目が覚める。
仕事の準備をしないと……。
「アレ」
体が、動かない。
これは、金縛り!?
いや、アレは科学的に証明された筈……つまり、俺は疲れてるんだ。
でも仕事は仕事……なんとか、起きないと……!
「すぅ……」
「うん?」
俺以外の誰かが隣にいる?
恐る恐る首だけ横に向ける。
「すぅ……」
「……隼鷹」
誰かと思えば、見知った顔。
隼鷹が俺の隣で抱き着いて眠っている。
「隼鷹、起きて。起きてってば」
声を掛けるが……起きない。
拙いな、早くしないと……。
と言うか力強いな!?
「遅刻しちゃうよ、起きてって」
「むぅ……おはよう、イサム」
「おはよう、隼鷹。ちょっと離してくれないかな……仕事が」
「イサム、今日は……お休みでしょ」
「え……あ」
そうだった。
―――――――――
さて、俺は休みの日何をしているかというと。
リバーストライクの手入れ、掃除洗濯、体力練成……ぐらいである。
趣味らしい趣味がなく、友人も居ないので何も他にする事がない。
「イサム、今日は何をするの?」
「そうだね……何しよう」
朝食を隼鷹と一緒に摂る。
ど平日なので少々人が居る。
「トライクの整備して鍛錬して終わり」
「……それだけ?」
「一日でも足りないくらいさ。最近サボり気味だったから丁度いいや」
「イサム……」
隼鷹が凄い哀れそうな視線を向けてくる。
そんな目で見ないでよ。
「普段からそうなの……?」
「そうだけど……」
「……援軍を呼ぶわ」
「えっ」
「あいつに頼るのは癪だけど……物凄い癪だけど!これもイサムの為……!」
ブツブツ呟きながら、隼鷹は部屋を飛び出して行った。
「……何だったんだ?一体」
―――――
整備班の一角を借りて、自分のリバーストライクの整備を行う。
何だかんだもう二年の付き合いになる。
丁寧に、少しずつ整備してやる。
特に、俺は海の上をよく走るのであちこちに錆が出来てしまうことがある。
それらも落としてやる。
「真面目だねぇイサム君は……休みなんだからちったあサボってもバチは当たらんだろうに」
整備班の誰かがそう呟いた。
主任の部下の班長さんである。
「最近サボり気味でしたので」
「そうか……?配送から帰ってきたら必ず整備してたじゃないか」
「戻ってきてすぐ出発が多かったので」
「……それ、サボってたって言わないなぁ?」
さて、一息つこう。
棚に置いといたMONSTERを手に取り、
「はい没収〜」
取り……。
「うわっ、KAN-SEN!?」
「うふふ〜ダメよイサムくん?こんなの飲んでちゃ」
取り……たかった……。
「愛宕さん……」
「こんにちは、イサムくん。隼鷹に呼ばれて来ちゃった」
「隼鷹に?」
まさか援軍って愛宕さんのこと?
「あ、隼鷹」
遅れて隼鷹がガレージに入ってきた。
……すっかり整備班の人たちは逃げている。
後で謝らないとなぁ……。
「イサム」
「うん、どうしたの?」
「デートしましょう」
「えっ」
ニコニコ笑う愛宕さんと真顔の隼鷹の顔を交互に見て。
「えっ」
そんな声しか出なかった。
「……行ったか」
「全く、KAN-SENは何するか分かんねぇから怖い」
「あの丁稚、何でKAN-SENに好かれてるか知らんが……ほんと、丁稚にしとくの勿体ないったりゃありゃしねぇよ」
「やめとけ。本人にその気が無いんだから。それに……今は赤城様の傘下だ」
「……ほんと、重桜も何考えてんだか。KAN-SENに指揮系統任せるなんてよ」
「国土復興、ねぇ……」