『お久しぶりですね、イサムさん』
応接間に取り付けられたモニターに、赤城様が写し出された。
一度目の遠征で引かれたインフラの賜物だとか。
『あら、貴女……』
赤城様が大鳳さんを見て目を丸くした。
大鳳さんは凄く気まずそう。
「どうも」
『沈んだと報告を聞いていましたが……生きていたのですね』
「イサム様に、助けて頂きました」
『イサムさん……貴方も随分とお人好しですね』
呆れたように赤城様がため息を吐いた。
「それで、赤城。今回は何の用?」
隼鷹が話を進めてくれた。
赤城様の事だ。
流石に何かしらの用件があって俺に連絡を寄越したに違いない。
『大鳳を拾ったと言う事はやはり近辺で戦闘が発生したようね……』
赤城様が一人で何か納得している。
珍しく煮えきらない。
「赤城様?」
『イサムさん。今任務中で手が回らないと思いますが、1つ緊急の案件があります』
「は、はい」
『そちらの大鳳を含む護送部隊の運んでいた荷物を回収、それが出来なければ破壊してください』
大鳳さんの運んでいたもの……?
「赤城!アレは……!」
『大鳳、案内くらい出来ますよね?』
「アレは鏡面海域で起こった戦闘ですわ!回収出来るとは思えません!それに、イサム様は人間です、危険すぎます!」
大鳳さんの剣幕にびっくりする。
鏡面海域……?
『……指揮官に捨てられて、今度はイサムさんに尻尾を振るつもりですか?』
「っ!!」
大鳳さんの表情が変わる。
……赤城様を、睨んでいる。
『まぁ、構いませんが』
「あ、赤城様!」
この空気で口を開くのは、ちょっと勇気が必要だった。
『なんでしょうか』
「いくつか聞きたいことがあるんですけど、取り敢えず一つだけ」
『はい』
「大鳳さんの保護をお願いします」
『「!』」
「指揮官に捨てられた、と言うのが本当なら……大鳳さんは原隊に帰れません。それまで……」
「イサム様!大鳳は貴方に着いていくと言いました!」
「駄目だよ、大鳳さんは病み上がりじゃないか。休むべきだ」
つい昨日、沈没寸前だったのを回収したのだ。
鏡面海域と言うのがどの様なものか知らないけど、連れて行くべきじゃない。
『わかりました。しかし、任務が優先です。その大鳳を連れて指定の海域へ向かい、物資を回収して来てください』
「あ……」
それを言って、赤城様の通信は切れた。
「……どうして」
大鳳さんが俯いて呟いた。
「……さっきの話が本当なら、大鳳さんは少し休むべきなんです」
「でも、大鳳は……」
「任務が終わったら、また会いに行きます」
「……約束ですよ」
「はい」
隼鷹が、なんとも言えない表情で見ていた。