それはイサムには関係の無い話だった。
……今は。
「そう言えば愛宕さん。長期の任務と言ってましたが、どちらまで行かれていたですか?」
トライクをガレージにしまい、主任への報告を済ませた休憩時間。
このあともう一件の配送がある。
隼鷹は水を買いに行ったので、今ここには俺と愛宕さんしかいなかった。
どうやら、愛宕さんは報告を部隊長に丸投げしてその足で俺の所に急行してきたらしいのだ。
無茶も程々にしてくださいね……。
「それはね……遠征作戦よ」
「遠征、ですか?」
疑問符を浮かべる。
遠征と言うか重桜海軍は資源回収の一環で定期的に遠征任務を行っている。
もっぱら練度の低いKAN-SEN達が底上げの為に組み込まれる自主訓練が主だったものだ。
愛宕さんは正直それが必要ない程度に実力はある。
そんな作戦に加入されるとは思っていないけど……。
それ以外に長期の任務となると、油田から燃料の回収に行ったり等の遠征とかになるはず……。
「詳しい事はあまり話せないの。ごめんなさいね」
「い、いえ!仕方ないですよ!」
「でもね、お姉さん鉄血まで行ってきたのよ」
「鉄血……?鉄血って、あの四大勢力の?」
今、世界にはそれぞれユニオン、ロイヤル、重桜、鉄血の四つの勢力がそれぞれ地域を治めている。
重桜と鉄血はそれなりに交友関係があったが……そこまで積極的な外交は行っていなかった。
「そうよ」
「そうなんですか……一介の雑用係にそんな事話して頂けるだけでも……ぶぇ」
そこまで言った所で、愛宕さんが両手で俺の両頬を抑えた。
変な声出た。
「良い?イサム君。貴方は、貴方にしか出来ない仕事をしているのよ。貴方はそれを誇りに思ってるっていつも言っていたじゃない。卑下しちゃ駄目よ」
この上なく真剣に、愛宕さんは俺を真っ直ぐ見ていた。
敵わないなぁと思う。
隼鷹や愛宕さんがいつも辛い時に支えてくれていた。
「イサム、お待たせ!……愛宕、何してるのかしら」
「お姉さん長期任務に出てたからイサム君の成分が足りないのぉ〜ぎゅーーーーーー」
「わ、ちょっ」
「な!なんて羨ましい!!」
「じゅ、隼鷹もやめでぐええええ」
愛宕さんに正面から抱きつかれてされるがままになっていた所に、隼鷹が後ろから抱きついてきた。
ちょっと首がキマってる。
俺の身長は二人より高いけど、力は圧倒的に負けている。
されるがままになるしかなかった。
「まだ俺仕事あるんですけどぉー!?」
「だったらさっさと仕事せんか色ボケがぁ!!」
がん。
後頭部にスパナをぶつけられた。
ひどい。
ハーレムタグを付け忘れていた……居ると思います?