捏造設定があるので、ご了承ください。
ロデニウス沖大海戦
2015年、異世界に転移したASEAN及び中華民国、オセアニア諸国は、食料を手に入れるためにクワ・トイネ公国と国交を締結し、友好的な関係を築いていた。
しかし、列強パーパルディア皇国の支援を受けた隣国のロウリア王国が、クワ・トイネ公国に宣戦布告。転移した各国は公国に援軍を派兵し、すでに王国の陸上戦力をギムにて殲滅しており、残るは経済都市マイハークに侵攻する4400隻の海上戦力だけであった。
クワ・トイネ公国 経済都市マイハーク
マイハーク港に、文明圏外では珍しい艦艇が停泊していた。それは機械動力船であり、ムーの物ではない。そう、転移国家達の軍艦だ。
マイハークに迫りつつあるロウリア王国の大艦隊を止めるために集められたのは、次の部隊である。
オーストラリア
○ホバート級イージスミサイル駆逐艦
ブリスベン
○キャンベラ級強襲揚陸艦
アデレード
中華民国
○康定級フリゲート 6隻
フィリピン
○グレゴリオ・デル・ピラール級フリゲート
ラモン・アルカラス
○OV-10 20機
シンガポール
○エンデュアランス級揚陸艦
レゾリューション
○プロテクターUSV 20隻
「これが、
公国海軍第二艦隊のパンカーレ提督は呟く。
「実際は、オーストラリアと中華民国は
海軍幹部のブルーアイは、パンカーレの言葉を補足しつつ、援軍が来たことへの安堵を表明する。
「彼らの力は、確実に列強を越えている。将来的に、ロデニウス大陸周辺が文明圏に格上げされるかもしれん。とは言っても、王国に勝たなければその未来も無さそうだが」
「そうですね。提督、海軍本部から連絡が来ています」
「そうか、内容は?」
「“観戦武官を1人送れ”とのことです」
パンカーレは少し考えた後にこう言う。
「ブルーアイ、行ってきてもらえるか?」
「私がですか?!」
「そうだ。彼らは、数百年以上先の装備を有している。頭の固い年寄りよりも、出来るだけ頭の柔らかい若者に見てもらったほうが良いからな。お前の報告を司令部が信用しなかったとしても、情報の信憑性は私が保証する」
「観戦武官の仕事、私が引き受けます!」
翌日
ブルーアイは、キャンベラ級強襲揚陸艦アデレードの目の前に来ていた。
「大きいな・・・・」
彼は、アデレードの大きさに圧倒される。
キャンベラ級強襲揚陸艦は、今回集められた艦の中で最大の全長230.8mを誇り、全長の30%を占めるウェルドックとスキージャンプ方式の飛行甲板を持っていて、F-35Bと言ったSTOVL機の運用が可能になっている。
やがて、灰色の迷彩服を着た案内の兵士が降りてきて、彼は甲板へと向かう外のエレベーターに乗せられた。
「おっと・・・」
ブルーアイは、動く床に驚く。
「大丈夫ですか?」
「あっ、大丈夫です。動く床は初めてで」
甲板上には、各艦の艦長がすでに集まっている。
「公国海軍の観戦武官、ブルーアイです。援軍に感謝します」
「オーストラリア海軍所属、アデレードの艦長のトンプソン大佐です」
「同海軍所属、ブリスベンの艦長のマッカートニー大佐です」
「中華民国海軍所属、康定の艦長の翔
「フィリピン海軍所属、ラモン・アルカラスの艦長のバチスタ大佐です」
その他の艦長達も、次々と自己紹介した。
「これから、作戦の説明を行いますので、艦内に移動しましょう」
トンプソン大佐がそう言い、全員が移動する。
「今回の作戦では、最初に敵艦隊を混乱させるためにシンガポール海軍のプロテクターUSV20隻にて攻撃を行い、搭載する武装はM2重機関銃、7.62㎜機関銃、ミニガン、MK.19自動擲弾銃、スティンガーミサイル*1で、それぞれ2隻とする」
「その、プロテクターというのは、どのような物ですか?」
いきなり、よく分からない単語が出てきたため、ブルーアイは質問した。
「分かりやすく言えば、無人で動く高速の小型艇で、最大50knで航行が可能です」
プロテクターUSVは、イスラエルのラファエル社が開発した無人水上艇で、ミニ・タイフーンと呼ばれる
