されどそれは困難な道也。
「イサムさん」
会合から暫くして。
ある日、俺は赤城様に呼び出された。
「あ……赤城様、お疲れ様です」
「はい、ごきげんよう。これからお時間を頂きますが、よろしいでしょうか」
「構いません」
「では、こちらへ」
久方ぶりに訪れた、赤城様の執務室。
そこへ通され、座らせられた。
「単刀直入に言います」
赤城様が書類を広げる。
「隼鷹の捜索任務が近々立案されます」
「……!」
隼鷹の捜索。
今までも行われていたが、結果は振るわなかった。
それが、なぜ今。
「……イサムさんには、また厳しい選択を迫る事になります」
「構いません」
「内容を聞かずに即決、ですか……無鉄砲なのは腕が無くなっても変わりませんね」
「隼鷹の事です。迷ってなんていられません」
「……ごめんさい。私は」
「自分が決めた事です。赤城様は何も悪くはありません」
「……ありがとうございます。嫌ですね……最近、涙腺が緩くて」
赤城様は目元をそっとぬぐって、表情を引き締めて言った。
「イサムさん。貴方には新しい義肢技術の被検体になるよう要請が来ています」
――――――――――
KAN-SEN技術を応用した義肢技術。
人類が失った手足を補うための技術を発展させてきた。
今回の話は鉄血との合同開発された義手のテスト、及び俺のリハビリを兼ねたプロジェクトだそうだ。
重桜は肉体的、鉄血は機械的にそれぞれKAN-SENへアプローチを掛けている。
その合作となる開発はアズールレーンとしても注目されているらしい。
「しかし、なぜそれを自分に?」
唯一不可解な点としてはこの一言に尽きる。
階級は曹長から准尉へ上がりはしたがほぼ飾りの物である。
手足を失った人々は他にもいると言うのに。
「実は、ロイヤルから猛烈にアプローチがありまして」
「ロイヤルから……?」
「イサムさん、そんな知り合いに心当たりは……」
「………………あります。会合に参加するくらい影響力高い人が」
「………………ええ、私もたった今思い当たりました。あの雌猫は一体何を考え……」
赤城様の目が一瞬鋭くなり、背筋に冷たい物を感じる。
目の前に座る人が紛れもない強者だと嫌でも思い知る。
その様子を見て咳払いを一つ。
「失礼……イサムさん。恐らくとても辛く、苦しい日々になるでしょう。もう一度確認します」
本当に、義手の手術を受けるのかと。
愚問だ。
「やります。そして必ず、隼鷹を見付けて引きずってでも連れて帰ってきます」
俺は、まだ君にお礼を言っていない。
俺はまだ君の隣に並んでいない。
勝手に居なくなるなんて死んでも許さないからな。
血反吐はいてでも見つけ出して連れ戻してやる。
覚悟なんて最初から決まってる。
隣に立ちたい人ともう一度会うために。