【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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航海中、やっぱりアクシデントは付き物。



第三十四話 彼女は特にテンプレート

出発から一週間が経過した。

その間、特に目立ったアクシデントもなく航海は進んだ。

 

ただ、運ぶ荷物が一つ増えただけ。

それも……以前回収したもう一つのメンタルキューブ。

 

結局俺が運ぶ事になった。

 

「イサム」

 

前を走る隼鷹が声を掛けてきた。

 

「大丈夫?」

「え、ああ、うん。大丈夫だよ」

「暫く走りっぱなしだったから、ね。そろそろ中継点だから」

「気にし過ぎだよ隼鷹。ここまで何も無かったしきっと――――――」

 

……なんて、見通しが甘かったのかも知れない。

目の前の海面から、突如として水柱が立つ。

 

「イサム!」

「分かってる!」

 

隼鷹が偵察機を飛ばす。

砲撃の音が聞こえなかった。

なのにすぐ目の前に水柱が立つ。

妙だ。

 

妙ではあるができる事が警戒しかない。

 

スピードを上げる。

 

「見えた!この先で誰かが交戦中よ」

「所属は!」

「多分、鉄血」

「何だって!?」

 

まだ鉄血の領海まで距離があるのに……。

どうしてこんな所へ。

 

「数は?」

「……単騎よ」

「孤立してる……?」

「チッ、撃ち落とされた」

「敵は?」

「セイレーンの量産型。数は4」

「OK、隼鷹」

「任せて。借りを作ってやりましょ」

 

隼鷹が艦載機を発艦させる。

鉄血はまだ同盟を締結してはいないが、貸しを作っておけばこの先有利に事が運ぶだろう。

 

……と言うのは結果の話で、この時の俺は本当に何も考えてなかった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

戦闘中のKAN-SENが見えてきた。

小柄な、金髪の子だ。

鉄血特有の赤と灰色を基調とした制服と……機械然とした艤装だ。

 

「ッ!?増援!?いい加減にしろっての……!」

 

少女がこちらを睨む。

すでに装備も服もボロボロだ。

それでも闘志が失せておらず、獣の様にギラついた目をしている。

 

「味方だよ!着いてきて!離脱する!」

「は、はぁ!?あんた達、重桜!?」

「目を閉じて!!」

 

対KAN-SEN用フラッシュバンを投げる。

少女は慌ててこちらに向けて全速力で走る。

 

閃光。

量産型KAN-SENにも効果は覿面だ。

製作者は確か明石って言ってたっけ。

使い勝手は良いんだけど発注費用結構馬鹿にならなくて赤城様に領収書切れないか聞いたらため息吐かれた。

 

「喰らえッ!!」

「いっ!?」

 

轟音。

金髪の少女は離脱すると見せかけて隼鷹が落とし損ねた最後の量産型を砲撃して、沈めた。

 

「はっ、はっ、はっ、吐かれたぁ…………………」

 

肩で息をする。

そんな表現が似合う程消耗していた。

 

「だ、大丈夫……?」

 

恐る恐る声をかける。

隼鷹は警戒態勢に戻り、周囲に偵察機を飛ばしていた。

 

「はっ、はっ、べ、別に助けてくれなんて言ってないわよ!!」

「えっ」

「あんな奴らアタシ一人で何とかなったわ!」

「なっ、そんなボロボロで言うことじゃないだろ!!」

 

つい、こちらも強い口調で返してしまった。

 

「はぁ!?アンタ馬鹿!?これのどこがボロボロだっての!五体満足、艤装も全然動くわ!」

「な、何お……!君こそ自分の身体がどうなってるのか分かってるのか!?」

「自分の身体のことは自分が良くわかってるっての!!」

「君は……ぐえっ」

 

後頭部に衝撃。

振り返ると隼鷹が立っていた。

 

「イサム。時間の無駄。いくわよ」

「隼鷹、でも」

「どの道こいつには選択肢は無いわ」

「ぐぬ………………」

「着いてきなさい。手当して色々聞かせてもらうわよ、金髪まな板」

「な、なんですって―――――――!!!!」

 

 

 

 

それが、俺の初めての鉄血KAN-SENとの出会いだった。

 

 

 

 

 




というわけでメインヒロインその2の登場です。
さて、誰でしょうね。
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