夜。
俺はまだ鉄血領に居た。
何でも、今夜ヒッパ―とオイゲンが案内したい場所があるとか。
「私も参加しまry」
何か言いかけたローンは襟首を誰かに掴まれた。
「やっと捕まえたぞ」
「ビスマルクさん……」
「久しぶりね、群青」
あっけらかんとしながらビスマルクさんはローンを片手で抑え込んでいた。
「何でここに……」
「馬鹿が逃げ出したって大騒ぎなのよ、こっちは」
「ああ……」
「イサム!?何で納得したの!?」
「悪いけど、回収させてもらうわ」
「イサムうううううううう」
ずるずると引きずられていった。
「……何だったんだ」
「朴念仁」
「えっ」
「なんでもない。行くわよ、オイゲンが待ってる」
「え、ああ……」
ヒッパ―に手を引かれる。
「どこへ?」
「クナイペよ」
―――――――――――
「ハァー―――――――――イ二人とも遅いわよ―――――――――」
「「……」」
何か、凄いご機嫌な人が居た。
「オイゲン、何してんのよ……」
「んー、先に飲んでるの〜〜」
ベロンベロンに酔っ払ってらっしゃる。
店員さんが苦笑しながらジョッキにビールを注ぎ直している。
「マスター、二人にも同じやつ〜〜」
「はい」
カウンターに座ると、目の前にかなり大きなジョッキがどん!と置かれた。
「えっと……」
「何?アンタ誕生日来てたんでしょ?」
ヒッパーがジョッキを受け取ってそう言った。
「いやまぁ……そうなんですけど」
今年で20。
酒が飲めない歳ではない。
だが、
「……飲んだこと無いんですよね」
「……嘘ぉ。重桜なら誰か飲ましてくるんじゃないの?」
「……誰にも言ってないんですよね」
「それ、絶対赤城ノヤつ怒るわよ〜あはは」
そうだろうか……。
クナイペ、と言うからには何かと思ったが要するに居酒屋か。
重桜と違って麦酒……ビールがメインみたいだけど。
「それじゃ、乾杯しましょ。もう始めてる奴居るけど」
「何て言う~」
「そうね……」
「私たちの出会いに~~」
「始めるなっての!もうそれで良いわ、乾杯!」
「か、乾杯!」
一口、口を付ける。
(にっが……)
何だこれ。
めちゃくちゃ苦い。
ちらりとヒッパ―の方を見ると、視線に気づいたのか笑っている。
「ま、最初は苦いわよね~。ソフトドリンクにしとく?」
「の、飲めらぁ!」
「良いじゃない良いじゃない~良い飲みっぷりよ~~~」
ジョッキを一息に煽って飲み干した。
……後味最悪。
「この人にもう一杯~~」
「もう一杯だよ!?」
……ビール、全然慣れないなこれ。
なお、普通にこの後倒れるまで飲んで二人に重桜まで搬送されましたとさ。
お酒は二十歳になってから。
用法用量を守って楽しく飲みましょう。