「わっ、分かりました・・」
無人で動くだと!それが、50knもの高速で襲って来たら勝つことは不可能だ。ただ早いだけでなく、金属製の弾を連射する機関銃を搭載しているとなれば、尚更だ。
「混乱を起こさせている間、我々は敵艦隊まで3kmの地点へと移動し、敵が呼ぶであろうワイバーン部隊を迎撃します。迎撃に参加する艦艇は、アデレードと康定級6隻の計7隻で、データリンクが不可能なラモン・アルカラスは付近にいるだけで、自艦に危害が及ぶ物だけを迎撃するだけに留めてもらいます。ワイバーンの全滅後、ラモン・アルカラスを先頭にして前進させる他、本艦からOV-10を発進させて攻撃を行います」
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ロウリア王国海軍の海将シャークン率いる大艦隊4400隻は、マイハークへと進んでいた。
「素晴らしい・・・・」
シャークンは、自身に与えられた大艦隊の壮大さに感動し、思わず声を漏らす。この大艦隊をもってすれば、文明圏外どころか第3文明圏まで王国の物に出来るかもしれない。その時は、そう信じて疑わなかった。
「東の水平線に巨大艦が複数出現!」
マストに立っている見張りが報告した。
「何っ?!」
シャークンは、双眼鏡を覗く。すると、島のような艦が確かに存在しているのが分かる。
「大きい・・・」
水平線近くであの大きさなのだから、実際はもっと大きいのであろう。特に、一番目立っている平らな甲板を持つ艦は、多くの兵士が乗っていそうだ。大きさでこちらが負けているとはいえ、戦いは数だ。あの艦を掌握さえすれば、敵の士気を崩せるはず。
「全艦隊・・・突撃しろ!」
キャンベラ級強襲揚陸艦アデレード 艦橋
「敵艦隊を視認。無人水上艇を発進させろ!」
隣を航行するエンデュアランス級揚陸艦レゾリューションの上部構造物両舷のダンビットから6隻、ウェルドックの開口部から4隻のプロテクターUSVが発進した。
「おや?」
突撃中の前衛艦隊の最前列に存在するガレー船の見張りが、何かが高速で近づくのに気がついた。
その何かは、突然として牙を剥く。
ブーンという音と同時に多数の弾丸が飛来し、船体が蜂の巣になる。
「ギャー!」
砕けた船体の破片が、水兵に突き刺さった。
ミニガンだけでなく、機関銃やグレネードランチャーも発射され、穴を開けられたガレー船が次々と沈んでいく。
前衛の艦隊は、高速で波状攻撃を仕掛けてくる無人水上艇に恐怖して混乱を起こす。戦列は乱れて、隣を航行する船や後続の船と衝突する事案も多発した。
「敵艦隊、混乱しています」
「成功だ。弾薬の切れた物から帰還させ、補給して再び出せ。我々も敵艦隊から3kmの地点まで前進する」
揚陸艦レゾリューションには大量の弾薬が積載されているため、攻撃が止むことはない。
「いったい何が起こっているんだ!」
シャークンが怒鳴る。
「前衛によると、高速の黒い海魔に襲われているそうです!」
「海魔だと!クワ・トイネ公国のエルフは、海魔を使役する術を持っていたのか!!」
実際には海魔ではなく、高度な科学技術によって作られた無人水上艇なのだが、その存在を知らないシャークンらは、海魔と呼ぶしかなかった。
「本陣にワイバーン部隊を要請し、海魔と巨艦を攻撃させろ!艦隊も同時に突撃する!」
ワイバーン本陣
「艦隊よりワイバーンの要請です。海魔と主力の巨大艦を攻撃せよとのことです」
「では、ワイバーン350騎を全て出撃させろ。主力の巨大艦と海魔を同時に攻撃するには、それだけ必要になるだろう」
「了解しました。2分で出撃させます」
ホバート級イージス駆逐艦 ブリスベン
「ワイバーン350騎を補足しました」
「敵さんも本気だな。僚艦とデータリンクを行い、目標を振り分けろ」
「了解」
現代の軍隊の強みの1つは、データリンク。世界大戦時とは異なり、スマートな戦いを可能にしている。
「海将、ワイバーンが来ました」
