【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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今回の配送メンバーは愛宕さん。
いつもとは違うけど、やる事は変わらない。


第九話 俺の海路

リバーストライクの後部座席に愛宕さんが座る。

海面に着水するまではいつもこうやって二人乗りをしている。

 

「んふふ~」

「ご機嫌ですね」

「ええ、久しぶりにこんなに一緒にいるんですもの」

「……そう、ですか」

 

愛宕さんの鼻歌と、風を切る音だけが聞こえる。

重桜内の整備された道を抜けて、海岸を抜ける。

 

「それじゃ、降りるわね」

「はい」

 

一度トライクを停車させる。

愛宕さんが座席から降りて、艦装を展開した。

……隼鷹と違い、砲を撃ちだす為の装置が両サイドに展開される。

 

隼鷹の物より、より重厚と言ったイメージだ。

 

「行きましょう」

 

愛宕さんが海の上を滑りだす。

俺も後に続いた。

 

「それにしても、イサムくんの力は……本当に便利ね」

「そんな事ないですよ。他の人たちからすれば地味ですよ、こんなの」

 

火を起こしたり、そんな力と比べるととても地味だ。

 

 

「でも、この力でイサムくんにしか出来ない事をしている。聞いたわよ、赤城から特命を受けてるって」

「ええ……この国を繋ぐ、大事な仕事です」

 

重桜という国が繋がれば……この国は、まだ生きていける。

 

「……ねぇ、イサムくん。貴方は……戦うのは悪い事だと思う?」

 

そんな時、愛宕さんがそう聞いてきた。

 

「……どうでしょうね。少なからず傷付く人が出ます。俺は……それが、嫌なんだと思います」

 

隼鷹や……勿論、愛宕さんが怪我をするのを見ているのは嫌だ。

俺に何の力も無いから。

 

「私達の敵の事、イサムくんは知ってるかしら」

「セイレーン、ですよね。養成学校で嫌ってほど聞かされましたよ」

「そうよ。……私たちは、それを倒す為に生まれた」

 

いつになく、真剣な顔をしている。

 

「セイレーンが倒せなければ……世界は終わり。それでも……躊躇う事、あるかしら」

「それ、は……」

「相手は人じゃないの」

「……愛宕さんは、それを俺に言ってどうしたいんですか?」

 

逃げ。

自分でも嫌になるくらいの逃げ腰。

 

「そう、ね……私は、今に向き合ってほしいかな」

「い、ま……?」

「イサムくんが頑張ってる、楽しんでるのはおねえさんも嬉しいわ。でも……もう少し、視野を広げてみても、良いんじゃないかなって」

「それは、俺に兵器輸送を受けろって事ですか」

「いいえ。でも、これから……戦争が激化すれば、そうも言ってられなくなる。その時、イサムくんが苦しまないよう……助言……なんてね」

「……考えてみます」

 

愛宕さんのいう事だし、無碍には出来ない。

結局これだって俺のエゴなんだ。

 

「うん、良い子ね」

「……子ども扱いは、やめてよ」

「ごめんね。でもイサムくんはもう弟みたいなものだもの」

「む、むぅ……」

 

小さいころから面倒を見てくれているから、そんな扱いなんだろうなぁ。

 

「……行きますよ」

「あ、スピード急に上げないでよ!」

 

 




その日、装置を設置して納品を完了し……愛宕さんが夕食を奢ってくれた。

俺の、考え……か。
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