【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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第三十二話「種明かし」

「私がここに飛んできた理由、ですか?」

 

やっとひと段落したので能代に気になっていた事を聞いた。

 

「うん」

「出発前に渡したお守り、覚えていますか?」

「ああうん、ここに……あれっ」

 

風呂に入る前にポケットに入れていたお守りを出す。

……しかし、そのお守りは焼かれたように半分無くなっていた。

 

「焼けてる……」

「ちゃんと機能したみたいですね」

 

良かった、と能代が胸をなでおろしていた。

 

「これは緊急用の簡易転移式神です」

「あー……」

 

よく重桜の上層部が使用している移動手段だ。

 

「この通り、一度使うと消失してしまうのが玉に瑕なのですが……移動距離に制限がありません」

「なるほど……」

 

俺の緊急事態に反応して飛んできたのだろう。

 

「けど、どうしてこれを?」

 

背後からため息が聞こえた。

隼鷹が風呂から上がってきた様だ。

 

「……言わせる気ですか」

「いや、言ってくれないと分からないけど……」

「……隼鷹が強いのは重々承知してますけど、やっぱり……心配、でしたので」

「そっか……でも、大丈夫なの?能代の艦隊の方は……」

「了解は得ていました」

「そうなんだ……」

 

いや、でも艦隊の護衛放り出して来るのは如何なものか。

 

「……仕方ないじゃないですか。心配だったんですから」

 

能代はそう言うと、顔を背けて手元に持っていた羊羹にかぶりついた。

 

「あはは……ありがとう、能代。お陰で助かったよ」

「ふん……」

 

言われてみれば、軽空母の隼鷹一人が護衛と言うのもそもそもどうなのだろう。

索敵は出来るが接敵してしまった場合の対処。

 

「私は帰らないわよ」

「まだ何も言ってないんだけど」

「イサムから離れるなんて絶対嫌」

「あの」

「嫌ったら嫌」

「……わかったよ」

 

言い出したら絶対に曲げないからなぁ、隼鷹。

 

「お風呂上がりましたぁ〜」

 

大鳳さんの声だ。

視線を向けようとして、能代に視界を塞がれた。

 

「え、何!?」

「イサムさんは見てはいけません」

「えっ!?」

「あっ!能代さん!?何をしていらっしゃいます!?」

「貴女が何してるの大鳳!!服を着なさい!!」

「破廉恥ですっ!!」

「イサム様ぁ〜大鳳の髪を乾かして下さいます〜?」

「やめなさい!!能代!絶対に手を離さないで!!」

 

……どうやら、大鳳さんがあられもない格好でお風呂から上がったらしい。

 

「あ、あはは……」

 

なんだか、隼鷹と愛宕さんのやり取りみたいでつい苦笑が漏れた。

 

「だいぶ打ち解けたみたいだね」

「イサム……?大丈夫?今すぐ任務を中断して診てもらう?」

「えっ、どこを!?」

「おいたわしやイサム様……不詳大鳳、全身全霊でお世話を……」

「貴方は自分の世話をまずしなさい!!」

 

脱力して後ろに倒れそうになる。

 

……うん?後頭部に柔らかい感触が。

 

「な、ち、ちょっ、イサムさん!?」

「ああ、能代後ろに居たんだ」

「当たり前よ……」

「あはは、ごめんごめん……ちょっと眠くなってきた」

「……そろそろ休みましょう。お疲れ様、イサム」

 

 

 

 

翌日、大鳳さんは風邪を引いた。

 

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