「あら、この様な場所で。奇遇ですね」
「お、お疲れ様です、赤城様!」
背後から声を掛けられ、回れ右から思いっきり頭を下げた。
……愛宕さんと隼鷹が苦笑している。
「今日は仕事ではないのですから。そんなに畏まらなくてもいいですのに」
「ですが……」
「アカツキさん?」
「わ、わかりました……」
笑顔で圧を掛けられてしまった。
「愛宕に隼鷹、貴女達がいると言う事は」
「イサムは今日が仕事の日だと思ってました」
隼鷹がそう言うと、赤城様は眉間に手をやりため息を吐いた。
……この人も苦労してるんだな。
「誰のせいだと?」
何で考えてる事バレたんですかね。
「まぁ、良いですわ……そう言えば」
ふと、赤城様が尋ねてきた。
「私はそう言ったものには疎いのですが……アカツキさんは、何か武道を修めているのかしら?」
「いえ……何故です?」
「加賀が、気にしていまして」
加賀様が?
どうしてだろうか。
「曰く、『ナヨっとした性格だが、体の軸……体幹が鍛えられている。何かしら修めているのだろう』と」
ナヨっとした性格と言われてちょっと傷付いたのはナイショだ。
隼鷹が俺の頭撫でてるけど顔に出ていないと信じたい。
「護身に……嗜む程度ですが、寺由来の拳法と武器を使った格闘術を少しだけ」
「戦争には忌避感を抱いていると見受けましたが?」
「……身にかかる火の粉は、払わなくちゃなりません」
暴力はいけない、そういった所で相手は待ってはくれない。
そんな事、嫌ってほど体感した。
どうして同僚達が力ずくで俺を従わせに来ないのか。
「矛盾、ですわね」
「………………」
そんな事は分かってる。
それでも、
「もう、赤城ったら。今日は貴女もお休みなんでしょ?こんな話してるのはリラックス出来てない証拠よ」
背中から抱き締められた。
……愛宕さんだ。
「赤城も、仕事中毒ね」
隼鷹が苦笑してそう言った。
「まぁ、失敬ね。久しぶりに手のかかる部下が出来てしまったのですから」
「あら、誰の事かしらね」
「貴女達が面倒を見てると聞いた時にもう少し考えるべきでしたわ」
「な、なんの事かしらね〜」
二人共そっぽを向いた。
その様子がおかしくて、思わず笑みを溢した。
「フフフ……空気を少し悪くしてしまったお詫びに、甘味など如何です?」
「本当!?」
「愛宕、何で貴女が反応するのよ。しかも午前中どれだけ食べたと思ってるのよ」
「甘い物は、べ・つ・ば・ら♡」
「愛宕さん……食べ過ぎでは?」
「KAN-SENは太らないから平気よ」
「あら。最近KAN-SENの体重増減の報告も上がってきてるわよ?」
「えっ……」
愛宕さんの顔から血の気が引いた。
「KAN-SENだからといって努力を怠ると、痛い目見ますわよ」
苦笑するしかなかった。
イサムの特技に某フロムゲーの仙峰寺拳法が追加されました。