東方 白狼物語   作:蛙の歴史

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幼い月の説得・前編

「弾幕勝負なんて生温い。ズタズタに引き裂いてあげるわ。」

 

俺とレミリアはそれぞれ武器を構える。

レミリアの武器は、その爪自身。

爪は極限にまで鋭く鋭利だ。

 

いくら吸血鬼相手に『必勝の手』があるからと言って、このままぶつかれば死ぬな。笑い事なしに。

けれど殺しはしない。

レミリアは俺を殺しに来るだろうけど俺はあいつを殺さない。

甘い事を言ってるのは分かってる。

だがフランを悲しませたくはない。

だから、此処は吸血鬼自体の弱点を攻めよう。

世界に残る吸血鬼の伝承だと………

 

「銀、水、鏡そして太陽」

 

「何をブツブツ言ってんのよ!」

 

レミリアは痺れを切らし爪で引き裂きに接近してくる。

ともあれまずは、あいつらを逃がさなきゃな。

黒愴と緋龍を抜き応戦しはじき飛ばして叫ぶ。

 

「椛!!お前はお子様二人を連れて此処から出ろ!」

 

「なっ!?」

 

椛は反論しようとしたが、俺の眼を見てすぐに行動に出た。

ドアが開け放たれて、遠ざかっていく足音を背中に受けつつレミリアと向き合う。

 

「どうするつもり?」

 

レミリアの問いに、上昇しながら答える。

 

「どうせ、俺はお前に勝てるかどうかも分からないんだ。

ならどっちでもいいようにするだろ?

まぁ勝たせてもらうけどさっ!!」

 

そう言って、電気による筋肉を強化し弾幕を蹴りレミリアの後ろを取る。

 

「そらよっ!」

 

そのままレミリアが『防いで飛ばされる』であろう速度から上段切りを繰り出す。

案の定レミリアは、防ぎ床へと弾き飛ばされる。

 

「さぁて最初は基本の『銀』から行こうかな!!」

 

俺は切っ先をレミリアに向けて力を込め能力を発動する。

切っ先からなんの前触れもなく『水銀』が溢れ出てきた。

『銀』と言って置いて水流と銀で攻めるとはこれ如何に

 

「なっ!?しまっ!!」

 

「そのまま飲まれちまえ!」

 

言い終わると同時にレミリアは、水銀に飲まれる瞬間。

その場から姿を消した。

あぁやっぱりあいつの能力は…………

 

「よう、咲夜さん。

……………………主人の方に手を貸すんだな。」

 

「……………………それがメイドたる私の役目ですから。」

 

「あっそ、俺ならフランを捕まえてからレミリアに手助けするがね。あんたの能力なら可能だろ?」

 

「貴方に私の能力が理解できるとでも?」

 

「あぁわかるね。」

 

これはハッタリでありハッタリではない。

可能性は五分五分に絞られた

前に、フランの部屋の前で消えたの時にいくつか仮説が上がる。

1つ、時間を操る能力

2つ、瞬間移動か時空移動の類

3つ、姿を消す能力

 

二つ目はまず無いその時には捨てていた。可能性は低いからだ。

理由は、それ程の干渉を予備動作無しで出来るだろうかという事。

三つ目は可能性は無い。

二つ目よりも確証がある。

何故なら姿を消しても歩く足音があるはずだからである。

 

残るは一つ目。

これは色々と分岐する。

考えたのは3つ。

1つ、あるアニメであった10秒を1秒にする能力

 

2つ、時間を操る能力

 

3つ、自分自身の時間を切り取る能力

 

3つ目は中々キツイ能力だ。

例えるならこの能力を使って50m走でスタートからゴール迄の時間を切り取れば瞬時に繋がってしまう。

 

この内今の行動で、絞れたのは2つ1つ目の能力ではないということだけだ。

 

10秒を1秒にしても動きが見える筈だからである。

後は咲夜が弾幕や遠距離攻撃を繰り出せばハッキリする。

 

「……………お嬢様、私も参戦致します。」

 

「いらないわ。貴女はフランの方をお願い。」

 

あぁ話し合ってる所悪いけど。

 

「逃がさんよ?」

 

瞬間に、部屋が銀色に変わった。

 

