【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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姿を消す隼鷹。
イサムは、どうすることも出来ない。




第五十三話 喪失

「……重桜に、戻ったわ」

 

ヒッパーはそう答える。

 

「……それは、本当に?」

「ええ」

「………………」

 

重桜に帰った。

新たな任務か、それとも治療中なのか。

それでも。

 

「連絡は?」

「………………」

 

連絡は、無い。

それは本当に帰っただけなのか。

自慢じゃないけど隼鷹は連絡魔だ。

会えない日が多いとメールが隼鷹の物で埋まってしまう。

 

「……何か、あったんだね」

「気にしなくて良いわ」

「気にするよ。家族なんだから」

「人間とKAN-SENは家族にはなれないわ」

「知らないよそんなの。少なくとも家族と言っていいほど俺は隼鷹と過ごした」

「……ごめん、言い過ぎたわ」

「散々言われた事だよ。気にしてない」

 

会話が途切れる。

ヒッパーは真実を話す気は無さそうだ。

オイゲンさんは多分理由は知らないだろう。

 

なら、快復して自分の脚で確かめた方が良い。

 

「重桜と連絡って取れる?」

「……まだ無理。通信インフラが整ってないもの」

「重桜への行き来は?」

「赤城が敷いた術式があるけど……まだ上が一般使用を許可してない」

「俺が帰るのには使えない?」

「……まだ、無理」

「ヒッパー」

「お願い、イサム。休んで」

 

言葉に詰まった。

ヒッパーの顔は、今にも泣き出しそうなほど弱々しかった。

 

「お願い……」

「どうして……」

「こんな可愛い子にここまで言われて、貴方はまだ何か言うつもり?」

 

今まで黙っていたオイゲンさんが、ヒッパーの肩に手を起きながら続けた。

 

「私は完全に部外者だけど、貴方はどう見たって重症よ。少なくとも一ヶ月は居てもらわないと」

「………………」

 

明らかに、何かを隠している。

でも、今の俺には何もできない。

 

「……わかりました」

「ほら、ヒッパー。泣かないの」

「泣いてないっての!……その、ありがとう」

「あら。明日は槍の雨が降りそうね」

「なんですって!?」

 

ギャーギャーとヒッパーとオイゲンさんが騒ぎ始めた。

その様子に俺もすっかり毒気が抜かれ、苦笑するしかなかった。

 

「やっと笑ったわね」

「……おかげさまで」

「あーあ、からかいに来ただけだったのに。私も完全にグルじゃない」

「グルって何よ!」

「はいはい。アカツキ曹長」

 

改めて、オイゲンさんが真剣な顔つきになる。

 

「な、何ですか」

「明日、ビスマルクに会ってもらうわ」

「何よそれ、聞いてないわよ!」

「今言ったもの」

「オイゲン!!」

 

ビスマルク。

鉄血のKAN-SENの実質的なトップ。

そんな人が、俺に何の用だ……?

 

「返事は?」

「え?」

「返事よ、へ、ん、じ」

「は、はい」

「よろしい」

 

……オイゲンさん、姉に似て結構面倒見良いんだろうな。

 

 

 

 




次回、開発艦計画。
イサムの運んだ荷物が、どんな姿になるのだろうか。
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