【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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第六十三話 進め、再会の為に

――重い。

 

左肩に接続された無機質な、しかし腕の形をしたもの。

鉄血らしく一切塗装されていない黒い鉄の塊。

 

「……めちゃくちゃ重いですねこれ」

「鉄血の試作第一号って事だからにゃ……悪いけど我慢してほしいにゃ」

 

明石さんがダボダボの袖から器用に工具を出して調整している。

 

「ただ……ちゃんと動いてる事に違和感を感じると言うか」

「まぁーイサム准尉は半年くらい片腕で生活してたからにゃ。また腕があるって身体が認識するまで時間がかかるかも知れないにゃ」

 

半年。

その間俺はずっとガチャガチャと義手の着脱をしていた。

こいつは合計で第3号試作品だ。

今回は鉄血主導の代物である。

 

「重桜のやつは生物的過ぎるし鉄血のやつは機械そのまま。せっかく同盟組んだんだから技術の擦り合わせをすれば良いのに……」

「あんまりお互いの技術のノウハウの学習が済んでないのにゃ。もうしばらくは我慢してくれにゃ」

 

隼鷹の捜索は半年経っても細々と行われている。

ただし、成果はほぼゼロ。

3ヶ月前に重桜、鉄血領間で目撃情報が1件あっただけ。

しかも当時の海は天候も最悪、残された映像からもかろうじてシルエットが見て取れた程度。

 

焦りばかりが募っていく。

 

「……はい、調整終わったにゃ」

「ありがとう、明石」

「仕事だからにゃ。ほら、行った行った」

 

左腕に意識を集中する。

脳に腕があると思わせる。

このプロセスが無いと、まだ自然には動かない。

 

「……まだ起動までに30秒くらいかかるにゃ」

「動くだけ御の字ですよ」

「この後運動試験にゃ。お昼は食べ過ぎ無い様ににゃ」

「分かってますよ」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「来たな」

 

重桜軍実験場。

軍事研究施設の数ある試験場の一つ。

最も規模の小さい場所……でも小学校の教室くらいの広さはある。

 

そこに、木刀を携えた高雄さんが立っていた。

 

「どうも」

「挨拶は良い。始めるぞ」

 

高雄さんから木刀を投げ渡された。

この人ほんと好戦的と言うか……もしかしたら能代よりジャンキーなのかも知れない。

 

「参ります」

「来い!」

 

運動試験、と称してなぜこの様な事をしているのか。

最初は本当にただのリハビリだったのだが、想像以上に俺の体力は落ちていた。

そんな中急に高雄さんが現れ一言。

 

『稽古を付けてやる』

 

そして今に至る。

どうして……どうしてですかね……。

 

「甘いッ!」

「う、わっ!?」

 

やっぱり左腕の反応がワンテンポ遅い。

簡単に木刀を叩き落される。

 

「……反応が追いついておらぬな」

「ええ……どうにも映像を後から見てる気分です」

「なるほど……」

 

何故高雄さんがこの様な提案をしたかは分からない。

分からないけど高雄さんなりに真摯に向き合ってくれている。

 

「愛宕!映像は撮ってるな!」

『ばっちりよ〜』

 

一面真っ白な壁に一枚だけ貼られた窓。

そこに数人の研究員と愛宕さんがいる。

 

愛宕さんも、隼鷹が居ない生活を支えてくれていた。

 

「よし、もう一度だ」

「……はい」

 

一歩ずつでも良い。

歩いてでも良い。

何があっても、絶対に君に会いに行く。

 

「参ります」

 

だから、それまで生きててよ。

 

 

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