「あたしは鉄血海軍所属重巡洋艦、アドミラル·ヒッパーよ」
拠点に辿り着き、治療やら報告やら諸々を済ませた後に改めて彼女から自己紹介を貰った。
「アドミラルヒッパーって、まさかネームシップ?」
「そうよ」
「へー、光栄だな。他国のエリートにこうして会えるなんて」
「ふ、ふん。何よ、案外見る目あるじゃない」
アドミラル·ヒッパー級。
鉄血ではKAN-SEN自体少なく、各々の能力か高い事もありエリート集団だと聞いている。
「で、そのエリート様がどうして孤立してたの」
「ぐぬ……殿よ、殿!」
聞けば、鉄血領海内でセイレーンとの戦闘があったものの、部隊が追撃に夢中になり敵の勢力圏まで誘い込まれてしまった。
そこから離脱の為に囮となっていたらしい。
「よく生きてたね……」
「これくらい、あたしにはどうってこと無いわ。防御力は自慢だもの」
「でも、無茶しすぎだよ。現に怪我たくさんしてるし」
身体のあちこちにまだ包帯が残っている。
KAN-SENに巻くと言うのは気休めの意味合いが強い。
負傷箇所から漏れるエネルギーを最低限に出来たら御の字。
その程度だ。
「うるっさいわね!何回言うのよ!あたし達はKAN-SENよ!敵を撃滅するのが存在理由なんだから!!ちょっとはその脳みそで考えなさいよね!!」
「初対面にそこまで言われる筋合いも無いんだけど……」
彼女、何というか一言一言がきつい。
まともに取り合ってると3日で円形脱毛症にでもなりそうだ。
「何はともあれ、ここにあるのは好きに使ってもらって良いから」
他国のKAN-SENをこの中継地点に招き入れる事に、最初は赤城様も渋っていた。
『お人好しも程々にしてくださいまし』
ため息混じりにそう言われたのが記憶に新しい。
その後ろで天城様がニコニコしながら、
『まぁ良いではありませんか。重桜としては、友軍を救助して面倒を見たという手札が手に入りました。同盟の堅牢化には一役買うでしょう』
言われてみれば確かにそうでもある。
ただ、これだけでそんな効果があるのだろうか。
『少なくとも、鉄血のKAN-SEN達からは覚えが良くなりますよ。良かったですね』
ウィンクしながらそんな事を言われた。
回想終わり。
「流石に怪我してる状態で放り出したら心配だし」
「あんたみたいなのに心配される程間抜けじゃないわよ」
「ははは……」
「て言うか、あんたまさか人間?」
「え、ああ……そうだけど」
「ふーん……」
めちゃめちゃジロジロ見られている。
居心地が悪い。
「名前は」
「え、あー、アカツキ·イサム」
「ふーん……ま、まぁ……少し、世話になるわ」
「うん。よろしく、アドミラル·ヒッパーさん」
「……何それ。ヒッパーでいいわよ、長ったらしい」
「そう?ありがとう、ヒッパー」
「は、はぁ!?何でそんなんで礼なんて言うのよ?!意味わかんない、あんた馬鹿ァ?」
「な、何お……!」
「はいはい騒がない。風呂入って寝なさい」
二人して隼鷹に殴られた。
何故……。
……隼鷹、終始機嫌悪かったなぁ。