亡命の王女と王女様の騎士   作:レーナ/アカデミア

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騎士君主体ではないプリンセスコネクトのオリ主って少ないんですよね
というわけでよろしくお願いします。



1. ユースティアナと少年

 

 

アストライア大陸 - ランドソル王国

中央集権国家として古くから佇むその宮殿には、王女として将来を約束された1人の少女が寵愛を受けていた。

 

名を『ユースティアナ・フォン・アストライア』。

過保護な両親の方針で外に出ることを禁じられ、今日も1人中庭で読書に勤しむ最中だ。

 

「はぁ〜……」

 

一般市民が暮らす城下町、それより少し高地に宮殿は位置している。

ユースティアナは城下町を覗き込み、溜息をついた。

 

それもその筈。5歳という多感な時期であれば、少年であれ、少女であれ、色々なものに興味を持ち、触れてみたくなるのが子供というもの。

しかし、このユースティアナは『外の世界』というものをまだ知らない。

 

「私も普通の女の子だったら、あの子たちみたいに遊べたのかな……」

 

鬼ごっこ、かくれんぼ、探検、etc…

子供たちは今日も無邪気だ。

幾度となく眺めた眼下に広がる城下町の景観に、ユースティアナは想いを馳せる。

 

「……って、だめだめだめ!何を考えてるんですか!」

 

しかし、彼女は宮殿からは出られない。

アストライア家には、代々伝わる王位継承の儀が存在する。

その一つに、特定の年齢を超えると継承者は『武者修行の旅』に出なければいけないというものがある。この年齢は正確には定められていない、継承者の様々な要因によって判断される。

しかし、先程述べたようにユースティアナの両親は過保護だ。

彼女がいつこの宮殿を出られるか、それも定かではないだろう。

 

「——よし!早くお父さまとお母さまのお手伝いできるように頑張りましょう!」

 

 

《ガサ ガサ》

 

 

「んっ?」

 

ユースティアナが一念発起したその傍、庭の隅の茂みで物音がした。

その様子を伺うべく、ユースティアナは茂みに歩みを寄せる。

 

「なんでしょうか……今なにか音が……」

 

「やっと出れたーーー! あれ?ここは?」

 

草叢から飛び出て来たのは動物でもなく魔物でもなく

——少年だった。

 

「わ、わっ!? なんですか、あなたは!?」

「あっ、人だ。ねえ君、ここはどこ?」

 

ユースティアナの驚嘆する様子など、どこ吹く風のように少年は質問する。

 

「ここはランドソル王宮です……って、そうじゃなくて! あなたは一体なんなんですか!」

「俺? 探検の最中!」

「探…検…」

 

【探検】

ついさっきまで突如現れた少年に疑問を抱いていたユースティアナだったが、少年の口から発せられた探検というワードに意識を阻害される。

先程まで夢の様に眺めていた城下町の景観、それを目の前の少年は実現しているのだから。

 

「羨ましいです……私、おうちの決まりで外に出られないんです」

「ふ〜ん……」

 

少年は、少女の表情を見るなり何かを悟った。

 

「じゃあさ、俺についてきなよ」

「え?」

「俺が勝手に連れ出した事にすれば、君は怒られないでしょ、さあ」

「えっ、ちょっ……わわっ!?」

 

少女は半ば無理やり手を引かれると、少年に合わせて駆け出す。

息を切らしながらも、必死に。抵抗の意思はまったくない。

 

「君の名前は?」

「ユ、ユースティアナ!ユースティアナ・フォン・アストライアです!あなたは?」

「俺の名前はアサヒ!よかったなユースティアナ、これからはもっと外の世界を知ることができる!」

「外の…世界…。 はい……!アサヒくん、よろしくお願いします!」

 

笑顔の少女は坂を駆けて行く。

狭い箱庭、そこから連れ出してくれる『誰か』を、もしかするとずっと待ち望んでいたのかも知れない。

 

 

【彼との出会いによって】

【彼女との出会いによって】

 

2人の運命は

幼少期のこの出来事を境に、大きく動き出す——。

 

 

 

 

 

「んぅ……ん……」

 

時は進み、ここはランドソル郊外。

魔物犇めく野谷の中、臆する事なく1人の青年が木陰で仮眠を取り、たった今目覚めた様子だ。

 

この青年の名前は『アサヒ』。

アストライア大陸に隣接する土地からランドソルを目指し、その身ひとつで大陸間の移動をしていたが、疲労がピークに達し、体を休めていた。

 

「なんで急にあの頃の夢なんか……」

 

アサヒは夢を見ていた。遠い遠い昔、ユースティアナと呼ばれるあの少女と出会った事、彼女を外の世界へ連れ出した事。

 

「よし、行こう……!」

 

そして、その彼女と出会ったあの地を目指し、

再び歩みを始める——。

 

 

 

 

時をほぼ同じくしてランドソル郊外、1人の少女が滝を利用し、その体を清めていた。

 

「〜〜〜♪」

 

小粋に鼻歌なんかを歌い、少女は体を洗い終えた。

しかし、自ら手に持つ装飾品のティアラを目にすると一変、少女は悲壮感を漂わせた。

 

「……悲しんでいても仕方ないですよね」

 

少女は表情を戻し、所持している衣類一式を身に付けた。

後は剣を拾い——そう思った瞬間だった。

 

 

《ザザ……ザザ……》

 

 

「魔物っ……!」

 

 

やられる———そう思い彼女は目を閉じた。

しかし、肉体に痛みはない。

 

 

彼女は恐る恐る目を開けた。

 

 

「えっ……?」

 

 

目の前には青年が立ち尽くし、魔物を斬り伏せていた。

 

 

「ティア……ナ……?」

 

 

更に、彼は在ろう事か“その名前”を口にした。

“その名前”で彼女を呼ぶ人物には心当たりがある。

 

 

「もしかして……もしかして……アサヒくん!?」

 

「やっぱり!!ティアなっ!!?」

 

彼が喋っているのもお構いなしに、ユースティアナは彼に抱き着く。

ユースティアナは近付くと同時に、泣き崩れ、彼を精一杯抱きしめた。

 

「アサヒくん……!嬉しい…!会いたかった……!」

 

「うん……ティアナ……」

 

アサヒは震える彼女を抱きしめた。

何故彼女がここまで心細そうなのか、そんなことを聞き返しはしない。

今はただ、彼女の目一杯の抱擁に対し、彼もまた精一杯の抱擁で答えるだけだった。

 

 

 

【少年】と【少女】

両者を渦巻く時が

今————-再び動き始める。

 

 

 

《次回》

追想と追憶

そして、亡命の王女。

 





次回予告はサブタイトルのサブタイトルみたいな感じです、一応。
予定は予定。

主人公の現実での名前は 導 朝陽《シルベ アサヒ》です。

それと、騎士くんとは関係のないオリキャラなので騎士くんも出ます、一応言っておきます。

現在公開可能な情報はこのくらいです
次回をお楽しみに!
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