【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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第三十話 「救援」

全速力でトライクを飛ばす。

 

荷物は回収できた。

後は仮拠点に戻り設置されている転送装置で重桜に送れば問題ない筈。

 

拠点周辺は隠形の式が張ってあるから追跡は撒ける……!

 

……二人が、気がかりだ。

実力者とは言え、相手は軽巡洋艦。

艦種の相性は最悪だ。

 

特にベルファストと言えば対空戦闘に長けていると噂されている。

 

負けはしないだろうけど……勝つことは、難しいだろう。

 

(大丈夫だろうか……)

 

……?

何か、風を切るような音がする。

隼鷹の艦載機だろうか……いや、

 

「砲撃……ッ!?」

 

ハンドルを切る。

すぐそばに水柱が立ち上る。

 

手を放して俺がトライクから離れれば、移動手段を失ってしまう。

 

流石に直撃にはしてこないだろうが、下手に突っ込んでバランスを崩すかもしれない。

 

「今のは警告です。まだ本気にならないウチに投降していただけると助かるのですが」

「……隼鷹たちは」

「少し大人しくして頂きました」

 

ベルファストがにっこりと微笑みながら答える。

 

……拙い。

非常にこの状況は拙い。

俺の速度は軽巡相当ではあるが、小回りは効かない。

直線なら距離は縮まる事は無いが向こうは何をしてくるか分からないのだ。

 

「渡せない!!」

「困りましたね……」

「追ってこないでくれ!」

「逃げられれば、追ってしまうのが性と言うものです」

「追ってくるから、逃げるんだよ!!」

 

両者、距離は変わらない。

時間を稼ぐ手段は無い。

何なら向こうは俺の足を封じる手段を持つ。

 

俺を傷つけないで捕縛するなんて造作も無いだろう。

 

だが、それが足を止めていい理由にはならない。

 

また水柱が上がる。

正面。

そのまま突っ込んでしまった。

 

「くっ……」

 

バランスが崩れかける。

スピードが落ちる。

 

「さぁ、捕まえましたよ」

「ま、まだ……ッ!!?!」

 

視界にベルファストの手が映る。

……あの夜、彼女に絞殺されかけた記憶がフラッシュバックする。

 

「ひっ……」

 

反射的に、胸元に入れていたお守りを握った。

 

「!」

 

ベルファストが飛び退いた。

閉じていた目を開く。

 

「え……」

 

刀が一本、俺の後ろから突き出されていた。

 

「……大丈夫ですか、イサムさん」

「え……の、能代……!?」

 

トライクの後部、俺の背後に……能代が、立っていた。

 

「重桜の、軽巡洋艦!」

「阿賀野型2番艦、能代。友軍の危機に馳せ参じた!推して参る!!」

 

能代がベルファスト目掛けて跳ぶ。

 

何が、どうなってるんだ……?

 

「イサム!」

「隼鷹!……と、大鳳さん!良かった、無事だったんだね」

「あのメイド、やっぱり手を抜いてたわ……忌々しい。え、何で能代が……?」

「分からない、けど」

「好機ね!行って来るわ!」

「気を付けて!」

「イサム、言ってほしい言葉は他にあるの」

「!」

 

今、俺が彼女たちに言える相応の言葉。

 

「お願いだ、皆……勝ってくれ!!」

「「ええ!!」」

 

 

 

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