「すまないな。

水銀で照明以外全て銀に覆わせてもらった。」

 

「………ッ!咲夜前言撤回よ。一緒に戦って頂戴。あいつをいたぶるわよ。」

 

「はっ!」

 

咲夜が、レミリアに答えると同時に目の前に無数のナイフが迫っていた。

俺はそれをギリギリで見切り、避す。

なるほど、これではっきりしたな。

 

「咲夜あんたの能力は時間を操る程度の能力だ!」

 

「ッ!?」

 

咲夜は少しばかし動揺したが注意しなければ、わからないほどの動揺だ。

だがそれで十分。

 

「ふん、図星か。次にお前は能力が分かった所で!と言う。」

 

「能力が分かった所で!?」

 

あぁ成程あのキャラもこの感じを味わってたのか。

これは癖になるな。

 

「よそ見をしてる場合?」

 

レミリアは咲夜の攻撃を時間稼ぎとして、助走をつけ爪を突き出してきた。

 

「はいはい少し黙ってようか?」

 

俺は差し出された腕をわざとギリギリで避け、その勢いを利用して壁に投げつける。

 

「はっ!?」

 

「縛れ、聖なる銀壁(ホーリースタン)

 

部屋を覆っていた銀がレミリアの手足を飲み込み動きを封じる。

 

「お嬢様!!」

 

「おっと!あれを解くには、俺を倒すか自力で抜け出すかだ。」

 

まぁ銀製なんで吸血鬼のあの方には多少効果は期待できる程度だけど。

 

「なぁ咲夜1つ問いたい。」

 

「貴様に答える事など何も無い!!」

 

それは困った。

次々に迫るナイフを避け、時には黒愴と緋龍で払い甲高い音が響く。

 

「ふむ、お前達が閉じ込めてたフランについてなのだが」

 

「妹様を軽々しく呼ぶな!!」

 

ナイフを投げるのを辞め、両手にナイフを構え接近してくる。

 

「はぁ…………女に暴行をする趣味はないが」

 

俺は再度身体を強化し、咲夜の後ろへと回り込み、頭を軽く叩き脳震盪を起こす。

勿論、命には関わんないように気を配って

 

「眠れ。」

 

トンっと軽い音が響き咲夜は気を失った。

俺は、咲夜を抱えて下えと降りる。

咲夜を床に下ろすと同時に、バキバキ……

レミリアは銀を引きちぎり拘束をとる。

 

「よくも咲夜を!!」

 

牙を剥き、ビシビシと空気を威圧する、これが妖力が漏れるという状況なのだろう。

レミリアの手には、鈍い色を放つ赤い槍が握られている。

 

戦闘は、優勢だと思われてもおかしくない状況だ。

だがおいおい忘れるな。

初めの一撃はほぼ『()()()()』だったことを。

 

俺は、瞬きをしただけだったその瞬間………

 

 

 

 

 

 

俺の右腕は吹き飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

痛みは、直ぐに来た。

尋常ではない痛みが、現実であることを確信させる。

何が起きた?!と思ったがそれもすぐに理解した。

レミリアは、俺めがけて赤い槍を投げたのだと。

しかも、瞬きに合わせて。

だが俺は、悲鳴を上げることしか出来なかった。

 

「うるさい。」

 

レミリアは、叫ぶ俺の元へと来てその喉を掻き切った。

 

「■■■■■■■■■■■■■!!!!」

 

俺は痛みに声にならない声を上げる!

血が大量に、喉と右腕から吹き出し、床を赤く染め上げていく。

 

「まだ、終わらないでね?」

 

レミリアは微笑み、俺の左目を挟むように爪を添える。

 

「これは私に盾突いた罰よ………」

 

音は、痛みのせいだろう。

聞こえなかった。

だが、暗い………左の視界が無い。

いや俺の『目が無いんだ。』

さっき抜かれてしまったから。

 

「なかなか綺麗な目ね。」

 

レミリアは俺の目を弄び、微笑みキスをして潰した……

一切の躊躇なく。

 

「さて、そろそろフランを迎えに行かなくちゃね?あぁ別に貴方以外誰も殺しはしないわ。殺しはね?」

 

その言葉が終わったと同時にレミリアの手が俺の腹部目掛けて放たれたのと。

 

