神を愛し、神に愛された男!!イエェ(ry   作:鴨熊hyuu

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サ〇シャインのネタを使ったことに特に意味はない。


A.01

いつも通りの月曜日。別段おかしなこともなく、今日も今日とて南雲ハジメは可哀そうな運命のもとにいる。まったくもってあの能天気お姫様は、見ていて面白いものだ。

 

さて、うちのクラスにはとても分かりやすく、天之河光輝とか言うゲームの主人公を中心にしたトップカースト組がいる。男子2人と女子2人、それも明らかにゲームの主人公パーティである。

主人公勇者の天之河、明らかに戦士な坂上龍太郎。そして僧侶兼ヒロインの能天気お姫様、白崎香織、盗賊で保護者ポジな八重樫雫。

完全に主人公パーティである。

 

そして、南雲ハジメはオタクと呼ばれる人種だ。別にキモオタと呼ばれるような見苦しい身だしなみなわけではない。ただ、毎日遅刻ギリギリに登校したり、授業中よく居眠りをしているだけだ。

それだけならただの不良生徒として認識されるのだが、学校で二大女神とかいうあだ名をつけられるほど美人な、白崎にかまわれると男子から敵意が向く。さらに白崎に注意されておいて態度を変えない南雲に対して女子は不快に感じているらしい

 

1度でも白崎が南雲に話しかければ南雲にとても厳しい眼光が集中する。男子は嫉妬、女子は嫌悪。

白崎は面倒見はいいが特定の誰かの面倒を見続けるということはしない。実際かなり居眠り気味な俺にはああいう対応をしないのだ。

おそらく南雲に多少の気があるのだろう。白崎をみてなぜ誰も気づかないのかが不思議なのだが、白崎が南雲を好くという発想に行かないのだろうか。

だとしたら白崎も報われないものだ

 

 

♦♢♦

 

1,2時間目を寝て過ごし、3,4時間目を適当に受けて昼休み。

南雲がまた白崎に絡まれているのを横目に見ながら弁当をつつく。白崎はとても楽しそうに南雲に話しかけるのだが、南雲の顔はわかりやすく引きつっている。

 

その2人を見ているのはとても楽しいのだが、天之河や坂上が関わると頭が痛くなってくる。天之河は白崎に気があるらしく、白崎はかけらもその気がないのだ。

天之河の誘い方といい、あまりに視野が狭すぎて見ていてイライラしてくるので、携帯を取り出し、某有名チャットアプリを起動し、鉏比売(すきひめ)と雑談を始めた。

 

鉏比売。というのはあだ名のようなもので、本名を胸鉏比売(むなすきひめ)、幼名を田心比売(たごりひめ)という、1柱の神である。十羅刹女なんて呼び名もあるが、これは仏教徒統合されたときについた名前なので俺はあまり好きではない。

さて、唐突に神様なんて突飛なものが出てきたが、実は大して珍しいものではない。八百万というだけあって神様はかなりの数いる。そのため探そうと思えばいくらでも見つかるものなのだが、誰も神の存在を本気で信じていないせいで見つからないのだ。俺は幼いころに鉏比売を見つけて、関わっていたため今でも神が見えるのだが、関わっていない人間は、成長につれて信じなくなっていくものである。

 

で、鉏比売と、俺がどういう関係で、なぜ気軽にチャットをしているかというと、答えは単純で、所謂、恋人関係にあるからである。

突飛な話ではあるが、極めて珍しいというわけではない。神への供物として伴侶を送るという話は珍しくない話だ。

 

閑話休題

しばらくチャットにて雑談に興じていると、突然神力や霊力と似たエネルギーを感じ、鉏比売に神力の反応があることを知らせ、発生源を探すために立ち上がったところで、白く輝く円環と幾何学模様の魔法陣らしきものが天之河の足元に現れた。

そこから膨大なエネルギーを感じたため、何が起こるかわからないが嫌な予感がしたため、鉏比売に助けを求める旨のチャットを送り、天之河を突飛ばそうとした瞬間、純白の光が教室を塗りつぶした。

 

♦♢♦

 

眩しさに瞑っていた目を開けると、とても広い空間にいた。

大理石のような白く滑らかな石で作られた柱や壁、ドーム状になった天井、そして何よりも目を引く、金髪を靡かせ中世的な顔立ちをした人物が描かれた巨大な壁画。全体に無駄に凝った装飾を施してある。おそらく海外の大聖堂のような建物なのだろう。

 

壁画に嫌悪感を感じながら辺りを見回すと、30人は下らない人々が俺たちに対して膝をつき、両手を腕の前で組み、祈りをささげていた。

おそらく一神教の宗教で、壁画に描かれていた金髪の人物が信仰されている神だろう。

 

今更ながらにクラスメイトを確認する。

予想はしていたが、教室にいた人は全員転移したらしい。

 

すると祈っていた人々の中で一番派手な恰好をした1人が、手に持った錫杖を鳴らしながら声を出した。

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同法の皆様。歓迎いたしますぞ。私は、聖教協会にて恐慌の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

そういって好々爺とした微笑を見せながらイシュタルと名乗った老人は礼をした。

 

♦♢♦

 

誰も大して騒ぐことなく、イシュタルに先導され晩さん会をするような大広間に通された。ここも煌びやかに装飾され、正直目にうるさいのだが、それを言ってもしょうがないので気にしないことにした。

