東方 白狼物語   作:蛙の歴史

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今回で一応一章、新天地への誘いが終了します。


俺の決意ともう一人

「んっ……………ん?」

 

あぁ見たことある、天井に見たことある部屋。

また運び込まれたのか………永遠亭に。

 

俺は外を見て、月の位置から今は丑三つ時であることを確認した。

さて、体は問題ない。

包帯も巻かれていない。

ふむ、どうするか。

そう言えばここには温泉があるって前にてゐから聞いたことがあったな。

何日寝てたか分からないし、体を洗ってさっぱりしたいから行って見るか。

 

俺はその時には気づかなかった。

俺の布団の隣りに、もう一つ『布団』があることに………

 

 

 

しばらく歩くと、大きな木扉の前に出た。

温泉への入口である。

前回運び込まれた時に、使ったくらいである。

 

俺は、素早い動作で服を脱ぎタオルをもって温泉へ入って行った。

 

だが、『先客』がいた。

通常通りの俺なら気づけたかもしれないが寝起きで、病み上がりの俺には気づけなかった。

 

――一糸纏わぬ姿で――――――

 

――――温泉への突然の来訪者に――――

 

―――――驚きを隠せない椛がいた―――――

 

しばらく俺達は固まってしまった。

男の俺としては、大変美味しい状況なのだが、その何と言うか………

『目のやりどころに…………困る』

 

最初に切り出したのは椛だった。

 

「けっ『顕悟さん』!?」

 

俺を、外の世界の名で呼ぶ少女。

 

「あぁ済まない。俺は出るから!!」

 

と、踵を返して温泉から出ようとしたとき。

 

「待ってください!…………その……よろしければ………一緒に………」

 

「へ?」

 

椛は顔を真っ赤にし、俺は間抜けな声を出してしまった。

 

 

なんだろう、この空気。

暁朧は困っていた。

そう、今は温泉で椛と、隣合わせに入っているのだ……

温泉なのだから広がればいい。

あぁ俺だって広がりたいさ。

だけど……………何故か手を握られている。

 

「『顕悟さん』………お話いいですか?」

 

沈黙を破り椛から語りかけてきた。

俺は、それを黙って真っ直ぐ椛を見て聞く。

 

「『顕悟さん』貴方は、『また』無茶をしましたね。」

 

俺は思わず顔を逸らした。

またとは九天の滝でのことだろう。

あの時は、椛を助けたい一心でやったし後悔はして無い。

で今回が、レミリアとの事でだ。

確かに無茶をした。

危うく死にかけたのだ。

 

「『顕悟さん』………こっちを見てください。私は、今回の事でわかったんです。私は貴方が亡くなれば悲しむでしょう。奈々さんならきっと心を閉ざしてしまうでしょう。」

 

俺は、椛の顔を見れなかった。

それは全て事実だろうし、これからも無茶は続く。

そんな確信があったからだ。

 

「『顕悟さん』!」

 

椛は叫び、俺の顔を掴み強制的に面を向かせる。

見てみると、椛の頬には涙が流れていた。

 

「だから………だからこれからは。………戦闘の時も、私も一緒に戦わせてください。」

 

椛の声はほとんど震えていた。

そうか、俺はこういう真っ直ぐな所に、惹かれたのかもしれない。

ならば俺も言うしか無いだろう。

俺も意を決して、伝えよう。

 

「椛、紅魔館で俺がさ…………『何を』したか………分かる?」

 

椛は微妙な感じで頷く。

多分、予想は出来てるが………ということだろう。

 

「なら、改めて言わしてくれ。」

 

俺は、真剣な顔をで一呼吸置き言う。

 

「俺は『君の血肉を取り込んだ』。」

 

「……………………はい。」

 

目を伏せ、静かに答えた後椛は目を開き告げる。

 

「分かってました。だって見てましたから…………私が気を失ったのはそのあとですから。」

 

椛は無理矢理微笑む。

 

「ですが、貴方を妖怪の道へ誘ったのは、私です。」

 

「それは………どういう意味だ?」

 

「私は、貴方に私の『血』を提供したんです。貴方は、紅魔館でレミリアさんにやられた時に大量の血液を流されてましたから………」

 

成程、そう言う事か。

妖怪の血は、来る者拒まず。

全ての血に受け入れられる。

そして、その血は妖怪にとって妖力が一番濃い物であり、大量に取り込めば妖怪化してしまう。

 

「椛、気に病むことはない。俺はその前から妖怪になる事を決めたんだ。自分の意志で。」

 

俺は椛の目を真っ直ぐ見て言う。

そして『あれを』言うなら今しかない!

