【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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来ちゃいましたよ、単騎で。
いやどうすんのさこの子。


第四十話「新たな刺客、フォーミダブル」

遥か彼方から悠々と海上を滑り近付く影。

 

俺たちは今、一歩も動く事が出来ずにいた。

 

(何だこれ、全然動く気がしない……)

 

マシントラブルじゃない。

問題があるのは、まさか俺自身?

能力が封じられれば沈没しているから、これは移動だけが制限されているのか?

 

「……キミは?」

 

恐る恐る口を開く。

ここは、二人がどうにかして動ける様になるのに賭けて時間稼ぎをすべきだ。

 

「失礼しましたわ。自己紹介がまだでした。私、ロイヤルネイビー所属、イラストリアス級3番艦、フォーミダブルと申します。以後、お見知りおきを」

 

彼女は、淑女を思わせる優雅な所作で自己紹介をする。

というか、いつの間にかお互いの姿がはっきり見える距離まで接近されている。

 

(早い……!イラストリアス級って言ったら確か装甲空母のハズ。速力が思ってたより早い……)

 

何かタネがあるに違いない。

自己紹介を終えると、彼女は俺の近くに居る二人には目もくれず、ゆっくりと近づいてきた。

 

……はっきり分かった姿に、思わず息を呑んだ。

 

美しい。

まるで人形の様に均整のとれた顔立ち。

透き通る絹の様な髪。

美人、なんてちゃちな言葉じゃ説明できない美。

 

……実は、俺は髪の長い女性には弱い。

好みの傾向がそっちに振れてるのは知ってるし、同期から押し付けられた春画本もそう言うのばかり。

なお、その本の行方は隼鷹しか知らない……。

 

「あら、そんなに怯えないで下さいな。今日は別に戦いに来たのではありませんよ?」

「……ロイヤルの船は、信用できないので」

 

これは紛れもなく本心だ。

2回も襲われたし。

 

「あら、ベルが大分迷惑をかけた様ですね。その件に関しましては、私が代わりに謝罪しますわ」

「え、いや、そんな……えーっと、調子狂うな……」

 

なーんかやり辛い。

何しに来たんだこの人。

 

……所作が綺麗だし育ちが良いのは見て取れるんだけど、何か眼が笑ってないんだよなぁ。

何となく怖い。

でも恐怖の正体が分からない。

 

「着きましては……そうですね、イサムさん。連絡先の交換なんてどうでしょうか」

「駄目に決まってるでしょ!?」

 

隼鷹が吠えた。

あ、動けるようになったのかな。

隼鷹が俺とフォーミダブルさんの間に割って入った。

 

「何処でイサムの事を知ったか知らないけど、戦う気が無いならさっさと帰ってくれないかしら」

「あら、思ってたよりお早い復帰で」

 

面白くなさそうに呟いた。

 

「また、機会を改めるとしますわ」

「二度と来るな!!」

「それではイサムさん、ごきげんよう。今度は二人で、邪魔にならない場所でお会いしましょう」

 

 

えっ、本当に何しに来たんだ!?

 

 

 




何しに来たんだこいつ……。
なお、終始捕食者の目をしていたと隼鷹は語った。
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