デスストでよくお世話になる代物ですね。
重桜らしく白や赤で塗装されています。
バッテリーの保ちもそこそこ。
イサムの力で海の上を走れるようになっています。
その辺の軽巡、重巡のKAN-SENに追従出来るくらいのスピードは出せますが、流石に駆逐艦には追い付けません。
高雄さんとの会話から、3日が経過した。
気分は晴れていないけど、いつもより配送に打ち込んだせいか身体に疲労が溜まっている。
「疲れた……」
重桜軍の官舎に設けられた自室のベッドに倒れる。
実は輸送部門は人が居ないので個人部屋と言う好待遇だったりする。
畳張りと言う訳ではなく、何処となくユニオンの色が強い。
「このまま寝よう……明日の朝、シャワー浴びればいいや……」
睡魔が襲ってくる。
じわじわと、意識が沈んでいく。
「イサム」
その瞬間。
肩を掴まれ、反射で跳ね起きて手を突き出した。
……その手は、肩を掴んできた相手に掴まれる。
「……あ。ごめん、隼鷹」
「平気よ」
その相手は、隼鷹だった。
いつ部屋に入ってきたのだろうか。
「ドア、開けっ放しだったわ」
「え?本当に?あはは……気付かなかったよ」
「……イサム、無理してるわね」
「………………」
図星を付かれて、押し黙る。
「高雄のやつに言われた事、まだ気にしてるんでしょ」
「そんなんじゃ」
「なら、どうして仕事量を増やすの。昔から貴方は気に障ることがあると無心で何かに打ち込もうとするのよ」
「………………」
本当に、よく見ている。
やはり隼鷹には敵わない。
けど、素直にそうとは……言えなかった。
今日の俺はあまり素直じゃないらしい。
しかし、
「……心配しちゃうじゃない」
「ごめん」
「お風呂入りに行きましょう?汗でびしょびしょよ」
「少し疲れちゃって。めんどい」
「い・き・な・さ・い」
「いででででで!!分かったって!」
隼鷹に頭を締められる。
堪らず立ち上がって入浴の準備を始めた。
「100数えるまで出てきちゃ駄目よ!」
「長いって!……ありがとう、隼鷹」
彼女のそういうとこに、俺はいつも救われてるんだろうな。
「流石に共同浴場だから着いてこないでね!?」
……過保護な気もするけど。
それでも、気落ちしているときに心配してくれる人が居るっていうのは……申し訳ない気もするけど、やっぱり心強い。
だって、俺は一人じゃないんだから。
元々、隼鷹というKAN-SENは不安定な存在だったらしい。
指揮官に対して、存在しない幼少期の話……『オサナナジミ』として振る舞う。
彼女は、俺の本当の幼馴染だ。
それが、いったいどう作用しているのだろう……。
彼女は、正常に見える。
けれどもし……この状態が、『異常』だとしたら?
(……それが、どうした。隼鷹は隼鷹だ)
一瞬でも思考に混ざったノイズを振り払う。
そんなものは知らない。
俺が知っている隼鷹は、彼女しかいないんだから。
「だから着いて来ないでってば!!」
願わくば、この平穏がずっと続きますように。
平穏は、次の嵐までの間でしかない。
少なくとも、この世界は。