10メートル以上ありそうなテーブルがいくつも並んでおり、上座に近いほうに生徒と雑談をしていて教室にいた畑山愛子先生が座り、そこからカースト順に座っていった。途中であいていた席に適当に座ったら白い目で見られたりしたが、些事なので気にしない。

 

全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイドさんが入ってきた。思わずうわ…とつぶやいてしまったが、誰にも聞かれてなかっただろうから良しとする。

正直俺らに媚びを売る気配しかしなかったのだが、健康な男子高校生たちは美少女メイドさんの誘惑に敵う筈もなく、男子全員がメイドさんを凝視していた。そして、そんな男子を見る女子の視線が冷えていたのは当然の帰結である。

 

全員に飲み物が行き渡ったことを確認したイシュタルは説明を始めた。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞きくだされ」

 

曰く

 

トータスと呼ばれるこの世界には、大きく分けて三種族あり、人間族、魔人族、亜人族で、その中の人間族と魔人族は何百年も戦争を続けている。

魔人は一人一人が強いものの、数が少なく、人間は一人一人はそこまで強くないものの数が多い。そうやって拮抗していたため大規模な戦争は数十年起きていなかった。

だが魔人族が魔物を使役し始めてから事態は変わった。

数のアドバンテージが無くなったことにより人間族は滅亡の危機に瀕しているらしい。

 

そして、イシュタルはどこか恍惚とした表情を浮かべてこう言った。

 

「あなた方を召還したのは”エヒト様”です。我々人間族が崇める守護神、聖教協会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前にエヒト様から信託があったのですよ。あなた方という”救い”を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、”エヒト様”の御意思の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

イシュタルによれば人間族の9割以上が聖教協会の信徒らしく、たびたび降りる信託を聞いた者は例外なく聖教協会の高位の地位に就くらしい。

 

さて、テンプレだなと思いつつそれに巻き込まれていることに若干の焦燥を感じながらも、早々にこの世界の歪さに気が付く。

 

ラノベっぽくタイトルをつけると「異世界召喚された国の人間が全員狂信者だった件」みたいな感じだろうか。ここまでわかりやすく至上だとか、唯一神だとか、創造神だとか。信託を聞くだけで教皇になれるんだとしたら信者全員がありえないほどエヒト様を信仰していないと認められないだろう。

 

そんな風に現実逃避していると愛子先生が猛然とイシュタルに抗議した。

 

「ふざけないで下さい!結局、この子たちに戦争をさせようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私たちを早く帰してください!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

言っていることは最もなのだが、全くシリアスムードにならない。

何せ愛子先生は合法ロリなのだ。身長150センチほどで童顔のボブカットという、見事なまでにロリっぽいのだ。

いい先生ではあるのだが、どうしても見た目が可愛らしすぎるせいでやることなすこと微笑ましく見えてしまい、本人の目指している"威厳のある教師"になれないのだ。

 

ほんわかとした気持ちでイシュタルに食って掛かる愛子先生を眺めていたのだが、次のイシュタルの発現にはどうしようもなく言葉を失ってしまった。

 

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 

少しばかりの静寂。誰もが理解したくなかった。

 

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!?喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

愛子先生が叫んだ。

 

「先ほど言ったように、あなた方の召喚をしたのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

「そ、そんな…」

 

愛子先生が脱力したように椅子に腰を落とす。

 

状況を理解すると、一瞬、膨大な恐怖を感じた。しかしすぐに、解決策を考えるように頭が切り換えれたのは、幸運だった。

そのエヒト様という存在は異世界に干渉できるらしい。ということは神という種族なら異世界に干渉できるということだ。ならば鉏比売と永遠に会えないということはないだろう。

行動派の彼女ならどうにかして会いに来てくれるはずだ。そうすれば、帰還する方法はおそらく見つけることができる。一つ懸念があるとするなら鉏比売が帰還手段を考えずに来ることだが、そこは祈るしかない。

考えずに来た場合はエヒト様とやらに頼むしかないのだが、そのための対価がないと神という存在は動いてくれない。ならば戦争に参加するしかないのだが、戦争をするということは人を殺すということだ。それが俺にできるのだろうか…

 

そうやって考えをまとめようとしていると、バンッと少し大きな音がして、現実に引き戻される。どうやら天之河がテーブルを叩き、立ち上がったらしい。

天之河は全員の注目が集まったことを確認すると、おもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人たちが滅亡の危機にあるのは事実なんだそれを知って、放っておくことなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば返してくれるかもしれない。……イシュタルさん?どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力あるんですよね?ここにきてから妙に力が張っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救って見せる!!」

 

帰れないと言われた時よりも、言葉が出なかった

 

戦うということの意味を分かっているのだろうか

 

戦争というものを義務教育で習うというのに

 

戦争とは、ただの殺し合いだというのに

 

なぜそんな顔で、高らかと宣言できるのだろうか

 

俺は初めて天之河を本気で軽蔑した。愚かな奴だと思ってはいたがここまで救いようがないとは。自分の発言力も、影響力もかけらも考慮せずに堂々と宣言してしまったせいでクラス全員が戦うことに肯定的になってしまった。

ここで声を上げたとても、この流れを変えることはできないだろう。

ならば全員が戦うとして、1人でも死人を減らすようにしなければならない。

幸い俺は恵まれている。どうにかして、この楽観的な集団から、死から守らなければならない。

 

そのためなら、そのためになら、戦ってやろう。

なるべく殺さないように

なるべく死なさないように

 




駄文でした。
亀更新していくのでよかったら見てやってください
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