カスミトアケボノ 緋月編   作:緋月霊斗

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第4話

夜斗との戦闘から数日後。

霊斗は夜の街を歩いていた。

とある人物と会うためだ。

「ここか……随分いい所に泊まってるんだな」

霊斗はそう呟きながら高級ホテルへと入っていく。

フロントで要件を伝え、部屋番号を教えてもらう。

部屋は404号室。

扉をノックすると、中から女性の声がする。

「今開けるわ。ちょっと待って」

数秒程してから鍵が開く音がし、扉が開く。

そこから姿を現したのは、長い金髪と真紅の瞳をした女性だった。

「こっちに着いたばかりで疲れている所にごめん」

「いいわ、気にしないで。私も久しぶりに貴方に会いたかったし」

霊斗を部屋の中に招き入れ、扉を閉める女性。

自身はベッドに座り、手招きする。

霊斗はそれを見ないふりして、手近にあった椅子に座る。

「つれないのね。それで、わざわざアメリカから私を呼び出した理由は?」

「ああ。今の日本政府についてと、それに対してのアメリカ在住魔族への対応について話したくて」

霊斗がそう言うと、女性は鋭い目付きになり、霊斗を見る。

「詳しく教えてちょうだい」

「まず現在の日本政府について。今は冬風夜斗という男と、その仲間による独裁状態」

「なるほど、その独裁状態に漬け込んで攻め入らないように通達すればいいのね?」

「そういう事。話が早くて助かるよ。姉さんなら出来るだろ?」

霊斗はそう言って、女性を見る。

「ええ、任せて頂戴。このレイン・アカツキ・ブラドの名にかけて成し遂げて見せるわ」

レインの言葉に頷き、霊斗は席を立つ。

「あ、ちょっと待って」

呼び止められた霊斗は立ち止まり、レインの方を向く。

「その冬風夜斗?の独裁状態で攻め入ると、何かマズい事でもあるの?」

「ああ。奴らは強い。最悪、そっちの魔族が皆殺しにされるかも」

「み、皆殺し!?そんなバケモノ相手にして大丈夫なの!?」

レインが焦ったように霊斗に聞く。

「この前1度会ったけど、力の底が見えなかった。流石に俺でも死ぬかもしれない」

「貴方が死ぬって……まだ若いとはいえ緋月の当主よ?それを殺せるって……本当に人間なの?それ」

平然と答える霊斗と、困惑を隠せないレイン。

霊斗は更に話を続ける。

「今のままじゃ武力衝突になった場合の勝ち目は薄い。向こうがどう出るかは分からないけど、最悪の事態を想定して、交渉の時には姉さんに着いてきてもらいたい」

「交渉って……貴方本当に18歳?その年頃の子供の肝の座り方じゃないわよ?」

呆れたように言うレイン。そんなレインに霊斗は軽くデコピンをする。

「いたっ!」

「生活してきた環境のせいだよ。まるで俺が異常みたいな言い方をしないで欲しい」

怒ったように言った後、笑って霊斗が続ける。

「まだ俺だって、親戚の姉ちゃんに頼りたい年頃なんだよ」

霊斗のセリフに感激したように目をうるわせながら、レインが霊斗に飛びつく。

どうやら、仕事モードから親戚モードに移ってしまったようだ。

「もー!可愛いなこの子は!」

「ちょ!レイン姉さん!?痛いって!」

抱き着かれ、どうにか脱出しようとする霊斗だが、レインに馬乗りにされてしまう。

「はー……はー……可愛いなぁ……」

「姉さん……?目が怖いよ……?」

段々と迫ってくるレインに、霊斗が言う。

「大丈夫大丈夫……痛くしないから……」

「待って姉さん、何をするつもりなんだ!?」

「何って……ナニでしょ」

「何を言ってるかわからないなぁ!」

霊斗は叫びながら抵抗する。

レインは頬を紅潮させながら、うっとりとした目で霊斗を見る。

「昔から狙ってたんだよね……可愛い霊斗……」

「ひっ……やめ……」

レインの顔が迫り、霊斗は覚悟し、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天音は夜の街を歩いていた。

電柱の影に身を隠すようにして先へと歩いていく。

「こんな夜にどこに行く気なの……」

そう呟いた天音の目線の先には霊斗がいた。

その霊斗がふと立ち止まり、道沿いの高級ホテルへと入っていった。

「ホテルなんて……はっ!まさか女と会う気なんじゃ!」

天音は霊斗の後を追ってホテルへと入って行く。

霊斗はエレベーターへと乗り込んで行くのを確認し、階層ランプを見る。

ランプは4階で点灯し、しばらく止まる。

「4階ね……」

天音は走って階段を上がる。

4階に着くと、霊斗が丁度部屋に入って行く所だった。

金髪の女の部屋(・・・・・・・)に。

「わ、私という許嫁がいながら……浮気なんて……霊君……」

霊斗が浮気などと、信じたくないが、目の前で起きているのは現実。

天音は部屋の前まで行くが、立ち尽くすだけで何も出来ない。

ただひたすら時間が過ぎて行くのを感じながら、天音は扉に背を預けて座り込む。

「霊君……私に愛想尽かしちゃったのかなぁ……」

言葉にすると、それがまるで真実かの様に胸を刺す。

「魔術がいつまでも上達しないから……?ベタベタし過ぎて鬱陶しかったのかな……?」

自分の良くない所ばかり思い浮かび、涙が零れる。

「やだよ……霊君……」

そう呟いて、涙を拭う。

その時、扉の向こうから叫び声が聞こえた気がした。

「霊君……? 」

防音扉の向こうから音が聞こえるはずはないが、天音にはそれが確かなものに思えた。

「霊君が危ない!」

ほぼ本能でそれを判断し立ち上がり、霊斗に教わった身体強化の魔術を発動する。

「どりゃぁぁぁぁぁぁ!」

気合いと共に天音は扉を蹴り破った。




ここらでちょっとしたキャラ設定(名前、年齢、種族など)を

緋月霊斗
緋月一族当主。18歳。吸血鬼。

蒼牙
緋月家次男。16歳。吸血鬼。

桃香
緋月家長女。16歳。吸血鬼。

桜空天音
霊斗の許嫁。18歳。サキュバス。

レイン・アカツキ・ブラド
緋月分家、ブラド一族長女。20歳。吸血鬼。
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