【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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いくつになってもイサム君のワーカーホリックは治らないのでした。


第六十六話 仕事中毒再び

 

そう言えば今自分がどんなポストに居るのか、あまり語っていなかった気がする。

昇進と言えば昇進なんだけど。

 

今、自分は赤城様直属の伝令員になっている。

 

レッドアクシズ締結の功績からさらに上のポストに上った赤城様直々の指名だったので、俺も粉骨砕身、全身全霊で……。

 

「イサムさん、最後に休みを取ったのはいつですか」

 

全身全霊で……。

 

「……4か月前です」

「休みなさい」

「あの」

「休みなさい」

「その」

「命令です」

「……はい」

 

まだまだ忙しい時期なのに俺ばかり休んではいられないと思って休暇を取らないでずっと働いていたのだった。

流石に赤城様に止められました。

 

「……貴方に心配されるほど、私はヤワな女ではありませんよ」

「え……あ、申し訳ございません」

「ですが、気持ちだけは受け取っておきます。イサムさん?貴方はこんな所で倒れてはいられない筈でしょう?だからこそ、もっと自分を大切にしてくださいまし」

「赤城様……」

「休め、と言われても貴方が素直に休むとは思っていせん」

「うっ」

「ですので、今日はこちらの方に来て頂きました」

「えっ」

「ハァイ、久しぶり」

 

スパァン!と赤城様の執務室の襖を開けて出てきたのは、凄まじい露出度の軍服を身に纏う銀髪のKAN-SENだった。

 

「貴女は……」

「プリンツ・オイゲン。こちらの扉はもう少し優しく開けて欲しかったのですが」

「気にしない気にしない」

 

プリンツ・オイゲン。

鉄血海軍所属のKAN-SENがどうしてここに。

 

「呼ばれたのよ、私が。自力で休めない駄目な男を休ませて欲しいって」

「うっ……」

「なんてね。私は代理」

「……代理?」

「ええ。本当は別の奴が来る予定だったんだけど、途中でヘタれてね」

「そうなんですか……体調でも悪かったんですか?」

「「ハァー……」」

 

そう言った時、二人が何やら物凄い深いため息を吐いた。

え、何で……。

 

「……あの子、苦労しますわね」

「そりゃもう絶賛。本人もあんなんだし」

「……何の話でしょうか」

「なんでもないわ。じゃ、行きましょうか」

「え、行くって、何処へ……」

「決まってるじゃない」

 

オイゲンさんは俺の手を取ってウィンクした。

 

「鉄血よ」

「はぁ……エッ!?」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

過去に繋がった重桜と鉄血の間の……いわゆる転送装置は、この2年間でかなりの改良が加えられ……今では部隊規模の行き来が可能になっている。

お互いの信頼の積み重ねでここまでの自由な往来が許可されているのだとか。

 

あわただしく人の行き来が多いゲート前。

 

「……気が付けば、随分大きくなりましたね」

「……それは、貴方が?」

「今の、ボケるとこでしたか?」

「冗談よ。それにしても、見ない間に随分男らしくなったわね」

「……そうでしょうか」

「今の、自信無いのは減点ね。女に褒められたんだからもっと堂々としなさい」

「はぁ……」

「さ、行くわよ」

 

受付に身分証と命令書を見せて、ゲートをくぐった。

 

「…………ん?」

 

視界が開けた瞬間、何かが胸にぶつかった。

 

「ちょっと!何処見て歩いてんのよ!」

「あ、すみません。ケガはないですか」

「無いけど……えっ!?」

 

視線を落とすと、鮮やかな金の髪が視界に入った。

 

「い、イサム……!?」

「やぁ、久しぶり。ヒッパ―」

 

アドミラル・ヒッパ―。

2年前、一緒に鉄血を目指したKAN-SENだ。

 

何だかんだずっと手紙でやり取りはしていたが、実際に顔を合わせるのは久しぶりだった。

 

「ひ、ひひひひ久しぶりね!」

「はぁー……」

 

オイゲンさんが額に手を当ててため息を吐いた。

 

「……髪、切ったんだ」

「ええ、まぁ」

「ふーん……」

「何、ヒッパ―。長い方が好きだったの?」

「違っ……!」

「それとも、今の方が好き?」

「えっ、それは、その……オイゲン!!」

「やだこわい。それじゃ、イサム。また今夜」

「え、あ、あはい……今夜?」

 

オイゲンさんはそそくさと逃げ出し、俺とヒッパ―だけが残されてしまった。

 

「「………………」」

 

何となく気まずい。

文通していたとは言え、2年も会っていなかったのだ。

 

「ヒッパ―」

「な、何!?」

「鉄血、案内してよ」

「!」

 

前に、ヒッパ―としていた約束。

それを切り出す事にした。

 

「任せて!」

「うん、よろしく」

 

 

……その様子を、一人遠巻きに眺めていた事に……まだ俺たちは気付いていなかった。

 

 

 




誰かが、後を着けている……?
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