帰ってきたイサムの生活が始まります。
第五十七話 変わった生活
……もしかしたら、腕が無くなったことよりもショックだったのかも知れない。
あれから一ヶ月。
俺は愛宕さんの静止を振り切り隼鷹を探しに行こうとした。
トライクに乗ろうとした時、能代に殴られて止められた。
トライクに乗れないのなら自分の脚で探すしかない。
重桜の中をひたすら歩き回った。
それでも、見付からない。
見付からなかった。
――――――――――
「……ロイヤルから使節が来る、ですか」
ある日。
そんな俺の様子を見かねて赤城様に呼び出された。
「はい。かなり大規模な会合になるでしょう」
「そう、ですか。遂にロイヤルが正式に重桜に来るんですね」
「……そう言えば、そんな事もありましたね」
「あはは……あの時は生きた心地がしませんでした」
「狼殿には会われまして?」
「それがまだ……なかなか会えなくて」
「あら、そうなのですか」
……今でこそこうして赤城様と話せているが……。
最初の方はそれはもう色んな人を拒絶した。
全員が俺をだましていた。
隼鷹が居なくなった事、思っていたよりも堪えたらしい。
暫くふさぎ込んでいた。
そんな状況を打破したのが……まさかの、高雄さんだった。
『大任を成し遂げた者がそんな様でどうする!犠牲になった者たちが浮かばれん!!』
久しぶりにぶん殴られた。
思えば、こうやって誰かに叱られたのもだいぶ久しぶりな気がする。
殴られてしかられて。
散々だったと言えば散々だったけど、こうも言われて何もしないのは癪だった。
だから、今まで迷惑をかけた人達の所へ行き……謝った。
「でも、あの人の事ですから……何処かで見ているのかもしれませんね」
「あはは……ありそうですね」
「それで……ロイヤルの方から是非貴方に会いたいという要望……いえ、これはもう熱望ですね……そんな物が届いています」
「え、ええ……なんですかそれ……」
「分かりません……」
「それで、自分にどうしろと……?」
「使節団への接待に参加してくださいませんこと?」
「接待……片腕しか無いのに手伝える事なんてありますかね」
「案内係等出来ますよ。その人への担当にしておきますわ」
「はぁ……ちなみに、その方のお名前は?」
「フォーミダブル、だそうですわ」
「お断りします」
「えっ」
自分でもびっくりするぐらい否定の声が出た。
赤城様も完全に素で驚いてる。
「あの、イサムさん……?」
「あ、え、いえ……その……申し訳ございません……」
「何か、不都合でも……?」
「あ、あはは……ちょっと、苦手な相手というか……」
「………………まさか、以前通信中に割って入ってきた女ですね?」
うわこわっ。
赤城様の目が一瞬でマジになった。
「そ、そうですね……」
「……分かりました。私も少しその方とは本腰を入れて語りたいことがありますね」
……この日、赤城様はずっと笑っていたがめっちゃ怖かった。
ロイヤルの女、三度。