「……それで、何でここに」
小高い丘の上。
丁度、重桜軍司令部が一望できるスポットだった。
あれから、重桜の街の中を隼鷹と愛宕さんに引きずり回されて色んなスポットを見て回った。
生まれ育った国だけど、やっぱり知らないことも多い。
最近流行っている店だとか、服だとか。
でも愛宕さん、すぐ甘味屋に入ろうとするのはちょっと。
「良い眺めでしょう?」
「そうですね……風が、気持ちいい」
「ここはね、昔……私とイサムがよく遊んだ場所なの」
「そっか……」
俺には親が居ない。
そんな俺に寄り添っていてくれた隼鷹。
彼女との、思い出の場所。
「隼鷹、しんみりしに来たんじゃないでしょ?」
「そうだったわ」
「イサムくん、そろそろご飯にしましょう?勿論、お昼からも遊ぶわよ」
「……はい」
―――――――ー
昼食を済ませる。
豆腐料理の専門店らしく、様々な豆腐料理を網羅していた。
しかもバイキング形式。
愛宕さんが食べる事食べる事。
「美味しくてヘルシー、豆腐は最高ね」
愛宕が満足気な顔をしてお腹を擦っている。
なお、彼女が食べていたのは豆腐カツと言う代物で……揚げ物である。
相応のカロリーがあるが口には出さない。
「美味しかった?イサム」
「うん、美味しかった」
「そう、なら良かったわ」
「ねぇイサムくん、気になる甘味屋さんあるんだけど行ってみない?」
「えぇ、愛宕さん今ご飯食べましたよね!?」
「甘い物は……べ・つ・ば・ら♡」
「愛宕、貴女大丈夫なの……」
「大丈夫よ、KAN-SENは太らないもの」
……本人は豪語しているが、体重の増減で一喜一憂と言うのが世の女性と言うもの。
気にしてるKAN-SENとか居るのだろうか。
「甘い物は人生に必要なカロリーよ。行きましょう」
「えっ、ちょっと、引っ張……力強ォ!?」
KAN-SENのパワーで引っ張らないで!
腕が、腕が千切れる!
「ちょっと愛宕、やめなさいって。イサム、大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫」
「あー……ごめんなさい。お姉さん少しはしゃぎ過ぎたわ」
自慢の耳もしゅんと垂れてしまっている。
「だ、大丈夫です。愛宕さんのお陰で楽しんでますから」
「……フフ、ありがとう」
「そ、そう言えば隼鷹は、何で愛宕さんを誘ったの?」
あんまり隼鷹はよく思ってなかった様に思えたけど。
「私じゃあ……ちょっと疎いと思って」
「そうなの?」
「正直、そんなに」
「あらあら……それじゃあ、お姉さんに任せなさい。次は……そうね、あそこのおしるこ!」
「「天丼だ(よ)!!」」
どこまでもブレない人だった。