………………俺たちは全員ボロボロの状態で仮拠点に帰ってきた。
「つ……強かった」
能代が溢す。
こちらは3人、向こうは1人だったのに圧されていた。
それだけあのメイド長は上手だったのだ。
「みんな……無事……?」
「ええ……」
二人とも無言だったけど、隼鷹は息絶え絶えで答えた。
「シャワー、使っていいよ……」
「イサムも無理しなくて良いから……」
「いっそ全員で浴びます……?」
「お風呂入りたいですわー……」
「ていうか重桜製のベースキャンプなのにお風呂無いんだ……」
「あるわよ」
「「「えっ」」」
あるんだ。
あれ、何で言ってくれなかったの?
「イサム、先にどうぞ」
「いや、悪いよ……そっちこそ先に入りなよ。俺はシャワーで良い……」
「背中流せないじゃない」
「乱入前提じゃん。辞めてよ」
隼鷹、たまに風呂に乱入してくるから気が抜けない。
しかも毎回じゃなくて完全に油断してるタイミングで。
愛宕さんは気を遣って来ないけど。
「イサム様のお背中……」
「何でちょっと元気になってるのさ大鳳さん」
「え、う、うふふ、何でもありませんわ」
この人もこの人で要注意、だなぁ。
と言うかさっきから能代がピクリともしない。
大丈夫かな……。
……そう言えば、どうして能代は俺達の場所までやって来たのだろうか。
回復したら聞いてみよう。
――――――――――
風呂だ。
浴槽の中で脚が伸ばせる…………………。
カミはここに居た。
「はぁぁぁぁ……」
深いため息が出る。
疲れた。
とにかく疲れた。
大鳳さんを拾ってからもうごっちゃごちゃも良いところ。
……まさか、またあのロイヤルのメイド長……ベルファストに遭遇するなんて。
「……っ」
また、あの時首を締め生殺与奪を握られた夜を思い出し、身震いした。
下手したらあの時俺は死んでいた。
狼さんが来なければ本当に。
『……イサム、湯加減はどう?』
そんな状態を見透かした様に、隼鷹が声をかけてきた。
「大丈夫だよ」
『ほんとうに?』
「……うん。大丈夫」
『私が着いてるわ』
「……うん」
『だから……大鳳?何しに来たのかしら』
隼鷹の声が急に殺意丸出しになる。
怖いって。
『イサム様!大鳳がお背中お流ししますわ!』
『このっ、そんな元気あるなら戦ってる時に出しなさいよ!!あっ、誰もその駄肉出せとは言ってないわ!!』
『離しなさい隼鷹!貴女だって脱いでるじゃありませんか!』
『濡らしたくないからよ!』
やっべ。
これ絶対入って来るやつだ。
とりあえず鍵を閉めた。
『あら?イサム様ー。開けてくださいましー』
『イサム?何してるの?開けて?』
二人して何で今結託したの。
かちゃり。
「ゑ」
今開いた音したよね。
「無駄よイサム。私の特技は鍵開け」
「イサム様!お流ししますわ!」
おおカミよ、寝ているのですか。
『しらそん』
誰だ今の。
「貴方達!いい加減にしなさい!!」
「「ぎゃん!!!!」」
………………二人とも、能代にしばかれて引きずられて行った。
「……いったー」
さり気なく俺も叩かれた気がする。
頭痛い。