 

「椛、こんな汚れた………汚れきってカッコ悪い俺だけど………それでもお前が良いなら……」

 

俺は息を整え、感情を抑制し真剣に伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺と付き合ってくれ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉にしてしまえば短い、でも気持ちはそれ以上に込めて…………

 

言えた。カッコ悪いけどしっかり言えた。

俺は、目を一瞬たりとも離さず椛の目を見つめる。

それに耐えられなかったのか俯いてしまった。

 

「……………………私で…………私で良いんですか?」

 

それは、とても小さく自信のない声だった。

 

「あぁ」

 

自信が無いと言うなら、何度でも力強く答えよう。

 

「本当に私でいいんですか?」

 

「あぁ!っ!?」

 

言葉を発した次の瞬間に、声が出せなくなった。

椛が、上を向き俺の唇に唇を重ねたからだ。

マナーとして俺は目を瞑た。

それは、触れ合うだけの軽いキスだが少なくとも、俺には俺達にはこれで充分なのかもしれない。

 

唇が離れ、椛と目を合わせる。

見ると、頬が少し紅くなり恥ずかしいようだ。

 

「これが私の答えです。///」

 

俺は自然に微笑んでしまった。

椛もそれにつられて微笑み今度は、俺の右手で頬を触って少し持上げ唇を重ね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わーい!温泉だー!!!」

 

………られなかった。

瞬間、俺の顔は温泉に埋まっていた。

椛が頭を抑え叩きこんだのだ。

脱衣所の扉が開き、中から菜々、フラン鈴仙、てゐの四人が入ってきた。

俺は、蜃気楼を作り姿を消して温泉を後にした。

 

(も〜み〜じ〜、アトで酷いからな………)

 

こうして夜が開けていった。

 

 

 

 

「貴方もう出歩いていいの?」

 

永遠亭に来た咲夜に言われた。

 

「そうね。3日も寝込んでいたのだから少し心配よね。」

 

絶賛、永琳の診察中。

上半身裸で、心音を聞かれている。

てか俺、3日しか寝てなかったのか。

 

「まぁこれも妖怪化のおかげかな?」

 

「そう言えば、貴方自分が何なのか分かってるの?」

 

「あぁ分かってるよ。」

 

その問に服を着ながら答える。

 

「俺は人狼。西洋の言葉で言えば、 ヴェアヴォルフ」

 

俺は、軽くそして淡々と答える。

 

「 ヴェアヴォルフは西洋の妖怪でもあり、日本の狼男共同一視されるが能力が全くもって異なる。俺の場合、西洋の伝承が強く出てる。狼になったり、霧になったり、人狼になったりと。」

 

「待ってください。それは弱点はないんですか?」

 

永琳を手伝っていた、鈴仙に問われた。

 

「日本の狼男は普通に殺せるけど、ヴェアヴォルフは体内に銀を入れて浄化しなきゃならない。まぁ俺の場合利点を取ってるから聞きませんけど。」

 

俺は伸びをして、肩を回す。

 

「あっ朧さん!」

 

「なんだい椛?」

 

椛は、フランと菜々と遊ぶのをやめ手を上げて質問してきてる。

 

「武器はどうしたんですか?」

 

「あぁ…ここにあるよ。」

 

俺は右手を開き前に伸ばす。

そうすると手のひらにしっかり、持てるように、柄、鐔、刀身の順に出現する。

緋色の良い刀だ。

 

「あっ!そう言えば。貴方に来客が二人来てたわよ?入ってらっしゃーい。」

 

永琳がそう言うと扉が開き、二人の少女たちが出てきた。

一人目は濃い青色の髪に、水色のスカートまである服を着て鞄を背負っている。

身長は、椛よりか少し小さい程度だ。

 

二人目は、薄いけれど影に入れば青色に見える銀に近い色の髪をポニーテールに束ね、黒いノースリーブシャツに、深緑のブカブカの作業着のズボンをはいている。

 

それにしてもこの少女…………

 

「椛よりも………あグボォア!!」

 

いきなり、音速を超えた椛の拳が脇腹に飛んできた………

 

「何か言いましたか?」

 

ニッコリと笑う椛に物凄く反省をして

 

「いいえなんでもありません。と言うかこの少女、あの時助けた子だよな。」

 

そう、この子は天狗に処刑されるとこを助けたあの時の少女である。

そう考えてるともう一人の子から喋り出した。

 

「私の名前は、河城にとり。機械系を弄ったりしてるんだ。まぁこの子の保護者的な感じかな?で万事屋のあんたたちに、1つ頼みでこの子を引き取ってくれないか?」

 

はっ?

 

「えぇとニトリさん?「にとりでいいよ」んじゃにとり、この子を俺たちに引き取れと?」

 

そう言うとにとりは頷き頭を下げてきた。

 

「頼む!この通りだ。もう妖怪の山にこいつの『恋心(ココ)』のいれる場所はないんだ!」

 

にとりの話によると、ココと呼ばれた少女は、両親に捨てられにとりが拾ったらしい。

更に、半人半妖であることがバレて追放されたのが、つい最近らしい。

 

「んー…………断る理由が無いが、にとり後で俺ん家の庭に妖怪の川を流すから、たまにでいいから来い。それが条件な。」

 

「あっえっと朧っていったわよね。お嬢様からの伝言で『フランにお供をつけさせるから紅魔館から通わせるわ』とのことです。」

 

「あいよ。さて」

 

俺はココに向き直り、自己紹介をする。

 

「んじゃ今日からお前を引き取ることになった暁 朧だ。」

 

俺は、暁 朧とあえて名乗った。

これからはこれが俺の真名になるのだから。

 

「私が、犬走 椛といいます。」

 

「黄花 菜々だよ!ココねぇこれから宜しくね。」

 

俺たちは、順に自己紹介し後は………

 

「…………青木(あおき)………恋心(ココ)て言います。」

 

いい終わった瞬間。

俺達の新しい家族を迎えた。




へ?告白が急すぎるって?

勢いでやった後悔はしていない。

さて次は時間が飛びます。

秋の初めくらいだと思います。

それでの間しばしのお別れです。
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