『玉座の間の扉が開かれたのはほぼ同時だった。』

 

 

 

 

数刻前

椛は朧の指示で、フランそして菜々を連れて紅魔館の外を走っていた。

だが椛は得体のしれない胸騒ぎに、襲われたいた。

 

「フランさん、菜々ちゃん!」

 

フランと菜々を引き止め、椛はあることを宣言する。

 

玉座の間に戻る事を………

 

 

 

 

 

 

 

椛が入って最初に見たのは、右腕は吹き飛び、片眼を潰され、そして今腹部を貫かれた男であった。

 

「ふっ貴方はせいぜいそこで、無様に死に絶えなさい………さて」

 

レミリアが椛を見て、椛やっと体を口を動かせた。

 

「あっ………えっ?………………朧さん?」

 

椛はゆっくりと、ガクガクと震える足を動かし朧に近づき、抱き寄せる。

かろうじて心臓が動いているのを感じた。

 

「……うっ……そ……ですよね………ね!?………」

 

だがそんな椛の言葉は虚空に消える。

だが

 

「貴方もうるさいわよ。」

 

レミリアが椛を蹴り飛ばし、朧も反動で吹き飛ばされる。

 

「貴方は殺さないわ。でも……そうね」

 

椛は、立ち上がりレミリアに剣を構える。

 

「うぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

「痛手は負ってもらいましょうか。」

 

レミリアは槍で一線し、椛を斬りつける。

肉が裂け、血肉が至る所に跳び椛は地面に伏せた。

 

「…………………さて」

 

レミリアは、自身の翼を広げ玉座のガラスを割り、夜の世界へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

暁 朧は、暗いドーム状の所にいた。

 

どこからか声がした。

 

お前は負けた。\あぁそうだな。

 

もう、諦めるのか?\あぁ、あいつには勝てない。

 

そうだな。

確かに、あいつ。レミリアは強いだが本当に諦めてしまって、命をそんなことで捨ててしまっていいのか?

 

椛は傷つけられ、菜々も傷つけられ、フランは永久に、地下の中本当に、それがお前の望む未来なのか?

 

「お前は一体何者だ!!」

 

俺は堪らず叫んでしまった。

ここまで言われたら俺も黙っていられない!

 

『俺はお前だよ暁朧。俺の名は河津顕悟だよ。』

 

俺を名乗る奴は、まだ続けてきた。

 

『さて、もう一度聞こう。本当にこれがお前の望んだ未来か?違うだろ?お前は、フランが外で笑える未来を作りたかったんだろ!』

 

「だが俺はもう助からない。」

 

『ふん!頭を働かせてよく考えろ!まだ最低だが作はあるだろ!』

 

「………………まさか!?」

 

『そうだ。確率は低いがな。………過去は変えられない。今は今だ。未来を変えるのは今なんだよ!』

 

それだけを残し、河津顕悟は消えて行った。

暁朧は、どこかで河津顕悟を消してたのだろう。

 

 

俺は…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諦めない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、どれぐらい意識を失っただろうか。

うつぶせに倒れ、かろうじて動かせるのは左腕だけ。

だが、それだけあれば十分!

『あれ』にさえ届けば!

俺は、痛む左腕を必死に動かし前進する。

 

「………………はっ……私はっあいつ!!」

 

咲夜か、だが今は構ってる暇はない。

あと数センチ、前進し『それにたどり着いた』

 

俺は、『それ』に舌を伸ばし触れる。

すくい上げ口に運び入れる。

 

「死ねっ!!」

 

咲夜が、ナイフを投げ俺に到達する寸前

俺は『それ』を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

直後にそれは訪れた。

玉座の間に、紅き竜巻が起きナイフは全て飛ばされ何もできない圧倒的な竜巻が!

 

それは、たった数秒で静まった。

 

そこには。

 

『両眼』を紅くし、『右腕』を体毛に包み長く鋭い爪を生やした青年が。

 

白狼天狗の少女を抱えて立っていた。




さてさて、皆さんまず更新がかなり遅くなったことを
お許しください。

いろいろと、あったものですから。
本当に申し訳ございません。

今回は、主人公覚醒!
て要素を注ぎ込みました。

へ?主人公が取り込んだ『それ』は何?

ご想像にお任せします。
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