フォローしておくと作者はフォーミダブルちゃんと好きです(
「……イサムさん!」
背後から声がかかる。
樫野さんと別れた後。
「はい……あ、ベルファストさん」
「お久しぶりです」
「ええ、お久しぶりです」
誰かと思えば、いつものメイド服姿のベルファストさんだった。
「左腕の件……ご愁傷様です」
「あー、いえ。ありがとうございます。失くしてしまったものはしょうがないので」
「そうですか……」
「ベルファストさんも今日は会合に?」
「いえ、女王陛下のお世話の為にご一緒したのですが……会合の為お暇を頂いてしまって」
女王陛下……ロイヤルネイビーのクイーンエリザベスが?
これは、何と言うかかなり大物が来ているんだなぁ……。
「そうなんですね」
「はい……ただ、このような手空きの時間何をするべきかと思いまして」
「その、女王陛下は何と?」
「『たまには羽を伸ばしたら?』と」
「そうですか……」
案外おちゃめな人なのかもしれない。
さて、どうしたものか。
「イサムさん」
「はい?」
「よろしければ、重桜の町を案内して頂けませんか?」
「え……俺が、ですか?」
「はい。差し支えなければ」
「うーん……」
……正直この人なら事前に下調べしている気がする。
何だったら一度諜報に来てるし。
「駄目、でしょうか……」
ああなんてズルい聞き方をするんだこの人は。
女性にここまで言われたら流石に断れない……。
「構いませんよ」
「本当ですか?ありがとうございます」
眩しい。
花が咲いたかのような笑顔。
本当にこの人美人だなぁ。
「と、言っても俺が知ってる場所なんてたかが知れてますけど」
「いえいえ。土地勘の有無も大きいですよ」
「じゃあどこから行きましょうか」
「そうですね……」
ぐぅ、と腹の音が鳴った。
お互いに顔を見合わせる。
「……そう言えば朝食取り忘れてたんでした」
「あら、うふふ。では軽食の取れる所に行きましょうか」
「あはは……それじゃあ良い店知ってますよ」
「本当ですか?期待、しますよ?」
「ご期待に添えるかどうか……」
その時、破裂音と共に窓が揺れた。
「「………………」」
お互いに顔を見合わせて、音のした方を眺める。
……あれ、小柄なメイドさんが誰か連れ……いや、引き摺っている。
「イサムさん」
「な、何かな?」
「行きましょうか」
「えっ、でもアレ明らかに何かあったよね」
「お気になさらないで下さいませ」
「いやいやあのメイドさん誰か引きずってますよ?」
「お気になさらないで下さいませ」
ゴリ押されてしまった。
「………………そこまで言うなら気にしないけど」
何となく見覚えある人が引きずられている。
あー、あーキレイな髪が……。
「イサムさん」
「はい」
「お願いします、ね?」
……とりあえず、行こうか。
この後、会合の場にて物凄く晴れやかな顔の赤城が目撃されたとかされていないとか。
と言うかイサムくん仕事中に他国の女とデートですか。