「やっと来たか、助かる・・・全艦隊は帆をしっかり張り、全力で漕げ!」
シャークンは安堵する。
ワイバーンは空の王者であり、力の象徴だ。その鱗は矢をも弾き、その口から放たれる火炎弾は敵を焼き尽くす。そんな存在が増援に来れば、勝利は目前。憎き海魔だって駆逐されるだろうと、艦隊の兵士は考えていた。
「目標はあの巨艦と、暴れている海魔か・・・」
ワイバーン部隊長は、報告にあった物を確認する。
「20騎ほどを海魔に差し向け、残りはあの巨艦に突撃だ!」
ワイバーン20騎が無人水上艇へと降下し、火炎弾を放つ。しかし、想定外のスピードで動いていたため、全て外れた。
「避けたっ?!」
反撃は直ぐに飛んでくる。
スティンガー搭載タイプ2隻から、合計8発のスティンガーミサイルが発射され、8騎が落とされる。さらに、タイミング良くミニガン搭載タイプが補給を終えて戻ってきて、残りを撃墜した。
一方、残りの330騎は突撃を開始していた。
「SM-2、発射準備完了・・・発射!」
MK.41VLSから15発ほどのSM-2が発射される。さらに、6隻の康定級フリゲートの4連装発射機から4発づつRIM-72Cシーチャパラルが発射され、両方を合わせて39発のミサイルがワイバーン部隊へと飛んでいった。
「着弾まで、3・・2・・1・・今!」
ワイバーンに初撃を与えたのはSM-2。弾頭の近接信管が作動し、ミサイルよりも多い数のワイバーンを葬る。RIM-72Cも着弾し、24騎を撃墜した。
「目標、さらに接近!」
ブリスベンはMK.45
ついにワイバーンは10機ほどになり、突撃を続行してきている。しかし、最終防衛ラインのファランクスによって全てが落とされた。
「ワイバーンが!」
シャークンは叫ぶ。空の王者と呼ばれるワイバーンが、巨艦や海魔から発射された火を吹く鏃や、砲撃によって簡単に落とされたのだから、叫ばずにはいられない。
「敵巨大艦・・・・単縦陣で接近・・・」
見張りの声には、生気がない。
「攻撃開始!」
ラモン・アルカラスの艦長であるバチスタ大佐の声には、どこか喜びも混じっていた。データリンクが出来ない中の退屈な対空戦闘から解放され、一番槍を勤められるのだから、尚更である。
76㎜砲に加えて、遠隔操作式にされたMK.38 25㎜機銃や12.7㎜機関銃を撃ち、ガレー船を次々と沈める。
後続の艦に加え、揚陸艦レゾリューションも搭載された76㎜砲で攻撃を始める一方で、ダメ押しとばかりにアデレードから発進したフィリピン空軍のOV-10が、装備したM197 20㎜機関砲*2を回転させて狩りを始めた。
「最強の大艦隊が・・・・」
シャークンは絶望する。今までの攻撃で、すでに半数近くを沈められており、全体の士気も下がっていた。
私は無能と罵られ、最悪の場合処刑されるかもしれない。だが、これ以上無駄に兵士を死なせるわけにはいかない。
「全艦隊に告ぐ、撤退せよ」
ガレー船は次々と反転していき、旗艦も反転を始めたが、近くまで来ていたラモン・アルカラスによって旗艦は破壊され、シャークンは海に投げ出された。
「撤退を始めたか、救助を開始しろ」
アデレードからはS-70、レゾリューションからはAS 332*3が発進し、救助を行う。
シャークンは、自分を攻撃してきたラモン・アルカラスから投げられた浮き輪で救助されていた。
「これだけの大艦隊を少数の艦だけで撃退するとは、夢でも見ているようだ」
ブルーアイは、驚きの表情を浮かべる。
「信じられないかもしれませんが、これが現実です」
トンプソン大佐は彼に言った。
「トンプソン大佐、我々公国海軍も砲艦を装備したいのですが、本国に取り計らっていただけますか?」
「そのことですが、すでに転移国家間の協議にて、輸出することが決定しています」
協議にて、米国のキャノン級護衛駆逐艦をモデルにした艦を輸出することが決定していたのだ。
かくして、後にロデニウス大海戦と呼ばれる戦いは連合軍の勝利に終わった。
陸と海で敗北したロウリア王国は、降伏を余儀なくされることとなる。