【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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第五十話 覚醒

それは、人と言うには鬼気を纏いすぎていた。

隼鷹のシルエットに炎が絶えず吹き上がっている。

瞳は赤く、爛々と輝いていた。

 

傷は一切癒えておらず、今にも倒れそうな歩み。

しかし、眼光だけは怨敵を討果さんと燃えている。

 

「敵は、アイツは、何処――――――ッ!!!」

 

声にならない叫び。

獣の様な咆哮が響き、隼鷹の背後から辛うじて艦載機の形をしている炎が飛ぶ。

 

「何なのです、アレは……」

「まさか、覚醒個体にゃ……?」

「明石、知っているの?」

「全然……赤城はコードGって知ってるかにゃ」

「あの、戦場に現れてはセイレーン、KAN-SEN問わず無差別に攻撃を行っているという」

「隼鷹は今、アレと同じ存在になりつつあるのかも知れにゃいのかも……」

 

二人が話している間にも、隼鷹は鬼神の如き苛烈な攻撃で周りに居るセイレーンを次々と沈めている。

 

……しかし。

 

「危なっ!?ちょっと隼鷹さん!?敵味方の区別もつかないんですか!?」

「翔鶴姉!前!前!」

 

……味方の事を一切考慮せず全力攻撃を行っている。

 

「……私は前線に戻ります。イサムさんのこと、頼みましたよ」

「「了解!」」

 

赤城様が船から飛び降りる。

 

「イサム、治療するぞ」

「酷い傷だ……兎に角、応急処置だけでも済ませるぞ!」

「隼鷹、駄目だ……!」

「駄目なのはお前だ馬鹿野郎!これ以上動くと死ぬぞ!」

「でも、このままじゃ隼鷹が……」

「赤城様達を信じろ。お前が先にどうにかなっちまったら俺達が隼鷹に殺されちまう」

「……分かった」

 

秘薬のお陰でさっきから意識を保っている。

何なんだあの薬。

 

切断面の消毒処置を受けつつ、ふと海を見ると……。

 

「げっ……!」

「どうしたイサム……拙いぞ!!退避、退避ーっ!!」

「セイレーンがこっちに向かってる!!」

「………………」

 

さっきの、人型のセイレーンがつまらなさそうな顔をしてすぐ近くにまで来ていた。

 

「覚醒……いえ、暴走ねこれじゃ。イレギュラーと言えばイレギュラーだけど」

 

砲塔がこちらを向く。

こいつ、俺達を撃つ気か――――!?

 

しかし、

 

「やらせないって言ってるっての――――――!!!!」

「!」

 

小柄な影が凄まじい速度で突っ込み、セイレーンにぶつかる。

 

「ヒッパー……!」

 

体当たりをぶちかましたのは、満身創痍のアドミラル·ヒッパーだった。

 

「何やってんのよ隼鷹!さっさとこいつぶっ飛ばしなさい!!」

「――――――!!!!!」

 

俺たちの乗る船の艦橋に、何かが降ってきた。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

閃光。

そして、遅れて凄まじい衝撃と音が鳴り響いた。

 

 

 

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