……ロイヤルの方々が来ました。
俺のやる事と言えば会場設営の手伝いと途中で来たロイヤルネイビーの人たちの道案内。
「……そう、大体わかったわ」
「お役に立てて光栄です」
「ありがと」
背の高い、豪奢な金髪ツインテ―ルなKAN-SENに会場の場所を教える。
やっぱりKAN-SENも国柄って言うのが出るんだなぁ。
恰好もぜんぜん違う。
「あ、イサムさん~この荷物はどこに置きますか?」
「ああ、樫野さん。それはあっちです」
「分かりましたー」
さて、
「………………」
「さーて次はどうしようかな……」
……めっちゃにこにこしながら俺の前に立っているお人がいますね!?
「ごきげんよう、イサムさん♪」
「あででででで痛い締めないで!!!」
右腕を掴まれて思いっきり締め上げられている!
でもこれ絶対本気じゃないな!?
「もう、無視するなんて酷いですわイサムさん」
「お、お久しぶりです……フォーミダブルさん……」
なんでこうこんなピンポイントに会いに来るんだこの人。
「はい、またお会いできる日をイチジツセンシュウ?の想いでお待ちしておりました」
「微妙に使い方合ってる……」
「髪型を変えられたのですね?こちらも凛々しくて素敵ですわ」
「ど、どうも……」
「それにしても、私貴方を指名して熱望までしたのにいけずですわね」
「あ、あーそれについてはスミマセン他の仕事がありましたのでー」
自分でもびっくりするくらい棒読みが出た。
「そうでしたか。それで……」
……フォーミダブルさんの視線が、俺の無い左腕に吸い寄せられる。
「片腕、失くされたのですね……」
「ええ、まぁ……色々ありまして」
「そうですか……イサムさん」
「は、はい」
意を決したように真剣な表情になる。
「私と一緒にロイヤルに来ませんか!?」
「何で!?」
脱力した。
何を言い出すんだこの人は。
「私が面倒見て差し上げますわ!」
「ご遠慮します……」
「なっ、どうしてですの!?」
「い、いやー……俺重桜の人だし……別の国で過ごすのはちょっと」
「でも、鉄血で2か月ほど過ごしていたのでしょう?」
「何で知ってるんですか!?」
「あら、前に仰りませんでしたか?戦いに情報は命ですわ」
「あ、あー……そんな事も仰ってましたね……」
「ええ。覚えていてくれてうれしいですわ」
どうしよう。
どうやって逃げよう。
今日は俺も仕事でこの人に接さなくてはならない。
せっかく赤城様に無理言って外してもらったのに捕まってしまった。
「あら、フォーミダブルさん。こんな所にいらっしゃったのですね」
ひぇっ。
このフロアの気温が一気に下がった。
自分でもびっくりするくらい首の動きが悪かった気がする。
「あら、赤城。ご機嫌よう、あの通信以来ですわね」
「ええ、お久しぶりです。アカツキ曹長がお世話になったようですね」
「ええ、楽しませて頂いておりますわ。そう言えば以前は少々はしたない恰好で申し訳ありませんでしたわ」
「あらあら、そう言えばそんな事もありましたわね……所で」
赤城様の目が細くなる。
怖い。
早くこの場から立ち去りたい。
「アカツキ曹長をロイヤルへ連れて帰ろうだなんて本気でお考えでしょうか」
「連れて帰るだなんて人聞きの悪い。あくまで観光ですわ。イサムさんも気分転換が必要でしょうし」
「あらあらなんてお優しい事」
「……まぁ、気に入ってもらえばそのまま永住してもらっても構いませんが」
「は?」
「え?」
「失礼、何か聞き捨てならない事が聞こえた気がしましたので」
「あらあらそれは失礼致しましたわ」
誰か助けて……(絶望)
そんな時、ちょいちょいと誰かが俺の背をつついた。
「……?」
振り向くと、樫野さんが遠慮がちに微笑んでいた。
天使がいた……。
赤城様に軽く会釈して俺は急いでその場を離れた。
「あっ、イサムさん!?まだお話が!」
「あら、私はまだお話したりませんの。お相手して頂けるかしら?」
ひぃ。
地味に初登場の樫野。
なお出番はこれで終わりです(