【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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世界は変わった。
セイレーンと言う未知の脅威が世界を脅かし、この世界の海は9割の制海権失った。

海は、航路は、人々を繋ぐものでは無く命を脅かす物となってしまった。

世界は変わった。

人々は他者と繋がることを拒み、個として生きていく事を選択し出した。

そして、世界はもう一度変わる。

KAN-SEN……キューブより生まれし船の記憶を持つ少女たち。
彼女達が、セイレーンを撃退し、人類の希望となったのだ。




第一章 裂けた大地を繋げ
プロローグ


 

「おはようございます、イサム」

 

カーテンから差す日の光。

馴染みのある声に名前を呼ばれ、ゆっくりと目を覚ます。

 

……俺の視界いっぱいに広がる、女性の顔。

紫の髪に、一対の角。

俺を見てニコニコとしている女性。

 

「おはよう、隼鷹……」

「今日はお寝坊さんね。待ちくたびれちゃったわ。今日も一緒に頑張ろ?」

 

俺の一日は、始まる。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

俺の名は『イサム・アカツキ』。

今年で数えて18になる。

 

生まれは重桜。

家族は居ない。

 

物心付いたときから孤児院に居て、16には重桜の軍部に入った。

この国の男なら誰しもが軍に入る。

そんな時代だ。

 

 

重桜軍の居住区から、俺のトライクの置かれている倉庫へ移動する。

 

「おはよう、イサム。今日も配達か?」

「おはよう、主任。そんなとこ。今日の荷物は?」

 

俺が主任と読んだ初老の男性が、壁に掛かっている端末を操作してモニターに表示する。

 

「薬の配達だ。常備薬を指定した島に持っていってくれ」

「あいわかった。任しとけ」

 

俺の仕事は、配送だ。

重桜は元々島国だ。

 

しかし、かつてのセイレーンとの戦いで国土は穴だらけ。

ちょっとした距離でさえも海を渡らなきゃいけない。

 

孤立してしまった人々に必要な物資を送ると言う役目も、自然と必要になってきた。

 

事態を重く見た重桜の上層部……長門様が、重桜の軍に輸送部隊を創設して、今に至る。

 

同期たちやへそ曲がりはこの仕事を『戦わない意気地なしのする事』だと言っているが、俺はそうは思わない。

 

大事な仕事だ。

人と人を繫ぐ、とても大切な。

 

今、世界は細切れにされたようにバラバラだ。

でも、手を取り合おうとする動きがある。

 

その為にも、まずは重桜という国を繋げなくちゃいけない。

 

俺は、その事に携われる事がとても嬉しいんだ。

 

棄てられて、一人で生きて行かざるを得なかった俺に出来る事。

 

そして、何より、

 

「あ、イサム!待って!」

「わ、KAN-SEN……!って隼鷹か。また抜け出してきたな」

 

主任の声に振り返る。

朝別れた隼鷹が、完全装備で走ってきていた。

 

「おいおい隼鷹、また付いてくる気かよ」

「何言ってるのイサム。私達幼馴染でしょ?貴方の護衛は私がするの。他の子になんて任せられないわ」

「いや、でも赤城様になんて言われるか」

「行くったら行くの!」

「はいはい……また帰ったらどやされるなこれ」

「何でもいいからとっとと行ってくれ」

 

呆れたように主任が手を振った。

 

隼鷹は、俺が物心付いたときから一緒に居た。

彼女はKAN-SENだから、歳を取らないけど……この関係を人間に当て嵌めるなら、『幼馴染』だろう。

 

俺の、国の為に頑張るもう一つの理由が、隼鷹だ。

 

一人だった俺に手を差し伸べてくれた彼女の為に、俺は働く。

……勿論、恥ずかしいから本人には言っていない。

 

海上での護衛を名乗り出てくれる事は素直に嬉しい。

けど、ちょっと過保護すぎないかな……俺もそろそろ大人なんだが。

 

「荷物よし、トライクよし。じゃ、行ってきます」

 

荷物を積載したトライクに跨る。

……隼鷹が俺の後ろに座り、腰に手を回してくる。

 

「気を付けてな」

「隼鷹がいるから大丈夫さ」

「ったく、見せ付けてくれて……ほら、行きな」

 

アクセルを吹かす。

 

「大丈夫よ、私が居るわ」

「アテにしてる。行くぞ!」

 

さぁ、今日も頑張ろう。

 

 




どうも、塊ロックです。

最近デスストを買ってプレイしてるので何となく始めてみました。
いろいろと至らない所はありますが、読んでくださると嬉しいです。

感想、コメント、いいねをお待ちしております。
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