「重桜の料理と言うのは、ロイヤルとはまた違った趣がありますね」
昼下がり。
ベルファストさんと並んで重桜の海軍通りを歩いている。
……しかし、まぁ
(目立ってる、なぁ)
結構視線を貰っている。
それもそのはず、ベルファストさんが相当目立っている。
そりゃ重桜で一切馴染みのないメイド服でうろついて居るからだろう。
「気になりますか?」
「えっ、いえ……」
「隠さなくても大丈夫ですよ」
「あ、あはは……」
「……重桜は、良い国ですね」
「……ええ」
気が付けば、重桜は一つの国として立派になった。
最初はあんなにバラバラだったのに。
「ロイヤルとは違った、落ち着いた町です。それに……サクラが綺麗です」
重桜、その名の通り桜が年中咲き誇っている。
この国の象徴だ。
「そうですね」
ん?
ベルファストさんの頭に何枚か乗っている。
「……?どうされました?」
「取れた」
「まぁ……お手数をおかけします」
「あはは。そのままでも良かったかも。銀の髪に良く映えます」
「あら」
「しばらく見惚れてしまいそうです」
「うふふ、お上手ですね」
「……!あ、いえ……そんなつもりは」
お互いちょっと赤くなってしまった……。
そこへ、
「ベ、ル、フ、ァ、ス、ト……!!何をしてらっしゃるのかしらぁ……!!!」
「あら、フォーミダブル様」
「えっ……!?」
凄まじい形相をしたフォーミダブルさんが立っていた。
こわい。
「ふぉ、フォーミダブルさん……」
「ごきげんよう、イサムさん」
「え、あ、どうも……さっきぶりです」
「それでぇ……?ベルファスト?私が足に多大なダメージを受けている間になーにをしてやがりましたの?」
「イサムさんに重桜の町を案内して頂いていました」
「んなぁ……!?」
「さて、それではイサムさん。私は女王陛下のお世話がございますのでこの辺りで失礼いたします」
「あ、そうですか……貴重な時間をありがとうございます」
「いえ、こちらこそ楽しかったです。それではまた」
「あっ!お待ちなさいベルファスト!まだ話は……」
ベルファストさんが立ち去ろうとしたのを、フォーミダブルさんが追った。
そのまま居なくなるだろうと思い俺も移動を……。
「……何をしているのですか?」
「何って、貴女……」
「今ここで私を追えば昼食を官舎で摂りそのまま午後の部、そしてロイヤルに帰国することになります。その意味がお分かりですね?」
「ベル、貴女」
「フォーミダブル様なら、どうすれば良いかもうお分かりですね」
「……塩を送るつもり?」
「敵だとは思っていませんよ。私はあくまで『イサムさんの友人』ですので。ただ……」
「ただ……?」
「仮に、フォーミダブル様がイサムさんをロイヤルに『持ち帰った』場合……私としても大変都合が良いので」
「……貴女、良い性格していますわね」
「さて、何の事でしょうか」
「今回は、借りておいてあげる」
「左様でございますか。では、返していただける日をお待ちしております」
……何か話しているみたいだ。
すると、フォーミダブルさんがこちらに足早に駆け寄ってきた。
「イサムさん♪私もご一緒してよろしいですか?」
「えっ」
何で!?