【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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遠くの方で身の危険が迫るのを露知らず。
知る由もないけど。


第三十八話『ロイヤルの雲行き』

「ふぁ……」

 

午前6時。

いつもの起床時刻。

昨日たまたま早めに中継地点に辿り着けたので、そこで一夜を明かしたのだった。

 

そろそろ鉄血領に差し掛かる頃だ。

 

(ここまで、色々あったなぁ……)

 

ロイヤルのメイド長に殺されかけたりロイヤルのメイド長に追われたり。

あれ、もしかしてロイヤルに呪われてる俺?

 

(行く機会が訪れても断ろう。嫌な予感しかない)

 

ロイヤルには絶対行かないと心に誓うのだった。

……おや?

 

(シャワーの音がする。誰か使ってるのかな)

 

こんな朝早くに誰だろう。

ヒッパーはまだ寝てるし隼鷹かな。

 

「おはよう隼鷹。悪いけどちょっと顔洗うから出ないでね」

 

浴室の隣に洗面台が設置されているので、ひと声かけておかないと交通事故が発生する。

 

冷たい水が気持ちいい。

眠気もさっぱりさせてくれる。

 

すると、

 

「……イサムくん?」

「えっ」

 

あれ、この声……隼鷹じゃない?

 

「わぁ、やっぱりイサムくんだわ!久しぶり!会いたかったわ!」

「えっ、愛宕さん!?」

 

浴室から出てきたのは、まさか愛宕さんだった。

ただ、

 

「待って待ってお願いしますそのまま出てこないで!?」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

赤城様に勤務開始報告をした後、改めて愛宕さんに切り出した。

 

「どうしてここに?」

「イサムくんに会いたくて」

「はっ倒すわよ」

 

隼鷹があからさまにイライラしながら言った。

今日は何か殺気2割増しだね、怖いよ。

 

「冗談よ、冗談。たまたま近くを通ったから利用させてもらったの」「他の輸送班が近くに?」

「ええ。と言ってもそろそろ時間の問題だけど」

「……どう言うこと?」

 

時間の問題?

 

「……ロイヤルが追跡し始めたのよ」

「なんだって……」

 

ロイヤルに勘付かれた?

いや、でも別にやましい事何もしてないんだけど……。

 

「アンタバカぁ?荷物小分けにして囮含めてこっそり輸送してるんだからやましい事してますって言ってる様なもんよ?」

 

ヒッパーにそんなことを言われてしまった。

 

「バカって言うほどじゃ無いでしょ」

「ハッ、何よ。状況を理解してないおこちゃまになんて言えばいいわけ?」

「なっ、君って奴はホントに人のこと煽らないと生きてけないのか!?」

「「やめなさい」」

「「お"うっ!?」」

 

二人同時に呻いた。

恐ろしく早い手刀、普通に見えなかった。

隼鷹と愛宕さんが同時に俺達の頭を叩いたのだった。

 

「ところで隼鷹、この子は?」

 

愛宕さんが隣に居る俺にヘッドロックの様なハグをしている。

やめて、絞まる。

絞めないで。

 

「鉄血の重巡」

「紹介するならちゃんと言いなさいよ!あたしはアドミラル·ヒッパー級1番艦、アドミラル·ヒッパーよ!」

「あらそうなの。私は重桜の高雄型重巡洋艦二番艦の愛宕よ。よろしくね」

「フン。ところで、ロイヤルはどの位追ってきてるのよ」

「それほど多くは無いわ。何というか、結構遠くからこっちを見てるだけなのよね」

「何それ」

「さぁ……何か探してるみたいだけど」

「探し物?そんなの、あんた達が持ってる開発艦計画のデータじゃないの?」

「そのはずなんだけど……何となく嫌な予感がしたの」

「愛宕、そろそろイサムが落ちるわ」

「あらごめんね?」

 

やっと解放された。

死ぬかと思った……。

 

「さて、と。言うこと言えたし、私は艦隊に合流するわ」

「げほっ、愛宕さんもお気を付けて」

「ありがとね〜イサムくん。久しぶりに会えて嬉しかったわ。ぎゅ〜」

「ちょ、ちょっと!」

「何あれ」

「言ってなかったっけ。私達あの子の保護者みたいなものなの」

「ふぅん……」

 

そんな訳で、愛宕さんは去っていった。

 

「……ロイヤル、か」

 

二度あることは三度ある、とはいうものの。

できればもう二度と会いたくはないんだけど。

 

 

 




無理です(無慈悲
イサムくんにはロイヤルからのストーカーに暫く追われて貰いますのでそのつもりで。
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