ふと、思いついた百合。   作:FM

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サン

「む~つ~きっ!」

 

金曜になった。もう人も少なくなった教室で、椿がいきなり後ろから声をかける。

 

「ひゃぅ!」

 

と同時に両肩をつかまれた私は声を上げる。

 

あの一件後椿とは今までのようには話せていなかった。

 

「明日の事だけどさ。」

 

彼女はそう切り込みを入れてくる。

 

「うん…大丈夫。」

 

あのメッセージが来た翌日には行けると回答しておいた。

 

「それでね、11時ごろ来て欲しいなーって。」

 

「分かった。」

 

ドクン…ドクン…と鼓動が高鳴る。

 

数日たったが、湧き上がるこの感情はまだ整理できていない。

 

「じゃあ、また明日!夢月!」

 

彼女はいつもより嬉しそうだ。

 

…最近あんなにうれしそうな彼女の顔を私は見ただろうか。

 

私も帰路へ着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の家から夢月の家までは少しかかる。

 

というのも私と夢月の家は小学校の学区の端と端だからだ。

 

電車で一駅の後、少し歩く。

 

彼女の家に近づくにつれ、心臓の鼓動は高まる。

 

服は大丈夫だろうか。髪は整っているだろうか。相手に失礼のないように振舞えるだろうか。

 

 

私は…私は…事実を受け入れ止められるだろうか…。

 

 

気が付けばもう彼女の家の前だった。

 

私がチャイムを押す前に、ドアが開いた。

 

「待ってたよ。ささ、上がって。」

 

彼女の家に上がるのはかなり久しぶりだった。

 

最後に上がったのはもう1か月も前になるだろう。

 

「お邪魔します。」

 

彼女の家に入るとふわっといい香りがする。

 

私が勝手に「椿の家の匂い」と呼んでるそれの正体はいまだ不明である。

 

「私の部屋で待ってて。今お茶とお菓子持っていくから。」

 

そう言って彼女は台所へ進む。

 

「彼は…?」

 

「ん~、もう少ししたら来ると思う。」

 

台所からの応答はそうだった。

 

階段を上り彼女の部屋へ向かう。

 

二階の一番奥の部屋の扉。

 

 

 

その先が花園…。

 

 

 

…もしかしたらもうミツバチは入れなくなるかもしれない花園。

 

 

扉を開けると、また違った匂いが私の心臓の鼓動を高める。

 

 

椿の匂い…。

 

彼女の部屋に入り、持ってきたかばんを置く。

 

シンプルかつ、ところどころに女の子らしい意匠がちりばめられている彼女の部屋…。

 

私はこの部屋が好きだった。いや、今も、今までも、これからも、ずっと私は好きなのだろう。

 

「夢月~ドア開けて~。」

 

トレイで両手がふさがっているのだろう。

 

「ありがと。」

 

トレイをテーブルへ置き、彼女は私の頭へ手を乗せる。

 

何故、なぜ今になってそんなこと…。

 

私が必死に諦めようとしてる今に…。

 

今頭なんか撫でられたら…

 

(想い…捨てきれなくなっちゃう…。)

 

「飲んで飲んで。貰いモノなんだけど結構いい紅茶なんだ。」

 

「うん…。」

 

ティーカップの縁へ唇をつける。

 

紅茶の風味が口の中で広がる…

 

(ん?なんか…甘い?)

 

若干だが何か甘みのようなものを感じた…が口には出さない。

 

砂糖も何も持ってきていないということはそのままが一番おいしいということなのだろう。

 

 

しかし、数分後、私の体に異変が起き始めた。

 

(なんか…熱い…それに…くらくらする…)

 

急な風邪だろうか。…もしかしたら私の心がまだ受け入れたくなくて…出てきたのかもしれない。

 

 

私の…心の弱さ…。それが引き起こしたのかもしれない。

 

「夢月?大丈夫!?顔赤いよ!?」

 

彼女は私のそばにより額に手を当てる。

 

そして、私を抱え込むの顔は笑みを浮かべているように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




森本椿…『何か』を入れた。

橘夢月…ぼーっとして、顔が赤い。
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