【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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追う者と追われる者。
物騒な話だが今回に関しては互いに害意はない。


第六十七話 追跡者

ヒッパーに鉄血の軍港を案内してもらっている最中。

 

ふと、視線を感じ振り返る。

 

「どうしたの?」

「いや……」

 

誰も居ない。

いや、人の往来はあるので語弊はある……が、誰も俺を気にする人がいないと言うのが正しいか。

 

「重桜人が珍しいだけじゃないの?」

「そうかな……」

「気にし過ぎではなくて?群青さん」

「えっ……」

 

ヒッパーの隣に、誰か立っていた。

黒のロングコートに、生地に負けないくらい黒い髪のKAN-SEN。

 

「アンタ、帰ってきてたの?」

「ええ、先程。逢瀬を邪魔するつもりは無かったけれど、有名人におめ通りをしようとね」

「お、逢瀬ってアンタねぇ!!」

「初めまして、群青。私は鉄血海軍のグラーフ・ツェッペリン級航空母艦B、ペーター·シュトラッサー」

「お初にお目にかかります。重桜海軍参謀直轄伝令のアカツキイサム准尉です」

 

お互いに握手する。

しかし、鉄血もまたきれいな人ばかりだ。

 

「ふん」

「いだっ!?」

 

ヒッパーにスネを蹴られた。

 

「それにしても……その義手、ちゃんと馴染んでいる様ね」

「ええ、お陰様で」

「私は何もしておらぬよ」

「義手……」

 

ヒッパーが、呟いた。

 

「ああ、うん。見てよヒッパー。左腕がまた動かせる様になったんだ。これでまた仕事に戻れる」

「アンタは……また海に出るのが怖くないの?」

「怖くないよ。俺の出来る唯一の事だから」

「でも、死ぬのは怖くないの!?あんなに痛い目に遭ったのに!」

「……怖い。けどね」

 

まっすぐに、ヒッパーの視線を受け止めて返した。

 

「合わなきゃいけない人が居るんだ」

 

伝えなきゃいけない言葉がある。

伝えられなかったら、死んでも死にきれない。

 

「彼の決意は硬いようだぞ、ヒッパー」

「うっさいっての!!」

 

ヒッパーはため息を一つ吐く。

 

「頑固なんだから」

「君ほどじゃない」

「なんですって!?」

「所で」

 

ペーターシュトラッサーさんが言葉を挟んだ。

 

「いつまでそこに居るつもりだ?」

 

誰も居ない脇道に、ペーターさんはそう投げかけた。

 

ゆらり、と人影が現れる。

 

「っ……!?」

 

彼女は、俺を見るなりとても穏やかに、にっこりと微笑んだ。

 

「アンタ、何でここに……!?」

 

ブロンドの髪に、鬼の角の様に取り付けられた頭の装置。

鉄血海軍のKAN-SENの装いそのままの少女がこちらに歩いてきた。

 

彼女は、何も言わない。

 

「君は……?」

「ずっと」

「?」

 

少女は呟く。

 

「ずっとずっと、会いたかった」

「え、え?」

「貴方に会える日を、ずっとずっと、ずっとずっとずっと待ち望んでいたの」

「そ、そうなの……?」

「ようやく、会えた」

 

気が付くと、少女はすぐ目の前に立っていた。

両手を広げて、俺を抱きしめる。

 

「な、え、ちょっと!?」

「大丈夫。今度は……私が守るから」

「ちょっと、離れなさいよ!!ローン!!」

「ローン……?」

 

思い出した。

 

 

この子は、俺が運んだキューブの中身。

 

 

「もう、貴方は誰にも傷付けさせないわ」

 

 

少女の目は、吸い込まれそうな程に透き通っていた。

 

 

 




開発艦、ローン登場。
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