達が散り散りと去っていく、なんとか窮地を脱したようで安心と同時に力も抜けてしまう。

 

「はぁ~、疲れたぞ」

「あたしも、なんか耳がキンキンするわ」

「まあまあ、ビークインも捕まえたし一見落着じゃない?」

「「「落着じゃない!」」」

「ご、ごめんってば~。わたしが昔通った時にはこんなビークインの巣なかったのよ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その後林を何とか抜けると大きな池が見えてくる。どうやら今日はここでキャンプをするようだ。

俺たちはキャンプセットからテントを取り出し組み立てていく。ソニアさんの助言通り早めにテントの設営をしたことでなんとか日が暮れる前にテントを張り終えることができた。

思ったよりも大変だな、テント。

 

「明日はあの大きな橋を抜けていけばあとはエンジンシティまでまっすぐよ」

「本当か~、ソニアのことだからまたなにかハプニングが起こったりして」

「ホップったら、口が減らないんだから」

 

 

ワハハハハ、大変なことにも巻き込まれたがみんなで火を囲み星空の下で食べたカップ麺の味は忘れられないだろう。

 

 




はい、というわけでゲーム貯金が切れましたのでゲーム進めてきます。
小説書いて、ソシャゲ回してるとゲーム進める気力無くなりますよね。

よくわからないソニアの戦闘シーン、なんでこんなの入れたんだろうか。最初はイワークにボコられる洗礼だったはずなのに。
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